ソシャゲで人気投票1位にならないと帰れない!   作:夢泉

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空白期間すみませんでした。再開します。


6話 その気持ちはまさしく愛……なのかな?

 

「我は、キミたちが欲しい」

「は?」

 

 突然、白衣の女性「リミエント」から3人同時告白をされた。

 

「突然、何を仰っているのですか?」

 

 完全にリエスに同意。突然過ぎて、何をどう反応して良いのかも分からない。

 

「まぁ、落ち着いてくれ。今の発言は先に結論を述べたに過ぎない。論文等に没頭していると、このような話し方がスタンダードになってしまう。申し訳ない。本論はここからなのだ。どうか、耳を傾けてくれると有難い」

「は、はい……?」

 

 理解が全く追いついていないリエスの呟きを肯定の意思表示と受け取ったのか。

 赤髪の女性は満足げに頷くと、コホンと咳払いを一つしてから語りだした。

 

「我はキミたちが欲しい。何故ならば、キミたちが特別な存在だからだ。――その事は、キミたち自身が一番理解しているだろう?」

 

 ……オレが「特別」ねぇ。

 確かに、精霊は世界規模で信仰対象になる程度には珍しい存在ではあるが。

 

「私、とくべつ?」

「そうか。ルネ君は記憶が無かったのだったね。しかし、キミは正に「SSS」クラス。我が今まで見てきた中で「最高」と呼ぶに相応しい。それ程の価値を持っている」

「私、最高。どやぁ」

「……ルネ。簡単に乗せられちゃ駄目ですよ。「キミは特別だ」からの「加入しなさい」は詐欺とかで使われる手法です。慎重にならなきゃ駄目ですよ」

「詐欺……。ん。分かった。気を付ける」

 

 などと「むふー」とドヤ顔で無い胸を張るルネと言葉を交わしていると、リミエント女史の会話の矛先がオレに向けられる。

 

「ティエラ・アス君。ルネ君に嫉妬する必要は無い」

 

 はい? しっと? 嫉妬?

 誰が? オレが?

 誰に? ルネに?

 微塵もしてませんけど??

 

「キミは「身体」の項目においては「SS」……十分に至極の存在ではあるが、確かにルネ君には一段階劣る。しかし、「精神」の項目において測定不能の「X」評価。深淵にして甘美。至高のミステリーだ。そのミステリアスさに我は心奪われているのだよ」

 

 なにコイツ。普通にヤバイ奴だ。

 というか、「精神」が測定不能って何じゃい。オレがそんなに異常者だと言いたいのか。ふざけるな。

 オレは精神が3つの複合体で、その中に「星の意思」なんてモノが含まれているけれども。他の人と違う点なんて、その程度だ。

 まぁ、確かに? 1位になって帰るためなら何でもするけれども。そんなの普通の事だろう?

 どちらかといったら、異常者はキズナ君の方だ。オレは普通の平凡な精神性。つまり、これは事実無根の内容による名誉棄損だ。訴えてやる。

 ……などと考えながら、周囲をサッと見渡す。

 逃げるべきかとも考えたが、周囲は良く分からない機械だらけ。「都市長」の周囲にある機械群が、防衛のための機能を搭載していない……と考える程お花畑ではない。

 

「そして、リエス君。キミも「身体」においてSSクラスの至高存在。この空間にSS以上が揃っている故ピンと来ないかもしれないが、それは天文学的数値の偶然だ。SSとは1つの時代に現れるか否かの領域にある。誇ると良い」

「……一応、賛辞の言葉として受け止めますわ」

「一応も何も、正真正銘の賛辞なのだがね」

 

 ともかく、今は言葉を発して会話を重ねよう。……出番が増えるかもだし。

 

「……要するに。ただの知識欲。研究対象としての興味ですか」

 

 ま、こういうことだろう。

 オレの()()()()()()()()概念精霊だし、ルネはワールドイーターの巫女だし、リエスは人間とエルフ……異種族のハーフだ。レア種族のバーゲンセールである。

 白衣さんは「愛の告白」ではなく、研究対象としてオレたちを欲している……という事だな。

 ……なんて、思ったのだけれど。

 

「否。正真正銘、これは愛の告白だ」

 

 んんん?

 

「我にとって研究こそが全て。知識欲とは我の愛情。それ以外の欲望など微塵も湧かぬ。結論、我が研究対象として興味を抱く事は、愛そのものと同義なのだ」

 

 なんじゃ、その暴論。

 いや、でも待てよ?

 知識欲以外の欲望が無い=全ての感情・欲望が知識欲……ということなのか。

 

「キミたちが「愛」として性的快楽を求めるのであれば、我は一向に構わぬ。必ず満足させて見せよう」

 

 だから、「愛」も「性欲」も知識欲の一部でしかない、と。

 なるほどなるほど。

 ヤベー奴だな。

 

「我はキミたちに「知識欲」という「愛」を向け、キミたちは我に「性欲」という「愛」を向ければ善い。まさしく相思相愛。美しい愛だ。何も問題はあるまい?」

「問題あり過ぎですけど??」

「まま。聞こえない。なに、話してるの?」

「ルネは聞いちゃダメな類の妄言ですからねー」

「ティエラさん、流石ですわ」

 

 変態を前にしても……いや、変態を前にしているからこそ、面倒見の良いお姉さんキャラは崩さない。

 よくよく考えたら、生後10年のオレや、それ以下のルネに対して話して良い内容じゃないよね。色々と問題があり過ぎる。

 

「くくっ。それはそれで構うまい。その反応1つ1つも興味深い。キミたちの全ての表情と反応を明らかにし、その存在を丸裸にしたい欲求が止まらないよ」

 

 きっぱりとお断りした筈なのだが、ちっともダメージなど受けていないようだ。無敵かな?

 

「……しかし、良いのか?」

「何の事でしょう?」

 

 ……すると。リミエントはニヤリと不敵に笑い。

 

「他の者たち……キミたちの同行者がどうなっても」

「な……!?」

 

 と告げた。

 

 


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