ソシャゲで人気投票1位にならないと帰れない!   作:夢泉

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8話 合流/究極の二択

◇◇◇

 

 

 ふむふむ。要するに。

 キズナくんたちを人質に身体を差し出せ、と。そう言っている訳か。

 クズ過ぎるな??

 

「それで返答は如何に?」

 

 むむむ。しかし、しかしだ。

 これは実に。実に難しい問いかけだぞ。

 

ルネやリエスを庇って己の身を捧げる。……献身的で健気な女の子アピール。

「キズナくんは必ず助けに来ます!」……主人公を信頼する女の子アピール。

 

 迷う。迷うぞ。どっちも魅力がある。

 どっちの方が人気出るのだろうか。

 前者は薄い本の導入っぽい気がするな。

 後者はくっころ系の薄い本っぽいな。

 ……なんだ、どっちも薄い本の餌食じゃないか。ふざけんな。

 

 まぁ、後者はマ○オが来るって信じ続ける桃の姫様感がある。世界中で人気になったゲーム不動のヒロインは伊達ではない。彼女にあやかり、後者を選ぶとしようか。

 

「オレは貴女のモノにはなりませんよ。ルネもリエスも渡しません。キズナくんは必ず来ますから」

 

 これは決まったのでは!? 超ヒロイン力高いのでは!?

 一枚絵になるくらいの凛々しい決め顔(当社比)で言ってやったぜ。

 

「……くっ。くくくっ。くははは!」

 

 すると。リミエント女史は高らかに笑い始めた。

 そんなに変なこと言ったかな?

 

「いや、ますます興味が湧いた。やはりキミの返答と行動だけは予測できない。精神X評価は決して過大では無かった」

 

 まだ言うか貴様。

 それ以上の名誉棄損を続けるなら出るとこ出てやるぞ。訴えまーすよ。

 

「くくっ。或いは、これが嫉妬という感情なのかな。キミにそこまで想われる者が羨ましい」

 

 知らんがな。

 それにオレはキズナくんのこと、(恋愛的には)1ミクロンも好きじゃないぞ。欲しいならあげるよ。彼の精神も相当異常だから、きっと仲良くできると思う。

 

「然れども、現実的な問題として。彼らがココまで来る可能性は……」

 

 リミエント女史が言葉を紡いでいる、まさにその瞬間。

 背後の壁が大きな爆発と共に大破。

 そして。

 

「3人とも! 無事!?」

「おー、キズナ、来た。ママの言った通り。すごい」

 

 流石は主人公だ。最高のタイミングだぜ。

 

 

◆◆◆

 

 

「くっ。くはは。ふははははは! これは驚いた! 成程成程、我はキミたちを見くびっていたらしい。評価を上方修正せねばなるまい!」

 

 波の如く湧いてくる機械の兵士たちを突破しながら、ミニアの案内に従って進めば、広い空間に辿り着いた。

 そして、そこには赤髪と白衣が特徴的な女性と、探していたルネたちが居た。

 良かった。全員無事だ。

 

「負け惜しみですか? 何はともあれ、形勢逆転です。降参するなら今の内ですよ」

 

 ティエラさんが双剣を構えながら言う。

 なるほど。あの女性が全ての元凶らしい。

 それを認識した皆が、女性に向かって戦闘態勢を取る。

 

「……いや、止めておこう。現時点で敵に回したくない存在も居るしな」

「おやおや? 熱い視線を感じますね? ワタシに何か何か御用ですかな? それともそれとも一目惚れ?」

「自惚れるな。生物本能的にも知的探求心的にも貴様は論外だ」

「ややや! これはこれは実に厳しい! こんなに手酷く振られたのは初めてです! ピエロ悲しい……よよよ」

 

 なんだろう? サーカスさんと女性の会話が奇妙だ。

 知り合いなのかな? あと、会話の内容的にサーカスさんが相当な実力者……という風にも聞こえる。

 確かに、ここまで来る過程でサーカスさんは大活躍だった。

 何もない空間から様々なモノを出したり、逆に消したり。変幻自在で、機械兵たちも大混乱だった。……それでも、そこまで警戒するほどの恐ろしい実力者、という印象は受けなかったのだけど。

 

「さて。ルネ君たちには既にした故、二回目になってしまうが。先ずは自己紹介を。我こそは、現在のミカニアの都市長。名をリミエント・コーナストーン」

 

 すると、女性は……リミエントさんは。視線をサーカスさんから外し、僕たちの方を向いて。

 そして。白衣を翻しながら告げた。

 

「キミたちがミカニアに来てからの全ての非礼を、ここに謹んで謝罪する。謝って済む問題では無いかも知れぬが、我らにも理由はあったのだ」

 

 理由……。僕たちを分断させたり、軟禁したりした事についてだろう。

 一体どんな理由があったのだろうか?

 

「……前提として。キズナ・ハルカワ。キミは世界を救うために動いているのだったな」

「はい」

 

 リミエントさんの問いかけに答える。

 僕は世界を救うために動いている。その通りだ。

 ただ、なぜ彼女がそれを知っているのだろう?

 

「我らは独自の情報網により、それを把握していた。故に、確かめさせてもらったのだ。キミたちに我らの……ミカニアの命運を託す選択に如何ほどの利があるか。キミが掲げる救世には如何ほどの実現可能性があるのか。そのデータを取らせて貰った」

 

 ……成程。独自の情報網というのは良く分からないけど、彼女の行動の意味は分かった。

 ここまでの一連の流れは、僕たちを試していたということか。

 

「……えっと、それで。確かめた結果はどうだったんですか? 僕たちに協力してくれるんですか?」

 

 これで力を貸してくれるのなら、これほど幸いなことも無い。

 城塞都市と草原の民の時みたいに、争いになったりしないのは有難い事だ。

 ……そう、思ったのだけど。

 

「結果は不合格だ。キミたちは我らの命運を託すに相応しくない」

 

 返された答えは無情なモノだった。

 

 

 





昨日2話投稿できなくて申し訳ありません。
なかなか文章がまとまらず……。

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