ソシャゲで人気投票1位にならないと帰れない!   作:夢泉

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9話 前振り終了/本番突入

◇◇◇

 

 

「あぁ、落胆しないでくれたまえ、ルネ君、ティエラ・アス君、リエス君。キミたちへの告白は本物だったとも。計画の一環でこそあったが、承諾して貰えるならば至上の悦びだった」

「はぁ、別に落胆なんてしてませんけども」

「告白って何のことニャ、ティエラ?」

「ただの変態の妄言ですから、気にしなくていいですよー」

「はは、これは手厳しいね。脈無しというヤツかな」

 

 これ以上その話を広げるな。リミティエが公式化したらどうする。ただでさえ、どっかのピエロに絡まれて変なカップリングが成立しそうなんだ。本当に止めて欲しい。

 

「……話が逸れてしまったな。戻すとしよう。……成程、確かに。キミたちには未知の可能性がある事は認めよう。特に、BI-F888-No.000008-Minia」

『はい! ミニアです!』

「ソレがコマンドに逆らい、独自の行動を選択したのは興味深い。想定を超えた未知だ」

『……えーっとぉ? じゃあじゃあ! 罰則とかは~?』

「今回は未知を提供した功績で不問だとも。この都市ではルールや道徳・倫理ではなく、探求と開拓こそが唯一絶対の正義なのだからな」

『わーい! やった~! お咎めなしですよ~!』

 

 リミエント女史はミニアを示しながら、心底楽しそうに言う。

 話の流れ的に、ミニアが命令に逆らってキズナ君たちに手を貸した。けど、それは「未知の行動」だったので罰されることは無く、むしろ賞賛された、と。そんな感じかな。

 

「……しかし、足りない。この程度では足りない」

 

 だが、その程度の「未知」では不十分だったらしい。

 まぁ、世界を救うとか言ってるヤツを無条件で信頼して、多くの命を預けるなんて出来ないよな。

 ましてや……。

 

「貴様らの手など借りずとも我らは滅びぬ。世界の滅びなど既に1度乗り越えた」

 

 ……危機を乗り越える手段を有していれば尚更だ。

 

「かつて、我らが居た世界も滅びに直面した。しかし、我らミカニアは……探求と進歩の都は生存の道を切り拓いてみせたのだ。此度も同じ事を繰り返せば良いだけの事。態々キミたちと歩調を合わせる必要性は皆無だ」

「それって特殊装甲で覆って世界を渡った……っていう話?」

『市長市長! でもでも! アレは一度世界を渡った時点でボロボロに劣化して使い物にならなくなったはずでは? かつての世界で入手できた希少素材も「カオス」では入手できませんし!』

 

 リミエント女史の言葉にキズナ君が問いを発し、ミニアも疑問を呈する。

 成程。ミニアの言葉から考察するに、かつて使用した世界渡航の手段は再現不可能だったのか。

 

「くく。我らは革新の都。いつまでも“再現不可能”に甘んじるわけがあるまい。……これを見るが良い」

 

 そして。

 新しい玩具を前にした幼子のような笑みを浮かべて。

 リミエント女史が左手を動かすと、空中に大きなウインドウが1つ展開される。

 そこに映像が映し出されて……。

 

「大森林を。()()()()()()()()()()()。それが我らの選択だ」

「そんな!?」

「何言ってるっスか!?」

 

 即座にリエスとパハルが驚愕の声を上げる。

 それもそうだろう。

 なにせ、映像には大森林と、そこに向かって進軍する無数の機械兵士たちが映っていたのだから。

 

「あれだけの巨大かつ大量の木々。特殊な要因が無ければ維持することなど不可能。調査の結果、その要因が大森林地下の希少物質であると判明した。加え、それを用いれば特殊装甲『W・R・A』が製造できる。この都市は再び世界を渡る事が可能となるのだ」

「その為にエルフを滅ぼすと仰るのですか! 何の罪もない者達を……!」

 

 普段は冷静なリエスが感情を剥き出しにして抗弁する。

 詳しい事情は分からないけど、母親の故郷にずっとずっと強い想いを抱いていたのだろう。

 たとえ、彼らから拒絶されたとしても。リエスにとっては特別な地なのだ。

 

「エルフを滅ぼす? 否。我らが滅ぼすのは大森林のみ。エルフは全てミカニアで受け入れ、共に新たな世界へ飛び立つ計画だ」

「エルフも一緒にっスか?」

「うむ。そう何度も伝えたのだが、彼らは「変化など不要」「大森林の破壊など認めない」「森と共に生きる」「森が滅びるならば共に死ぬだけ」等と理解不能の戯言を繰り返すだけで議論にすらならぬ」

 

 機械都市は大森林に何度もメッセージを送っていたらしい。しかし、リエスを冷たく突き返したように、この申し出をエルフたちは一切取り合わなかった。

 パハルが知らないのは、彼女が森を出た後の話だからか。或いは、混乱を避けるために長老クラスだけが対応していたのか。……パハルの場合、単純に忘れていたとか興味が無かった説も頷けてしまうが。

 

「ならば、強制的にでも変化を与えるしかあるまい。不変に拘る愚か者共も、目前に危機が迫れば考え方を変えるだろうよ」

「貴女は……!」

「問答は既に意味を有さぬ。既に結論は出た故に、な。さらばだ、救世の旅人たちよ。……ルネ君、ティエラ君、リエス君。為す術が無くなった時、この都市へ再び来ると良い。新たな世界へ連れて行くと約束しよう」

「待って……! まだ話が……!」

 

 そうして。足元が紅く光り輝き。全身が光に包まれて。

 

 

◇◇◇

 

 

「ここは……ミカニアの外……?」

『推測。強制的に転移させられた模様。会話をしている間に、準備を進めていた可能性が高い』

「完全に向こうの手の平の上で転がされた訳でござるな……」

 

 気付けば。オレたちはミカニアの外に放り出されていた。

 こうして。

 事態は混沌に突き進んでいく。

 

 

 

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