褒められると舞い上がる単純人間なので、感想とか頂けると更新が早くなります(露骨に感想を求める乞食スタイル)。
とりあえず、記憶は思い返し終わった。
うん、色々やらかしてたわ。
まぁ、致命的なやらかしは確認した限り無くて、数こそあったけど小さなものばかりだったし。一応人間や亜人とかは誰も殺してない(最高でも半殺し)だったし、問題ない。問題ないったら問題ない。
どうも、自我が確立される前、ただの意思持たぬ概念としてかなり暴れてしまったらしい。
概念精霊『ティエラ・アス』とは、要するに「主人公クン異世界拉致事件絶対許さないウーマン」である。
主人公クンの周りの人間たちの想いである「必ず主人公クンを連れ帰る」と、地球の意思である「正しい輪廻に呼び戻す」が同一の目的のために協力し合っている結果が『ティエラ・アス』なのだ。そんな概念が自身を抑制する自我のカケラも無く野に放たれた。それこそが数々のやらかしの原因だったというわけだ。
未だこの世界のどこにもいない主人公を求めて彷徨い続け、方々に迷惑をかけまくったようである。
途中で自我のない美少女型精霊ということで何やかんやして手籠めにしようとしたクズ男がいて本能のまま半殺しにしてしまったが、それ以外で人の命を脅かしてはいない。というか、この世界では一般人もそこそこ強いので、逃げる程度はできるのだ。ので、何も問題ない!多分!
…一応、主人公クン達とのファーストエンカウント用に設定段階で作成しておいたアレを身に纏うとしよう。
テーレッテレー!『日食黒衣』~!
これは、全身を覆える漆黒の衣であり、これを身に纏えば自身の正体を隠すことが出来る。オレの素顔を知っている人(例えば冒険王)がこの状態のオレを見ても、かつて出会った精霊とは結び付かなくなる優れもの。さらには、種族も「人間」として周囲に認識されるようになるのだ!エヘン、凄いだろ!
何故こんなものを用意したかと言うと、主人公クンと合流しても暫くは正体不明ミステリアスキャラとして行動する予定だからだ。正体不明の美少女の正体や目的について、考察班たちに頑張っていただいてオレという存在を印象付ける作戦である。
さて、とりあえず。正体を隠す目途も立ったところで。
戦闘訓練やな。これっきゃない。
ふむ。近くに川があったな。川辺なら疲れて直ぐに水分補給できるし、汗も直ぐ流せる。あそこで訓練しよう。
◇◇◇
ソシャゲのユーザーの多くがキャラに何を求めるか?それはやはり強さであろう。高い性能を持ったキャラ、特に人権とまで呼ばれる存在ともなれば人々は大金を払ってでも手に入れようとするのだ。
だが、オレは流石に自力で人権にまで至るのは不可能。いくら地球様の助力を得ているとはいえ、元々の魂の規格が小さすぎる。燃料タンクがどれだけ巨大だろうと、出力がゴミならスタミナのあるゴミでしかない。
そこでオレは発想を転換した。即ち、高レア高性能の高嶺の花を目指すのではなく、誰もが手を届かせられる低レア良性能の路傍の花路線で行こうと。
パーティにコスト上限もあるので、低レアの活躍の場もあるのが『War Fairy』でもあるのだから、尚更である。
とはいえ、残念ながらオレはソシャゲ運営さんがオレをどんなレアリティにするかを知ることは出来ない。なので、誰もが入手できるストーリー加入キャラクターの枠を狙っていくことにしたのである。
具体的な方法としては、原作知識を利用してストーリー上重要なキャラっぽいムーブを重ねていくことで、次第に本編ストーリーになくてはならないキャラということにしてしまう。これによって自身をストーリー加入キャラにしてしまうという完璧な作戦である。
そして、そんな誰もが自動的に入手する低レア低コストキャラクターが運用次第によっては優秀な役割を果たすとしたら?必ずや、人気は鰻登りとなり、それを見て取った運営さんは期間限定ガチャ産のオレ(水着)とかを実装するだろう。
今更だけど、自分の水着姿が世界中(『War Fairy』は海外版もある)に公開されるとか恥ずかしすぎて死ねるわ。一応、どこに出しても恥ずかしくない抜群のプロポーションではあるけれど…。ええい、覚悟を決めろ、オレ!ちょっと露出して金を巻き上げるだけだ!
とにもかくにも。そんなことを重ねていけばいつかは人権クラスのオレが実装され、人気投票ランキング1位となるのである。ふっ、やはり完璧すぎる作戦だ。ティエラちゃん天才過ぎてヤバイわ。
さらにさらに!オレはティエラ・アスというキャラクターを設定するにあたってゲーム性能を考慮に入れた最高の戦闘スタイルを確立したのである。
そもそも、『War Fairy』のキャラクターは、戦闘適性(或いは単に適性)と呼ばれるものをそれぞれ有している。これは近攻・遠攻・防・術・癒の5つに分けられ、どのユニットもこのうちの何れか1つが適性として設定されているのだ。
ティエラ・アスの適性は「癒」。即ち、ヒーラーである。『War Fairy』ではそもそもヒーラーが少ない。人権と呼ばれる期間限定高レアキャラ数名がぶっ壊れた回復性能を有しているが、当たり前だが入手は容易ではない。低レアで終盤まで活躍するヒーラーなんてものがいたら絶対に人気出る。
そのためにも設定を弄って「単体回復」よりも重宝される「全体回復」にしたし、ついでに他の全体回復ヒーラーや人権ヒーラーキャラとの差別化を図るために、「プレイヤー回復特化」という個性を設定したのである。
『War Fairy』では、ガチャで入手したユニットと並んでプレイヤー自身も戦闘に参加する。ユニットはいくら倒されても問題ないが、プレイヤーのHPが0になればゲームオーバーでクエスト失敗になるのだ。
故に、基本的にプレイヤーを後方に置き、パーティに1体は戦闘適正:防(通称ガーディアン)のキャラを配置しておく必要がある。とはいえ、プレイヤーは他キャラクターと比べるとステータスが低いので、ガーディアンがいてもプレイヤーが倒されることは珍しくない。
そんな『War Fairy』の環境において、オレは「プレイヤー絶対守るウーマン」として自分の立場を確立するつもりなのだ!多分設定から考えるに、「プレイヤー単独回復+全体回復」みたいな性能になると思うので、唯一無二のヒーラーとして重宝されるだろう。
さらに、キャラ属性を「無属性」にしたのもちゃんとした狙いがある。このキャラ属性とは「火・水・木・土・光・闇・無」の7つの属性のことだ。各キャラクターはこの中から最低一種類の属性を割り振られている*1。
そこで私はあえての「無属性」。無属性は他のどんな属性とも有利不利関係がない属性なのだが、これがヒーラーだと非常に強い。ヒーラーは基本防御性能がゴミなので、敵の全体攻撃や狙い撃ちであっさり倒されたりするが、無属性なら弱点属性がないので、耐えてくれる可能性が高いのだ。ついでに、回復攻撃そのものにも属性相性は有効なため、いかなる属性相性にも左右されない無属性全体回復ヒーラーというのは有用なのである。特に未だ手持ちキャラが揃っていない序盤では必ず役に立つだろう。
駆け出しのころに美少女精霊ティエラちゃんにお世話になったユーザーはオレの虜になって、やがては水着実装の要望をアンケートに書き込んだりするようになるはずだ。
ユーザーに媚びていく要素はまだあるぞ。
ティエラちゃんの基本武器は双剣だ。そして、この双剣というのが中々優秀な武器なのだ。低レアヒーラーであるので、敵への攻撃の際に必要となる攻撃値(STR)はゴミになるだろう。しかし、双剣であれば話は別だ。双剣は攻撃威力が低下する代わりに、通常の武器と比べてヒット数が最低でも2倍になる。加えて、連撃率という計算が行われてその攻撃回数は益々増加するのだ。そして、攻撃回数が多いと攻撃が「クリティカル」になる可能性も高まるのだが、このクリティカルダメージであればSTRが低くても相手に大ダメージを与えることが可能なのである。加えて、連続攻撃+クリティカルラッシュは奥義やスキル発動の回転率を向上させるので、回復奥義連発なんてことも可能となるだろう。
とまあ、このように。ゲームシステムを考慮に入れて全力でユーザーに媚びを売りにいった結果誕生したのが、全体ヒーラー型双剣美少女精霊ティエラ・アスなのである!
…とはいえ、未だに戦闘技能はゴミであり、猪だって簡単な基礎魔術のゴリ押しで倒したに過ぎない。「俺」としても「私」としても使ったことのない双剣を、しっかり使えるようにならなければならないのだ!
とりあえず、素振りでもすればいいんだろうか?
構え…。よくわからんから、某紅い錬鉄の守護者様の構えを参考にさせて頂こう。
それで、振りかぶって……。
「エイっ!…あっ!!」
あぁ!朱色の剣「葬送」が腕からすっぽ抜けて川に落ちた!やっべ!結構急流なんだけど!
なんでこんな危険な所で訓練始めたんだ、オレは!疲れても水飲めるやった~とか考えてた少し前の自分を殴りたい!!
◇◇◇
そのあと、剣は無事に回収することが出来たが、途中で川から飛び出してきた不気味な巨大魚と戦闘になり、危うく死にかけた。通常エネミーに分類される1種のはずだが、慣れない水中・水上での戦いとあって超苦戦したのだ。
まぁ、戦闘経験は積めたし、今日の夕食も手に入ったし。悪くない結果と言えるだろう。
とりあえず、この魚はちゃんと料理することにしよう。
その日の夕飯は巨大魚の活造りとなった。尚、魚を捌く技術なんかないので、スプラッタ解体の後になんとなく形を元に戻しただけの、全ての和食料理人に喧嘩を売るなんちゃって活造りである。
火を起こそうとしたが、魔術の加減が出来ずに山火事一歩手前までいったので仕方が無かったのだ。ヤバいな…確実にメシマズ街道を驀進してる気がする…。
「ティエラ・アス」専用防具
『日食黒衣』 SR(ストーリー入手)
効果:HP+1000/VIT+30、「精霊」の装備時スキルゲージ上昇量UP(極小)
説明:ある者が自らの種族を隠すために着ている黒衣。
【こぼれ話】
主人公は水着にばかり焦点を当てているが、実は他のスタイルもある。そして、その中にはウェディングなるものが存在していたりするのだが…。
時間軸としては主人公が転移した直後に実装される予定なので、彼(彼女)はまだそれを知らない。