ソシャゲで人気投票1位にならないと帰れない!   作:夢泉

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覚えてくださっている方がいらっしゃるかは分かりませんが。
4月22日アースデイ、地球の日。更新を再開します。



31話 朧気で不確かな其を、原風景とヒトは呼ぶ。

 

 

◆◆◆

 

 

 こうして“機械都市の為に”戦っている我だが、実のところ愛国心……この場合は愛都心か? いずれにせよ、そういう類の感情は欠片も有していない。故郷を想って流す涙も、高鳴る鼓動もありはしない。

 そも、我は試験管から産まれた。

 別に特別なことではない。機械都市では当然のことだ。

 データベースにアクセスすれば我の材料となった遺伝情報を閲覧することは可能だろう。だが、その行為に意味など存在しない。己のルーツなど振り返る時間があれば、切り拓く未来について思考を巡らせた方が億倍マシ。比べるのも烏滸がましいことと断言できる。

 我はそういう「世界」で産まれ、そういう「価値観」を是としてきた。

 過去よりも今を。今よりも未来を。革新こそが機械都市の絶対原則。

 だが。

 何故だ。

 ――何故、産まれて初めてモノを造った記憶が巡る。

 ――何故、何を造ったのか思い出せない。

 ――何故、思い出せないことに胸が痛む。

 データベースに検索をかけても該当はない。当然だ。幼少期に造ったソレは、間違いなくガラクタだった。正式に発表もしていない。そのようなデータを機械都市が残しているはずもない。

 ガラクタの記録――ならば必要が無い。

 失われた過去の記憶――そこに革新など無い。

 しかし、何故なのだろうか。

 何故、当時は確かに感じていたはずの――

 

 ――あの幼い胸の高鳴りを「愛おしい」と、そう思ってしまうのだろうか。

 

 

◆◆◆

 

 

「――パドロン・ザルフェダール。とても有意義な議論の時間だった。先ずは称賛と感謝を送らせて欲しい」

 

 面白い男だ。他者の意見を聞いて胸がザワついたのは久方ぶりである。

 否。彼だけではない。

 思えば、大森林と戦い始めてからイレギュラーばかりが起きている。我の計算が狂わされてばかり。“救世”を掲げて旅を続ける彼ら――キズナ・ハルカワを中心とした者たちの価値評価を一段階上昇させねばなるまい。

 

「認めよう。我らの掲げる革新とは別の“未知”が君たちにはある」

『…! じゃあ侵攻を…』

「故にこそ!」

 

 “大森林への侵攻を止めてくれるのか”と言おうとした、キズナ・ハルカワの言葉を強引に遮る。――あぁ、声を荒げるという行為も久しぶりだ。不思議な高揚が全身を包んでゆくのを知覚する。

 胸が、高鳴る。昔日の鼓動がリフレインする。

 認めよう。認めようとも。

 我は、諸君らが紡ぐ“未知”に心惹かれている。これは“興味”ではなく…………そう、“期待”だ。

 一度は“無し”と結論付け、切り捨てた可能性を再検証したい。そんな知的好奇心とは別に、彼らが我らの革新を超えていくことを期待してしまっている。

 本当に馬鹿げた話だ。

 その先にあるのは計算上、絶対に不可能な『道』であると知りながら。機械都市だけでカオスから脱出する……この確実な解を、彼らの『未知』が打ち砕く未来を見てみたくなってしまった。

 故に――

 

「ここからは単純明快な算数だ」

 

 故に――

 

「さぁ、検証しよう。諸君らの“未知”と、我らの“革新”。どちらに天秤が傾くのかを」

 

 モニターにコードを打ち込んでいく。

 この機械都市の全てを注ぎ込む、最終プログラムを起動させるコードを。

 

「――都市長リミエント・コーナストーンが命ずる。起動せよ、機動都市ミカニア」

 

 

 

◇◇◇

 

 

「あれはまさか…!」

 

 遠方に丸ごと巨大ロボットへと変形していく、機械都市を認識しながら。

 それが何かを知っているくせに「まさか」だの、全く心配していないくせに切なげな声音でプレイヤーの名前を読んだり。そんな小芝居を挟みながら走るオレの内心で、『 (オレ)』が疑問を呈した。

 

 ――何故どいつもこいつも変形中に攻撃しない? 簡単に打ち倒せるだろうに。

 ――うわぁ、お星さまマジKY。それ絶対やっちゃダメなやつ。

 

 今回ばかりは、ポンコツ精霊に完全同意。

 

 

 

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