ソシャゲで人気投票1位にならないと帰れない!   作:夢泉

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37話 エピローグみたいな? 多分そんな感じです。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 大森林と機械都市。

 相反する世界の狭間で起きた一連の騒動は、ようやく一先ずの終わりを迎えた。

 大森林は世界樹を竜の材料として使ってしまったけれど、それはあくまでも力を借りていただけ。術の効果が切れれば世界樹は元通りになるだろう――とは、ティエラさんの説得で力を貸してくれていたらしいウィンターさんの言葉だ。

 なお、エルフの秘宝はサーカスさんによって持ち逃げされてしまった。そのため、パハルさんの兄であるヴァルトさんは、このままサーカスさんを追って旅に出るそうだ。

 ……とは言え。大森林のエルフたちは、長老も含めて以前のように「掟」に執着はしていない。

 そもそも、トップである長老自らが、信仰の象徴である世界樹を武器にして、禁じられた森の外へ飛び出したのだ。今さら掟云々で縛り付けるのは道理が通らない。

 さらに、秘宝についても、授けたウィンターさん自らが固執する必要は無いのだと言ったので、追い求める必要性もなくなった。

 それでも尚、追いかけて取り返そうとするのは、ヴァルトさんの意地なのだろうか……と思ったけれど、どうやら違うらしい。彼曰く「旅もそう悪くない。たまに面白い出逢いもあるからな」とのこと。何のことは無く、使命の旅を続ける中で旅そのものを楽しみ始めていただけだったようだ。

 だから、これからも彼は旅を続ける。今までと少しだけ違うのは、帰る場所があるということ。そして、「ウチも兄ちゃんと一緒に行くっすよ!」と笑うパハルさんとの二人旅になること。帰る場所のない孤独の旅は終わり、新しい旅を始めるのだろう。

 そんな彼らを「一緒に行かないか」と誘ったけれど、断られてしまった。

 離れていた時間の分、暫くは兄妹二人で旅を続けたいそうだ。ただ、「縁あって、どこかで巡り逢った時には。その時には、俺たちの方から合流を願い出たい」とも言ってくれた。未来のことは分からないし、この広い世界で再び巡り逢えるかどうかは分からない。それでも、その“いつか”を想いながら僕らは進んで行く。――それはきっと、計算では測れない“未知”の面白さの一端なのかもしれなかった。

 一方、戦いでボロボロになった機械都市だったけれど、こちらも都市長であるリミエントさん曰く「復旧だけならば3日で可能」とのこと。なんでも、緊急時にはパーツごとに分離するよう造られていたらしく、それを組み立てるだけで良いらしい。

 ただ、それでは科学者たちの気が収まらないということで、この機会に尚一層の戦力・利便性の向上を試みるとのことだ。そして、それを含めても1週間あれば機械都市は蘇るらしく、機械都市の技術力は本当に凄いんだなと驚かされた。僕たち、本当に良く勝てたな……。

 いや、勝てたのとは少し違う。リミエントさんが僕らの「可能性」に賭けてくれただけのこと。真正面から本気で戦えば、物量的にも質量的にも、勝負にすらならなかった。

 そうだ。僕らは託されたのだ。機械都市のヒトたちは、「自分たちだけは確実に助かる方法」を放棄して、僕らが目指す「みんなが助かる方法」に賭けてくれた。それを忘れてはならない。

 ……振り返れば。僕は多くのものを託されている。

 そう。あの戦いの最後の時も――

 

 

◆◆◆

 

 

「――キズナ。ティエラを託す。掴んだ手は離さぬようにな」

 

 

◆◆◆

 

 

 あれはいったい、誰だったのだろうか。

 ティエラさんの姿で、ティエラさんの声で、でも全く異なる誰か。

 “彼女”は、会話をするのは二度目だと言っていたけれど、最初に出逢ったのはいつだったのか。欠けた記憶の向こう側で、僕が出会っていた誰かだったのか。そうだとして、僕にとっての“彼女”は、“彼女”にとっての僕はどのような存在だったのか。

 “彼女”は、あの後どうなってしまったのか――本当に消えてしまったのか。

 分からないことだらけだ。

 だけど、1つだけ。“彼女”がティエラさんを大切に思っていたことは、あの短い邂逅でも伝わって来た。

 そして、そんな“彼女”が僕に、僕らに「ティエラ・アスを託す」と言った。その信頼が、決して軽いものじゃないことくらいは分かる。

 だからこそ。ティエラさんから話を聞かなければならない。

 彼女の過去について。僕との関係について。大剣で凄まじい一撃を放った“彼女”について。

 彼女が話したがらないのなら――と、ずっと見て見ぬふりをしてきた。

 でも。それでは駄目だ。

 どれだけ重いものであろうとも。彼女の背負うモノを、僕らが一緒に支えていく。それが仲間だと思うから。

 だから、思い切ってティエラさんに尋ねてみたのだ。

 けれど――

 

「いや、その……。あれはですね? えっと、火事場の馬鹿力というか、何というかですね? 秘められた力が呼び覚まされたみたいな? 降りてきたというか、ゾーンに入った……みたいな? その……なんか、その、はい。多分そんな感じです」

 

 返って来たのは、彼女らしくない、しどろもどろな受け答え。

 ……有耶無耶にして誤魔化そうとしている。そんな風に感じた。

 そう来るならば、こちらにも考えがある。

 僕は、彼女を責めず、しかし身を引くこともしなかった。

 じっと――ただ静かに、彼女を見つめるだけ。

 

「……男子三日会わざれば、ですね。今回の戦いでキズナ君は随分と力強く、男らしくなったように思います。別行動していた時間はほんの少しなのに……男の子ですね、やっぱり。その成長を嬉しく思うと同時、なんだかちょっと寂しいです」

 

 数秒の沈黙の後、どこか観念したように、あるいは何かを恥じ入る様にして、彼女は口を開いた。

 

「……キズナ君。結論から言います。オレの全てをキズナ君に明かすことは出来ません」

「それは、どうして?」

「一つ白状しましょう。オレにとっては、ワールドイーターへの対処は最優先事項ではありません。オレには、オレの目的が……為さなければならない使命があります。その使命を果たすためならば……たとえ、この世界が滅ぼうとも構わない」

「え?」

「……なんて。あくまでも仮定の話です。でも、決して冗談ではありません。オレはキズナ君たちとは見ている方向が違うんです。卑怯な女なんですよ、オレは」

「そんなこと……」

 

 そんなことはない――。自分を卑下する彼女を否定しようとして、一瞬言葉に詰まる。

 “使命”があるのだと、そう語った彼女の蒼の瞳は真剣だった。宿るのは、気迫。命すら擲ってでも構わないという本気の色。

 いつもの慈愛ではなく、初めて見た彼女の側面。それを否定するには、僕はあまりに彼女を知らな過ぎる。

 

「良いですか、キズナ君。いつかオレの全てを話せる時が来るかもしれない。けど、それは今ではありません」

 

 ティエラさんの声音、眼差し、空気――全てが「これで話は終わり」だと物語っている。

 それを正確に理解しながら、それでも僕は言葉を紡いだ。

 

「最後に1つ、聞かせてほしい。――“彼女”は後悔してなかった?」

「――。えぇ、きっと。何も思い残すことなく旅立ちましたよ」

 

 胸に手を置く彼女の顔は安らかで、その言葉が嘘ではないのだと、そう思った。

 そして――――

 

 

◆◆◆

 

 

 ドタドタドタと足音が聞こえる。

 その、僕とティエラさんの耳を揺らす音は、新たな狂騒のプロローグに他ならなかった。

 

 

◆◆◆

 

 

「ティエラさん! 伏して頼む! この俺に究極のラーメンを伝授してくれ!!」

「え? パドロン何て? 今そういう空気じゃなくない?」

「ラーメンの道は麺のように長く、スープのコクのように奥深い。――オレの修行は厳しいですよ?」

「ティエラさん!?」

 

 

◆◆◆

 

 

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最終更新:2018年9月1日

 

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