『母さんも父さんも何処にもいない...』
時刻は午後5:30。小学生になったばかりの少年、三雲修は両親を捜し歩いていた。修は今日、両親と共に隣町である三門市へ買い物に来ていた。初めて訪れる街に興味津々だった修は、大好きな橋を見て回ろうとつい、両親の元を離れて迷子になってしまったのだ。
『折角父さんが帰ってきてるのに...』
そう、今日は仕事でほとんど家を空けている修の父が久しぶりに帰って来ていた。父の仕事は橋造り。海外へ出張することも多く、会えない日が続くこともあるが、修は父とその仕事ぶりを尊敬していた。
『どうしよう...道も分からないし...取り敢えず、交番を探しt...?なんだ?この感覚...何か、近づいて来てる...?』
修は昔からどこか気配に鋭いきらいがあった。物や人に全くぶつからず、死角や壁の向こうからくる物に視認する前から反応するのだ。しかし、今修が感じているものは過去に感じたことのない異様な気配だった。明らかに自身へと向けられた鋭い刺すような気配。冷や汗が吹き出し、本能が危険だと告げている。直ぐにでもこの場を離れようとした瞬間、目の前に真っ黒い穴が広がり、そこから異形の怪物が姿を現した。
『ㇶッ...!』
気付けば修は走り出していた。『なんだあれ!?恐い、恐い...!!』必死に逃げるが怪物との距離は開かず、どころか次第に近づいてきている。近くに大人がいれば助けを求めることも出来ただろうが、運悪く周囲に人の気配はなく、隠れられそうな場所もない。
(ㇵッ..ㇵッ..!!しまった、行き止まり...!!)
慣れない土地ということもあり、人気のない空き地でとうとう追い詰められてしまった。恐怖で動けない修に異形の怪物が近づいていく。誰か、助けて!!父さん!!そう心の中で叫んだ瞬間、目の前の異形が真っ二つに割れた。立て続けに起きた非日常に頭が追いつかないなか、修は自身がよく知る暖かい気配が近くにいることに気づく。気配の方へ目を向ければ大好きな父が見たことのない服を着て、剣のようなものを持って異形の上に立っていた。
『まったく。父さんと母さんから離れるなっていったじゃないか。暫く会わないうちに随分やんちゃ坊主になったなぁ』
『父さん..?』
優しい父親の声を聞き、安堵から緊張の糸が切れた修の意識は遠のいていく。
(あのお化けはなんなんだ?父さんがやっつけてくれたのかな?)
倒れそうになった修を支えようと慌てて駆け寄ってきた父に抱き留められたところで、修は意識を手放した。
はい、修が初めてトリオン兵と出会う話でした。バレバレな書き方ですが、修はサイドエフェクト持ちです。修のお父さんは旧ボーダー所属です。香澄さんは所属してませんが、活動内容はおおよそ説明されているとう設定です。見切り発車ですの続くかどうか...