今回は原作でも登場する旧ボーダー所属キャラがほぼ勢揃いです。
説明を受けた翌日、修は昴に連れられてボーダーへとやって来た。
「さ、着いたぞ修。ここがボーダーだ」
昴に促されるまま外からは普通のビルにしか見えない建物へと入っていく。建物の中は外からみた印象と然程差は見受けられず、昴の話からテレビで見るようなヒーローの秘密基地を想像していた修は、なんだか拍子抜けした。
「なんだ、もっとかっこいいの期待してたのか?」
「...」
顔にでていたのか図星を突かれ修が言葉に詰まっていると、部屋の奥にある扉から誰かが入ってきた。
「お、やっと来たか。おはよう昴。」
「おう、おはよう政宗。まだお前だけか?宗一は?」
「もう来てるぞ。それと匠と真史、悠一と桐絵ちゃん、ゆりちゃんだ。ただ待ってるのも退屈だからって奥で訓練してるよ」
「ったく皆相変わらずだな..」
「ハハハ。と、昴もしかしてその子が..」
「ああ、俺の息子だ」
「は、初めまして。三雲修です。いつも父がお世話になっております。」
「これはどうもご丁寧に。初めまして、修君。私は城戸政宗という。よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「しっかりしたいい子だな。何歳なんだい?」
「6歳です。今年から小学生になります。」
「6歳?驚いたな..お母さんの教育賜物かな?誰かさんとは大違いだ」
「おい、誰のこと言ってるんだ?政宗」
「さあ?誰のことだろうな」
さっきまで仲良さそうにしていた2人が急に睨み合いだしたことで、修は混乱する。2人の気配は先ほどまでとあまり変わらず、どちらも怒っているようには思えない。むしろとても楽しそうにしているのだ。どうしようかと修が身構えていると..
「...ㇰッ」
「ㇵㇵッ」
突然2人が吹き出した。状況が掴めずポカンとしている修に昴が口を開いた。
「悪いな修。こいつとはいつもこうなんだ。喧嘩してるわけじゃない」
「ああ、すまない修君。心配させてしまったかな?」
「い、いえ。大丈夫です。」
「そうか。よかった..と、無駄話しているのはもったいないな。昴、今日は修君のトリオン能力を見るんだったな」
「ああ」
「準備は出来てる。2人ともついてきてくれ」
こっちだ。そういって歩き出した政宗に2人も続く。最初に政宗が出てきた扉を通って奥へと進んでいった。暫くして政宗が扉の前で立ち止まる。
「この部屋でトリオンを測るんだ。さ、修君。中へ」
政宗に言われるまま部屋へと入った修は目の前に広がる光景に言葉を無くした。部屋の中は先ほどまでと違い真っ白な壁で覆われており、よく見るとその壁は薄緑色に光っていて、照明は見当たらない。部屋の中央には機械が繋がった椅子が置かれ、壁際にパソコンのようなものが置かれていた。
「ハハハ驚きすぎて声がでないか?」
「父さん、この部屋って..」
「ここは昨日説明したトリオンを測るための部屋だ。あの椅子に座るとトリオンを測ることが出来る。」
「じゃあ修君。早速トリオンを測ってみようか。あの椅子に座ってくれるかい」
政宗の言葉に頷いて修はゆっくりと椅子に腰を下ろした。見た目通りクッションは付いていないらしく、椅子の表面は固い。初めての体験になんだか落ち着かず、ソワソワとする修へ、政宗は「大丈夫。直ぐに終わるからね」と笑いかけ、壁際のパソコンを操作し始めた。数分後、「よし、スキャン完了だ。終わったよ、修君」と政宗に言われ、修は椅子から立ち上がった。
「どうだ政宗。結果は」
「スキャンは完了したがまだ計測が済んでいない。おそらく相当なトリオン量なのだろう。」
「やっぱりか..どれくらいかかりそうだ?」
「時間がかかるといってもそこまでじゃない。もうそろそろ..よし、出たぞ。修君のトリオン量は..2、29!?」
「んなっ、まじか!?」
「ああ。ほら見てみろ」
「..おいおい」
昴と政宗の様子に修は首を傾げる。政宗が29、と言っていたから、それが自分のトリオンの量なのだろう。2人とも随分驚いているが、もしかしてそこまで凄くなかったのだろうか。期待を裏切ってしまったのかとだんだん不安になってきた修に、勢い良く振り向いた昴が抱き着いてきた。
「凄いぞ修!!トリオン量29だなんて、向こうでも聞いたことない数値だ!!流石は香澄と俺の子だな!!」
「本当に驚かされたよ..この数値ならトリオン兵に狙われたというのも納得がいく」
「そ、そんなにすごいの?」
「すごいなんてもんじゃない。とんでもない才能だ。ボーダーで一番トリオンが多いやつでも10なんだぞ?修は29、その3倍近くもあるんだ」
「小学生に3倍といっても伝わらないだろう」
「あ、そうか。興奮してつい..」
「ㇵァ..で?トリガーは使わせるのか?」
「ああ。修、次はトリガーを使ってみよう。そうだな..トリオンの大きさが分かりやすいし、射撃トリガーからいってみるか」
あいつらも驚くぞ~とテンションの高い昴に手を引かれて、修は部屋を後にする。次に入った部屋は先ほどと同じような白い部屋。違うのは部屋の奥に扉が2つあることと、大きなテレビのようなものがついていることだろうか。それからここは部屋の中央にパソコンが置かれていて、修よりは少し年上に見える少女が操作している。テレビには街が映っており、中では一昨日見た昴と同じような服を着た人達が、剣で切り合っているところだった。
「お、昴さん。いらっしゃい」 「昴さん!おはようございます!」
「よう匠、真史。今誰が入ってる?」
「桐絵と迅と最上さん。最上さんが1人で2人相手に稽古中です」
「ほほう..んーまだ2人とも強くはなってるが、宗一に勝つにはまだまだかかりそうだな」
「ですね。ま、俺は直ぐにでも昴さんを追い越しますけど」
「ゆうじゃないか匠。試してみるか?」
「いいですね。こいつらが終わったらやりましょうや」
「おい、ずるいぞ林藤!昴さん。俺とも手合わせお願いします!」
「ああ、いいぞ」
「ありがとうございます!..あの、昴さん。ところでその子は..?」
「おおそうだった。ほら、自己紹介」
「初めまして。三雲修です。6歳です。今年から小学生になります。よろしくお願いします」
「おー君が噂の。俺は林藤匠。昴さん..君のお父さんの弟子をやらせてもらってる。これからよろしく」
「俺は忍田真史。よろしくな、修君。それにしても小学生1年生とは思えないくらいしっかりしてるな。流石昴さんの息子さんだ」
「本当にな」
「えっと、ありがとうございます」
「それで昴さん。修君のトリオン量は測ったんですよね?どれくらいだったんですか?」
「内緒だ」
「え~?ケチだなぁ。いいじゃないすか、教えてくださいよ」
「修にはこれからトリガーを使ってもらうからそん時教えるよ」
「へぇ..てことは相当なトリオン量ってことです?」
「さあ?どうかな..と、終わったみたいだな」
昴の言葉に目線をテレビへ向けると先ほどまで映っていた映像が消えていた。すると部屋の奥にあった扉が開き、中から修よりは年上であろう少年と同い年くらいの少女が姿を現した。
「ウガーーーーーー-ッ!!!!また負けたァーーーーー!!!!」
「クッソぉ、あとちょっとなんだけどなぁ」
「てゆーか迅!何なのよあの動き!あんたが割り込んできたせいで折角のチャンスが潰れたんだけど!?」
「いやいや、あれは俺ナイス判断だったって。あそこで割り込んでなきゃ小南切られてたよ?俺のサイドエフェクトがそういってた」
「ヌグッ..」
「そもそも小南は動きが雑過ぎるんだよ。もう少し考えて動いてくんない?やりづらいったらありゃしない」
「なんですってェ!!」
いきなり言い争いを始めた2人を見て、修は完全に固まってしまった。
(何なんだこの人達..)
どう見ても2人ともまだ子供だが会話を聞いていると随分と物騒な内容だ。やれ切られただの切っただの撃たれただの..とてもじゃないが子供がするような話ではない。
「あらあら、また喧嘩してるのね」
「全く、まだまだ子供だな」
先ほどまでパソコンを操作していた少女ともう1つの扉から出てきた男が修たちの方へ近づいてきた。
「初めまして。俺は最上宗一。君が修君、かな?」
「はい。初めまして。三雲修、6歳です」
「ハハ、しっかりした子だ。あいつらとは大違い」
「本当ですね。あ、私は林藤ゆり、15歳。そこにいる林藤匠の姪よ。ゆりお姉ちゃんって呼んで。よろしくね修君」
「よろしくお願いします」
宗一とゆりとの会話が終わったところで先ほどまで言い争いをしていた2人がようやくこちらに気づき、声をかけて来た。
「あれ、あんたもしかして昴さんの?」
「は、はい。初めまして。三雲修、6歳です」
「ふーん。修ね。私は小南桐絵、8歳よ。よろしく」
「やあやあどうも修君。俺は迅悠一、10歳だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「..なんか、昴さんの息子にしては弱そうね。なよなよしてるし」
「こら小南。失礼だろ」
「何よ、迅だってそう思ってんでしょ?」
「戦ったこともないのに分かんないでしょ、そんなの。もしかしたら小南より強いかもよ?」
「ハァ!?私が年下に負けるって言いたいわけ!?」
「かもっていってんじゃん。可能性の話だって」
(..すごく、賑やかな人達だな..それにしても、ここにいる人達..皆すごく強い)
一昨日の一件から以前にも増して気配を読み取る力が増した修は今この場にいる人々が、父・昴を含め全員とてつもない強者であると感じていた。自分と2つしか違わないはずの目の前の少女はこの中ではまだまだでも、先ほど話かけられたとき凄まじいプレッシャーを感じてた。その隣の4つ上の少年は、プレッシャーこそ少ないものの、一目で強者と分かる気配が漏れ出している。
(僕..本当にここでやっていけるのかな..)
あまりの強者達との対面に不安になっていると、昴が不意に手を打ち鳴らして注目を集める。
「悠一、桐絵、そこまで。喧嘩は後でな。悪いけど、今日の主役は修だ」
「..はーい」
「すいません、昴さん」
「ん、いいよ。さてと。修、早速だがトリガーを使ってみよう。ゆりちゃん、仮想空間のセッティングを頼む。それから匠、お前のトリガー貸してくれ」
「わかりました」 「昴さんのじゃだめなんです?」
「俺のは今弧月が入ってるからな。出来れば射撃トリガーオンリーが望ましい。修は初めてだし」
「なるほど、了解。ほれ、修これ使いな」
「ありがとうございます。林藤さん」
「苗字だとゆりと被って分かりづらいだろ。匠でいいぞ」
「分かりました。ありがとうございます、匠さん」
「しっかりお礼もできて、素直でいい子だな」
そういって匠さんが修の頭を撫でる。両親と保育園の先生以外から頭を撫でられるのは初めてだったが、ちょっと荒っぽい撫で方が新鮮で心地良かった。すると隣からなんだか敵意を向けられていることに気付く。
(え..何だ?)
どうやら敵意の正体は桐絵らしい。頬を膨らませてこちらを睨んでいる。
(僕、何かしたかな..?)
もちろん修は何もしていない。大好きな叔父さんを取られて拗ねているだけである。
「..修、今からトリガーの練習するのよね」
「はい..」
「その練習、私が付き合ってあげる」
「え?」
「相手がいた方が感覚もつかみやすいのよ。昴さんいいでしょ?」
「そうだな。年も近いし、桐絵に頼もうか。悠一はどうだ?」
「俺は今回はいいかな」
「あの、昴さん。俺も一緒に入っていいですか?」
「分かった。なら真史に監督役を頼むか。修、それでいいか?」
「うん」
「よし、決まりだ。ゆりちゃん、準備できてる?」
「はい。いつでも」
「ん。それじゃあ修、いよいよトリガー初体験だ。早速使ってみよう。トリガーを持ったままこういうんだ..『トリガー起動』」
「..『トリガー起動』」
昴の言葉を復唱した瞬間、修はこれまで体験したことのない感覚に包まれた。身につけている服装が光と共に変化していき、トリガーを持つ手から全身へと広がっていく。初換装が済んだとき、修はその感性の鋭さから自身の肉体に起きた変化をぼんやりとだが掴んでいた。
(なんだか、自分の体なのに自分の体じゃないみたいだ..不思議な感覚だな..いつもより体が軽く感じるような..)
「よし、換装できたな。じゃあそのままあの扉に入るんだ。真史、修と一緒に入ってくれ。桐絵は反対側な」
「了解。さ、修君こっちだ」
「はーい」
昴の指示に従って絵史と共に扉の中に入る修。2人が入ったところで扉がしまり、先ほどの部屋と対照的に薄暗い部屋の中にゆりの声が響く。
「修君、聞こえてる?」
「はい、聞こえます」
「OK。じゃあそこで動かないでね。今から転送するから」
「てんそう?」
「ああ、トリオンで作った別の空間に移動するんだ。そこでなら何を壊しても問題ないからね」
「なるほど..」
「じゃあいくわよ。3..2..1..転送開始!」
次の瞬間、僕は先ほどまでいた暗い部屋から、一瞬にしてどこかの街へと放り出されていた。
城戸さんなんですが、調べてたら旧ボーダー紹介のとこで「正宗」じゃなく「政宗」で表記されてるらしいんですよ。
単行本19巻に載ってるそうでして、第6版でもそのままらしく、もし今後原作で何かしらあった時のために原作開始時点までは「政宗」にすることにしました。
誤字脱字は気軽にコメントしていただけると嬉しいです。
あと、セリフの横にキャラ名付けて無いんですけど、読みづらいですかね?ついてた方がいいという方いらっしゃいましたらコメントでお願いします。
誤字報告頂きまして、忍田さんと小南先輩の名前を修正しました。