新学期というのは暇である。授業があればゆっくりと次の時間の準備をしていたら5分の時間はすぐつぶせるし、前まではお姉ちゃんか若葉さんがいたから休み時間に話したりして暇をつぶしていたが、転校してお姉ちゃんたちがいない以上俺は目の前のくそ教師の話を聞き流しながら田舎の景色を見るしかないのである。
そうして俺が話を聞き逃しながら身体測定とかのお決まりのイベントをしていたらいつの間にか放課後になっていた。
「上里君」
ランドセルを背負って帰ろうとしたところでクソ担任からお声がかかった。見るとその教師はごみの入ったごみ袋を持っており、これから雑用を任せられるんだろうなと思った。
「なんですか?」
「帰るんだったらついでに焼却炉にこのごみ袋を捨てに行ってくれないか?場所はわかるかい?」
「いいですよ。場所もわかります」
周りにも生徒がいるのになんで俺なんだよと思いながら俺は返事をする。
そうして俺は焼却炉へ向かった。重そうに見えたゴミ袋は以外と重くなく苦ではなかった。焼却炉につくと複数の人影がありこんなところに用があるやつが俺以外にもいるんだなと思い身をちょこっと出して覗いてみた。
「淫乱なんかに服なんてものは入らないのよ!」
「そうだそうだ!さっさと燃やしちまおーぜ」
それは数人で個人をいじめている典型的ないじめだった。一つ違うことはいじめの度合いがやべーということである。そして虐められていた人物は言わずもがな昨日落ちてきた女の子だった。
気づいたときにには俺は走り出していた。そして服をはぎ取ろろうとしていた女子に向かって思いっきりごみ袋をぶつけてやった。
「なんだこいつ⁉」
急に現れた乱入者に周りが動揺している間に俺はいじめられていた女の子の手を取って走り出した。ごみ?知らねぇよ。焼却炉の前に捨てたから無問題だ。ちょうどよく焼却炉のところに裏門があったのでそこから小学校を出て逃げまわった。ちらっと後ろを見ているとゴミをぶつけなかった奴らが追いかけて来ていた。
「ごめんちょっと早くするよ」
そう女の子に声をかけてから俺は走るスピードを上げた。そして走りながら何度も曲がり角を曲がり、適当な茂みの中に隠れた。
しばらく息を殺していると追ってくるやつらの気配はなくなった。
「えっと、そのぉ...災難だったね」
かける言葉はそれぐらいしかなかった。
「このまま帰るのも危険だろうし?冷凍でよければご馳走するけど家来る?」
今日は4時間授業で給食がなくお母さんからお昼は冷凍のを食べてねと言われたことを思い返しながら言う。
「いい...私に気を使わないで...」
少女はそれだけ言って去ろうとした。しかし
グゥ~
腹が鳴る音が聞こえその行動はいったん中止された。因みに俺の音ではない。つまり...
「本当にいいの?うちの家近いよ?」
誘い方がきもい気がするがまぁいいや
「...食べたらすぐ帰るわ」
そう言って少女は近づいてきた。
帰路での出来事はなくお互い無言のまま家に着いた。
「好きにくつろいでていいよ」
俺はそう言いながら冷蔵庫をあさり、一袋で2人前の冷凍チャーハンを取り出した。そして準備を完了させてレンジにセットしたので少女を見てみると少女はテレビとその前にあるゲーム機をじっと見ていた。
「やりたいの?」
俺はソファーに座りながら言った。
「違うわ...」
「そう...」
そうして俺らは数分間黙って過ごしていた。
『ピーッ!ピーッ!』
その数分間の沈黙は電子レンジの音によって終了した。チャーハンを2つのお皿に分け、レンゲを2つ用意してテレビの前の机にもっていった。
「どうぞ」
「ありがと...」
俺らは食べている間も無言だった。でも目の前の少女はさっきまでは無表情だったが、少し柔らかい表情になっていた。その表情の変化が嬉しくて俺は少し体温が上がった。
「ご馳走様...それと...ありがとう...私は帰るわ」
「送ろうか?」
「必要ないわ」
「わかった」
俺は玄関まで見送った。
「早くお母さん帰ってこないかなー」
俺は少し柔らかくなった少女の表情を思い出しながらそうつぶやいた。
「ただいまー」
リビングでテレビを見ているとお母さんが帰ってきた。
「おかえり!突然で悪いんだけど料理を教えてくれない?」
「唐突ね。別にいいんだけどなんで料理を学びたいの?」
「えー...秘密」
なぜか少し言うことが恥ずかしいと感じてしまったため俺は理由を言わなかった。
「言わないなら教えないわよ~」
お母さんは少しからかうように言った。
「...作りたいと思う人ができたからだよ」
「ふふ...そう...先にキッチンに行ってなさいお母さんは少しやることがあるから」
そう言われたので俺は先にキッチンに向かった。
母視点
私はひなとがキッチンに向かったのを見てから電話の方に向かった。そして手慣れた手つきで電話をかけた。
『ひなと?』
電話からの一声目はそれだった。
「残念だけど違うわ」
『お母さんでしたか。用件はなんですか?ひなとはいますか?』
私とはあまり話したくないような様子だったので私は少し悲しくなった。
「今日は私が代わりに報告してあげよっと持ってね。時間がないから簡潔に言うわね。ひなとに気になる子ができたみたいよ」
それだけ言って渡井は相手の反応を待たずに電話を切った。
ひなた視点
『ひなとに気になる子ができたみたいよ』
お母さんはそれだけ言って電話を切った。私はそこからの記憶はなかった。次に記憶に残っているのは1週間後の若葉ちゃんが泣きながら「お願いだ戻ってくれ」と言ってきたところだった。お父さん曰くずっと私は植物人間みたいだったそうだ。
ひなと視点
先に行ってと言ったのにすぐにキッチンに来たお母さんに対し
「何してたの?」
と質問をした。
「あなたがひなたにしている報告をしてあげたのよ。今日からひなたが連絡をしてこない限り連絡はしないでいいわ」
「わかった。で、まずは何からやるの?」
「基礎的なことをやろうかと思うわ。包丁やそれぞれの調理器具の使い方とかね。早速だけど棚に入ってるものを取ってもらっていい?」
そうして仕事から帰ってきたいそがしいはずの母親の料理教室が始まった。ごめんよお母さんいつか親孝行する。
次の日...
(さすが田舎...情報がはえー)
そう思う俺の目の前の机には低レベルな暴言がびっしりとマイネームで書かれていた。周りをちらっと見てみるとにやにやとこちらを見ていた。
(面倒だしこのまま放置しておくか)
俺はそう思いながらランドセルを机の横にかけて読書をした。そうして適当に授業後の五分休憩や授業を適当に過ごしていると今日も短縮授業だったからかすぐに放課後になった。今日はあの少女と話すことはなく、お姉ちゃんからの連絡もなく、イベントは単純にお母さんの料理教室だけだった。
それまた次の日...
登校して自分の視点と同じぐらいのところにある下足入れに靴を入れて上履きを取ろうとしたところで俺は異変に気付いた。
(上履きがねぇ...)
概ね昨日机を汚したのに反応が薄かったから上履きを隠せばなんか反応すると思ったのだろう。
(うーんこのまま普通に上履きを探して朝の会に遅れてあいつらにいい思いをさせるのは気が引けるな...しゃーない)
普段俺はなぜ使える超能力的な何かを使わないように生活しているがそのエゴを上回るプライドが出てきたので使うことにした。目を閉じて意識を集中し、過去を振り返る。
...どうやら俺が帰った後に上履きを近くの清掃用ロッカーに入れたらしい。せっかく早く帰れるというのに...暇な奴もいるもんだ。過去を見た俺はさっそく上履きが隠されたところに向かって上履きを取り返し、すました顔で教室に向かった。
そう言えば今日から六時間授業のため給食があり、その給食の後には昼休みがあった。特に遊ぶこともないし、図書室もしょぼかったため俺は人探しをすることにした。
校内をさまようこと五分、お目当ての人物はすぐに見つかった。
「こんにちは」
「私にかかわらないで」
「あってすぐそれは少し悲しいな...」
「わからないの?私にかかわったらあなたもひどい目に合うのよ?」
「そんなことはどうでもいいよ。それよりもね!俺お母さんに料理を習い始めたんだ!まだまだうまくいかないと思うけど...これで今度は冷凍じゃなくて手づくりをごちそうできるよ!」
「あなたは馬鹿なのね...私にかかわっても...何にも帰ってこない...何なら...ひどい仕打ちが待っているはずなのに...」
「バカとは心外だなー。何なら君の勉強を教えるぐらいの頭脳だと俺は思ってるよ。まぁ一部は無理だろうけど...」
「そう...なら、これを解いて...」
そう言って少女はポケットから鉛筆とメモ紙一枚を取り出し数式を書いて渡してきた。
「これは?」
「算数の授業で出たものよ...私は馬鹿にされるために難しい問題を出されるの...」
俺ははぎ取ってきたり、突き落とすよりかはましだな...と感覚マヒを起こしていた。
そうして数式を見ていると
(四分の七+九分の十一)÷三十六分の一
と書かれていた。(ただし分数はしっかり分数)
おれは6344とメモをしてから107と答えをかいた。
「どうしてわかるの?」
「あってましたか?」
「答えは知らないわ」
「そうですか...えっと何でわかるのでしたっけ?英才教育を受けてきたからです!」
「そう...じゃあなおさら私にかかわらないほうが良いわ...輝かしい学歴に傷がつくわよ」
「別に小学生の学歴とかくそほどどうでもいいです。なので関わりますね!どのみち話す人もういないんで!」
「嫌味かしら...?」
「違いますけど、そう思ったならすいません」
そう言った瞬間昼休み終了五分前を告げるチャイムが鳴った。
「じゃ、また会おうね」
「やっぱり私はあなたと会いたくないわ...」
最後まで拒絶されながら俺は教室へと向かった。
そして授業が終わり放課後になった。さっさと帰るかと思いながら下足入れに行ったら靴がなくなっていた。おいおい懲りねぇな。俺はそんなこと尾を想いながら今朝みたく能力を使った。すると校庭の端の方に隠されているとわかった。
「どうしたの...」
「会いたくなかったんじゃないんですか?」
後ろからかけられた声に俺はそう返す。
「困っていないならいいわ...」
「あ、ちょっと待って困ってる」
自分の下足入れに向かった少女に対し俺は慌てて声をかけた。
「...どうしたの」
「靴を校庭の右手前の茂みに隠されたからとって来ていただけないでしょうか?」
「なんでそんなに詳しくわかっているのかは言及しないことにするわ...」
そう言って少女は俺の靴を取りに行ってくれた。
「はい...持ってきたわよ...だいぶ汚れてるわね」
少女は砂まみれのよく小学生男子が履いていそうな靴を俺の前に置いた。
「汚れていようが汚れていまいがそれが靴として機能するものなら今は全然いいよ。ありがと」
俺はお母さんに汚れた理由をどう説明しようかと考えながら靴を履いた。
「持ってきたお礼としてはなんだけどゲームしに家来る?それがだめなら送ってくけど」
相変わらず誘い方が気持ち悪いが無問題である。
「...ゲームってテレビでできるやつ?」
「この間家に来た時に見てたでしょ?ちょうど今日はお母さん遅いからまぁまぁ今の時間からでも遊べるんだよね」
「...あんまり関わりたくないから送ってもらうことにするわ」
「それ家を教えるってことになりますけど」
「...」
少女は無言で去ろうとした。俺はついてくことにした。
「来ないで...ストーカー」
「うわひでぇ」
なんだかんだ言って少女は俺がついてくることを拒んではいない様子であった。
帰路にて...
「よう、転校生に淫乱女」
突然話しかけられ、前を向くと(ずっと少女を見ていた)この間ごみ袋をぶちまけたヤツと少し身長の高い男子がいた。
「あなたが淫乱女ですか?呼ばれてますよ?淫乱女さん」
ごみをぶちまけたヤツに俺は言ってやった。
「違うわよ!お前の隣にいるやつだよ!」
俺はちらっと隣の少女を見てからすぐに視点を戻した。
「まぁ転校生はともかく淫乱女は人違いだと思いますが...まぁいいです。用件はなんですか?」
俺がそう聞くと男子は半歩前に出てきた。
「お前、隣の淫乱女に加担したうえ俺の妹にごみをぶちまけたんだって?」
男子は睨みながら言った。
「いえ、あなたの妹ではありません。そこの淫乱女さんにごみをぶつけたんです」
俺は男の隣にいる将来パパ活でもやっていそうな見た目の女子を指差した。
「てめぇ...もういい!お前の反応が反省していそうなら条件付きで許してやったんだがな」
そう言いながら男子はカッターをポケットから取り出しカチカチと音を出しながら刃を出した。
「なんですかそれ?」
「カッターだよ...お前が反省していたなら隣の淫乱女をこれで切りつけるなら許してやろうと思ってたんだ」
「そうそう!私ってば優しいから?ごみをぶつけられてもその程度で許してあげようとしていたんだよ?」
(なんだこのごみ)
少女は続ける。
「でもそっちは反省している様子はないし?その淫乱女に加担するようなゴミ出し?もうお兄ちゃんやっちゃっていいよ」
「言われなくてもそうするさ...こちとら大事な妹けなされてるんだ...殺しはしないが傷はおってもらうぜ。もうお前が淫乱女に加担したことは村中に知れ渡ってんだお前が傷つこうが誰も心配しないんだよ!」
(それは困った。お母さんに見つかったら香川に戻される)
「うおぉらぁ!」
俺がそんなことを思っていたら先手必勝とばかりに男子は突っ込んできた。その瞬間周りがスローになった。
(適当に逃げるか)
俺は素早くカッターを持っているほうの手首を思いっきり叩き、カッターを落とさせた。
「いって!」
男子はそんな悲鳴をだしながら手首を押さえ悶絶した。
「よし逃げるぞ」
俺は少女の手を取って走り出した。
「ごめんね。淫乱女さん♪」
去り際に煽っといた。
逃げるといっても俺は少女の家を知らないため俺は自分の家に向かうことにした。
いじめの描写ってムズイ