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授業間の休み時間。
球子と杏は、イヤホンをお互いの片耳ずつにかけてスマホから一緒に音楽を聴いていた。
「...どーよ、この曲は?」
イヤホンをつけたまま、球子は杏子に尋ねた。今は球子がお気に入りの曲を流しているところらしい...
「良い曲だけど、私はもっと静かなラブソングがいいかなぁ。こんなのとか」
杏が自分のスマホを取り出し、イヤホンに接続して曲を流し始める。
「...む~...悪かない。悪かないが...もっとこう、勢いとノリが欲しいというか...やっぱ音楽はパンクロックだろっ」
「そんなことないよ、音楽はバラード、そしてラブソングが一番じゃないかな」
「いやいや、青春の叫び、情熱の発露!パンクロックだっ!」
「染み入る曲調、心揺さぶる恋!ラブソング!」
二人が言い争ってると、チャイムが鳴り響く。同時に教師が教室に入ってきた。
「う、授業か」
杏と球子は慌ててイヤホンとスマホを仕舞い、それぞれ自分の席に向かう。その前に球子は杏子に耳打ちをしていた。耳打ちだったので話の内容は聞けなかった。それにしても最近の若者はすごいなさっきの会話全部とは言わないけど何言ってんのかほとんどわかんなかった!
「タマちゃんとアンちゃんって、ほんとに仲良しさんだね」
昼休み、食堂でうどんを食べながら、友奈が微笑ましげにそう言った。今日も昼食は一緒だ。俺は除くが...ちなみに俺が今日食っているのはかつ丼だ。女体化したことで胃袋ちっさくななってんだよなー...ちょっと量が多い食えっかな?
「タマたち、ほとんど姉妹みたいなもんだしなっ!」
杏を抱きしめながら言う球子
だが、球子のほうが杏よりも小柄なため、抱きしめているというより、抱き着いているように見える。
「えへへ」
抱き着かれている杏も決して迷惑そうではない。
「というかタマたち、もう一緒に暮らしてもいいくらいだ」
そういう球子に、杏はからかうように返す。
「うーん...でも、もしタマっち先輩先輩と暮らすなら、色々大変そう。部屋の中に自転車とかキャンプ道具とか、よくわからないもの置いてあるからまずはそれを片付けてもらわないと」
「あ、あれはただの自転車じゃないぞ、ロードバイクだ。錆びたりしないよう、部屋の中に置いとくんだよ。それにキャンプ道具だって、そのうち使うからっ!...勇者になってからなかなかできないけど」
球子はアウトドアが好きなのか休みはよく出かけている。宿泊するようなことをしたいらしいが大社が許可してくれないらしい...
「だいたい、それを言うならあんずの部屋だって相当だぞ?本棚も机の上もベッドの枕元にも、部屋中が本だらけじゃんかよー。しかも恋愛小説、恋愛小説、恋愛小説、恋愛小説...そればっかりだっ!部屋に行くたびに増えてるし」
「それがいいんだよー。本に囲まれてると幸せな気分なの」
うっとりした顔でいう杏
俺も本が好きだが、そこまでの領域にいないし行く予定もない。
あんずは無類の読書好きで、ラノベしか本を読んでいない俺に恋愛小説をおしt...おすすめしてくる。今の話を聞く限り、本の数は日に日に増えていってるらしい。
「タマには理解できねぇ」
呆れたように球子はつぶやいた。
「二人とも...お互いの部屋のこと、よく知ってるのね...」
早々に昼食を食べ終わり、携帯ゲーム機に向かっていたちーちゃんが、画面から顔を上げて言う。ちなみに画面から目を離していても、操作する指は休みなく動いている。どうなってんだ...
ちーちゃんの言葉に球子は
「当然!」
と頷いて、
「タマと杏は部屋が隣同士だし、よく部屋に入り浸ってるからなっ!」
俺たちが通う学校は全寮制だ。校舎である丸亀城の敷地内に寄宿舎があり、勇者六人と巫女であるお姉ちゃんはそこで暮らしている。ちなみに男子と女子で分けられていないため、俺はいつも部屋に引きこもっている。
「それなら若葉ちゃんもしょっちゅう私の部屋に来ますよ。ひなとも偶に来ますね」
どこか得意げに、胸を張って言うお姉ちゃん。こういう時張る胸があるやつがいると例のネタができなくて困る()
「若葉ちゃんは私の部屋に来ると、困り顔で相談事を持ちかけてきたり、膝枕で耳掃除して欲しいとねだってきたりしますね」
「ひ、ひなた!」
慌ててお姉ちゃんの口をふさごうとするが若葉だが俺が防ぐ。それを見たお姉ちゃんが
「ちなみにひなとはまだ女性ものの服を一人で着れないので、私お部屋で着させたりしてますね、ちなみに下着もです。」
「お、お姉ちゃん⁉」
慌ててお姉ちゃんの口を防ごうとするが若葉によって防がれてしまう。
「ちょ!若葉!離せ!ha☆na☆se☆」
「何事にも報いをが私のポリシーだ!」
と言い争ってるとちーちゃんが
「へーひなと君ってひなたさんに服着せてもらってるんだ~しかも下着まで~...今度は私が着させてあげようか?」
と笑いながら言ってきた
「い、いえいいです...」
「あら、そう...残念ね...」
俺がちょっと冷や汗をかいていると杏が
「それにしても膝枕ですか...いつもの若葉さんとイメージが違います...」
と言って意外そうな視線を若葉に向ける。友奈はきょんとして、
「若葉ちゃんって、もしかして甘えん坊さん?」
「私の前限定で、です」
むふん、と鼻息荒く言うお姉ちゃん。
「そういえば、若葉さんはいつも自然とひなたさんの隣に座りますよね。今もですし」
杏がそういうと、さらに若葉の顔が赤くなる。
「だ、だがひなただって毎晩特に用事がなくても、私の部屋に来るじゃないか。きっと寂しいからだろう⁉」
「いえ、私の場合は、若葉ちゃんが明日の準備ができているかなどを、確認に行っているんです。若葉ちゃんは毎日、課題や予習復習などを完璧にしているんですが、使った後に教科書をカバンに入れ忘れたり、時々うっかりしてますから。もちろん、そんな時はこっそり鞄の中に教科書、ノートなどを戻しておきます」
「え...そんなことをしていたのか⁉」
若葉は気づいていなかったらしい。
「ちなみにひなとの部屋にも行っています。ひなとは課題はやるのですが、予習復習と明日の準備をしないんですよねー...あと部屋の片付けも。ですので私が行って、明日の準備や部屋の片づけを促したり強制的にやらしたりしているんですよ。」
「なんだかひなちゃんって若葉ちゃんとひなと君のお母さんみたい」
「当然です、若葉ちゃんとひなとは私が育てましたから。ついでにひなとが言い間違えてお母さんって呼んできたことがありましたし」
関したように言う友奈に、ひなたはにっこり笑って答える。
「も、もうこの話は終わりだ!終わり!」
「そうだ!そうだ!」
若葉と俺は顔を赤くしたまま、無理やり話を断ち切った
バーテックスとの戦いがない時の勇者たちには、平和な日常があった。
しかし
いざ戦いが始まれば、彼女らは人類を守る盾となり矛となる。
バーテックスの四国への侵攻が再び起こったのは、その日の午後のことだった。
巨大な植物に覆われた丸亀城の城郭に、武器を装備した俺たちは立っていた。壁のある方向から、バーテックスの群れが近づいてきてるのが、小さく見える。
俺はスマホのマップを見て、侵入してきた数を確認した。今回は100体強といったところか。いつもと同じか...と思ったがいつもより違う点が一つあった。一体だけ違う動きをしているマークがあったのだ。ほかのバーテックスよりも圧倒的にスピードが速い。群れから突出して、こっちに来ている。気になってそっちのほうへ目を向けたら細い足で二足歩行して突進してきている何かが見えた。
「へ...変態さん⁉」
謎のバーテックスの不気味な動きに、友奈は顔を引きつらせる。
「進化体か」
若葉は眉間にしわを寄せ、二足歩行を見ていた。
これまでとは違い最初から進化体できたらしい。
「...あれは食えんな」
「いや、食べられるかどうかとか考えないでください!」
ぼそりとつぶやいた若葉に、杏は速攻で突っ込みを入れる。
「お姉ちゃんにまだ若葉はバーテックスを食おうとしているっていうぞ」
と追い打ちをしておいた。
「うっ...やめてくれ...」
と渋い顔をしながら若葉は言った。
その時球子が意味深な笑みを浮かべた。
「ふっふっふ...」
「どうしたのタマちゃん?」
「ついに狂ったか?」
怪訝そうな友奈、少し馬鹿にしたような俺に、球子は得意げに答える
「今回は秘密兵器を持ってきたのだ。タマだけに、うどんタマだあああっ!どうだひなと!これでも狂ってるといえるか⁉」
そう言って球子が掲げたものは、『最高級!打ち立て!』と書かれた袋に入ったうどん玉だった。俺は無表情で
「バリバリ狂ってんじゃん」
と独り言をこぼした
「それを...どうするつもり...?」
訝しむちーちゃんに、球子は二足歩行バーテックスをピシッと指さして言う。
「大社の人が言うには、バーテックスには知性があるんだろ?そしてあの、人の下半身みたいな姿...奴はもしかしたら人間に近いのかもしれないっ!」
「そっか!だったら、うどんに反応して隙ができるかも!」
「その通りだ、友奈!この最高級讃岐うどんをまえにして、人なら冷静でいられないっ!てやあああ、文字通り食らえ~~~っ!」
俺はもうなんも言わんぞ...
球子は大きく腕を振りかぶり、突進していく進化体バーテックスに向かって、袋入りのうどん球を投げた。うどん球は狙い通り、進化体の進行方向上に落ちる
しかし
二足歩行バーテックスは、うどんに目もくれず、速度を緩めることさえなく、通り過ぎていった。
「「「「「!!!!?」」」」
「そりゃそーなるわ」
うどんバカたちに戦慄が走る。
「うどんに...何の反応も示さないだと...⁉」
若葉は驚愕と怒りで手が震えている。...そこまでのことか?これ
「釜揚げじゃなかったからかよっ⁉」
「ううん、タマちゃん...釜揚げじゃなかったとしても...最高級うどんを無視するなんて...!!」
友奈が悲しみに顔を俯けながら、絞り出すような声で叫ぶ。球子も、杏も、ちーちゃんも、おんなじ思いだったのだろう。そして多分だけど、アホ達はその時はっきりと確信する。バーテックスには人間性など欠片もない。奴らは人とはあまりにもかけ離れた存在だ。分かり合うことなどきっとできないと。
「いや、うどんが嫌いだったっていう可能性は出てこないの...?...じゃなくて!あいつ口ないんだから食えるわけないだろ!」
と俺は突っ込んだ。
「...あとで絶対に回収してやるからな」
球子はそうつぶやき、投げたうどん玉を見た。袋に入れていたおかげで、まだ中身は無事のようだ。勇者たちは皆、怒りと悲しみを抱えて、武器を構える。
「最高級うどんの仇!あいつはタマが倒す!」
まず珠子が二足歩行バーテックスに向かって突っ込んでいった。
「てやああああ!」
球子が旋刃盤を投げる。しかし二足歩行はあっさりそれを避けた。
「くっ!」
二度、三度と旋刃盤を投げるが、すべて避けられてしまう。
「当たらない!なんだよこいつ、すばしっこすぎるっ」
「タマっち先輩!援護するよ!」
杏がクロスボウを連射した。二足歩行はその矢をやはり簡単に避けた。
「俺も手伝う!」
『ATTACKRIDE BLAST!』
直後目の前にP2020(拳銃みたいなもん)が出てくる。え~どうせなら当たらないけどウィングマン(威力の高い当たりにくい拳銃みたいなもん?)寄越せよ~と思ったが、出てきたものは仕方ない。俺はそれをキャッチし、二足歩行に向けて撃った。まぁ避けられたけど...
すると二足歩行は杏に向けて飛び膝蹴りのような姿勢で突撃しようとする。
『ATTACKRIDE SHIELD!』
目の前に旋刃盤が出てきたので手に取る。
「杏に触れるなぁっ!」
と二足歩行と杏の間に球子が入ったので俺はさらにそれの間に入った。二足歩行の攻撃を盾で受けた瞬間手がものすごいしびれた。しばらくは使えなさそうだ...
「ひなと君⁉」
「大丈夫だ...ただ腕がしびれて動かないからしばらく攻撃には参加できそうにない...」
ちなみにこんな会話をしてる時に二足歩行は神樹の方向に一直線に走っていた。
「あの進化体、神樹様を狙ってる!」
と杏は言って。考える素振りをする。何かひらめいたのか杏は顔を上げ、
「タマっち先輩!旋刃盤を力いっぱい投げて!大丈夫...タマっち先輩の武器、あいつに当たるから!」
何かの確信に満ちた口調で、杏が言う。
「...りょーかい!」
そう言って球子は旋刃盤を全力で投げた
「てやああああっ!」「ここだーっ!」
同時に杏はクロスボウを打った。旋刃盤と金色の矢が二足歩行に迫るが、二足歩行は回避してしまった。
しかし杏が狙ったものは二足歩行ではなく、球子の旋刃盤のつながっているワイヤーだ。ワイヤーを歪められたため旋刃盤は軌道を変え、再び二足歩行に襲い掛かった。
「タマっち先輩、旋刃盤を盾状に!」
「ー分かった」
盾状にすることで攻撃範囲を増加したことで二足歩行はよけきれず直撃を喰らう。腕が治った俺はすべてが黄色のサザンカの花がプリントされてるカードを使う。
『FINAL ATTACKRIDE サ、サ、サ、サザンカ!』
ちなみに俺のFINAL ATTACKRIDEは持ってる武器によって変わる
俺は二足歩行の動きが止まった瞬間P2020を撃ったP2020からレールガン並みの威力のものが発射される。致命傷を与えるだけで倒せなかったので、球子たちが追撃をし、進化体バーテックスは奇妙な鳴き声とともに消滅した。俺たちが進化体を倒している間に、他のバーテックスは全滅していた。勇者側の被害は特になかった。かすり傷ぐらい?
翌日、球子と杏は一緒に最高級うどんを食べさせ合いっこしていた。なんでもコンビネーションで攻撃を当てたかららしい。
「こんなうまいうどんにも興味を示さないなんて、バーテックスに知性があるってのはうそなんじゃないかな...というか杏わざわざ食べさせ合いっこさせなくてもいいんじゃないか?」
「いやだった?」
「そうでもないけど...」
そんな二人の姿を、他のみんなは微笑ましげに見ていた。
ひなと君はタマっち達の出会いを聞いてないのでカットです。
のわゆにいいとこ全部つぶしてる気がするけど気のせいだろ...そうであってほしい