第一話
気づいたら俺は光源がないのにもかかわらず目が見える空間にいた。
「あれ?俺死んだんじゃなかったっけ?」
「うん君は死んだよ」
俺が事実確認をすると目の前で答え合わせがさせられた。やけに頭が重いと思ったら目の前の人が俺の頭の上に手を置いていた。
「なぜアクア?」
俺の目の前にはやけに高い玉座に座っているアクアがいた。しかし目の前にいるアクアは普段物語で見るようなギャグ補正がかかっているような雰囲気はなくなぜか罪悪感を含んでいそうな顔をしていた。
「私は人によって見える形が変わるのだよ...つまり私はアクアじゃないということさ」
「じゃあ誰なんだよ」
「天の神といったところかな...」
「天の神ぃ?」
自分の好きなアニメの敵役の名前?を出してきて俺は顔をしかめた。
「今から君には『結城友奈は勇者である』の世界に行ってもらうよ」
「待った俺お前の勇者は嫌だぞ」
目の前にいるのは天の神。つまり今から行く世界の敵役...そんな人の見方にはなりたくなかったし、アニメの世界に行くということは結末を変えることができるはずだ。今の立場だとバッドエンドに変えかねない。
「リアルと現実を一緒にしちゃだめだぞ~」
「それ同じ意味なんだが?」
俺の突っ込みに対してのセリフの修正はなくそのまま話は進んだ。
「私とゆゆゆ世界の天の神は性質は一緒だが同一神ではないのだよ...君、仮面ライダーは好きだろ?」
「好きだけど...」
「なんだ?歯切れが悪いな」
目の前の神は俺が口籠っているのを不思議そうに見ていた。
「俺、好きって言っていいのか分からないほどにわかで...というより大体のことが中途半端な好きだから大体にわかで...」
「ああ...そうだろうね...」
わかっているというようにしみじみと目の前の神は呟く。その表情はどことなく寂しそうだ。
「敵の力を使うのが仮面ライダーだ。なら今の状態なら仮面ライダーの設定として十分なんじゃないかな?」
「そうかな...そうかも」
「納得いったようで何より。まぁといっても仮面ライダーの力をそのまま君にあげるわけじゃないさ。君ができる、そう思ったことが実現できる...そんな力を使いやすいようにベルトという形でギフトしてあげる。有効に使ってね」
「ありがとうございます...」
「あんまり嬉しくなさそうだな...なんだ信用していないのか?私は先ほど天の神と名乗ったが、もはや神樹とみてもさほど変わりはないぞ。何なら神樹より良心的だ。何しろ記憶はそのままで転生させてあげるのだからな...」
「...使いこなせるか心配だっただけです。俺ができると思ったことが実現できるなんて力。そもそも勇者に選ばれるのだろうか」
いろいろな不安が自分を襲う。
「転生したんだから物語に関わってもらわないと困る。時間だ、行ってらっしゃい」
そういって神は指パッチンをして俺を穴に落とした。
こうして高橋祐樹?は一言最後の言葉を言うわけでもなく異世界へ転生した。
「お前最後の顔どーにかなんなかったの?アクアのくせに最後の顔が悲惨すぎてめっちゃ心配されてたじゃん...アクアなんだから適当に転生者を送り付けとけばいいのに」
「アクアに見えるのは人それぞれだから関係ないでしょ。言われたとおりにしたんなだから文句を言わないでもらおうか。というかアクアへのその偏見ひどすぎない?...それどうするの?」
神は目の前の神が手から数センチ浮かして持っているもやもやとして光の玉を見つめた。
「俺の手駒にしようかなって...いろいろとサポートして欲しいし...どうせ死んだ勇者の魂は神樹に行くんだ俺が持ってても変わりないだろ?」
「はぁ...罪悪感がすごい」
「お疲れ」
「誰のせいだ」
「それにしても死体が大量に集まってよかったよ。これなら神樹の寿命をそこまで気にせずにあいつが満開を使ったり勇者の力をまんべんなく使うことができる。力は与えらるが結局は神樹を通して大体の力は使っているわけだからな。工夫しなければレオが来る前に寿命が尽きちまう...」
「だからってあんなことする必要あったの?」
「あったからやっているんだろ?そもそも友奈に変身して血をとった程度で壁が強化されるわけないだろ」
二人の神は議論を続ける...
気が付くと俺は病室にいて母親らしき人物に抱かれていた。目は見えておらず状況確認させるために魔力感知的な能力でもあるのか、第三者視点で俺は物事を見ていた。第三者視点で見ているのにもかかわらずなぜか抱かれいている赤ん坊が自分だとわかっていた。それにしてもこの母親...どことなくぐんちゃんに似てるな。
そう思い母親が笑顔を向けている男性に目を向けるとこちらはぐんちゃんの父親と似ているわけでもなかったので(アニメ基準)なんとなくほっとした。
そこから俺は寝るとき以外はのほほんと親子の様子を第三者視点で見ていた。搾乳のときはなんだかこっぱずしくて目というか視点をそらした。少しの間見ていてわかったことは夫婦円満、普通に両親は仲が良かった。酒癖も悪くないし、タバコも吸わないし、ギャンブルもしない、家での態度も悪いところは見つからなかった。
寝返りができるようになってからは目でしか物事が見えなくなっていた。結構便利だったのに残念である。視点を動かせないという観点から搾乳をどうしようかと考えたが、そのころには離乳食になっていた。おとなしく食べていたのでものすごくなでられた。なんか悪くない感じがした。昔、空を飛ばないバイクで旅をする話を読んだときに出てきた赤ちゃんのまま成長しない国の人たちの気持ちが少しわかる気がした。
ズリバイができるようになってからは結構服で床を掃除したものだ。まぁもとから全然綺麗なんだけど...1階部分を探検して思ったことはこの家だいぶ広いぞ。庭こそないものの部屋の広さや多さが段違いだ。そしてようやく自分の本名を見ることができた。今までは略称で呼ばれていて自分の名前がわからなかったのだ。
俺の名前は郡勝太というらしい。びっくり。まさかの郡である。俺が郡ということは過去で何かあったか、俺が過去に行くという伏線だろう...そうに違いない...!過去に行くとき勇者システムは西暦のものか、それとも神世紀のものかわからないので、“体を鍛えよう”そう決意した。
お座りができるようになってから俺はテレビをずっと見ていた。ここの所俺がしっかりしているせいで最低限しか両親が見てくれなくなったため暇になってしまったからだ。いや別に両親が見てくれても暇なものは暇だけど。やはり四国しかない世界...前世では関東圏のニュースが大体でたまに他国や地方のニュースが流れていたものだが今は四国のことしかやっていない。昔はこんなのがあったとかでも放送すればいいものだが検閲でもされているのだろう...
テレビを見ている俺に対して両親は
「勝ちゃんテレビをまじまじと見ているけど内容分かっていたりしないわよねさすがに」
「僕たちの子供がちょっとおとなしいからってさすがにそれば出来が良すぎる話だよ~ただ動いているものが物珍しいだけさ」
と好き勝手に言っていた。まぁそう思うのが普通であろう。
「でも興味の湧いてくれるものができてよかったわ...おもちゃを上げてもなんも興味を示さなかったときはどうしようかと思った」
「そうだね...全然笑ってくれなかったし」
あれ...?俺笑ってるつもりだったんだけど...どうやら結構心配されていたようだ。まぁ今更赤ちゃんのおもちゃで暇をつぶせと言われても難しい話である。振ると音のなるよく赤ん坊をあやすために使うこん棒みたいなものを渡されたが、ネギミクの真似を一回するだけでなんだかなぁとなってしまった。
ハイハイとつかまり立ちができるようになってからは二階に行けるようになったのではと思い、ウッキウキで階段に行ったのだが段差が思ったより高くて上ることができなかった。どうしたものかと悩んでいるとちょうど母親が立ち寄ったため、階段の側面をバシバシと叩きながら
「かいだん~」
とおぼつかない滑舌で言うと母親が二回まで連れて行ってくれた。
「階段なんて教えたかしら...?子供の成長は早いわね~」
とつぶやいていたのは聞かないことにした。二階は一階にあるリビングや玄関が無いからか、個人の広い部屋が何部屋もあるという感じだった。
「ここが勝ちゃんの部屋よ。まだ予定だけど」
母親は俺を抱いたままその部屋に入った。予定らしいので物置だったが物置部屋にしては広かった。ちなみにそこは南西の部屋で風水的には健康運などがあるところであった。やはり郡ということもあって勇者のことは知っているのだろうか...
しばらくしてお父さんが仕事に行っている間にお母さんが女の人を連れてきた。浮気だろうか?
何だか知らないがこの世界は同性婚が認められていた。テレビに出てくる夫婦も女性同士が見られたし、TS薬なるものが開発されているのか元男性と男性の夫婦?もたまに見られた。だがしかし、わが母上は浮気などしていなかった。その女の人の腕には赤髪の赤ちゃんが抱きかかえられていたからである。よくあるママ友とかいう奴だろう。その女の人はお母さんに促され赤ん坊を抱きながら座った。
「お茶取ってくるわね」
「ありがとう」
そんな些細な会話をしてお母さんは台所に向かった。お母さんが台所に向かっている間に女の人は床に座っている俺のほうを見てニコッと笑いかけた。
(いいひとだなぁ)
たったそれだけのことだが俺は一瞬で気を許した。なぜかは知らん。それにしても気になるのは母親の髪は普通に黒いことだ。父親の髪が赤いのだろうか?それとも覚醒遺伝という奴だろうか?
そんなことを考えているとお母さんたちはお茶会を始めていた。最初は女子会と思ったがもうそんな年でもないだろう。見た目は若いんだけどね。
しばらく話していると赤ん坊がおもちゃ箱のほうを指さしながらぐずり始めた。俺はその様子をただじっと見ていた。
「あら?ゆうちゃんおもちゃで遊びたいの?」
女の人は優しげに声をかけた。赤ん坊の姿勢が悪く持ちずらかったのか姿勢を直しているがすぐに赤ん坊が床に飛び降りようしている姿勢になっていた。
「そのおもちゃ勝ちゃんのために買ったんだけど全然その子遊ばないのよ...よかったら使ってくれる?」
「いいの?じゃあお言葉に甘えて...ゆうちゃん?遊んでいいって、よかったね~」
そうして赤ん坊が地面に降ろされると一目散におもちゃ箱のところに向かっていった。お母さんはそうそうこれだよこういうのを見たくてかったんだよとばかりに赤ん坊を見ていた。たまには触ったほうが良いのだろうか...?考えているといつの間にか赤ん坊は積み木を持ってきていて一人で積み上げていた。それもなぜか俺の隣で。まぁ俺らが座っているところは意外と狭く積み木をするスペースがありそうだったのが俺の周辺というだけの話である。
重ねていき、たまにバランスを崩してすべてが崩壊していくのを繰り返しているのを眺めているとビルらしきものができていた。なんかそれっぽいものができているなと思って創作物を眺めていると、赤ん坊はこっちをずっと見つめていた。どや顔をしているようなどの顔が少しかわいく思えて俺は気づけば頭をなでていた。不思議そうに撫でられている手を見ている様子を見て我に返り、手をすぐに離したが時すでに遅し。二人の母はにやにやと笑っていた。さすがに男女がどうこうで笑っているわけがなく、この笑いは赤ん坊が赤ん坊をなでるという不思議な光景を見て笑っていたのだと思われる。
「あらあら勝ちゃんったら女の子の頭を気軽に触るなんて将来が心配だわ~ごめんね~友奈ちゃん」
「大丈夫よゆうちゃんも気にしてなさそうだし」
...色々突っ込みたいが今この子のこと友奈って言ったか?あぁ...道理で母親と遺伝子がつながっていなさそうだと思った。母親たちの話を聞いているとどうやら結城家とはお隣らしい。まだないが東郷家と郡家で結城家を挟むことになりそうだ。豪邸に挟まれる結城家に俺は少しだけ同情した。
それからしばらくして俺は元気に動ける体に成長した。そして動けない間に俺は体を鍛えようと思っていたのだが...ちょっと後悔している。
「はぁ...はぁ...」
小さい肺に思いっきり酸素を入れる。前身は汗まみれで、足はもう走れないと訴えるように痛みを抱いている。
「勝ちゃ~ん大丈夫~?」
そういわれて顔を上げると余裕そうにこちらを見る両親がいた。
郡家は代々動けるようになってから赤ん坊を鍛えるような家柄らしい。いまた体力作りで毎日走っているがそれが終わったら剣、盾、空手、鎌、射撃の訓練をしだすらしい...ちょっと心折れそう。
「うん...まだ大丈夫だと思う...」
「そう...まぁあんまり覚えていないけどそのうち余裕になってくるわよ。ねぇ?あなた?」
「そうだな...いやあんまり覚えてないや」
そんな感じで息がなかなか整わない息子の前で両親は暢気に笑っている。両親はいとこ同士の結婚なのでどっちも郡家の訓練を受けてきたらしい...
「勝ちゃん、明日はお休みだからがんばろっか」
お母さんは頭をなでながらやさしくいった。子供の体で精神年齢がそれに引っ張られているのか悪い気はしなかった。というかうれしい。
「何かあるの?」
頭をなでながら俺は聞いた。するとお母さんではなくお父さんが答えた
「乃木家に少し挨拶をしに行くんだ」
そしてあっという間にその日は過ぎ去った。というより帰ったら疲れてすぐに寝たのである...
次回一年ごとかになってそう()