上里ひなとはts勇者である   作:エフさん

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プロローグ2(リメイク)

 気が付くと俺は病室にいて見知らぬカップルに抱えられていた。

 いや生まれたばかりって視力とかないやんっていうツッコミは置いといて、なるほどこの人たちが俺を生んだのか...そう思いながら俺は再び目を閉じて意識を落とした。

 

 

 

 

 次俺が目を覚ました時、俺はなぜか倒れた車にいて血まみれの両親が目に映った。

 

(え、は?何でこうなってんの?と言うか俺急成長しすぎだろ⁉)

 

 俺の体はなんか知らんけど五歳くらいに成長していた。どうやって見たかって?そりゃバックミラーとか使って頑張ってみたんだよ。

 そしてそこから救急車だったりいろいろ来て俺は病院に搬送された。何日か入院すると思ったけど、なぜか知らんが俺は無傷だったらしい...

 そしてすぐ退院になったわけだが、また新たな問題が発生した。引き取り先がいないのである。

 

(おじいちゃんいないのかよ)

 

 両親は若かったため、いると思ったがどちらも早死にしたらしい。なんでだよ。そして親戚に引き取られると思ったのだが、なんとうちの家系...と言うか両親は嫌われていた。なぜならその親戚が用意した土地をうっ

ぱらって上京した先に家を建てたからであった。

 

 因みに余談だが俺は交通事故にあった後の入院で初めて自分の名前を知ることができた。俺の名前は前田ひなとと言う名前であった。少なくとも前世で聞いたことはないがどうなんだろう...まぁなんでもいいか。あまりかかわってないしもはや他人と同じようなものだが授かった命と名前だ、形見のようなものである。だから大切にしようと思った。

 

 そして引き取りが見つからずに葬式の日になった。適当に引き取り先が見つかるまで俺は学童的な場所に入れられて暮らしていた。

 俺は一番前の椅子に座り俯きながらお坊さんがなんか唱えているのを聞いていた。両親は嫌われていたが一応お葬式には来てくれたらしくそれなりの人数がいた。でもすすり泣く声などは全く聞こえなかった。と言うかそもそもこの葬式は誰がやってくれたのだろう...

 

 そして葬式が終わり親族がいっぱい集まっている部屋に入ろうとした時であった。

 

「あの子どうして泣かないのかしら?」

 

「まだ幼いから状況がよくわかっていないのよ」

 

「えー、さすがにわかるでしょう...それにあんなに無表情な子供は初めて見るわ...気色が悪い...」

 

「と言うか誰があの子を引き取るんだ?うちは嫌だぞ!あんな両親の子なんて恩知らずに決まっている!」

 

「私だっていやよ!あんな子引き取ったって親孝行なんてせずに金をとられるだけよ!」

 

「もう孤児院送りでいいんじゃないか?両親の罪を子供に償わせるって考えたら全く罪悪感がわかん!」

 

 あ、終わった。いや終わってはいないんだが終わった。俺の人生はお先真っ暗かな...はぁ前世の両親に会いたい...正直俺は今の親のことなんてよくわからない。どんな人たちだったのか、どんな料理を覚えているか、どんな仕事をしていたのか、どんな名前で、いつが誕生日だったのか、俺をどのように呼んで、どのように接していたか、そんなことが一切わからないのである。だから俺は今の両親を両親と思っていない。でもこの流れだと孤児院の人たちが親になりそうだな...

 そう思っていたのだが、その考えはなくなった。

 

「いや僕が引き取りますよ」

 

 俺を孤児院送りにすると盛り上がっていた人たちの中に新しい意見が生まれた。びっくりして声がした方を見ると少し真面目っぽい黒髪の男性であった。

 

「...そうか上里君は知らなかったね、あの子供の親はね...」

 

「知ってますよ。調べましたので。別に僕からしたらなんだそんなこと、とも思いましたね。とりあえず子供に償わせるほどのものではないということは確かです」

 

「...ふんっ!勝手にするがいい!」

 

「はいそうさせていただきます...と言うわけだ!これからよろしく!」

 

 話が済んだのかその上里と言う男は俺の方を向いて少し大きな声を出して呼びかけた。と言うか気づいていたのね...その男が呼びかけた瞬間視線が俺に集中した。

 

「まさかさっきの聞かれてた?」

 

「と言うかいつからいた?」

 

「まぁ聞いたとしても理解していないか...」

 

「ふんっ、別に理解してようともう私らには関係ないわ」

 

「それもそうだな」

 

 結構ぼろくそに言われているなおい。まぁ俺がなんて言おうが反感を買うだけだから何にも言わないけど...

 

「あ、僕が引き取ってもいいってことですよね」

 

「ああ、引き取るなら引き取るで好きにすればいいさ。まぁ君が引き取らなかったらその子は孤児院行きだろうけどw」

 

「では僕は失礼します」

 

 そう言うと男はお辞儀をして俺の方へ来た。

 

「こんにちわ」

 

「え、あ、こ、こんにちわ...」

 

 やっべ―知らない人だ...俺人見知りだからな...あんまうまくしゃべれん...

 

「今日から僕が君のお父さんだ。お父さんなりパパと呼んでくれてかまわないよ」

 

「え、あ、じゃ、お、お父さんで...」

 

「うん!いいね...じゃ早速家に行こうか。こんな嫌な大人たちしかいないところは君も嫌だろうし」

 

 そう言って目の前の男は俺の手を握り歩き始めた。

 

「あ、あの!」

 

「なんだい?」

 

「その、なんで僕を引き取ったんですか?よくわからないけど、僕嫌われているのに...あ、あとお父さんは嫌な大人じゃないと思います...」

 

「そうか...ありがとう...あ、引き取った理由かい?まぁ個人的なるんだけどね、娘がいるんだ」

 

「は、はぁ...」

 

「でその娘が先日僕にこんなことを言ってきたんだ『弟が欲しい!』って」

 

「は、はぁ...」

 

「でちょうど引き取り先のいない子供がいると聞いてね、全く関係ないし、すごく遠い親戚だったけど葬式に参加することにしたんだ」

 

「新しいのを生むっていう考えはなかったんですね...」

 

「?あぁ、ひなた...あ、ひなたと言うのは娘の名前だ。で、そのひなたが欲しがっている弟と言うのはもう喋れたりする弟でね...今から弟を作ろうとすると時間がかかりすぎてしまうんだよ...

 

「は、はぁ...」

 

 と言うか今さりげなくすごいことを言わなかったか?この人...確かこの人の苗字が上里で、娘の名前がひなた...あっ(察し)

 

「で、一応弟候補として君を調べたわけだが...本当にギリギリひなたの方が年上でね、君を引き取ることにしたんだ」

 

「もし俺...僕の方が年上だったらどうしてたんですか?」

 

「う~ん...候補と言っても君しかいなかったから、ひなたにはあきらめてもらうか、君に誕生日を詐称してもらうかだったね」

 

「...そうですか」

 

「あと誤算だったけど君若干ひなたに似ているよ、容姿も名前もね」

 

「そうですか...」

 

 そうして俺は新たなお父さんの車に乗り新しい家に向かった。その車の中での会話はなかった。

 

「着いたよ...」

 

「...でけぇ...」

 

「ふふ...そうだろ?」

 

 目の前に見える家は庭は広くなものの、家の大きさはほかの周りにある家に比べて大きく高かった。

 

「ただいまー」

 

「お、おじゃまします...?」

 

「ただいまだよ」

 

「...ただいま...」

 

 玄関を開けて挨拶をすると奥の方からどたどたと物音がして足音を出しながら一人の黒髪ロングの女の子が近づいてきた。

 

「お帰り!パパ!...?その子は?」

 

「ああ、この子かい?ほら自己紹介」

 

 そう言ってお父さんは俺を軽く小突いた。

 

「えっと前田「上里」...上里ひなとです...」

 

「と言うわけだひなた。新しい弟だぞー!」

 

「えー!ほんと⁉私上里ひなた!よろしくね!」

 

 俺の上里ひなとのイメージが崩れそうな接し方をしながら目の前の少女は俺の腕をぶんぶんと縦に振った。

 

「そういえばひなと君」

 

「ひなとでいいです...」

 

「ではひなと、ひなとの荷物がなかったんだけどどこにやったんだい?」

 

「孤児院?に入るときに費用として全部質屋?に入れられました」

 

「そうか...」

 

「ねーねーパパ?」

 

「どうしたんだい?ひなた?」

 

「ひなとにおうち紹介しに行ってもいい?」

 

「ああ、いいよ転ばないようにね」

 

「うんわかった!ほらいこ!」

 

 そうして俺はひなたに引っ張られた。

 

「あのひなた「お姉ちゃん」え?」

 

「私のことはお姉ちゃんて呼んで!あ、ひなと何歳?誕生日は?」

 

「五歳、生まれた日は十月十四日」

 

「そっか私は同じ五歳で十月四日なんだ!だから私の方がお姉ちゃん!だからひなとは私のことをお姉ちゃんって呼ぶの」

 

「う、うん分かった...」

 

 そこから俺は精神年齢も生きている年数も確実に俺より短い姉に家の様々なところを説明させられた。いや、精神年齢云々を考えている俺はやはりいろんな意味で年下なのかもしれない...

 

「ここが私の部屋!もうすぐ私たちも小学生だからね!最近机買ってもらったんだ!」

 

「良かったね...」

 

「うん!あ、ひなともこの部屋で暮らすんだよ!」

 

「え、空き部屋いっぱいあったのに?」

 

「姉弟っていうのは一緒の部屋で過ごして一緒の布団か部屋で寝るんだよ!」

 

「テレビの見すぎだな...」

 

「ん?なんか言った?」

 

「何でもないよ...お姉ちゃん」

 

「わ~お姉ちゃん!いい響き!これからお姉ちゃんがなんでもやってあげるからね!あ、文字教えてあげようか⁉私ももう小学生だからね!文字かけるようになったんだよ!」

 

「あー...いいかな...」

 

「う~ん...そっか!新しい家で疲れたんだね!大丈夫だよ!お姉ちゃんが今お菓子持ってきてあげるから!」

 

 そう言ってお姉ちゃんはどたどたと下にあるリビングに向かっていった

 

「ココアかよ...」

 

 俺は姉のいなくなった部屋でそうつぶやいた。

 

 そうしてしばらく待っているとお姉ちゃんが少し涙目で入ってきた

 

「どうしたの?」

 

「ママがね、ひなたは食べすぎるからお菓子食べちゃダメ!って言ってきたの」

 

「へ~...え、今お母さん居るの?」

 

「うん下にいるよ」

 

「ちょっとあってくる」

 

 そう言って下に向かおうとしたが、服の裾を引っ張られ歩くのをやめた。

 

「お姉ちゃんも一緒に行く」

 

 そうして俺らは一緒に下へ向かった。

 

 

 

 

 下にいたのは黒髪巨乳美人であった。子が美人なら親もやはり美人らしい...。

 

「あら?君が今日から私たちの家族になる...」

 

「あ、はい...ひなとです...」

 

「ひなと...聞いてはいたけどほんとに名前似てるわね...あ、ひなとって呼ばせてもらうわね。自分の部屋、ひなたから聞いたかしら?」

 

「ひなとの部屋は私の部屋だよ!」

 

「ん?」

 

「だからひなとは私と同じ部屋で過ごすの!」

 

「え、ん?確かにひなたの部屋は広いけど...少し成長したら後悔するよ?いいの?」

 

「いいの!絶対しないもん!」

 

「そう...ならいいけど」

 

「あのお母さん...」

 

「何かしら?」

 

「えっと...なんか手伝うことありますか?結構できること少ないですけど...お世話になる身ですし、何かしたいと思ってるのですが...」

 

「ん~...じゃ、ひなたとお使いに行ってきてもらえるかしら」

 

「あ、別に僕は一人でも...」

 

「お店の場所分かるの?」

 

「...そう言えばそうでした」

 

「ひなた」

 

「なにー?」

 

「お姉ちゃんとしてひなとが迷わないようにしっかりついていってあげてね」

 

「うん!わかった!」

 

「はいひなと。これ買うものね」

 

 そう言ってお母さんはいつの間にかいたのか買い物リストと鞄、そしてお財布を渡してきた。子供でも余裕で持てるもので安心した。

 

「余計なものを買わないようにね」

 

「はい。わかりました。じゃ行ってきます」

 

「あ、まってひなとー」

 

 そうして俺らは玄関の方へ向かっていった。

 

 

 

 

「あれが葬式が終わったばかりの子供...ね...」

 

 一人の美人は夕ご飯を考えながらそんなことをつぶやいた。

 

 

 

 

「えっとお姉ちゃんここら辺のスーパーに行きたいんだけど...」

 

「スーパー?えっとね...多分こっち!」

 

「多分って...」

 

「私一人でお使い行ったことないんだ」

 

(初めてのお使いじゃねーか!大丈夫だよね?警官に扮したカメラマンいないよね?)

 

 あたりを見回すがそんな人は一人もいなかった。

 

 

 

 

 難なくスーパーにつくことができた俺たちは渡されたメモに書いてある商品を探していた

 

(えーとまずはカレールーだろ...でうどん...あとはリンゴが三個...だけか...うん、すぐ見つかりそう)

 

 そう思いながらカートを押して商品を探しているわけだが...

 

「お姉ちゃん...」

 

「なにー?」

 

「なんかよくわかんないものが追加されてるんだけど?」

 

「チョコレートだよ?」

 

「うんそうだね...どこから持ってきたの?」

 

「あそこ!」

 

 そう言ってお姉ちゃんが指を指した方向はお菓子売り場であった。

 

「戻してきなさい...」

 

「なんでー?」

 

「リストに載ってないからです」

 

「でもお姉ちゃんは欲しいよ?」

 

「駄目です」

 

「どうしても?」

 

「どうしても」

 

「むーしょーがないなー。私はお姉ちゃんだからゆうこと聞く」

 

「わーおねーちゃんさすがー」

 

 だんだん面倒になってきたがまぁよし。

 

 

 

 

 そのあとは何事もなくレジに言ってお金を払って取引をした。ちなみにお財布にはチョコレートを追加しても買えるぐらいのお金が入っていた。

 

「あ、お姉ちゃんが持つ」

 

「いや俺...僕が持つよお姉ちゃんは道案内してくれればいいよ」

 

「いやお姉ちゃんが持つ」

 

「えー、じゃあちょっと待てて」

 

 そう言って俺は袋の中に入っていた袋を取り出し、うどんとカレールーを入れてお姉ちゃんに渡した。

 

「はいお姉ちゃんはこっち持って」

 

「わかった!」

 

 

 

 

 二人で少しだけ会話を見て帰路を辿ってる途中であった。

 

「あ、ひなた!おーい!」

 

 交差点の方から声が聞こえた...ん?この光景どっかで見たことがあるような...

 

「あ、若葉ちゃん!」

 

 お姉ちゃんが返事をした方向を見ると、点滅した信号の向こうで少し薄めの金髪ポニーテール少女が手を振っていた。

 次にお姉ちゃんを見ると横断歩道を渡ろうとしていた。

 

「お姉ちゃん!」

 

 俺は慌ててお姉ちゃんの首根っこを掴みこっちに引き寄せる。

 

「な、何⁉」

 

 お姉ちゃんはびっくりした様子でこちらを見た。向こうの少女が俺の方を睨んでいたが気にしないふりをする。

 

「駄目でしょ⁉信号はしっかり見ないと!死んじゃうよ!」

 

「大げさだよー?でもごめんね...」

 

「あ、わかればいいよ...いたくなかった?無理やり引き寄せちゃったけど...」

 

「大丈夫!」

 

「ならいいんだけど」

 

「ひなたに何やってんだ!」

 

 俺が安心した瞬間俺に飛び蹴りが飛んできて、俺の頭は勢いよく地面にぶつかった。

 

「何やってるの⁉若葉ちゃん⁉」

 

「だってこいつ今ひなたに乱暴なことを...!」

 

「この子は今日から私の弟になったひなとだよ!」

 

「はぁ~ひなと?確かに名前は似ているが」

 

「大丈夫?ひなとー」

 

「いってて...いきなり蹴るとか...なんかすごい子だね...」

 

「この子は生まれた頃からずっと一緒にいる若葉ちゃん!」

 

「乃木若葉だ...」

 

「私たちの住んでるところよりもおっきな家に住んでいるんだよ!」

 

「へ~...あ、俺は上里ひなと...」

 

 それだけ言って俺は荷物の方を見た。勢いよく地面とぶつかったが、リンゴは砕けていないようである。

 

「それで若葉ちゃん何か私に言おうと思ってたことでもあったの?」

 

「いや今日初めて見かけたから声をかけただけだ」

 

「そっかー...あ、今私たちお使い中だから家に帰らなきゃ。遊ぶとしたらまた明日遊ぼうね」

 

「ああ」

 

「ほらひなと...っていない⁉」

 

「あいつならさっきひなたの家の方へ向かったぞ」

 

「えー⁉私ママからひなとのこと任されているのにー!」

 

「勝手に離れたヤツのことなんて放っておけばいいだろ」

 

「私はお姉ちゃんだからそんなことはしないの」

 

「お姉ちゃんね~...まぁあいつはどうせ歩いているから走ったらまだ間に合うだろう」

 

「そうだね!」

 

「あ、ひなたちょっと待て!私も行く!」

 

 

 

 

「ひなと!」

 

 積もる話があったと思ったので先に行っていたが、そんな気遣いは必要なかったのか、若葉とお姉ちゃんが走って近づいてきた。

 

「なんで先に行っちゃうの⁉」

 

「えーだってお姉ちゃん若葉と話していたし...」

 

「いきなり名前呼びか...」

 

「若葉ちゃん、乃木ちゃん、若葉...どれがいい?」

 

「若葉」

 

 若葉は嫌そうな顔をしながらぶっきらぼうに言った。

 

「あいよ」

 

 

 

 

 

 なんやかんやあって家に着いた。

 

「それじゃ、また明日ね若葉ちゃん」

 

「ああ」

 

「ほらひなとも」

 

「じゃあの」

 

「明日はひなとも連れてきますね」

 

「え...」

 

「露骨に嫌な顔された...」

 

 俺たちは若葉が見えなくなるまで見ていた。

 

「これから毎日楽しくなりそうだね!」

 

「はは...そうだね...」

 

 

 

 

 家に入るとお母さんが目の前にいた。

 

「あ、おかえりー」

 

「ただいまー」

 

「ただいまです...」

 

「少し遅かったから心配したのよ?」

 

「若葉ちゃんと話をしていたんだ!」

 

「そう...」

 

「あ、お母さん...これお釣り...」

 

「?へ~...」

 

 お財布の中身を見てお母さんは少し笑った。

 

「ひなた、お菓子我慢できたんだね」

 

「え⁉あ、あ~...うん...お姉ちゃんだから!」

 

 そう言ったお姉ちゃんはものすごくきょどっていた。

 

「ひなともありがとね」

 

「あ、いえ...当然のことをしたまでです...」

 

「そう...あ、手を洗ってから部屋に行ってみなさい?きっとうれしいことが待っているわよ」

 

「はーい」

 

「はい。わかりました」

 

「ほらひなと!早く行くよ!」

 

「えちょ⁉手は?」

 

「そんなのはどうでもいいよ!早く部屋に行くよ!」

 

「それママの前で言う...?」

 

 

 

 

 そして部屋の中に入るとさっきまでは一つしかなかった机の横にもう一つだけ机が置かれていた。そしてお父さんもいた。

 

「やぁおかえり、ひなたひなと」

 

「ただいまー」

 

「ただいまです...えっとそれは?」

 

「これはひなとの机だよ。ひなたと一緒の部屋にするんだろう?」

 

「うん!そうなの!」

 

「はは、夜になったら布団も持ってくるから...とりあえず今のところはこれだけね。じゃ、パパはママとお話してくるから仲良く過ごしていてね」

 

「あ、はいわかりました」

 

 

 

 

 お父さんが出てきて一分後くらいであった。

 

「お姉ちゃんは...ちょっとお花摘みに行ってくるね...」

 

「あーうん行ってらっしゃい」

 

 

 

 

両親会議...

 

「ねぇひなとのことなんだけど...少し大人すぎないかしら?あんなに五歳児って敬語を使ったりするものだったかしら?」

 

「まぁいいじゃないか...まぁひなたは弟が欲しかったんだろうけど...」

 

「あれじゃ兄ね」

 

(敬語を使えば大人...?じゃ私が使えばもっとお姉ちゃんに近づく...?)

 

「今の会話...ひなたに聞かれたようだけど...?」

 

 美人はどたどたと響く足跡を聞きながらそう言った。

 

「別にいいさ...これでひなたがどうなるのかも気になるしね...とりあえず俺たちがしなければならないことは」

 

「あの子を家族とみることでしょう?」

 

「そうだな」

 

 

 

 

「ひなと!」

 

 お姉ちゃんが勢いよくドアを叩き俺の肩を持ってブンブンを揺らした。

 

「な、なに~?」

 

「私に敬語を教えてください!」

 

「もう使えてるじゃん!」

 

「それでも間違っている使い方をしているかもしれないじゃないですか!」

 

「と言うかなんで敬語?」

 

「大人になれるからです!」

 

「は?」

 

「だから大人になってよりお姉ちゃんになるためです!」

 

「もうお姉ちゃんは俺にとってはお姉ちゃんだけど...」

 

(嘘だけど)

 

「それじゃダメなの!とりあえず私は敬語が使いたいの!」

 

「わかったよ...とりあえず世間話をしよ?間違ってる使い方をしたら教えるから」

 

(まぁ丁寧語さえ使えればいいだろ)

 

 そうして俺とお姉ちゃんの敬語レッスンと言う名の世間話が始まった。まぁ俺が話せることはないけど。

 

 

 

 

 数時間後...

 

「ふたりとも~ご飯だよ~」

 

 お父さんが俺らを呼びに来た。

 

「あ、お父さん...わかりました...今行きます...」

 

「⁉」

 

(やってしまった...人様の子供の性格を完璧に変えてしまった...)

 

 お姉ちゃんは俺のイメージ通りの上里ひなたになってしまった。

 

「たかが数時間でこうなってしまうのか...」

 

「ほらひなと、行きますよ」

 

 さっきまで無邪気だった少女は敬語を習得したせいか落ち着きを見せる性格になってしまった。

 

 

 

 

 夕食が終わってお姉ちゃんが離席したときである。

 

「本当にすいません!」

 

 俺はお母さんとお父さんに向けて土下座をしていた。

 

「なんで急に謝るんだい?」

 

「え、いや俺のせいでお姉ちゃんが色々変わったから...」

 

「別にそのくらいいいわ...まぁ確かに急に大人になったけれども...遅かれ早かれこうなったでしょうし...」

 

「と言うわけだ...まぁ今日からの付き合いだがこれからもひなたと仲良くしてくれよ?」

 

「はい...」

 

 なんか許されてしまった...

 

 

 

 

 しばらくして...

 

「ひなと、一緒にお風呂に入りましょ?」

 

「ふぁ⁉」

 

「あら、いいじゃない。ほら入っておいで」

 

「え、ちょ、い、いや俺は一人で入ります...あと着替えないです...」

 

「あ、着替えなら買っといたよ」

 

「え、はや、と言うかサイズはどうしたんですか?」

 

「見たら大体わかるわ...」

 

「良かったですね。じゃ、一緒に入れますね」

 

「お父さん...」

 

 俺は救いを求める目でお父さんを見たが

 

「この日本では裸の付き合いという単語がある...と言うわけで頑張れ」

 

 普通に見捨てられた。

 

 

 

 

 おれはまぁまぁ広い湯船につかりながら思う。

 

(今日家族になったばかりの俺と自分の娘と一緒の風呂に入らせるとかあの人たち何考えてるんだ...)

 

 俺はお姉ちゃんの姿をあまり見ないようにしていた。なのに

 

「ひなと、お姉ちゃんの背中、洗ってくれませんか?」

 

「...自分で洗えば...」

 

「ん?」

 

「洗わせていただきます...」

 

 そして俺は小さな背中を洗った。

 

 

 

 

 俺がお姉ちゃんの背中を洗っているころ...

 

「ひなと、少しだけ砕けてきたわね」

 

「そうだな...このまま敬語もなくなればいいんだが...」

 

「なくなるわよ...きっとね...」

 

 

 

 

 風呂から上がって自分の部屋に向かうと布団が二枚敷いてあった。

 

「一緒に寝ます?」

 

「いやさすがにいいや...」

 

「そうですか...」

 

「電気...消すね?」

 

「はい」

 

「ひなと...」

 

 俺が布団に入るなりお姉ちゃんは俺に話しかけてきた。

 

「なに?」

 

「私はお姉ちゃんをしっかりとやれているのでしょうか?」

 

「知らない」

 

「そうですか...」

 

「でも、俺もお姉ちゃんは欲しかったから...お姉ちゃんやれているとかどうでもいいかな...」

 

(少し性格が変わったとはいえ、おれはまだお姉ちゃんだと思っていないけど)

 

「なら、本当の意味でお姉ちゃんになれるように頑張りますね...おやすみ」

 

「うん...おや須美」




ブラコンの兆し...こういうひなたがいてもいいよね...キャラ崩壊?二次創作はそんなもんです...
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