翌日のことである。
朝、目が覚めてまず思ったことは
(見知らぬ天井だ...)
この一言に尽きる。
(えーとこの世界に来てから何があったんだっけ...)
まず赤ん坊になるだろ、そしたら五歳児になって交通事故に遭遇してるだろ、病院を退院したら誰かに引き取られるかと思ったら、なんか持ってたもの売られて孤児院入れられたと思ったら、突然連れられて親の葬式に参加させられたと思ったら、突然引き取り先ができてやけに姉を主張してくる主要人物出てきて色々一緒にやって一緒に寝ると...濃いなおい。
そう自分に起きた出来事を復習し終わった後にゆっくり横を見ると新しくできたお姉ちゃんがすやすやと眠っていた。
(昨日、この人の性格変えちゃったんだよね...おれ)
時計を見てみると六時を指していて少し起きるのが早かったかなと思った。
今の年は二〇〇九年...あと六年で例の事件が起こるのだが、俺には何もできないのだろう...
(勝負は四国に侵攻してからだ...)
そうして俺は二度寝をした。
「ひなと...ひなとー、起きてください」
「ん?ん~」
俺は目の前の赤目黒髪ロングのようjy..お姉ちゃんが起こしたのを理解して寝たまま背伸びをした。そしてそのまま目を閉じた。
「ひなと~?」
声をかけてくるが無視をする。俺はまだ眠いのだ。
「も~...」
そうお姉ちゃんがつぶやいた瞬間突然体に重いものが乗っかり息が一瞬できなくなった。
「おも...」
「な、重いって女の子に行っちゃだめなんですよ⁉」
見るとお姉ちゃんが俺の上に乗っかっていた
「知らないよ...早くどいて」
「もう起きますか?」
「あー起きる起きる」
「じゃあどきます」
そう言ってお姉ちゃんは離れたので俺は掛布団の中に入り丸まった。
「あー!もー!なんで起きないんですか⁉朝ご飯なくなっちゃいますよ!朝ごはん食べたら若葉ちゃんのところに行くんですから早く起きてください!」
(さて、そろそろ意地悪はやめてあげますか...)
そう思いながら布団から出てドアの方を見ると頬をぷくーと膨らませたお姉ちゃんとドアのところでにこにこと笑っているお父さんがいた。
「やぁ寝坊助、おはよう」
「あ、おはようございます」
「ひなとー私には?」
「あ、お姉ちゃん若葉のところに行くって言ってたけどいつ頃?」
「...」
お姉ちゃんは頬を膨らませたまま何にも言わなかった。
「...おはよう、お姉ちゃん。それで若葉のとこに行くのはいつ頃?」
「八時です」
「え、今七時半だよ?」
「そうですよ。だから早く起きてって言ったじゃないですか」
俺は慌てて下に向かった。
リビングのドアを開けるとお母さんがいたので
「おはようございます、お母さん」
そういってあたりを見回し、お姉ちゃんの言う朝ご飯を探した。
「あ、おはよう、ひなと。ひなたはずいぶん起こすのに時間がかかったらしいわね。ご飯ならそこにあるから食べなさい」
そう言ってお母さんはキッチンの目の前にある机を指差した。見るとパン一枚が置いてあった。
「いただきます」
急いで座り手を合わせいう。パンを食べ始めるとお姉ちゃんがリビングに入ってきた。
「ひなと移動早い...あ、お母さん...ひなとの服はありますか?」
「...あー昨日買った服がタンスの中にあるからとってきてあげて」
なんでそんなすぐに服が買えるんですかね...
「わかりました」
そうしてお姉ちゃんはとてとてと上に向かっていった。
「ご馳走様でした」
食い終わった俺は皿を台所にもっていった。
「あ、ありがとうね。タンスはひなたの部屋にあるからそっちに行ってあげて」
「わかりました」
そうして俺は再び寝ていた部屋に向かった。するとお姉ちゃんが服を出しており、それは女物であった。
「お姉ちゃん?俺男だよ?」
鼻歌を交えながら服を選んでいる姉に俺はそう言う。
「わかっていますよ。でもひなとはこれも行ける思うんです!」
「やめて?」
「え、でも...」
「やめて?」
「...しょうがないですね。はいじゃこれとこれ」
そう言ってしぶしぶお姉ちゃんが差しだしてきたものはジーンズと無地の長袖であった。
「ん、ありがと...でいつまでそこにいるの?」
「?ここ私の部屋ですよ?」
「いやそうだけどさ、俺着替えるから...」
「昨日一緒にお風呂入ったのに気にしてるんですか?大丈夫です!私は気にしてません!」
そうして胸を張りどや顔をする姉。お前まだ胸ないぞ。
「俺が気にするの!いいから出てって!」
そうして俺は姉を無理やり部屋から出した。昨日来たばっかのやつの態度とは思えねぇ...
そうして俺は着替え終わり部屋から出た。
「着替え終わりましたか...じゃ早速若葉ちゃんの家に行きましょう!」
「いいけど若葉の家に行って何をするの?」
「稽古の見学とかいろいろです」
「そーなのかー」
しゃべっている間に玄関に着いた。
「サイズは大丈夫かしら?」
靴を履いている時にお母さんが話しかけてきた。
「びっくりするぐらいちょうどいいです」
「ならよかったわ」
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい」
若葉の家に向かっている途中...
「若葉ちゃんの家は意外と遠いです」
「じゃあ何で仲いいのさ」
「幼稚園が一緒と言うのと親同士の仲が良かったからですね。生まれたときからお隣さんだったそうです」
「へ~」
そうして他愛もない会話をしているうちに若葉の家に着いた。遠いとは言っていたが子供の足で五分程度であった。
「お姉ちゃん」
「なんですか?」
「別に遠くなくない?」
「遠いですよ!若葉ちゃんと会うのにそんなにすぐ着かないじゃないですか⁉」
「さいですか」
若葉の家は家が大きいというより土地がでかいという感じであった。道場的なところと一軒家がたっており、家は上里家よりも小さかった。
ピンポーン
俺が若葉の家に対して感想を心の中で言っているうちにお姉ちゃん背伸びをしてインターフォンを押していた。
『はーい』
若葉ではない声が出た。女性の声だったので恐らく母親だろう。
「上里です。若葉ちゃんに会いに来ました」
『上里...?あ、ひなたちゃん⁉え...ん...?まぁいいか...あとで電話して何があったか聞けばいいし...入ってきていいよー』
そうして俺らは乃木家のテリトリーに入る。そして家のドアの前に行くと目の前でドアが開き、金髪の三つ編みロングの美人が出てきた。そしてその美人は俺の方を見てなんだこいつみたいな顔をした後にお姉ちゃんの方を見て話し始める。
「おはようひなたちゃん」
「おはようございます。若葉ちゃんのお母さん」
「...えっと...その子は?」
「昨日から私の弟になったひなとです」
俺は適当に会釈をしとした。
「...そう...えっと若葉なら部屋で寝てるわ」
「わかりました。お邪魔します」
「お邪魔します」
そうして俺らは若葉の部屋であろうところに向かった。
「え、どゆこと?え?弟?と言うかひなたちゃん変わりすぎてない?...とりあえず聞いてみるか」
美人が電話に直行したのは言うまでもない。
「ここが若葉ちゃんの部屋です。いつも休みの日だったり若葉ちゃんが鍛錬している日は起こしに行ってあげているんですよ」
「へー、昨日はいかなかったの?」
「あ、昨日は若葉ちゃん達は朝から出かけていたので...じゃ、早速起こしに行きましょう」
「あ、行ってらっしゃい」
「?ひなとも行くんですよ?」
「あのねお姉ちゃん...よく考えてみてよ?俺昨日キックされたばかりなんだよ?そんな人が自分の寝ているところにいたらどうよ?」
「?」
「普通は嫌なんだよ...だから起こした後に入っていいよって言われたら入るから...それまでは俺は入らないよ」
「...そうですか...じゃ、起こしてきますね」
「うん、行ってらっしゃい」
俺がそういうとお姉ちゃんはドアを開け若葉の部屋であろう場所に入っていった。
そして数十秒後...
目の前のドアは開き、少し寝ぐせのある金髪ロングがものすごい顔をして出てきた。そして俺に掴みかかってきた。
「ひなたに何をした⁉」
「適当に敬語を教えただけです」
「敬語だと...?」
「あー、もう、若葉ちゃん何やってるんですか?」
「お前の変化について聞いていたところだ」
「変化?ああ、この敬語のことですか?ふふん♪私はこれでお姉ちゃんと大人に近づいたのです」
「?まぁ確かに近づいてはいるが...」
「これに関しては俺はほんとに敬語を教えたというか正確には教えていないんだけど...なんか話している間にこうなった?」
「え、話しただけなのか?」
「うん。敬語を教えてとは言われたけど俺、修正と言うかこれ違うっていうの一回もやってないから...」
「はぁ~、もう訳が分からん...でもひなたはひなただ。いつも通りに接するとしよう」
「そんなことより若葉ちゃん」
「なんだ?」
「もうすぐ鍛錬の時間では?」
「...あー!そうだ!やばい早くいかないと...向こうに行って着替えてるからゆっくり来てくれ!」
そう言って若葉は走っていった。
「もう若葉ちゃんってば...ご飯も食べてないのに...若葉ちゃんのお母さんにおにぎりでも作ってもらいに行きますか」
「ん」
そうそして俺らは若葉のお母さんからおにぎりを受け取ってから道場に向かった。おにぎりを作っている時に若葉のお母さんはおにぎりを全く見ずに俺の方をガン見してたが気にしないことにした。
そして一回玄関から出て柔道場に入った。道場に入るといつの間にか寝癖が治ってアニメやゲームなどで見るポニーテールっぽい髪形をしている若葉がいた。
「意外と遅かったな」
「おにぎりを作ってもらっていましたから...はい若葉ちゃん。栄養はしっかり取らなきゃだめですよ?」
「...ありがとう」
「いえいえ。では私たちは離れたところで見ていますね」
「ひなとには一度見せておきたかったんです。若葉ちゃんの居合...ものすごくかっこいいんですよ」
お姉ちゃんは若葉から離れた後にそう言った。
「...そうなんだ」
そうしておにぎりを食べ終わった若葉は稽古を始めた。真剣でやるのかと思ったが、さすがに五歳児に真剣は持たせておらず、正座をして鞘に入った木刀を抜刀してから声を出して縦に振り、また鞘にしまって正座をするというのを繰り返していた。
(早いな...木刀を抜き出すところが全く見えん)
正直これ五歳児にできていいのか?ということを考えながら俺は若葉を見ていた。
「かっこいいでしょう?」
「うんそうだね」
とりあえず何かを真剣にやっている人はかっこいいのである。
しばらく鍛錬しているのを見ていると、突然若葉は鍛錬をやめこちらに来た。
「なぁひなと」
「なんだい?」
「お前武道はできるか?」
「いや全く」
一応前世の幼少期に空手をやってはいたがもうほとんど忘れている。しかも極真じゃないし。
「そうか、まぁやっていようがやってなかろうが練習に付き合ってもらうがな」
「えぇ...」
「いいじゃないですかひなと!若葉ちゃんのかっこいいところを間近で見れるなんて!」
お姉ちゃんが余計なことを言ったせいで断れなくなった俺は、しぶしぶ立ち、若葉から竹刀を受け取る。少し重いと感じた。
「お前はただ私に切りかかればいい」
「?それだけでいいの?」
「ああ、何なら当ててもいいぞ。無論それを私は居合ではじき返し反撃するがな。まぁ私の居合の方が早いと思ったら弾き返さずに直接攻撃するけどな」
「はぁ...」
そうして俺は集中して若葉と相まみえる。
(ん...?)
その瞬間なぜか体が軽くなり、竹刀も軽くなり、物事をじっくり考えられるような気がしてきた。
(もしかしてこれがアクアもどきが言っていた思った限りのチートってやつか?多分身体強化と戦いのセンス向上?と言うか勇者じゃなくても使えるのかよ...とりあえずそれは後で試してみるとして、で使えたら使えたで現実で使うのはやめておこ...目立ちそうだし周りから変な目で見られるのやだし、一回は自分の力でやってみたいし、使っちゃったらもうそれ以降は気にせず使っちゃいそうだし...と言うか生身で使えるとかやばくない?勇者になった時どうなるんだよ...)
俺は軽い力で刀を振りながら一歩踏み込んだ。すると一瞬で若葉の居合の間合いに入った。若葉の方を見ると一応反応できているのかさやから木刀を抜くところであった。あんなに見えなかった若葉の抜刀も、今ではゆっくりと見える。
(このまま昨日の蹴りの仕返しとしてぶっ叩いてもいいが、そしたら今後毎回付き合わされそうで面倒だな...大人しく刀を弾かれるとしますか)
そうして俺は手の力を少し抜き、ものすごく遅く若葉を斬りかかった。あともう少しで若葉に剣が届くといったところで剣は明後日の方向に吹っ飛び、俺は頭上から衝撃を受け、地面に思いっきり顔がぶつかった。痛みは能力によって抑えられているのかあまり感じなかった。
(そう言えば昨日も地面に思いっきりぶつかったのにそこまでの痛みはなかったな)
「はぁ、はぁ...お前本当に何にもやっていなかったのか?」
「いってぇ...ただただ足が速かっただけだよ...」
「そうか...」
「ひなと⁉大丈夫ですか⁉」
お姉ちゃんが駆け寄り木刀があたったところを触った。
「あー、たんこぶができていますね...」
「すまん、少しびっくりして手加減できなかった。まぁ報いと言うことで」
「若葉ちゃん、そんなことはいいから氷持ってきてください?」
「...わかった」
それからずっとほぼ毎日若葉の鍛錬を見ていた。偶に一緒にやらないかと言われるがすべて断った。別に戦うときに戦闘能力あがるんだしよくね?と思ったからである。後若葉に気を使わなくちゃいけなくなるからね。
そして俺らが小学校に入る数日前のことである。
「だんだん私たちの部屋も物が多くなってきましたね」
そう言ったお姉ちゃんの部屋には、隣通しの二つの勉強机、ハンガーだか何だかにかけられた赤と黒のランドセル、二つのタンス、たたまれた二つの布団...あれ?いうほど増えてなくね?まぁいいか。
「それにしても雨、すごいですね...」
「そうだね」
外は瀬戸内海気候とは?と思うくらいのものすごい土砂降りが降っていて、雷が鳴っていないのが不思議であった。
「とりあえずお風呂に入って早く寝るとしましょう...」
「うん...」
「何ぼさっとしているんですか?一緒に入るんですよ?」
「...これ何回目のやり取りだと思う?」
「さぁ?一回目ですか?」
「よくもまぁそんなこと言えたね...最初にこの家に来てからずっとだよ!」
「でも毎回入ってくれるんですからひなとは優しいですね」
「はいってねぇよ。俺をその気にさせるようなことを言うなや」
「でも一週間に一回は入ってくれるじゃないですか...で、今日はその日ですよ?」
「うぅ...」
結局一緒に入ったのであった。
そして風呂に入って、あがって、再び自分たちの部屋に戻ってきた。
「じゃ、電気消すよ?」
「はい、わかりました」
「お姉ちゃんの布団、入ります?」
「いい」
「釣れないですね...」
そのお姉ちゃんの独り言をスルーして目を瞑ろうとした瞬間であった。
ゴロゴロ...ドドドド...ドカーン!!!!!!!!
突如頭上からとてつもなく大きな音が聞こえて家が揺れた。
(な、何今の音...?と言うか揺れるのやめてくれー...トラウマがよみがえる...)
俺は前世で起きた災害のせいで多少の揺れでも恐怖を感じてしまうのだ。その結果、俺は布団の中で丸まっていた。
「今の音は雷ですね...この家は若葉ちゃんの家よりかは小さいですが、縦にはおっきいですしね...あと避雷針?がついているらしいので雷は毎回ここに落ちるんですよ...ひなと、大丈夫ですか?」
(今のが雷...?雷ってこんなに怖いものだったっけ...うぅ...雷までトラウマになりそう...)
「ひなと?」
「ん?お姉ちゃん何?」
「大丈夫ですか?布団は入ります?」
「...」
ドカーン‼‼‼
俺が長考している間に二回目の雷が家に直撃し、また家が揺れる。限界になった俺は
「入らせていただきます」
とだけ言ってお姉ちゃんの布団の中に枕を持って入った。入った瞬間に俺は抱きしめられ頭をなでられる。
「よしよ~し...お姉ちゃんがついてますよ~」
(これ弟と言うより赤ちゃんなのではないのだろうか...まぁそんなことはどうでもいい。なんか安心するな...そー言えば俺も小さい頃は妹と一緒に寝ようとしてたっけ...じゃあお姉ちゃんもそういうことがしたいお年頃なのかな...いい加減お姉ちゃんをお姉ちゃんとして認めたほうが良いのかもな...どうせこの子は俺よりも大物になるだろうし知識も俺よりもつけるのだろう...ならば今見下して逆転されるよりもう年上としてみたほうが良いのかもしれない。少なくとも俺のせいで精神年齢は俺よりももう高いだろうし...と言うか安心したらだんだん眠く...)
「...あらあらもう寝ちゃいましたか...」
朝になり目を開けるとお姉ちゃんの顔が目の前にあり少し驚いた。お姉ちゃんは静かに寝息をたてていてまだ寝ているようであった。
(相変わらずかわいいな...)
俺はお姉ちゃんが起きるまでお姉ちゃんの寝顔を見ていたのであった。
感覚的にはゲームのスーパーホットみたいな感じです。(自分が動くと周りの時も動く)