明日のヒーローアカデミア/White Rabbit Compassion   作:软糖哭泣

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第一章 阿爺下頷
痛苦


「緑谷…今ここから立ち去るのであるなら命は見逃す。帰れ。」

叶夢はゆっくりとそして冷徹に緑谷にそう告げる。

「壊理ちゃんを返して。叶夢さん。」

緑谷は恐怖で少し固まった口を無理やり動かして叶夢に懇願する。

「なぜ?」

その言葉に緑谷は少し怒ったような顔をして。

「死穢八斎會を全員殺して挙句少女1人を誘拐するなんてあっていいわけないだろ!」

緑谷は叶夢に向かって怒鳴るように言う。

「緑谷私の答えは変わらない。帰れでなければ、お前も仲間も家族も全員殺すぞ。」

叶夢は私は本気だと言わんばかり表情で緑谷を真っ直ぐ見つめる。

「っ…!なんで?…なんで叶夢さんは道を踏み外したんだ?」

緑谷は泣きそうな顔で叶夢に問いかける。

「踏み外す?何を言ってる。私は何一つ変わらない。」

「そんなこと無かった!叶夢さんは確かにヒーローだった。怪我している子供をほっとけなくて、泣いてる子がいたら一緒に向き合ってあげられる。そんな優しいヒーローだったじゃないか。」

緑谷の訴えに隣にいたアーミヤは少しため息をつき。

「まさかここまでとは…」

呆れがこもった声で緑谷を見てまた興味無さげにドクターの方をむく。

「緑谷、お前が何を言おうと、彼女を返す訳には行かない。」

叶夢は緑谷に向かってそう淡々と告げる。さらに続けるように

「それに私が彼女を保護してなんの問題がある?」

叶夢はため息をつきながらそう言う。

「壊理ちゃんはヒーローで保護するべきだ。そうすれば個性の扱い方を学べる。」

緑谷の言った事に話すことがないと思ったのか叶夢は席を立つ。

「緑谷…そんなに彼女を取り戻したいなら、取引しろ。お前たちが私たちの望むもの、それと同等と思われる者を提供できるなら考えなくもない。」

「人は道具じゃない!」

「そう言う事を言ってる訳では無いんだが…ケルシー後は頼む。私にはあれの相手は少々不得意だ。」

そう言って叶夢ケルシーの肩を叩き部屋を後にする。その後を追うようにアーミヤも部屋を立ち去る。

「これは温情だ。緑谷出久。ドクター自身は壊理と同等もしくはそれ以上の存在をこちら側に提供してくれるのであれば交渉の席に座るのはやぶさかではない。そう言っている。今回の件は君一人の独断では難しいだろう。今から4日後に私とアーミヤを含む者で交渉談を行う。そこに君といずれかの決定権を持つものと一緒に来てくれ。話はまたその時にしよう。ひとまず今日はお帰り願いたい。」

ケルシーの淡々とした事務的な内容に緑谷は少したじろぎ再度言葉を発する。

「壊理ちゃんの為にここで引く訳には行かないんだ。」

「そこは引くべきだと私は思う。」

ケルシーは冷静に緑谷に言う。そしてひとつため息をつき、

「どうやら私達は根本的に君達を好きにはなれそうにない。」

「それがなんだって」

緑谷はケルシーを睨む。

「君達の考えで壊理はほんとに幸せになるのか確実に?」

「何を言って?」

「そもそも保護する者が変わっただけだ。そこにヒーローも我々ロドスも関係ない。当然私たちには彼女の持つ力に注視した点がある。それは認めよう。だが我々ロドスはあくまで製薬会社。医療関係を生業にする職業。彼女自信が幸福でなければそもそも我々の存在意義と根本から相違してしまう。そこを留意すれば君達と私達どちらが保護しようと大きな変化はない。」

「死穢八斎會を皆殺しにしてはいそうですかと納得出来ると思ってるのか?」

緑谷はケルシーの圧に押されながらも反論する。

「納得も何も事実だ。そもそも君達の方が私としては信用出来ない特に君やオールマイトは…」

その言葉に緑谷は後ろにたじろぐ

「ヒーローとは正義を実行するものと言っていたな。では親を目の前で殺され。そしてその殺した犯人はその場から消え失せる。ある日その犯人は捕まり。刑期を全うしても反省の色はなく釈放。そして目の前には親を殺された子供がいる。この時人間としての正義はなんだ?」

「それは…」

緑谷はさらに後ろに後退る、

「これ以上自分のような存在を増やさない為に殺すことが正しいのか?それとも自分は復讐せずにまた新たな犠牲者を増やすのが正しいのか?」

「そんなの極論だ。」

緑谷の言葉にケルシーは耳をピクっとさせ

「そうか?だがありえない話ではない。君達の言う正義はカウンターだ。物事が起きた後に動く事を前提としている。それで犠牲者は減るか?もし何か起こる前に行動するのならそれはヴィランと何か違うのか?罪を犯すかもしれないとその人間を捕まえるもしくは殺害する事は、果たして正義なのか?そんな事も考えたことがないのか?…だんまりか…緑谷…君達の正義は多数で作った民意と言う多数決の正義だ。君達は都合の悪い者を悪として罰する。故に君たちは自分を正義の味方のように演出しているが、君達のそれはあくまで独善的な行動の集大成であり。一種の自慰行為だ。」

緑谷は苦虫を噛んだように唇をかみ

「ヘラグが言っていなかったか?お前達の正義は我々の知る正義では無い。そもそも我々は正義などそんなもの存在しているのか分からない。だから足掻くしかないんだ。」

そう言ってケルシーは、緑谷にメモが書かれた紙を胸に投げつけてそのままクロージャの開発した手榴弾型強制転移装置を緑谷に投げつけてこの場から強制退去させた。

 

 

 

「正義か…私達の行き着く先は一体どこなんだろうか…君は答えを見つけたのか…テレジア…」

 

 

 

ケルシーの、そんな泣きそうな声は決っして誰にも聞かれることは無かった。

レユニオンの登場はあった方がいいですか?

  • パトリオットのみでいい
  • ある程度は登場させる(主要メンバー)
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