明日のヒーローアカデミア/White Rabbit Compassion   作:软糖哭泣

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現実

「…」

ケルシーの後ろを歩く4人は終始無言だった。

「席にかけてくれて。」

そう言いながらひとつの部屋に招き飲み物と共に席に着くように促す。

「私はドクターとアーミヤ、クロージャを呼んでくる。少し待っていてくれ。」

そう言いケルシーは緑谷達から離れる。

「…オールマイト」

緑谷は不安な気持ちを押し殺すようにオールマイトの方を見る。

オールマイトは少し額に汗をかきながら待っていた。

 

「お待たせしました。あー。そのままで大丈夫です。」

そう言ったのはまだ緑谷達と年が離れていない1人の少女だった。

「初めましての方の方がおおいですよね。私はこのロドスアイランド製薬会社CEOアーミヤと申します。そしてこちらが医療最高責任者兼ロドス医療プロジェクトリーダーのケルシー先生。全軍指揮系統最高責任者兼神経学者、オリパシー研究の第一人者ドクターZERO。研究開発部門最高責任者クロージャさん。本日の会談はこちら4名が相手をさせていただきます。」

歳の割にあまりにしっかりと喋るアーミヤに驚きつつ相澤が返すように挨拶する。

「私は雄英高校ヒーロー科A組担任兼プロヒーローイレイザーヘッドとして活動しています。こちらは現在No.1ヒーローエンデヴァー。そして元No.1ヒーローオールマイト。雄英高校ヒーロー科1年緑谷です。」

「メンバーの確認は取れましたでは時間もありませんし早速会談と行きましょう。先生よろしいですか?」

そうアーミヤはケルシーを見る。

「あぁ。」

ケルシーはそう言い各々席に着く。

(あれが叶夢少女!?あの異様な殺気はオール・フォー・ワンと同等いやそれ以上にすら感じる。)

オールマイトは自分の前に座るドクターに内心驚きつつケルシーの言葉に耳を傾ける。

「ここからは私が情報の整理。並びに要求そしてそちらの要求のすり合わせを行いたい。ではまず。我々の今回の死穢八斎會襲撃に関しては君達の世界の情勢を考慮していなかった。その点に関してはまず謝罪しよう。」

ケルシーの思いもよらない行動にヒーロー側はたじろぐ。

「ただヒーローエンデヴァー氏が見た通り我々の世界には、余裕が無い。その為我々としてもそうせざるおえなかった。」

ケルシーが淡々とそう言う。

「そう言われてもはいそうですか。と納得できる訳では無いですが?」

相澤がそう言う。

「エリ少女の救出作戦はドクターを通じてこちらも知っています。が、正直に申しますとドクターたった1人に敗れあまつさえ少女の救出に失敗したのはそちらではありませんか?」

「それは、叶夢さんが仲間だと思っていたから!」

緑谷がそう言う。

それに被せるように

「では自分達ヒーローは全員裏切らないそう言った慢心があった。そう解釈しても宜しいと。」

ケルシーは容赦なくそう言う。

「君達の言い分はわかった。確かに我々の怠慢が今回の事態を引き起こした。それは認めざるおえない。だが、それでエリ少女を諦めろとはならない。」

オールマイトがそう言う。

「そうですか。では次にこちらを」

そう言ってケルシーが、ヒーロー達に1枚の紙を渡す。

「これは?」

エンデヴァーがケルシーに聞く。

「これはエリ少女のここ数週間のバイタルチェック情報です。これを見てもらったらわかるように全体の数値は至って健康体そのものまで戻っています。さらにメンタル面のケアが必要だった為アーミヤを初めとするオペレーター各員でメンタル面のケア。そして私を含む医療オペレーターで精神的負荷を、和らげるためのカウンセリングを実施しています。」

その完璧とも言える対応にヒーローは少し戸惑う。

「仮にこれが本物だと仮定して、個性の方はどうする?あの個性はイレイザーヘッドの個性でしか打ち消せないと聞いたが。」

エンデヴァーは、切り口を変えて聞いてくる。

「それは私から説明するよ!」

そう言ってクロージャが紙を渡す。

「これは私とほかのオペレーターと共に開発したAI搭載型の個性抑制マシーン!その名もeri110!これには死穢八斎會から入手したエリちゃんの情報を元に自分の個性にリミットをかけれるようにしたものだよ!私の自信作!さら…「要するに」むー」

ケルシーがクロージャの説明を遮り

「この装置はエリ少女の周りに常に存在し護衛兼個性の抑制を促す物質を放出する。またAIに自動学習させており人間と同等の発言が出来る為相談相手としても機能する。また、エリ少女の個性が制御可能となった時この装置は医療ポッドとなりエリ少女専用の医療オペレーターとなる。」

相澤は、その装置の事が書かれている紙を熟読し、非の打ち所が無いと目を離す。

「では教育面は?失礼ですが、この世界でまともな教育ができるとは思えないのですが」

オールマイトがそう聞く。

「教育についてはドクター」

そう言ってドクターは無言で立ち各々に資料を配る。ドクターが動いたことによりヒーローは、少したじろぐが大人しくその紙に目を通す。

「それは今現在のエリの成績君達の世界基準に合わせた。」

それを見てヒーローは黙る。

「いずれも君達の世界水準を大きく超えている。本人が努力家というのもあるだろう。数年待てば私を超える学力ぐらいは手に入る。」

(叶夢を超える…)

相澤は、叶夢の頭の良さをよく知っている。それを踏まえて超えるそう言われれば何も言葉を紡げない。

「あなた方ヒーローはやり方に疑問があるのだと思います。ですが、保護したという点を見れば私達は貴方方を超える教育と医療設備を準備できます。こんな世界ですが、技術の発展はあなた方より進んでいます。これでも納得できませんか?」

ケルシーは畳み掛けるようにヒーローに問う。

「この世界にいたら何時命の危険があるかわかったもんじゃない。例えどれだけの設備があろうと日常的に人を殺し殺される環境で育てるのは間違っている!」

緑谷はそう言い途端にアーミヤの顔が怖くなる。

「それは私達への存在否定ですか?」

アーミヤは静かに怒りを露わにして緑谷に問いかける。

「ちが…」

緑谷は直ぐに否定しようとする。

「何が違うんですか?私達の信念は昔から変わっていません。この台地を少しでもマシなものにしたい。誰もが安心して過ごせる世界にしたい。それを願って…いえ果たすために戦っています。私だって手を汚さず救えるならとっくに救ってます。でもそれが出来ない。深く深く根付いたこの因縁は簡単には断ち切れない。けどやらなければ、やり遂げなければいけないんです。だって他にやれる人はもう…いないんですから…」

アーミヤの悲痛の叫びを聞き緑谷は動揺する。今までの自分の信じたヒーローとあまりにかけ離れている。ヒーローは常に笑顔でみんなの希望にならなければいけない。

それがヒーローのあり方。だけど今目の前にいる彼女は苦しそうにもがく怒りを露わにしてまるで悲鳴を上げながら誰かを助けている。ヒーローとは言えない。誰かを助けるのに自分が辛そうにしては、皆が不安がってしまうから。それなのに言ってることはヒーローのそれに近い。誰かを救うその点は合致している。緑谷は、あまりに違う考え方のアーミヤを理解できなかった。でもその悲痛な叫びは死柄木弔にも似た助けなければと言う緑谷の正義感を煽った。

「すまない。君達の世界の事を軽率に考えていた。だが、緑谷の意見は最もだと考える。いつ死ぬか分からない。こんな状況で1人の少女の安全をしっかり守れると言えるのか?」

エンデヴァーがそう詰寄る。

「絶対の保証はできません。ですがそちらの世界でも保証ができるのですか?」

「少なくともここよりは、できると踏んでいます。」

相澤がそう答える。

「そうですか…ですが私独自の調べによるとヒーローオールマイトが、引退したことにより暴動の数が増えている。そして、ヴィラン連合などと言う組織が着実に力をつけています。私の予測だとあと4ヶ月もしないうちにあなたの国の軍事力を遥かに上回る戦力となるでしょう。それを踏まえてもう一度聞きます。安全が保証できるのですか?」

ケルシーが語気を強くしてヒーロー達に詰め寄る。

「私達、ヒーローは難関な競走の果てに生まれた。その為今では多くのヒーローが優秀な戦力としている。この状況下で、ヴィラン連合に遅れを取ることはないはずです。」

オールマイトがそう答える。

「(ウルサススラング)まるで話になりません。オールマイト。それは貴方を基準として考えた時でしょう。今現在のヒーロー社会はあくまで俳優や芸人の風潮が強い。そんなものは直ぐに音を出して崩れ去りますよ。ですが我々には関係の無い事です。こんな話をしていても不毛。本当は使わずに済むならそれでいいと思っていましたが…」

そう言ってケルシーは紙束をすっと差し出す。ヒーローがそれに手をかけようとした瞬間すっと紙を引く。

「これはヴィラン連合の内部事情。死柄木弔の個性の詳細。今現在のヴィラン連合協力組織。オールフォーワンの個性ストックの限界値。そしてヒーロー側の裏切り者。その情報の全容です。」

ケルシーの言葉に一同が驚く。ヴィラン連合の情報を持っている。その事実でも驚きなのにヒーロー側の裏切り者まで特定しているという始末。

「どうやってそれを…」

オールマイトがそう聞く。

「企業秘密だ。君達の選択肢はこのヴィラン連合の情報を手土産にエリ少女を諦めるか。私達ロドスとヒーロー側の戦争をするか。我々にはさっきも言ったように余裕が無い。必要とあれば禁忌に手を染める事だってある。さぁどうする。」

ヒーローはその情報を手に入れれば明らかに戦況が楽になり多くの市民ヒーローを救える。だがその犠牲は1人の少女。手に届く全てを守ろうとするヒーローにはあまりに難しい選択肢。

「少し時間を頂きたい。近いうちに答えは出すつもりです。」

相澤がそう言い放ちほかのヒーローもその意見に賛同する。

「あまりに時間はかけないで欲しい。少なくとも3日以内に答えをくれ。」

そう言ってケルシーとアーミヤ、クロージャは席を立つ。

「ケルシーはあー言っているが、私はお前たちの事なんてどうでもいい。あの条件は君達に対するケルシーなりの優しさだ。だが、契約が成立しなければ君達に手を出さないという事も、エリを返すということも何もかもが最初からなかったことになる。つまりその間に状況が変われば君達を殺す選択は何時でも取れる。だから死にたくなければ早く答えを出すことだ。」

そう言ってドクターは、席を立つ。

「待ってくれ叶夢少女!」

オールマイトはそう引き止める。

「君にとってA組のみんなは何ともない相手だったのかい?」

その言葉にドクターは、少し戸惑い。

「愛着はある。が、守るべきものはとうの昔に決めた。はず。私は私の責任を最後まで貫く。でなければ円満な解決は一生訪れない。」

そう吐き捨てて、外にいたモブオペレーターに帰還させるようにと答えが決まった時用の連絡ツールを渡し案内するように言った。

「では、ご帰還の準備をしますので少々この部屋でお待ちください。」

モブオペレーターがそう言い10分で準備は終わり元の世界に帰還した。

ヒーローは、何の成果もなしにこの地に戻ってきた。

レユニオンの登場はあった方がいいですか?

  • パトリオットのみでいい
  • ある程度は登場させる(主要メンバー)
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