鬼畜王じゃないランス   作:F-Shinji

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第3話:かなみちゃん……ぼくの事をそんな目で……

 

 

 

 

……遠征の為にリーザス城を出発してから丸2週間後。

 

ようやくリーザスの城下町に戻ってくると、俺は"うし車"から降りながら溜息を漏らした。

 

正直、乗り心地が良くなくてケツが割と痛かったから、今度はクッションでも用意しとくかな……

 

いや、現代のバスや電車みたいに内部を改造するのも有りだろうし、色々とアイデアが浮かんでくる。

 

 

「ふ~ッ、到着っと」

 

「お疲れ様でした。ランス王」

 

「あァ。ハウレーンこそな」

 

「それにしても……大丈夫だったの?」

 

「何がだ? かなみ」

 

「えっと、主に体調とか」

 

「別に"うし車"で気持ち悪くはなってないぞ?」

 

「酔いじゃなくて! 迷宮で凄いペースで狩ってたみたいだし」

 

「それに関しては竜角惨サマサマだな。何をどうやってアレを開発したんだ? ハピネス製薬は」

 

「知らない。でも値は張るけどね」

 

「今は王様だから、予算的には何も問題無い」

 

「冒険者の殆どは金の為に戦いますが、レベル上げが目的……かつアイテムの消耗を気にしない場合は……」

 

「従来の価値観からすると、無茶をしてる様に見えても仕方ないのかもな」

 

「そ、そうみたいね。まァ、私も竜角惨を沢山貰えたから、移動には苦労しなかったんだし……」

 

「うむ。正直、あんなに早く合流してくるとは思わなかったぞ? ゆっくりして良いって言ったのに」

 

「い……入れ違いになるのが嫌だったダケよッ」

 

「ともかく、良い鍛錬をさせて頂きました」

 

「俺的にはまだまだかな……レベル32だし……」

 

「十分に凄いペースよ……私と再会した時は20だったのに」

 

「何にせよ、あの迷宮はもうダメだな。新しい場所を探す必要が有る」

 

「(ランス王の目指す場所は遠いと見える。やはり本気で魔人をも倒すつもりだと言うのか……?)」

 

「……ッ……」

 

 

レベル上げの結果は俺が32。

 

かなみは33。

 

メナドは36で、ハウレーンは33となった。

 

また、かなみの伝達によると殆ど被害も無く"ジオの街"は落とした様で、合併の手続きが終了。

 

臨時徴収も終わった様で"アルカノイド貝"を回収。

 

意味が無いアイテムだけど、ランスらしさをアピールする為のコレクションだ。

 

そんな報告をしてくれたかなみは、帰りの道中は明らかに態度が軟化していた。

 

理由は言うまでもない。

 

だが……彼女と違って、今の会話に全く混ざっていなかったメナドがボケーッとしている事が多かった。

 

真面目に戦っていたので問題には至らなかったが、かなみの態度から、俺との関係を察してしまったのかもしれない。

 

どう対応しようか少しだけ迷ったが、今のメナドには副将としての仕事に集中させる方が良さそうだな。

 

 

「……(メナド?)」

 

「じゃあ、俺は早速リアの所に顔を出しにでも行ってくるかなァ」

 

「私も父に報告をしようかと思います」

 

「なら途中まで行かないか? ハウレーン」

 

「はッ。御一緒させて頂きます」

 

「そんなワケだからかなみ。"うし車"の処置とかは頼んだぞ? 面倒だったら兵に任せても良いからな?」

 

「あッ、うん」

 

「…………」

 

「ちょっとちょっとッ、メナド!! ランスもう行っちゃったわよ!?」

 

「!? えッ? も、もうリーザスに着いたんだ~」

 

「……それ以前の問題なのね」

 

「ハァ……」

 

「メナド!!」

 

「は、はいッ」

 

「さっきから一体、何が有ったのよ? 私が戻って来てから貴女何か変よ?」

 

「そ、それは……えっと」

 

「私達は親友でしょ? 何か悩みでも有ったら――――」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……3分後。

 

 

「だから、その辺がどうなのかな~って」

 

「つ、つまり……私とランスの関係が気になってたのね?」

 

「うん。攻略が終わった日の夜、かなみちゃん部屋に戻って来なかったし……」

 

「……うぐッ」

 

「きっと、以前の王様とは恋人同士――――」

 

「!? そ、そそそそんなワケ無いでしょ!? 只腐れ縁なダケで、ランスに抱かれたのも任務……そうッ、妾みたいなモノで仕方なく抱かれたの!! だから、そんな寒気のする事言わないでよッ!」

 

「寒気って……どうして?」

 

「ランスと元恋人同士なんて間違われたら、私がリア様に殺されちゃうでしょ?」

 

「あッ……ご、ごめんね」

 

「分かれば良いのよ。だから、気にしなくても大丈夫だからね? 別に無理矢理とか、そう言う類でも無いからッ」

 

「うん。でもまァ、改めて考えてみると……ぼくには最初から関係ない話だったよね……」

 

「関係ないって?」

 

「かなみちゃんは可愛いけど、ぼくみたいな男女が王様の妾になる事なんて、絶対に無いだろうし」

 

 

≪どよ~ん……≫

 

 

「め、メナド?」

 

「きっと、一生ぼくは半人前の騎士として、男の人とは無縁のまま生きて行くんだろうなあ……アハハハ」

 

「何言ってんの? しっかりしなさいよッ」

 

「かなみちゃんとは、そう言う(恋人ができない)意味で親近感も有ったんだけど、残念だよ~」

 

「さり気なく酷ッ! でも大丈夫よ? 既にメナドはランスに目を付けられてるから!」

 

「そ、そうなの?」

 

「だって、私の方こそメナドの事が"可愛い"って思ってるもの。だから自分に自信を持ちなさいよッ」

 

「……うッ……うん、分かった。ぼく頑張ってみるよ」

 

「それでこそ貴女だわ」

 

「王様の妾……じゃなくて――――認めて貰う為にッ!」

 

「ね、ねぇメナドッ! 前者のは本気じゃなくて間違いよね!? 間違いで言ったのよねッ?」

 

「ハッ!? ……それよりも……かなみちゃん……ぼ、ぼくの事をそんな目で……」

 

「話をややこしくしない~ッ!」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……謁見の間。

 

 

「ダーリン!? おっ……」

 

「…………」←耳を塞ぐランス

 

「……ッ?」←釣られて耳を塞ぐマリス

 

「そおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーーッい!!!!」

 

「オマエの方は五月蝿い」

 

「こ、鼓膜が……」

 

「大丈夫か? マリス」

 

「な……何とか」

 

「もうッ! リアに内緒で何処に行ってたのよ~!?」

 

「ソレはかなみから聞いてただろ?」

 

「でも心配したんだからァッ! ダーリンの馬鹿馬鹿、大ッ嫌い!!」

 

 

そう言いつつ、俺の胸板をポカポカと叩いてくるリア。

 

動作の何もかもが可愛いので、そこまで罪悪感が湧かないのが彼女の怖い所。

 

だが、ある程度好きにさせたら直ぐに手を引いたので、本気で怒っている訳では無さそうだ。

 

 

「どっこいしょっと」

 

「お疲れ様でした。ランス王」

 

「あァ。それよりジオの制圧は問題なかった様だな?」

 

「御伝えさせた通りです」

 

「なら次はレッドとハンナ辺りだな。どちらも500万Gの資金提供を条件に合併を促してくれ」

 

「断られた場合は如何しましょう?」

 

「残念だが武力制圧だ。天才軍師が居るハンナとは、出来れば揉めたくない所だけどな」

 

「畏まりました」

 

「じゃあ、次の臨時徴収はジオで行ってくれ。割と溜め込んでるイメージが有る」

 

「妥当なところですね」

 

 

――――今は4月の2週目末。

 

記憶では5月の1週目には魔人+魔物の軍勢がリーザス城に攻めて来る。

 

ソレまでに"魔剣カオス"を入手し、レベルを可能な限り上げて置きたい。

 

序盤のイベントながら、ぶっちぎりで命に関わりそうだしな~。

 

ゲームでの魔人戦だと、例えばランスなら……平地戦で1000名の部下を盾にしつつ安全に攻撃を加えていたが、現実では絶対に無理そうだ。

 

逆に、後のシリーズの様に俺がカオスを持っているダケで『無敵結界』を破れるなら、軍隊規模で襲えば楽勝かもしれないんだが……沢山の死傷者が出ても、ゲームと違って容易に補充できない兵数を考えると、何度も行える手段では無いだろうし、結局は『ランスパーティー』のレベルが全てだと言える。

 

そうなるとレベル32ではオハナシにならないので、少なくとも40以上……出来れば50にはしたい。

 

また、カオスの仕様次第でレイラさん・リック・コルドバ・メナド・かなみ・メルフェイスと、個人の才能限界が高い面子にも魔人への攻撃に加わって貰う事で、より奴等を倒し易くなる筈だ。

 

尚、初めて対峙する事になりそうなのはラ・サイゼルで、才能限界値は120前後の氷の魔人だったか?

 

一人で倒すのは不可能だろうが、仲間との連携が可能なら『無敵結界』という自惚れの不意を突き、意図していないダメージを与えて動揺させれば、一気に畳み掛ける事が出来るだろう。

 

よって極端な話、魔人の攻撃に有る程度耐える事ができつつ、かつトドメを刺せる火力を得る為のレベル上げと言って良い。

 

そのレベル上げの次の場所が……レッドの南東に位置する『ハイパービル』である。

 

記憶によると、有用な『知恵の指輪』が存在する。

 

或いは、ハンナの南東に位置する解呪の迷宮。

 

数多くのイベントを消化できる場所なので、其方も攻略が必須だ。

 

リーザスを守るダケならレベル上げは程々でも良いんだが……毎週毎週倒せない魔人相手に防衛とか、現実となった今じゃストレスが溜まりそうなので、冒頭と言うのに色々と画策する俺だった。

 

いずれ小川 健太郎・サテラ・メガラスが加わるとは言え、早急に魔人を潰すに越した事は無いのだ。

 

全く支援する手段が無かった、ホーネット軍の負担を減らす事にも繋がるかもだしな。

 

そんな事をマリスと会話した後に黙って考えていると、リアが既に俺の正面を20往復以上していた。

 

マリスも直立不動で、黙って頭の中で予定を纏めている事が多いらしく、俺が似た様な雰囲気だったのか口を挟んでこなかった辺りが、甲斐甲斐しくも感じてしまう俺サマ。

 

だが、思考を停止してリアの方を向いた直後に、待ってましたと言わんばかりに声を掛けて来た。

 

 

「ねぇダーリンッ! お話とか終わったんなら、いい加減エッチしようよ~っ!」

 

「う~ん」

 

「ランス王……」

 

「酷いよ~ッ! なァ~んでかなみとはエッチして、リアとはしてくれないの~っ!?」

 

 

それは彼女と暫く冒険をして、信頼を得たゆえでの結果なんだが、いずれはリアともそうなれば良いとは言え……

 

 

「あのなァ。少なくとも"こんな場所"で、そんな事を言われちゃ萎えるんだよ」

 

「そ、そんな事言ったって~ッ」

 

「お前もそう思うだろ? マリス」

 

「はい、その……少々、場所を選んで頂けると……有り難い気は……」

 

「もうッ! マリスもダーリンと同じ事言うのォ!? 大っ嫌ァい!!」

 

「が~ん」

 

「ほほォ。じゃあ俺の事も"大嫌い"なんだろ? だったら抱く必要は無いなッ」

 

「えぇッ!? ど、どうしてそ~なるのよぉ!! ……うぅ……ひっく……」

 

「り、リア様?」

 

「ありゃ(……からかい過ぎたか?)」

 

「グスッ。リアは……ダーリンの奥さんなのにぃ~ッ」

 

「……ったく」←頭を掻きながら

 

 

≪――――ぽんっ≫

 

 

「ふぇッ?」

 

「そんな事で泣くな。お前らしくもない」

 

「リアにとっては、重要な事だよォ」

 

「だったら今から"デート"でもど~だ? 何気に初めてだろう?」

 

「!? そ、そう言えば一度も……わ~い!! ダーリンとデートなの~ッ!」

 

「良かったですね。リア様(……デート自体初めてじゃないかしら?)」

 

「それじゃ~ダーリンッ、早く行こぉ~!?」

 

「やれやれ。後は任せたぞ? マリス」

 

「はい。行ってらっしゃいませ」

 

「えっとねえっとねッ! 先ず最初は、ホテルに入るの!!」

 

「それはデートと言わんだろうがっ!」

 

「(ランス王とリア様……一応は旨くいっていると見て良いのかしら?)」

 

 

――――ちなみに騒ぎまくったリアは結局疲れて寝てしまい、今日も彼女とのHを回避できた。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……翌日。

 

既に本日から"お忍び"でレッドへ旅立つ事を決めていたので、リアを撒くのに苦労してしまった。

 

今は一人で廊下をスタスタと歩いているが、途中で"見知ってはいるが初めて会う男女"が何やら話しているのを発見した。

 

そんな2人は俺に気が付くと軽く身形を直し、此方に向かって丁寧な会釈をしてくださる。

 

 

「おや? これはランス王ッ」

 

「エクス・バンケットとメルフェイス・プロムナードだな? おはよう」

 

「はい。おはようございます」

 

「お早う御座います……王様」

 

「エクス将軍は今からハウレーン副将と、ハンナの街に出発だったか?」

 

「はい。交渉が旨くゆけば良いのですがね」

 

「智将としての手腕を期待しているぞ?」

 

「御期待に沿えれるよう、努力する次第ですよ」

 

「うむッ(……まあゲームだと300万Gでも足りるし大丈夫だろ)」

 

「ランス王は再び迷宮に向かわれるとの事ですが?」

 

「!? 知ってるのか? 情報が早いなァ」

 

「ハウレーンに色々と聞きましてね。彼女は、なかなかランス王の事が気に入った様ですよ」

 

「そりゃ~有り難い」

 

「恐縮ですが、迷宮は何処を御選びに?」

 

「レッドのハイパービルを予定している。以前と同じ2週間だ」

 

「成る程……ふ~む……」

 

「……エクス?」

 

 

唐突に考える仕草をするエクスに、俺は彼の名を漏らす一方、メルフェイスは首を傾げた。

 

対して、エクスの思考時間は予想よりも短く済んだ様で、直ぐに此方を見て口を開いた。

 

 

「ランス王。宜しければ、彼女を同行させては頂けませんか?」

 

「え、エクス将軍ッ?」

 

「……何か理由でも有るのか?」

 

「前回の遠征では、メナド副将とハウレーンが同行した様ですので」

 

「他には?」

 

「生憎、僕は個人戦には向きませんが、彼女は非常に力になってくれるでしょうから」

 

「ふむ」

 

「それに――――」

 

「……ッ……」

 

「それに?」

 

「何と言うか……少し問題が有りまして、僕が彼女を連れて"ハンナ"に向かうよりは、ランス王に託す方が都合が良いんですよ。理由は僕の口からは申せませんが……」

 

「ほう」

 

「メルフェイス。君はどんな考えだい?」

 

「……そうですね……私の"大変な時"が近いと言うのに、ハンナと交渉をしている将軍の妨げになるよりは、ランス王と行動させて頂いた方が、迷惑が掛かり難いかもしれません……」

 

「????」

 

「例え最悪の結果が訪れたとしても……迷宮でしたら、ひっそりと逝けますし……」

 

「何を言うんですかッ。ランス王が色々な意味で"強い方"だと言うのは保証しますよ? 僕よりも余程ね」

 

「全く話が見えないんだが?」

 

 

彼女が薬の副作用で【2ヶ月間強い男性に抱かれないと狂死する】事は知ってるが、知らん振りをする俺。

 

抱いてた女を躊躇い無く俺に託すエクスもどうかと思うが、彼は"抱くけどソレだけ"と割り切れる奇特な人間なのだろう。

 

だったら、多少は感情移入できる俺の方がマシなのかな~?

 

何と言っても、相手は超絶美人の長髪金髪女性(25)だし。

 

身長も今の俺(ランス)と同じくらい有る……のはさて置き、現段階の彼女は非常に頼りになる筈だ。

 

 

「すみませんランス王。近い内に分かると思いますから」

 

「精一杯頑張りますので……宜しければ、私を御連れください……」

 

「分かった。丁度戦力が欲しかったし、元々何人かには声を掛けるつもりだったが、そう何度も副将を連れて行くワケにはいかんしなァ」

 

「有難う御座います。それでは、僕はコレで失礼致します」

 

「あァ」

 

「(彼方の意味でも彼女を無事に守れるのか? 申し訳ないですが、試させて頂きますよ? ランス王)」

 

「それでは……その……」

 

「うむ。よろしく頼むぞ? メルフェイス」

 

「は、はい……此方こそ……」

 

 

う~む……どうも彼女の瞳には、生きる気力が感じられないな。

 

最初のかなみよりも遥かに酷いし、メナドとは完全に正反対だ。

 

こりゃ~原作通り、いずれは部下と結婚して頂くに限るのかもしれない。

 

戦争だと解呪せずとも微妙だった気がするが、個人戦だと期待出来そうなので様子を見るに限るな。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……5分後。

 

 

「はァ……また迷宮に付き合わされるのね?」

 

「悪いな。かなみ」

 

「別に良いわよッ。それよりも、何の為に私を呼んだの?」←謝られるのは慣れた様子

 

「前回と同じ準備をして貰いたい」

 

「……うし車の手配ね? でも……3人ダケで良いの?」

 

「一応、レイラさんには声を掛けるつもりだ。生憎、メナドはリックとレッドに行くしな」

 

「流石に親衛隊はリーザスに残ると思うけど? 他の将軍が忙しい今、特にお城を守る必要が有るし、リア様の護衛だって有るのよ?」

 

「無理なら3人で行くさ」

 

「まァ……アイテムの蓄えさえ十分なら、ハイパービルでも大丈夫だと思うわよ? 何せ今回はメルフェイス様が居るし、ランスも最初と比べれば強くなったしね」

 

「そんなに凄いのか? メルフェイスは」

 

「うん。一概には喜べない事だけど……」

 

「すみません」

 

「い、いえッ。謝るのは私の方です! 無神経でしたッ」

 

「ともかく。準備の方を頼んだぞ? レイラさんに会ったら直ぐに行くからさ」

 

「分かったわ(……それだけ必死に……少し妬けちゃうかも)」

 

 

≪――――ッ≫

 

 

「それで、今の時間は何処に居るのかな?」

 

「……確か訓練をされていた気が……御案内致します」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……更に5分後。

 

 

「残念ながら都合が悪いですね」

 

「ですよね~」

 

「ですが、指示なされたのはマリス様です。ランス王に撤回して頂ければ、私が護衛に当たる事も……」

 

「いや構わん。アイツの組んだ予定を無理に狂わせたくない」

 

「……そうですか」

 

「それよりも」

 

「はい?」

 

「俺の事は、以前と同じ様に呼んでくれて構わないぞ? 敬語も要らん」

 

「!? ……それなら……ランス君……で良いかな?」

 

「うむ、グッドだ」

 

「ふふふッ。相変わらずで安心したわ」

 

「そうかなァ?」

 

「……どうやら、難しかった様ですね」

 

「まあ仕方無いさ」

 

「私としては、是非付いて行きたかった所なんだけど……」

 

「別に問題無い。鍛錬の方、頑張ってくれよ?」

 

「勿論です! ……あッ……でも"あの娘"だったら――――」

 

「レイラ将軍?」

 

 

メルフェイスに案内された場所では、親衛隊の女の子達(全員可愛い)が勇ましく訓練していた。

 

そんな中、俺の存在に気付いたレイラさんが近付いて来たので同行を促したが、無理みたいだった。

 

……だが、有る程度は予想していたので気にしない事にする。

 

本来ならかなみと2人で行く予定だったのに、今は3人に増えてるし。

 

よって、この場を立ち去ろうとした俺だったが、彼女が考える仕草をしたので留まっていると……

 

 

「あァーッ! ランスちゃんだ~!!」

 

「お、お前は……ジュリア・リンダムか!?」

 

「!? そうそうッ。ジュリアを連れて行けば、ランス君の役に立てると思うわ」

 

「あれッ? でも、ジュリアって確か……」

 

「コレでも凄く強いの。悔しいけど、私に勝つ事も有るのよ?」

 

「そーだよ~ッ! ジュリアはつッよいんだぞーっ!? にゃははははッ!」

 

「でも……本当に"強いだけ"だから、部隊は到底任せられないけどね……」

 

「う~む、納得」

 

 

訓練中だったっぽい『ジュリア・リンダム』が、俺の姿を発見したのか此方へと走って来た。

 

かなみと同じ17歳ながら見た目がとても幼く、レイラさんが言っている"強さ"とは全く結び付かなかった。

 

しかし、訓練の相手だった親衛隊の女の子が目を回して気絶してるって事は……スーパージュリアか!?

 

……説明しようッ! "スーパージュリア"とは、ハニーキングに改造された超強いジュリアの事なのだ!!

 

"鬼畜王"だと使った事が殆ど無いのでメタ的な強さは覚えていないが、魔人戦で役立つなら今回を機に是非レベルを上げて欲しいぜ。

 

恐らく"ランス4"で既にハニーキングに強化されていたんだろうが、こりゃ~ナイスな想定外と言える。

 

ランスの冒険の記憶が残ってたら最初から連れて行く選択肢が有ったんだが、他にも似た様な事が増えそうだな……

 

 

「それでェ、何の話をしてたの~?」

 

「今から迷宮に行くんだ。ジュリアも一緒に来ないか?」

 

「これは非常に名誉な事なのよ!? ジュリアッ」

 

「良く分からないけど……面白そうだし行ってみようかな~?」

 

「じゃあ、決まりだな」

 

「ジュリアさん……宜しくお願いします……」

 

「あれぇ? この綺麗な人は誰なの~?」

 

「もうッ。メルフェイス将軍でしょ? それくらい、知ってなさいよ……」

 

 

――――これで頼もしい仲間が2人加入したんだが、ジュリアの頭の弱さが心配になった俺だった。

 

 

 

 




【補足】
例えばリアのデザインは正史と同じですが、鬼畜王基準なので性格がアホの娘です。
メルフェイスはランス10とデザインが全く違っていますが、容姿は鬼畜王の方になります。
メナドも鬼畜王基準なのでランスを呼び捨てにはしませんし、ランス1や3でも出会っていないので前話が初対面です。

【レベル】
ランス   :32/無限
かなみ   :33/40
メナド   :36/46
ハウレーン :33/36
メルフェイス:25/48
ジュリア  :14/38
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