鬼畜王じゃないランス   作:F-Shinji

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第4話:真面目に戦ってたらメルフェイスが倒れた!

 

 

 

 

【LP03年04月3週目】

 

 

「高いなァ」

 

「高いわね」

 

「……高いです」

 

「たっかいね~」

 

 

レッドの南東に位置する"ハイパービル"を見上げて、俺達4人は呟いていた。

 

うち、俺だけは観光気分で感心した様に言ったのだが、他の三人は溜息交じりと言った感じだ。

 

そして十数秒の沈黙の後……右隣のかなみが、コンコンと左手の甲で俺の鎧を軽く叩いて告げた。

 

 

「コレ……本当に登るの? ランス」

 

「あァ。頂上まで行くぞ?」

 

「……出来るのでしょうか?」

 

「アイテムの出し惜しみはしなくて良いし、無茶さえしなきゃ問題無い筈だ」

 

「そうですか」

 

「でも、時間が有り余ってる訳じゃないわよ?」

 

「あァ。2週間でリーザスに戻るつもりだ。只でさえ移動で丸2日使ってるし、間に合わないなら潔く諦めるさ」

 

「2週間……(それまで、私の体が保つのかしら?)」

 

「ハァ~ッ。何だか面倒臭そうだな~」

 

 

――――軽い気持ちで付いて来たが、実物を見てゲンナリした感じか。

 

 

「言ってる傍からボヤくなよジュリア。またヌイグルミを買ってやるから」

 

「!? えッ、ホント!? だったら頑張るよランスちゃんッ!」

 

「はははっ。その意気だ。頼りにしてるからなァ~?」

 

 

≪ナデナデ≫

 

 

「えへへ~っ」

 

「……ッ……」

 

 

――――ハイパービル。

 

その名から連想できる通りの超高層ビルであり、地上201階にも及ぶ高さとの事。

 

ファンタジーな世界に何故こんなモンが存在するのか疑問だが、鍛錬には持って来いの場だ。

 

しかし"ランス3"の事は昔過ぎて覚えていないので『鬼畜王』基準になってしまうが、モンスターの質は"魔物の迷宮"と大して変わらない筈なので、とにかく量を狩る攻略になりそうだ。

 

そう考えれば、俺とかなみダケで攻略しないでメルフェイスとジュリアを連れて来たのは正解だったな。

 

道中で遭遇したハニーやヤンキー等の雑魚の相手をさせた時、2人の実力は本物だった事も分かっている。

 

だけど大人しいメルフェイスはともかく、我侭なジュリア(17)の士気を保たせるには手を焼いているが……

 

厄介な性癖を持つリアよりはマシなので、ランスと違って俺はイライラもせず彼女の"やる気"を煽っていた。

 

よって、今や自然な流れでジュリアの頭を撫でたりしていると、少し距離置いてかなみが不機嫌そうに見ていたので、彼女の方に近付くと小声で対応する。

 

 

「なんだなんだ? かなみ。お前も撫でて欲しかったのか?」

 

「!? ち、違うわよッ! それよりも、幾ら機嫌を取りたいからって、そんな甘やかして良いの?」

 

「なんで?」

 

「出発してから"うし車"の中の荷物が増えていくばかりじゃないッ(……そもそもランスらしく無いし)」

 

「そうでもないとヤる気になってくれないんだから仕方無いだろ?」

 

「で、でもアンタの性格って言うか……王様として、護衛役にどうかと思うって言うか……」

 

「……全く問題無い。じゃあ、とっとと行くぞ!?」(この直前まで小声)

 

「はァ~い!!」

 

「分かりました」

 

「えッ!? ち、ちょっとランス!? 待ちなさいよ~ッ!」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……攻略初日。

 

ハイパービル25階。

 

 

「この階に敵はッ! ……居ないみたいだなァ」

 

「随分と階層によって、モンスターの数にバラけが有るわね」

 

「じゃあ、早く次の階に行こうよ~ッ!」

 

「あッ。ダメよ? ジュリア。危ないわよ?」

 

 

何時の間にか、メルフェイスがジュリアの姉orお母さんみたいな役割になっているのは、さて置き。

 

面倒な事にハイパービルは一階一階が狭いので、次の階段にまで辿り着くには、居合わせた敵を全滅させる必要が有った。

 

今の様に、モンスターが一匹も居ないってパターンも有るが、とにかく戦闘が嵩んでいる。

 

だが『鬼畜王』と違って50~100前後のモンスターは居たりせず、狭いフロア相応のエンカウントであり、4人でも十分楽に勝利を重ねる事が出来ていた。

 

一方、ゲームで1000人規模で攻略する場合は、戦闘域ギリギリの物量で轢いてゆくっぽいので、そりゃ~楽な筈だぜ……

 

反面、真似しても戦闘域が狭いと隊長に経験値が入らなそうだし、そもそも『鬼畜王』だと低過ぎるしで『こちら』の方が圧倒的に美味しいけどな。

 

 

「まァ、ジュリアなら一人で先に上がっても大丈夫だろうけどな」

 

「そ、そうかもね。雑に戦ってるのに、何てデタラメな強さ……」

 

「早くテッペンまで上がって、ランスちゃんにヌイグルミ10個買って貰うんだぁ~♪」

 

「多ッ!? せめて5個にしろジュリア!!(しかも死亡フラグだろッ!)」

 

「……それでも十分多いわよ」

 

「(とても面白い方なのね……ランス王は……)」

 

 

――――こうして、俺達4名の快進撃が始まってゆく。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……攻略2日目。

 

ハイパービル55階。

 

 

「ちいッ! 割と多いが、この程度の数なら……斬り込めッ! ジュリア!!」

 

「どっかああぁぁ~~ん!!」

 

 

≪――――ドドドドォッ!!!!≫

 

 

今回、共に戦う事になったジュリア・リンダム。

 

17歳としても、童顔で小さな女性。(149cm)

 

剣戦闘と盾防御の技能は"Lv0"なので意味が無いスキルと言え、高い才能限界(38)も宝の持ち腐れ。

 

【"才能は秘められた状態"と言う設定ですが、主人公は知らないので上記の様に考えています】

 

だけどハニーキングの改造により驚異的なパワーアップを遂げ、技能も"Lv1"にアップした様だ。

 

よって、今や親衛隊の標準装備の細身の剣ではなく、リーザス正規兵が持つ長剣を装備し、それを身長150センチにも満たない小柄な体で振り回して、モンスターを圧倒する騎士となった。

 

今の戦闘でも、素早く斬り込んだジュリアが前衛のモンスターに剣の身幅(側面)を引っ掛け、そのまま振りかぶる事で後方の魔法型のモンスター等をも巻き込みつつ吹っ飛ばし、そのまま息絶えさせる始末である。

 

流石にタフなヤツは起き上がって応戦してくるが、其処は残りの3人がフォローすれば済む話だ。

 

う~む……まだレベル36の俺だと、レベル18のコイツにも勝てないような気がするんだが……

 

やっぱりレベルのみでは"オロチ"の例も有るしで、相手の力量は計り難い。

 

魔人化によるブーストを越えてそうな、ジュリア程のスペックの人間なら尚更だ。

 

 

「片付いたわね」

 

「あァ。それにしても、ジュリアの動き……かなみ以上に速い気がするんだが?」

 

「うぐッ……で、でも彼女には無駄な動きが多いもの。だから、私ほどじゃ無いわ!」

 

「……よく見られているのですね……王様……」

 

「うん? まァ、動きが速いヤツを見るのは、目を慣らす訓練にも成るしな」

 

「ぶぅ~ッ、かなみちゃん酷ぉ~い」

 

「はははっ。馬鹿にされたくなかったら、しっかりと訓練を受けるんだな」

 

「え~ッ、でもレイラちゃんとかと訓練すると疲れるんだも~ん」

 

「だったらリックを推薦してやろうか?」

 

「そ、それじゃ死んじゃうよ~ッ!」

 

「違いない(……割と良い勝負しそうだが)」

 

「ぶぅ……ランスちゃんの意地悪ッ!」

 

「でもジュリアは強くなってから、最近は真面目に訓練はしているみたいよ?」

 

「そうなのか?」

 

「う、うんッ。"お空"じゃ最初は何も出来なかったけど……今なら頑張る分、強くなれてるし……」

 

「あァ~」

 

 

今の話によると、一応ジュリアにも、以前は親衛隊の"お荷物"だったって自覚は有ったみたいだ。

 

現代で言えば働かない国の役人を税金で養ってる様なモノだし、そう考えてみるとリーザスには必要無い。

 

しかし、今や立派にリーザスの騎士として、王の俺を守る為に戦っている。

 

……何とも良い話じゃないかッ!

 

それにしてもリア……凡人だったジュリアをイラーピュに派遣したのは、マジでどうかと思うぞ?

 

更には、親友の彼女の処女をランスに捧げさせる為に……いや、真面目に考えると頭痛がするので終了だ。

 

 

「でも、頑張りすぎると疲れちゃうから、ジュリアは今のままで良いかなァ~って」

 

「別に良いんじゃないか?」

 

「……えッ?」

 

「少なくとも、今は十分に"仕事"をしてくれてる……そうだよな? かなみ・メルフェイス」

 

「えぇ、間違いないわ」

 

「とても頼もしいです」

 

「だから訓練の話は冗談だ。この調子で頼むぞ~?」

 

「……ッ……わ、分かった! ジュリアに任せといて~ッ!」

 

「ん!? おいッ! 敵も増えて来たし、そろそろ勝手に先には……!!」

 

 

――――元気付けが旨くいったか、再び階段に走り出したジュリアを追って俺も走って行った。

 

 

「仕方ないわね……(もう違和感を気にするのは疲れたわ)行きましょう? メルフェイス様」

 

「……ッ……」

 

「メルフェイス様?」

 

「何でもありません。それよりも、王様とジュリアを……」

 

「は、はいッ」

 

「(あんなに小さなカラダの娘が頑張っているんだもの。私も保つようにしないと……)」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……攻略3日目。

 

ハイパービル85階。

 

 

「え~いッ! いっくぞぉ~!?」

 

『!?!?』

 

 

≪――――ブゥウンッ!!!!≫

 

 

「あ、あれッ? ……きゃッ!」

 

『たこやキーック!!』

 

 

ハイパービルのモンスターに置いて、強敵なのが"たこやき"。

 

1メートル弱の小型モンスター。

 

何故か"バグ"と言う仮面ラ〇ダーっぽい姿に変身する事ができ、手痛い必殺技を放ってくるのだ。

 

出来るだけ変身する前に片付けるべきだが、小さいのでまれにジュリアの攻撃を避けて反撃してくる事がある。

 

実際ジュリアは火力は圧倒的だがタフな方ではなく、防御は体格&レベル相応の低さな上に、盾防御のスキルを持ちながら盾を持って居ないので、食らえばダメージは必至なのだが……

 

 

「何いきなり蹴ろうとしてる訳ッ!?」

 

 

≪――――ガコォンッ!!!!≫

 

 

『!?!?』

 

「ランスちゃん!?」

 

「ランスラァッ!!」

 

『オンドゥルーッ!!』

 

 

そんな時は俺が素早く割り込んで、盾で攻撃を防御する。

 

……さすがメイン盾は格が違った!!

 

思わずブロントってしまったのは、さて置いて。

 

弾き飛ばされた"たこやき"を、リーザス聖剣の一太刀で倒す。

 

そう……実を言うと、俺は今回リーザス聖盾を持って来ており、主に皆を守る役割を担っていた。

 

火力はジュリアとメルフェイスで足りており、撃ち漏らしはかなみが居れば大抵は大丈夫。

 

勿論、俺も火力に含まれるが、適材適所を考えると、どちらかと言うと守りに入った方が良かった。

 

たった今みたいに、幾らかなみでも『ジュリアの攻撃を避けた敵に対する対処』はし難いのは確定的に明らか。

 

 

「大丈夫か?」

 

「うんッ。有難うランスちゃん!」

 

「流石ですね……王様」

 

「それほどでもない」

 

「(け、謙虚なランスとか……)」

 

「世色癌が勿体無いしな」

 

「もうッ、ランスちゃんったら素直じゃな~い!」

 

 

――――昨日から、ジュリアが我侭に対するフォロー無しに、士気が高い様な気がして助かる。

 

 

「とにかく、油断は禁物だぞ? 世色癌で傷は癒えても、食らえば痛いんだからな」

 

「分かってるよ~ッ。それよりも、今の御礼してあげるっ! んん~ッ!」

 

「どわッ!? 殲滅の確認が済んでも無いのに、抱き付いて来るんじゃない!!」

 

「はいはい。ちょっと見て来るから、其処で待っててよ?」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……攻略4日目。

 

ハイパービル115階。

 

 

「ランス! 流石に数が多いわッ」

 

「だが"この程度"の質なら……メルフェイス!!」

 

「はいッ! ――――氷雪吹雪!!」

 

 

≪ビュオオオオォォォォーーーーッ!!!!≫

 

 

ハイパービルの攻略が100階を越えた辺りで、メルフェイスの中級広域魔法が真価を発揮する。

 

10階に一度は多くのモンスターが待ち構えている事が有るが、彼女が容易に一掃してしまうのだ。

 

……かなみ曰く、メルフェイスの範囲魔法は従来の氷雪吹雪より『二回り』は威力が高いらしい。

 

考えてみれば、仕様を完全に無視して『連射』してた氷の矢も、殆どの敵を一撃で沈めていた為『鬼畜王』での微妙さが考えられない強さと言える。

 

 

「残っているモンスターは居ないみたいね」

 

「流石はメルフェイスだ」

 

「でもォ……此処まで強かったら、ジュリアの出番が~ッ」

 

「気が付いてしまったか」

 

「ら、ランスちゃん!?」

 

「冗談だよ」

 

「……ッ……」

 

 

≪――――どッ≫

 

 

「えっ!? め、メルフェイス様ッ!」

 

「どうした!?」

 

「メルフェイスちゃん!?」

 

「…………」

 

「き、気絶してるみたいね……」

 

「うおッ? 凄い汗じゃないかッ」

 

「もしかしてぇ、魔法でカラダの熱を~?」

 

「まさか其処まで……」

 

「とにかく今日は切り上げるぞ!? かなみッ、"お帰り盆栽"だ!!」

 

「う、うんッ」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……攻略5日目。

 

時刻は午前10時。

 

メルフェイスが倒れた直後、俺達は攻略を切り上げてレッドの街に戻ると、適当な宿屋で一泊していた。

 

尚、今現在の俺はベッドの脇の椅子に座り、メルフェイスが目覚めるのを待っている。

 

 

「……ぅんッ……」

 

「おッ? 目が覚めたのか」

 

「!? お、王様……此処は……?」

 

「レッドの宿屋だ。急に倒れちまった時は驚いたぞ」

 

「す、すみません……足手纏いになる様な事を……」

 

「いやッ」

 

「本来は、私が王様を守らなければいけない立場だと言うのに……」

 

「だから」

 

「いっその事、私など置き去りにして頂いても……」

 

「待て待て待てッ! 幾ら何でも、ネガティブ過ぎるだろ!? それはッ!」

 

「で、ですが私は……その……」

 

「事情はかなみから聞いた」(キリッ)

 

「!?!?」

 

 

勿論、最初から知っていたが、改めてかなみからメルフェイスの"呪い"について聞き出している。

 

率直に言えば、彼女は故郷を賊から守る為に禁断の秘薬を飲み、前日の戦いの通り強大な魔力を身に付けたのだが、薬の副作用で2ヶ月に一度は自分より強い男に抱かれなければ狂死してしまう……と言うのは、先日も述べた通りだ。

 

よって、エクスが居ない今"この流れ"だと、確実に俺が"強い男"の役割を担う事になるだろう。

 

正直、こんなトップモデルみたいな長身の金髪美人を抱けると思うだけで、今でも股間が疼いてたまらない。

 

しかし、彼女にとっては冗談では無い境遇だろうし、真面目な顔を必死で作って話を進める事にする。

 

 

「もう抱かれないで、どれ程になるんだ?」

 

「……ぇとッ……1ヶ月以上になります」

 

「!? だったら、余程我慢してたって事になるんじゃないのか?」

 

「は、はい……時間としては、手遅れでは無いですが……王様に無様な姿を見せる訳には、いきませんので……」

 

「……今は?」

 

「目が覚めたばかりな為か、何とか抑える事が出来ていますが……徐々に"別の私"が現れて来て……ぅくッ……」

 

「……ッ……」

 

 

自分の体を抱きしめる様にして俯く、ネグリジェ姿で上半身を起こした状態のメルフェイス。

 

発情に抗う為に、両手の指にはかなりの力が込められているのか、血が滲み出てしまいそうなレベルだ。

 

彼女の看病をした見当かなみは、一週間の途中経過を伝えにリーザスに戻っているのは、さて置き。

 

メルフェイスは有る程度抱かないと淫乱になるんだが、その状態の彼女は全くの"別人"みたくなる。

 

彼女で有って彼女では無く、セックスを終えて人格が戻ると『しでかした』事を思い出しては死にたくなる程だ。

 

今までの行動を振り返ってみると、極めて真面目だったとしか言いようが無いので、それも無理はないな……

 

だから、王様である俺に『淫乱な自分』を見せまいと、必死で"別の自分"を魔力を無理に使ってでも押さえ込んでいたのか?

 

エクスが俺の元に彼女を置いた時点で、隠しても無駄だと言うのに……あれッ?

 

そもそも、副作用を隠すなら向こうから迫って来るのを待つしか無いのに、何で我慢する必要が有ったんだ……?

 

 

「だから王様ッ! ……こ、これ以上……私の事は気にしないで……」

 

「いやだから待てって!! 何でそうなんだよ!?」

 

「えッ?」

 

「失礼なのを承知で言うが、エクスは君が"俺に抱かれる事"を承知で寄越したんだろ? それなのに、何で倒れるまで我慢してたんだッ? ましてや、そんな大事なコトを今迄隠してるなんて」

 

「そ、それはッ」

 

「メルフェイスにとって俺は、死んでも抱かれたくない程、威厳も実力も足りない男だったってのか?」

 

「――――!?」

 

「君にも"譲れない事"が有るんだったら、それも仕方ないかもしれないけどなァ」

 

「そ、それは違いますッ!」

 

「じゃあ、何で?」

 

「今までの戦いから……ランス様は王として……だ、男性としても素晴らしい方でした……常に私達の状態を気遣い……戦いでも、身を挺して仲間を守り……助けられたのは私達の方です」

 

「(あれ~? 何で評価高いの?)」

 

「そんな王様に……私の淫らな姿を、見られるのが……耐えられなかったのは勿論……何時の間にか……"薬の副作用"と言う、つまらない理由で……抱いて頂きたいとも……言い辛くなってしまって……」

 

「(副作用を隠したいレベルで!?)な、成る程……だったら遠慮は要らないワケか?」←後者は小声で

 

「はい?」

 

「いやッ、何でもないぞ? それにしても……メルフェイスはアホだな」

 

「あ、アホ?」

 

「仲間を気遣って、身を挺して守る。そう捉えられた俺が、君を狂死させられるワケが無いだろう?」

 

「!? そ、それでは……王様……」

 

「俺は君の命を繋ぎ止める為に抱く。問題無いな?」

 

「……はッ……はい、有難う御座います……」

 

「礼なんて必要無いさ」

 

「――――でもッ」

 

「今度は何だい?」

 

「い、いえ……何でも有りません……(好きになってしまいそうで……怖いかもしれない……)」

 

 

 

 

……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

……2時間後。

 

メルフェイスは抱かれて一度果ててしまえば、それでカラダの疼きは止まってしまう様だった。

 

だけど俺の興奮が全然治まらなかったので、トコトン彼女の体を堪能してしまったのでした。

 

き、きっとランスの肉体だったからだと思うよ!?

 

対して『我慢していたのはお互い様でしたね』とメルフェイスは寛容に受け入れてくれた。

 

それにしても"ランスっぽく"しなかった事で、彼女が必要以上に我慢する選択をするとはね……

 

 

「メルフェイス。起きてるか~?」

 

「はい……起きています」

 

「改めて、カラダの方はどうだ?」

 

「もう何とも有りません。本当に有難う御座いました」

 

「だから礼は良いって。俺の方も、かなり溜まってたしな……」

 

「ふふふッ。王様も、若い男性ですから……」

 

「おっ? 何気に、初めて笑ったのを見た気がする」

 

「!? こ、これも……王様の御蔭だと思います」

 

「何故に」

 

「(叶わぬとも……夢を抱ける方……)あんな気持ちで抱かれたのは……久しぶりでしたから」

 

「もうちょい、詳しく頼む」

 

「そ、それは言えませんっ」

 

「ちょッ!?」

 

 

……んで今現在は、精も根も尽き果てて裸で肌を重ねてたんだけども。

 

意味深な言葉に疑問を感じた後、メルフェイスは背を向けて布団に包まってしまった。

 

それを察せる程の甲斐性は無いが、笑顔が戻ってくれたので有れば、それで良しとする事にするか。

 

ついでに、強化も施されているなら完璧ッ!

 

……回数を重ねて、検証するしか無いのだが。

 

 

「それよりもッ。今日はハイパービルには……?」

 

「流石に休みだ。かなみも別行動だしな」

 

「分かりました……明日からまた、宜しくお願い致します……」

 

「うむ。期待しているぞ~? まァ、もう少し休む事にしようか」

 

「は、はいッ」

 

「そしたら、街に出てるジュリアと合流して、遅れた昼食ってトコだな~」

 

「(エクス将軍……私は御命令の通り、この方に付いて行こうと思います……)」

 

 

そんなワケでメルフェイスを抱け、スッキリとした気持ちのまま4月の3週目が終わる。

 

階層的にハイパービルの攻略は順調だし、余裕を持ってリーザス城に戻る事が出来るだろう。

 

現在のレベルは40なので、この調子でレベルの底上げを行って、魔人との戦いに備えたい。

 

また、更に重要なのは『魔剣カオス』の入手であり……攻略でレッド近辺を選んだのも、半分は"アレ"が目的だ。

 

十分にレベルを上げてかつ、リーザスの財力を活かした最高な態勢で迎撃できても、ダメージが通らなければ意味が無いからな。

 

何にせよ、しっかりと努めていれば、今回みたく"結果"が伴ってくれると信じるしかない。

 

 

「(う~ん、一人で買い物してもつまんないッ。やっぱりランスちゃんと一緒が良いよ~!)」

 

 

「(才能限界になったし、そろそろランスに……でも今はメルフェイス様と……もうッ!!)」

 

 

――――ちなみに再会したジュリアとかなみは機嫌が悪そうであり、ランスの神経が羨ましかった。

 

 

 

 




【レベル】
ランス   :40/無限
かなみ   :40/40
メナド   :36/46
ハウレーン :33/36
メルフェイス:33/48
ジュリア  :22/38

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