問題児がリリカルなのはに来るそうですよ?   作:増殖するX

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時空管理局VS魔法少女with問題児なの?

なのはが管理局嘱託魔導師の翔駒を追い掛ける事暫し、十六夜達と居た地点から何本か角を曲がって離れた隔離エリアの広場にて双方立ち止まり。

飛行魔法も使い逃亡した翔駒も地へと降り、なのはも倣って着地し足の桜色の翼を消し。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いてお話し合いしませんか?勿論会話的な意味で」

「………確かにいきなり魔法を使っちゃったのは悪かったですけど」

「お、やっと冷静になったか!いやあ一瞬本当に怒ったのかとヒヤヒヤしたぜ」

 

レイジングハートを下ろすなのはにふぅと額の汗を拭って一息ついてから軽薄な笑み。

 

「いえ、怒ってますよ?」

「ファ!?」

 

然し直後に睨み付けるられると少女のモノとは思えない気迫に奇声を発して数歩後退り。

 

「というか女の子に悪魔だ魔王だって、……怒らないと思ってるんですか?普通に最低だと思います」

 

淡々と正論を述べるなのは。

 

「グフッ!?そ、それは確かに……反論も弁明の余地も無く最低だな…」

 

其の言葉がクリティカルヒットして胸を両手で押さえ、これが病弱キャラなら間違いなく吐血する勢いで踞る。

自覚があり過ぎて沈黙。因みにだが悪戯的な意味と平気でセクハラ発言する十六夜とエルも割と最低ではあるが、慣れというモノは恐しい。ついでにフェイトには最近違う意味で危機感を持つなのは。

 

「──ハァ、……兎に角!今後は女の子にそんな事言っちゃダメなんですからね?」

「う、うす。肝に免じます」

 

遂には溜め息を吐いて呆れ顔。だが次には真剣な顔で腰に両手を当てて確りと忠告して釘を指し、踞った上体を起こし姿勢を正した正座で聞き入れ。

 

「約束ですよ?さて、それじゃあえっと……何を話しましょうか?とりあえずわたし達がジュエルシードを集めてる理由から───」

(……何というか、真面目だなあ)

 

再度念を押すと漸く彼女本来の表情に戻り柔らかい笑みを向け、人差し指を唇下に添えながら一先ず今までの経緯を語り始め。

……然しこの翔駒という男、実は無自覚に反省はしても決して懲りないという座右の銘を持つ。

事前になのはの性格はある程度把握しているつもりだがいざ目の前にして思ったのは、物足りない、刺激が少ない、面白みに欠ける、と早々に失礼な印象を抱いてうんうん唸り。

 

「───って事があって………、聞いてます?」

「え?……あ、ああ悪い!考え事してて。てか別に敬語じゃなくていいぞ?」

「あ、歳上っぽかったからつい…。うん、じゃあお言葉に甘えて気軽に話させてもらうね」

 

双眸閉じて腕組む様はとても意識をなのはに向けてる様子では無いのが伺えてつい訝しみ。

其の呼び掛けにハッとして慌てて謝罪を述べると座った儘の状態から腰を上げ立ち上がり、元から堅苦しい雰囲気が苦手な翔駒が一先ず砕けた感じの会話を促してなのはも応じ。

 

(ちょっとはマシになったけど……)

「やっと見つけたよ、なのは」

「ユーノくん!ごめんね、先に行っちゃって。でももう大丈夫!ちゃんと和解も出来たから♪」

 

そこで漸く追い付いてきたユーノが此方まで降り立ち、友達の到着に先程より笑顔になるなのは。

其の様子を見た翔駒が魔が差したのは直ぐ後で口端をニヤッと吊り上がらせ。

 

「拘束結界!」

「え!?」

「…ッ!これは結界に閉じ込める魔法…!?」

 

突然ユーノの周囲を囲む淡い緑の魔法陣が展開され、正三角錐の檻に閉じ込められ。更に両手をバインドで拘束される。

その事になのはとユーノは揃って驚くと目を向けた先で翔駒が手を翳している姿を捉え。

 

「っ、どういうつもりなの!?」

「なのは!」

 

苦情を訴えるなのはと呼び掛けるユーノに対して当の翔駒はククク、と悪い笑顔を浮かべ。

 

「こんな簡単に他人を信じるなんて甘い、甘過ぎる!チョコレートパフェよりもストロベリーチーズケーキよりも甘々の甘ちゃんだぜ!ワハハハハ!」

 

まるで悪役を演じるかの様な台詞を吐いて両手を広げるも所々棒読みで大根役者を隠さず。

然しなのはは気が付かぬ様子。

つまり翔駒の悪戯心が爆発した結果で、挙げ句には自分が管理局に所属している事柄すら忘却してそうな所業である。

 

「馬鹿な真似はやめてユーノ君を解放して!」

「ば、馬鹿な真似って……フ、フハハ!こんな好機は滅多にないのに解放する訳が無いだろう!?折角2人きりになったんだ、楽しもうぜなのはたん!」

「ヒィッ…!?」

 

ノリに乗ってきたのかエメラルドグリーンの直剣型のデバイスを起動して、舌舐めずり後に刀身にも這わせ、然し調子に乗りすぎてかなりドン引きの絵面が完成。ついでに後の黒歴史も。

なのはの頭の中では十六夜が言ったストーカーなる概念が蘇り、嘗てない身の危険を感じると悲鳴が漏れ。

 

「………彼は何がしたいんだ。それにしてもこのゲージ型拘束魔法もバインドも硬いし…もしかして、こういった魔法が彼の得意分野なのかな?」

 

一方で割と早めに翔駒の思惑に気付いたユーノは引きながらも呆れ顔で、それでも結界を解除するのが困難なのか抗い脱す方法を考え。

 

「行くぜ行くぜ行くぜえ!」

「…ッ……レイジングハート、一点集中に弾幕展開して!…───シュートっ!」

 

真っ直ぐ駆け出してくる翔駒に何とか気持ちを落ち着かせようと努め、砲撃形態の愛機を向けて桜色の魔力弾を今度は4基出すと目標の顔面に目掛けて直線に鋭く放ち。

 

「だが甘い!」

 

走る最中に何かを展開したらしき挙動、そしてディバインシューターが翔駒に着弾する寸前で弾かれ霧散し。

 

「うそ!?」

「ッ!?一体何が───」

 

予想外の事態に目を見開くなのはとゲージ型拘束結界へ攻撃を試みながら戦闘の動向を伺っていたユーノが驚愕。

 

「どりゃあ!」

「飛んでレイジングハート!」

 

至近距離まで来た翔駒が剣を横向きで一閃を振るうも素人な剣術で、再び桜色の翼を生やして後ろに飛び避けると相手の何かしらの影響か初動に違和感を覚えるも気にせず透かさず魔力弾を数発撃ち込み、だがまたしても翔駒自身へ届く手前でかき消え。

 

「……っ、また!?」

「ハッハッハッ!これぞ俺の奥の手!魔力結合を解いて魔法を無効化させるバリア、その名もAMA(アンチマギリンクエリア)だ!」

「なッ、魔法を無効化だって!?」

「まあその分こっちも発動中は魔法が使えないけどな。但し俺にはこれがある!」

 

驚愕が続くなのはに息を巻いて種明かしを告げる翔駒。其の今まで聞いた事の無い希少な能力に圧巻するユーノが脳裏で己の拘束脱出より先にこの厄介な壁をどうにかせねばと突破法も模索し。

実は翔駒が転生で得たスキルには術式構築を、正に天から預った恩恵の様に再現して開発及び行使する事が可能というモノがあり、威力や所謂攻撃に転用する術は何故か閃かない反面補助系統に特化した能力である。

更にドヤ顔で剣を見せつけるも実際翔駒程度の棒振り剣術以下で魔力も伴わないならバリアジャケットに傷一つ与えられるか否か。

 

「……ああ、なんだ。つまり無効化するバリア?みたいなモノでわたしの魔法を防いでたんだね」

「「え?」」

 

そして此方も予想外と、効能を聞いたなのはは次には冷静さを取り戻しハッキリと安堵の顔をみせ。

意外な反応に翔駒とユーノまでも素っ頓狂な声。

 

「うぅん、だって十六夜君みたいなデタラメな力で弾かれてると思ったんだもん。それとそのAMAって貴方の魔力が尽きたらダメになるのかな?」

 

なのはがキョトンと首を傾げ。

 

「正確には魔力とは別の燃費で使ってるから、それが尽きたら消えるけど……って、あんな理不尽と比べられるのは心外だぞ!?」

「………確かに」

 

純粋無垢な反応だからか弱点を問われて律儀に応える翔駒と、なのはの主張に得心したユーノが同意。

 

「そっか。なら……諦めずに撃ち続ければ勝機はあるって事だね!頑張ろう、レイジングハート!」

『All right, my master!』

「………はい?」

 

闘志が戻った瞳で不敵な笑みを浮かべ不屈の心を体現する言動で杖を左手を起点に構えれば、制空権を貰った状態でディバインシューターの魔力核を"制御性を捨てた"代わりに一遍に24基展開。

十六夜やフェイトと猛特訓した成果の一端を発揮して、其の光景に唖然とする翔駒。

 

「ディバインシューター・マルチプルレイド!」

「やっぱり脳筋じゃねえかああああああああ!!」

 

直後飛び交うピンクの雨霰な弾幕が迫り。

 

 

 

 

           *

 

 

 

 

翔駒となのはが接敵している頃、フェイトは黒杖を両手に握り締めて同じく黒一色に等しいクロノと上空で対峙する。

 

(───隙が無い……あの人は多分、かなり熟練された魔導師。それこそ"巧さ"なら多分私以上に…)

(彼女は本当に野良の魔導師か?卓越した潜在能力は合間見える以前から感じていたが、……一体どれ程の修羅場を渡ってきたんだ?)

 

互いに力量を測りながら均衡を保ち、出方を伺いつつ先手を捥ぎ取る為に脳内シュミレーターでは常に試行錯誤して時折滲み寄って。

 

「最後通告だ。あの"ロストロギア"は諦めてくれ」

「………悪いけど───」

 

クロノが警告する間にシュッと残像が残りそうな速度でフェイトの身が視界から消え、次には背後へと回り込みバルディッシュを構える。

自分が目で追えなかった事態に驚き見開くもギリギリ反応が間に合い、上段から振り下ろされた魔力刃を圧縮し、鎌から斧サイズとなった刀身を杖型デバイスS2Uで受け止め。

 

「──それは聞き受けられない」

 

力加減と魔力付加を巧く使っているのか此方の攻め手を往なされ、拮抗するも直ぐにフェイトが飛び退きながら悪足掻きとばかり金の魔力弾を数発放ち、対応すべくクロノも白い魔力弾を同数撃ち相殺。

 

「ちっ、……ッ!なに!?」

 

然しフェイト側の魔力核は細工されていたのか打つかって弾けた途端細い雷の柱が数本、爆煙から横に伸びてクロノへ襲い掛かると様子見且つ予測外な副次的効果に驚いて回避が遅れる。

だが幸い範囲が狭い故に右腕を掠った程度で収まるも身に痺れを起こし、更には右腕が関節と手首まで3本の金色バインドに拘束されてこれ以上の移動を封じられ。

 

「確かにキミは強いし巧い。それでも───イザヨイに比べたら全然勝機はあるよ」

「……まったく、キミみたいな巧い娘に褒められても皮肉にしか聞こえないな。それにそのイザヨイというのは一体?」

 

何処か得意気に話すフェイトに対話して時間を稼ごうと算段を企むも次には接敵され。

 

「ぐっ……!」

「答える義務は無い…──バルディッシュ!」

『Thunder smasher』

「………ッ!!」

 

殆ど一切の隙を見せないフェイトにクロノは瞬時に頭を切り替えると左手目がけて放った杖を上手く拾い持ち、何とか相手の振るう黒杖を受け止め再び拮抗するかに思えたが、魔力刃を消すと矛先から魔力塊が派生し金の砲撃が至近距離で撃ち放たれ。

 

「───ッ!?」

「何とか耐え凌いだか……」

 

目の前で発射した直射砲だが何故か四方八方に炸裂して拡散されている事実に気付き、砲撃が止むとクロノの顔を護る様展開された魔法陣を捉えて今度はフェイトが目を見開き。

既に右腕のバインドも効力を失い消えていて、不意打ちに成功していた自信在るフェイトはまさか防がれると予測していなかったのか油断と隙を生み。其れに付け入るクロノが横薙ぎに杖を振るうと魔力波も追加で堪え切れず後方へと吹き飛び。

空中でなんとか体勢を整えるも再度距離が肉薄前と同じだけ開いて振り出しに戻る。

 

「……吃驚した。あの距離から防ぎ切るなんて」

「これでも法や秩序、そして人を守る管理局執務官なんだ。簡単にやられるワケにはいかない」

 

仕切り直しとばかりバルディッシュを両手に持つフェイトと常に迎撃可能な間合いを維持してS2Uを後ろ手に構え、反対の掌にも魔力を通すクロノ。

両者互いに睨み合いが再開し。

 

 

 

 

           *

 

 

 

 

 

なのはが翔駒を追って姿を眩まし、接敵前のフェイトはクロノと上空で隙を探り合う様子を遠目に伺ったのを皮切りに十六夜が駆け出して。

 

「おらァッ!」

「───っ!」

 

瞬時に肉薄するとエルの顔面に殴りかかり。

それを寸前で首を曲げて回避して拳を打ち返すが其のカウンターも飛び退いて容易く避けられ。

 

「ハッ、魔術師なんて名乗ってる癖に随分と肉弾戦も熟すじゃねえか!しかも俺の初撃を軽く避けやがったぞオイ…!」

「いや結構ギリギリだったけど!そういうイザッちこそどういう動体視力と反射神経してるのさ…完璧に入った筈のカウンターを普通避けれる!?」

「それはテメェのパンチがへなちょこなだけだろ」

「酷い!?や、僕も殴る蹴るは不得意な自覚あるけど……というか見てくれ通り肉体派じゃないし」

「チッ……御託はいいからさっさと本気を出しやがれクソ白黒チビ!」

「うわわっ、───だが断る!」

 

会話の応酬中も懐に飛び込んだ十六夜の拳や蹴りをギリギリで回避し続け。十六夜自身も本人が自覚してる通り武術に長けている事も技巧がある訳でも無く"ただ振るってる"だけだが、持ち前の天賦の才で補い凶悪さに磨きを掛けている。これにより現在エルを圧倒していて。

そして最後の鋭い右フックを後ろに大きく飛んで避けるも余波だけでエルの頬が僅かに裂傷して血を流し。其の血を指で拭いペロッと舐め取って、傷は拭った瞬間に消えていて不敵な笑みを浮かべるも額には一筋の汗を流して。

 

(マズイなあ…外界へ降天時に大分霊格を縮小した上に今も抑え気味とは言え、星の権能の一端を預かる僕が"人間"に遅れを取るなんて)

 

これでもエルは箱庭出のとある種の類であり、自身の存在を象徴とする一つである惑星の恩恵を持つ。これが何時ぞや出した氷結能力に由来するのだが、本人は飽く迄"魔術師"やユーノ達がリンカーコアの有無に気付けないなら魔導師で通しても良かった。

 

(いやはや……居るところには居るモンだな。ホント、世の中広いわ)

 

そして十六夜もまた内心では驚天動地の反面、歓喜に感謝感激雨あられと現状を楽しんでいる。

今までは己が拳を振るえば砕け、蹴っても同様、投擲すれば地面にクレーターを作って煙を巻き上げ、兎に角生物相手には自身の憤りが頂点まで達して憤慨する程"悪辣な人間"以外に一握りの力も振るわなかった。最近はバリアジャケットによる防護相手や埒外な存在が多く大盤振舞しがちだが、少なくとも"金糸雀の教えに背く"事はしていない。

 

(確か起点が最初居た場所で、壁が此処の敷地の境目だったか?だとするとあまり大立回りできないな)

 

更には"十六夜用"に張った強固な結界。其の起点や外壁部を砕かない様にと注意し相手を圧倒出来るくらいの最低限の手加減を心掛け。

 

「───ま、やっぱり此処は魔術師らしい戦い方が好ましいかな!行くよイザッち!」

「………っ!」

 

本気を出させる為にも自ら仕掛けるのは留めて出方を伺うとエルが両手を突き出し、そこから自身の身体以上な大きさを持つ氷の針を4本形成して放ち。

咄嗟に斜め上に飛躍して避けると地面に先端が突き刺さり、着弾した場所は一瞬で凍てつく。

 

「……へえ、そいつがお前の"能力"か…それにこの前も思ったけどこれ。単なる"水素と酸素の化合物である一般的な水、ましてや真水を凍らせた唯の氷" じゃないだろ?」

「あ………黙秘権行使なう」

 

次いで巨大氷針が刺さった傍に着地した十六夜が鋭利な先端が地に埋まり形を棒状として残している氷を掴むとバリィンッ!と握り潰し。

挑発的に問う十六夜に吃音エル。

 

「ハハ、白黒チビの秘密主義が健在そうで安心したぜ。まあ簡単に答えを言われちゃつまらねえ、口を割らすならやっぱり実力行使一択だな!」

 

相変わらず無理に追求せず寧ろ愉快そうに飄々と笑い、再び飛び掛かり飛躍の拍子で一帯の氷を踏み砕いて進み。

 

「ホントに野蛮で凶暴な思考だな!?しかもこんなか弱そうな男の子に容赦なく肉薄って!」

「残念ながら『強きを挫き弱きも挫く!』、それが俺の座右の銘でな!」

「畜生過ぎる!あとキミって人間ミサイルか何かかな!?自律万能型とか勘弁してよ!!」

 

迫り来る脅威に急いで後ろへ飛躍すると先程までエルが居た地面が十六夜の着地の衝撃だけで爆ぜて土煙を巻き起こす。

コンテナ上に乗ると不意打ち兼反撃に着地点の真上に生成した巨大な氷塊を落とし。

 

「おいおい氷攻め一辺倒かよ!芸がねえ、なッ!」

 

頭上に迫る氷塊を落下速度より先に飛んで追い付き、氷塊の腹目掛けて胴回し回転蹴りで粉砕。

 

「……ふふ、それはどうかな?」

「なに?────ッ!」

 

然しエルの不可解な囁き後、粉砕した氷塊の中央部から噴き出してきた水流がまるで自在に操っているかの蛇蝎の如く曲線を描き十六夜の手足に巻き付いて、更に忽ち凍り氷結の拘束具と化し。

 

「彼ら魔導師のセオリーってのを真似てみたけど、中々に鬱陶しいでしょ?」

「……ああまったくだ。一見すれば狡い手だが仕込みで身動きを封じる一手は的確だと思う。しかも水流操作まで使えるとはな…───ハハ、つくづく面白えぞ!」

「───なッ!?」

 

得意気な顔で言うエルが十六夜より高度を取って飛躍して手を翳すと再び4本のデカい氷の針を出し。

だが然し、獰猛な笑みと共に吠えた十六夜が其の剛力で腕を振るうと氷の拘束縄は最も簡単に弾け同様に足の縛りも振り払い。

其の間に既に放たれた氷針は2本が身を翻して難なく回避し。

 

「ハッ!しゃらくせえ!」

 

残りの2本は上段に振り上げた拳で打ち砕く。

 

「幾ら何でも束縛時間短過ぎでしょ!?……なんとなく効かない気はしてたけどさ」

 

あまりに呆気なさ過ぎて地面に着地したエルが不満を言うも直ぐ様肩を下ろし、そもそも飛躍だけで2度も踏み砕かれた事を思い出しては落胆し。

同じく着地した十六夜がヤハハと笑う。

 

「まあそう気を落とすなって。……しかしここまでやる気を出してくれたからには、俺もちょいとばかり真剣(マジ)で相手をしてやらないと失礼だよな」

「………え?」

「それとこの氷だが───」

 

言うが早いか徐に歩み出した十六夜が先程回避して地面に突き刺さった氷針へと向かい、目の前まで到着すると棒状の氷を掴んで根元から折り。

氷針を2本手に持ちながら含み笑いニヤリ───。

 

「───ま、まさか……」

「ハッハッー!返すぜゴラァアアッ!」

 

その直後、氷の針が"第一宇宙速度"で投げつけられた。しかも十六夜はこれでも手加減を加え、其の勢いと衝撃だけで粉々に砕けた氷の散弾と化して生成したエルに牙を剥いて襲い掛かる。

 

「ッ、マズい…!」

 

止むを得ず"霊格"を引き上げたエルが危機感と共に氷の巨大な壁と更に其の前に水流を巻き上げた逆流する滝の壁を造ると直ぐ真横に飛び退いて、然し水飛沫を上げて霧散した滝壁と最初の数発分受け止めた氷の防壁は直ぐに貫かれて崩壊。

障害物を無くした氷の礫(第一宇宙速度)は向こう側のコンテナ群にドドドドドドドドッ!と浴びせられ拉げて爆ぜ貫通を暫し繰り返し。

それでも勢いが止まらない散弾はいつの間にか反対側に"第一宇宙速度より速く奔り追い越した"十六夜の振り下ろしで漸く霧散した。

 

「───いやあぶねえあぶねえ。つい楽しくなってやり過ぎた」

(……この滅茶苦茶なのに確り"壊し乱した分だけ整える"既視感、…ああ。そうだ、イザッちは何処となく女王に似てるんだ。尤も彼は物理的且つ暴力的にだけどね…)

 

それでも仮に十六夜が本気を出せば自身じゃカバーし切れない程の大惨事に発展するが、其処は自重している問題児である。

ヤハハと笑いながら軽いノリで言う十六夜にぐったりと肩を疎めるエルは、直後彼が別の事に意識を移したのを好機とばかり静かに姿を眩まし。

 

(………にしてもアレを躱すのか。これじゃアイツとは、尠くとも"此処"では本気(マジ)にやり合えないかもな)

 

結界の庇護下により建物の破損はある程度気にしなくて済むものの先刻想起した通り大立回りは不可能に近く、またエルも類似した理由で全力を出さないのではという推論と同時に胸の痞えを感じ。

 

『───十六夜、今大丈夫?』

『ん?……ああ、白黒チビが離脱したから大丈夫だ。どうかしたか?』

 

煙が晴れると視界からエルも見失っていて、直後ヘッドホン型のインカムにユーノの声が聞こえ気持ちを切り替えた十六夜が応答。

 

『今ちょっと困ってて……手を貸して欲しい。詳しくはこっちを見てくれたら───』

 

急を要する声音に怪訝そうに周囲を見渡すと己と同じ髪色の少年が淡い緑の檻に閉じ込められた現状を観覧し。

 

 

 

 

           *

 

 

 

 

盛大な炸裂音に拘束状態のユーノがビクッと肩を跳ねさせ、振り向くと煙を巻き上げ無惨な姿に成り果てたコンテナ群を見る。

因みになのはと翔駒は視界外まで離れて戦闘を行なっている模様で既にこの場に居なく。

 

「今のってもしかしなくても……」

 

煙が晴れたその場から案の定、見慣れた己が髪より明るい金の少年を双眸で捉える。

 

「……ああ、やっぱり十六夜だ…」

 

最近意表を突いた主に惨事な事象はもれなく十六夜が原因だと認識しつつあるユーノは予想通りの光景に苦笑し、その時偶々インカムの存在を思い出す。

念話が使えずともと試みれば幸い通じてホッと安堵し、手短に用件を伝えると向こうも視界に捉えて此方に気付き歩み寄って来て。

 

「よう、お前こんな所で何油売ってるんだよ」

「だから救援を求めたんじゃないか。厄介な結界に閉じ込められてるんだよ……」

 

揶揄い口調で言う十六夜へ若干拗ねた風貌で応えるも、深層には参ったという気持ちが不貞腐れる反面表情に滲み出て。

何とか両手のバインドは解除したもゲージ型の結界がどうしても破れず、そこで偶々起きた騒動と十六夜を見つけたユーノ。

後は彼のデタラメを鑑みて呼び寄せた次第だ。

 

「へえ。…そういや、なのはとあのヘンテコ野郎はどうしたんだ?」

 

尋ねながらまるでノックする要領で裏拳、それだけで拘束結界がヒビ割れ弾ける。

 

「相変わらず…───なのはは彼を追っていった様だ。なんか悪者を演じていたみたいだけど…」

「なんだそれ。ストーカーの次は悪代官にでもなろうってか?」

「悪代官って……でも油断ならない相手だよ」

 

当然とばかり結界を破壊したのに、それでも呆れ果ててしまうのは常識故か。兎に角晴れて自由となったユーノが十六夜の問いを返すと真剣な顔で彼女達の去った方角を見ながらAMA等の敵情報を要約して説明。

 

「……聞くからにお前達の天敵だな。まあ頑張れ」

「あれ、手伝ってくれないの?」

 

他人事な十六夜にユーノが尋ね。

 

「別に手伝うのは吝かじゃないが、…なのはの意も汲んだら俺が直接倒すのは野暮だろ?特にアイツには良い経験になりそうだし。もし危なそうなら逆にお前が拘束してやればいいんじゃねえか?」

 

様子を察して特別危険視していないのか、まるで翔駒を魔法無効対策の訓練の実験台に例えた十六夜の提案に要領得て首肯し。

 

「なるほど…うん、分かった。後方支援は僕の分野だしね」

「ああ、だからそっちは任せた。俺も白黒チビを探したり、あともう一方の様子も気になる」

「……アハハ、十六夜って結構面倒見いいよね。成長を促しつつちゃんと気に掛けるとか…将来はいい兄貴分になりそう」

「急になんだよ。……ま、施設に居れば自然とそうなるかもな。他の入居希望者が居ればの話しだが」

 

お互いに軽口を叩くと其れも程々に。

脳裏に一瞬義妹設定のフェイトの顔を思い浮かべるも後ろ髪を掻いて其の思考を散らせ。

最後は十六夜とユーノが同時に拳を突き出し当て、男同士の友情を深めるとそれぞれ自分の役割を果たすべく駆け出す。




なのは「他の皆はちゃんとリリカルマジカルしてるのに十六夜君1人だけDSAAしてる件」

そして最強問題児の影響か無印時点の原作より色々バグってるなのフェイにクロノ&翔駒は果たして無事勝利出来るのか!?(笑)
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