海鳴温泉旅行での対峙と一時和解から丸一日経過。
流石に友人や親族達に紹介は本人が憚られ辞退、なのはが残念がるも無理強いは出来ないと少しだけ会話してからフェイトがアルフと共に帰宅して行き。
後日落ち合う場所も決まり気分揚々と残りの旅行も楽しみ。
相変わらず十六夜は集団行動せずに散策に出れば一人読書なりで時間を潰し、然し偶になのはと二人で話す様子を見たすずかやアリサに返って揶揄われる羽目になって何度顔を茹でて否が応でも意識させられたか、そんな事も十六夜は知らぬ存ぜぬと好き勝手するのに苦楽を行き来しながら帰宅。
その夜何故か十六夜から連絡が返って来なく、疲労困憊と帰宅日は直様眠りに落ちて。
そして夜が過ぎて一日後の朝、身内が居る翠屋は避けて約束通りフェイトが指定した喫茶店に、数刻後十六夜も来たのだが。
「初めまして。十六夜君がいつもお世話になっています」
丁寧に頭を下げる目の前の女性。
四人席で最初は向かい側に座る位置だったが十六夜が金髪の大人の女性を連れて…否、勝手に同行してきてなのはとフェイトが隣り合う様に座り。因みに動物であるアルフは店の裏で待機しながら念話を通して会話を伺い、ユーノはいつもの定位置に。
「ど、どうも!わたし高町なのはです!」
「フェイト・テスタロッサです。……あの?」
「ああごめんなさいね。私の名は
柔らかく薄い笑みを向けてフェイトの戸惑いを解消すべく名乗り、一先ず全員分の注文を済ませると呆然とするなのはとフェイトの前には柑橘系飲料、不貞腐れてまだ一言も発しなく窓へ顔向け机に肘を付いた十六夜の前には紅茶、悠然な金糸雀は珈琲が運ばれてきて優雅に飲み。
「宜しく。ところで可愛らしい二人のお嬢さん方、一体どちらが十六夜君のガールフレンドなのかしら?それともまさか──両方!?」
「──ッ!?ゲホッ、ゲホッ!!」
「???」
次には急に興奮してテンションが上がった様子の金糸雀からの質問に噎せるなのはと意味が分かってないフェイト。
「チッ」
話題にされた十六夜は舌打ちして更に顔を背け。
それでも金糸雀は遠慮なく続ける。
「おやおやー?もしかして、なのはちゃんが?」
「ち、違いますぅ!!」
最近よくこの手で沸騰してるなとは高町なのは心の嘆きだが、反応を示した方に狙いを定めてニヤッと笑い掛けると首と手を横に振って否定する。
「ふむ…ではフェイトちゃん、貴方は?」
「イザヨイとの関係を挙げるなら………敵?」
母親との響きに暫し沈黙して後の言葉を深く考えず巡り廻るフェイトも自らを名指しで指定されれば反応して顔を上げ、どう返したものか迷うも間を開けておずおず応えるとその内容に隣のなのはが途端に口を開いて目も見開き。一方解答が面白かったのか満足気味で笑う金糸雀と尚更歪ませた十六夜の顔を見て。
「アッハハハッー!十六夜君は一体彼女に何をしたんだい?素直に応えれば千本ノックで許してあげるわよ」
「マジで千本ノックくれるなら嬉々として応えるけど。要はまあ、ぶっ飛ばそうとした未遂」
「えっ……」
「………未遂?」
高笑いも程々に叱る様な目付きで問うと多少ズレた返しはあったも観念する十六夜だが、言われた内容には更に驚くなのはと純水に疑問を投げるフェイトで、もう既に事実関係が提示されたに等しく。
「ハァ、流石に歳下の女の子に向かっていくのはどうかと思うけど。そんな事私は教えてないでしょう?」
「………」
今度は言葉にして叱られ呆れ気味に溜め息を吐かれればなのは達の素性を明かす訳にもいかず沈黙。
「この娘達がいくら魔法を使えるからって君の様に頑丈じゃないんだからもっと繊細に接しなきゃ」
「ですよね!うんうん、そうだねー幾らなんでもアレは───んんんッ!?」
「……ちょっと待てクソババァ」
尚も説教を続け様になんの違和感も無く平滑流暢で告げられ、いつしか便乗して首肯を繰り返すなのはも時間差で気付くと吃驚仰天で変な声が出て、目を細めた十六夜が睨み。
「貴方も魔法を知ってるんだね」
尚フェイトは感情の起伏が乏しい様に無表情で逆に感心の言葉を紡ぎ、更にその仕草がお気に召したのか金糸雀は隣の視線も構わずニッコリと笑みを向けて金髪少女の頭を撫でながら次いで不敵な笑みを十六夜に向け。
「ふふん、十六夜君は今更でしょ?私が慧眼で情報強者というのをもう忘れたの?」
「……ああそうだな。アンタなら、何処で知ってもおかしくないか」
十六夜と金糸雀の理解に及んだやり取りに話題は当事者ながら蚊帳の外のなのはは二人を何度も繰り返し見回して、肩のユーノも警戒する雰囲気がありあり伝わってくる。
「え、えーっと……」
「こういう人なんだよ金糸雀は。要するにおっかない女だ」
「あらまあ、酷い言い草だわ。………その様子を見るともう大丈夫そうね」
困惑が抜けないなのはに拉致が明かぬと遠慮せず称した十六夜。一拍置いて隣へだけ聞こえる様意味深に呟く金糸雀は珈琲を一口し。
「……話しが逸れるばかりだな。兎に角暫く忙しくなるから」
まるで話題を避ける様に目の前の紅茶を飲みながら切って告げると二人の少女へ向け。
「そんな事よりオマエら貧弱過ぎる。特にお前は……おい、聞いてんのかテメェ」
「か、カッコいい!」
強い声で指摘するもなのはを見れば金糸雀をキラキラと見つめ。
「あの十六夜君をここまで丸め込むなんて……わたし、将来は金糸雀さんみたいなカッコいい女性を目指したい!」
「うん、私も同感。カナリアさんには目を見張るばかりで憧れる」
突然机を叩いたと思えば金糸雀の両手を握るなのはに頷いて同意するフェイト。
そう、彼女は今までのやり取りを伺い、暴虐無人の十六夜を御してる姿に実は戸惑いながらもいつしか憧れの敬を抱いていた。凛々しい風貌に瞳を輝かす眼差しは金糸雀の一瞬をつくのに十分で。
「ふふ、生憎私は憧れの師匠キャラではなくてどちらかと言うと弟子キャラなのよ?それでも敬ってくれるのなら…───」
そこで金糸雀は言葉を切ってなのはの頭を撫でようと伸ばした手が途端に静止する。
「────なるほど、
「え、シンぎゅ?」
握られた手を通して確信を得た顔で呟く。
これは行幸とばかり握り返すと突如得体の知れぬ感覚に陥ったよう顔色を青くするなのはの手を掴んで引っ込めさせる十六夜。
「もういいだろ?」
「大丈夫?なのは」
「え?あ……う、うん。大丈夫だよ!十六夜君もありがとう」
更に心配するフェイトを見てハッと、慌てて無事を伝えると金糸雀へ再び睨んでいる十六夜にもお礼を述べ。
「あら…ふふ、驚かせちゃってごめんなさい、なのはちゃん」
「いえいえ!わたしの方こそ失礼でしたよね!?ごめんなさい!」
金糸雀からも謝罪が来ると更に慌てて尚且つ自分から謝り、少し腰を浮かせた中途半端の体勢からちゃんと席に着き。
「それで、十六夜君は二人の助けをしたいんだっけ?……いいでしょう。丁度施設も完成して安定して帰れる場所も出来た事だし」
なのはからの謝罪を微笑で受け取った後本題を話し始めた金糸雀は顎に指を添えて数秒考える素振りを見せると、首肯した後に直ぐ笑みを戻して十六夜の行動に許可を出す。
「その代わり三人とも…いえ、五人かしら?ともかく、特別な力があるとはいえまだ子供なのだからくれぐれも無理や無茶はしないようにね」
「あ、はい!」
「……わかりました」
金糸雀の忠告を受ける。
この返事は正直嘘である。なのはだけは純粋に肯定したがフェイトは誤魔化すのが下手みたく沈黙後に頷き、十六夜に到っては返事もなく。
ジュエルシードという危険物を回収するだけで安全とは言えなく、それは金糸雀も理解しているかの様に追求はせず。
「そう、なら安心ね。私も保護者代わりと監督責任で居るから」
その後は予定通り今後の方針を話し合ったが結局は変わらずお互いいち早く見つけたら回収、サーチ範囲もデバイスの才能上ほぼ同等とユーノの補足を伺いながら判断して仮に願いの主が以前の様に暴走して異業な姿で暴れた場合は動ける総人員で処理にあたる。
細部は省くも恙無く方針決定して時間も余り、金糸雀が二人の実力を確認しておきたいという提案が上がり元々十六夜に敗北して以来魔法や戦闘を高めるべく模擬戦等を想定していた為あっさり了承、人気の少ない裏山の山頂広場へ向かう事になった面々。
*
目的地へ到着すると先客が存在しないのを確認してユーノとアルフが共同でエリア結界と認識阻害の補助魔法を展開。
「準備完了したよー」
「もし十六夜も参加するならくれぐれも結界を壊さないよう注意してくれよ」
「ハハッ、OKわかった」
一応注意点を伝えればアルフ達に合わせて金糸雀と十六夜も隅へと移動し、広場の中央になのはとフェイトが立つ。
「軽く手合わせする感じでいいのかな?」
「うん、基本はそれで。なのはのデバイスは非殺傷設定?」
「…?非殺傷設定?」
お互いも認識を整合し合うと初耳な単語に首を傾げ。
「普段は物理破壊設定って言って、物的干渉が伴うんだけど、非殺傷設定は破壊や傷を負わせず魔力スタンダメージのみを与えるんだ。模擬戦だと基本はコレにしないとね……あ、勿論向こうも相応の魔力や耐性が無いと緩和干渉の限界突破で普通に怪我しちゃうから、一般の人には使っちゃ駄目だよ?例外は居るけど…」
「あ、あはは…そうなんだ…」
事細かく説明するフェイトは最後の例外という言葉と共に十六夜をジトッと見据え、なのはも聞きながら苦笑。金糸雀も若干苦言を申したげで見下ろす十六夜はヤハハ、と陽気に笑うのみで。
「えっと、レイジングハート…非殺傷設定に出来る?」
『All right, my master』
自身のデバイスである紅い宝玉を胸元から取り出して尋ねると主の言葉を正確に理解した様に光りを帯びる。
「うん、問題ないみたい。じゃあ…いくよ、フェイトちゃん」
「いつでもどうぞ」
「レイジングハート!」
『Stand by ready,』
「バルディッシュ」
『Yes sir.』
「「セーット、アップ!」」
そしてフェイトも金のブローチ状アクセサリを取り出すと二人は持ち手を空に掲げ、起動の言葉を高らかに発すると身が眩い光に包まれ。
そう言えばフェイトが呼んだバルディッシュという名は昔東欧で使われた戦斧の名だと十六夜は思い出しながらこの世界の関係者が命名したか全く違うのか、なのはの方は語源通りのa raging=荒れ狂うor猛烈なor猛威をふるうの何れかとheartはそのまま心臓=心で語呂を合わせたか、彼女のスタイルを少し見た限り猛烈な心だろうと、考察も軽く瞬きせずその光景を見る。
「あら、白と黒で対照なのね。これはいよいよ以てって感じかしら」
「……?」
己が思考する間に要領の得ない台詞を吐く金糸雀に意識を向けて見上げると矢張り顎に指を当てて優雅に観察していた。
訝しみながらも光が収まるとなのはは自身の学生服を派手に赤いリボンを加えた様な白い魔導服、フェイトは身に黒の軽装を纏い漆黒のマントを羽織り手足も装甲で覆う戦士宛らを装う、確かにかなり対照的ではあると肯定を思い。
彼女達魔導師が纏う防護服『バリアジャケット』は使い手のイメージまたは正規品の様に既に設定が決まっているらしいとユーノから聞いていた。
見慣れれば物珍しくなく"金糸雀ほどの女"が気に留める要素がイマイチわからなかった。
「よし、先ずは先手必勝!いくよ!」
『Divine shooter』
思考の海に入りかけたがなのはの声で我に帰る十六夜、己も客観的に二人の戦闘能力は見たいので集中する。
杖状態となった武器を前に構えると左右に二つの魔力弾が形成され。
「シュート!」
そのままフェイト目掛けて直線に放つ。
「威力は…硬いし強い。やっぱりなのはの魔力は素人とは思えないくらい高い」
「……ふーん」
対してフェイトは移動せず手を前に翳して魔力の波を円状に発生させて魔力弾を受け止めながら分析する。その姿に感心したよう十六夜はフェイト側に視線を定め。
一方金糸雀はどちらかといえばなのはの動向を気にしながらフェイトを確り見ると広い視野を。アルフは十六夜と同じく主フェイト、ユーノは金糸雀寄りで見識を広める。
「ビクともしない!?なら…!」
『Divine buster, stand by.』
目を見開いたなのはが杖の先端形状を変え、所謂砲撃モードに移行。十六夜はこの形態の方が見慣れているので次は恐らくだけど砲撃が来ると予測する。その通りで、だがーーー。
「隙だらけだな」
「なのはのディバインバスターはまだある程度チャージしないと威力が安定しないんだ。でもこれは……」
なのはの目前で次第に魔力塊が拡大するが十六夜の率直な意見にユーノが補足する。
「あれ、フェイトちゃんは!?」
そしてある程度完成したのか前を見る。つまり攻撃準備に集中しすぎて相手を見失ったのである。
「はい、まずは一本だよ」
『Scythe form, setup.』
背後からの声で漸く後ろを振り向こうとした間に首筋に金の魔力光で形成された刃が覆い、長い柄から伸ばされた鎌の形態を片手に構えるフェイトを視認し。
「ふぇえ!?い、いつの間になの!?」
「ふふ、なのは、形態変えた後直ぐ下に視線がいっちゃったから。もしかして"お前なんか見なくても余裕"って思われてるのかな?」
「ちちち違う違う違うよ!?余裕なんて全くこれっぽっちも!無いから!」
「本当かなぁ?」
「ハハ、最初も小手調べとばかりに弾丸撃って牽制してたけどよ。俺もフェイト・テスタロッサと同じ事を思ったぜ?」
「十六夜君まで!?本当に違うのに〜〜〜」
お互い一旦攻撃の全てを中断すると突如悪戯めいた表情でフェイトが吐露し、慌てふためくなのはに尚も疑いの目を向ければ十六夜もやり取りに加わり更に首まで横振りして否定する。
面白くて思わず笑う十六夜とフェイトの様子からこれが揶揄われたと気付いたなのはは涙目だ。
「ふふ、皆仲良しね」
「〜〜〜〜〜フェイトが、フェイトがあんな楽しそうに…!良かった、良かったよぉ〜〜」
「ええ!?ちょ、アルフ!?」
一方感極まったアルフが号泣しだしてユーノも驚き、金糸雀は「あらまあ」といった感じで燈髪を撫でて慰め。
「ところでソレ、どうするんだ?」
「「ソレ?……………あ」」
十六夜が指して指摘した"ソレ"に首を傾げ最初は理解が及ばなかったが、指された方角…レイジングハートの先端で今まさにピンクの魔力塊がいい感じに膨れ上がり杖もカタカタと振動し。
どうやらレイジングハートが必死に抑えていたらしいが余りの放置具合に限界が近い様子。
「ま、待ってどうしよう!?と、とりあえず!……ディバインバスター!!」
「ちょっ、待─────なのは!」
「「「「あ…」」」」
焦って杖を上空に向けると発散した魔力が太い極光のビームと化して撃ち出され、ユーノが静止を呼び掛けるも時既にで十六夜、フェイト、アルフ、金糸雀も理解して一丸と声に漏れ、激しく結界が揺れるも何とか保たれ。
「あ、あはは……ごめんなさい」
「せめて威力調整が終わったら撃たないとダメじゃないか!というかどれだけバカ魔力なの!?アレはもうディバインバスターとは別の
「ふぇえええ!?ごめんなさーい!!」
次いでフェレットのユーノがなのはの前に仁王立ちしてお説教が炸裂。
猛省するしかないなのはである。
「今のはもしかして……魔力収束?」
「ええ、それも凄い量を一度に束ねられるみたいね。話す余裕もあるのだから一体どこまでキャパシティが彼女の"
いつの間にかフェイトが金糸雀とアルフの側まで戻り、使い魔は唖然としたままだが金糸雀はフェイトの疑問に肯定してそのまま考察を呟く。
「ギフト……?あの子のアレは多分レアスキルかと思いますが」
「……ああ、そうだったわね。言い間違えたわ。訂正ありがとね、フェイトちゃん」
「あ………は、はい」
聞き慣れぬ単語に指摘すると間を置いてまるで知見の範囲ですとでもいった様子で誤りを直ぐに認め、フェイトの頭を撫で。何故か一度目を少し見開いて驚くも直ぐに頬を赤く染めて恥ずかしそうに両手を合わせ指を忙しなく弄り、もじもじと身を揺らす。
隣のアルフは黙ってそれを見ていて。
然し十六夜は別の事を考えていた。
(言い間違えた?冗談だろ。金糸雀がああいった言動をする時はただ誤魔化しただけか何か…ま、気にする程でもないけどな)
(ふふ、また察しが良くなったのかしら。日々精進よ、十六夜君)
何故か行われる心理戦、視線はお互いぶつかるも金糸雀は直ぐにフェイトへ向き直り頭撫を続け十六夜も思考を放棄し。
「まっ、後は攻撃が真っ直ぐ過ぎる直情的な点も技巧を加えるなりして直さないとな。よーし、そういうワケで次は俺とやるか!今度こそ攻撃の一発くらい当ててくれよな?」
「「「「げっ」」」」
「……なあおい、百歩譲っても金糸雀、テメェにだけは言われたくねぇぞゴラ」
尚も説教と指摘をユーノから受けるなのはへ最後の忠告を浴びせると途端に腕を回してご機嫌に歩み向かい言い、その様子になのは、ユーノ、アルフ、金糸雀は揃って苦言。
一度周りを見渡した後額に青筋を浮かべ軽くキレ気味の十六夜。
「よしやろうか。あ、イザヨイは私となのはとで二体一でいいよね?返事は聞いてないけど」
「わ、わたしも!?」
そしてフェイトは金糸雀の撫で攻撃でいつしか恍惚状態だったが一瞬で復帰し勇ましく前へ出る。
既に金の刃を発し臨戦態勢完璧だ。
「ハハッ!寧ろ二人だけで大丈夫かよ?」
「大丈夫。なのはと約束したから、打倒サカマキイザヨイ」
「了承はしてないかなー……でもまぁ、やるからには全力全開!いこうフェイトちゃん!十六夜君は覚悟して!」
「OK、なら始めようぜ。人智を越えた模擬戦ってやつをよ」
「十六夜はぜっっったいに手加減してね!?」
最初は戸惑うもすっかりやる気モードになったなのははフェイトと並び立ち目の前まで来た十六夜が余裕を露にポケットに片手を入れたまま逆手で手招きして挑発。その風貌が「かかってきな」と強気且つ悠然に語っていて。
白き魔導師の少女は砲撃形態、金と黒き少女は出力を上げて長々伸びた鎌を向ける。
最後のユーノの言葉は空気と化して。
そして開戦してから数刻後。
「いいぜいいぜいいなオイ!もっともっと俺を吹き飛ばす勢いでこいよ!俺を全力で楽しませろ!」
「くぅっ…このぉ!」
『Divine shooter accel, Divine buster Full power』
「なんてデタラメ…ッ、だけど!」
『Photon Lancer. Thunder smasher Full burst』
「「お前ら自重しろおおおおおお!!」」
結界内で暴れる無数のピンクと金の魔力弾といつしか速射で高威力の太い一線を撃ち放ち(威力魔改造)それを避けて殴って蹴って打ち消し弾き飛ばしを平然と縦横無尽にやる十六夜。
最早模擬戦という名の最終決戦が目の前の光景でギリギリ保つ結界を何度も強化するユーノとアルフがありったけの感情を訴え。
「やれやれ……少しキツイのが必要みたいね」
金糸雀の呟き。この後有無を言わさず十六夜もなのはもフェイトも言霊だけで無力化してめちゃくちゃお説教された。
「「カ、金糸雀さん…こわい」」
「だから言っただろ?ハァ…腹減った」
青ざめたなのはとフェイトの感想と十六夜は溜息と呑気な一言、三人とも揃って正座である。
その後も金糸雀が用意していた昼食を軽く挟み、十六夜は参戦禁止を言い渡され渋々観戦へ。なのはとフェイトは互いに、時に魔法に関してはエキスパートレベルのユーノから抗議と教えを請いつつ、相手をアルフ対なのは、アルフ対フェイトに変えたりユーノの補助魔法も加わったりと時間を過ごし。
いつの間にか金糸雀は姿を眩ましていた。
*
時を同じくして森林内。そこに銀と金。
「で、どうだった?」
「二人とも想像以上だわ。逆廻十六夜がおかしいだけで、魔法使いとしては成長すればかなりのモノになるでしょう」
月村家に現れた銀の少年、金糸雀からエルと呼ばれた人物がその金糸雀と森の中で邂逅していた。
結界の外に出るほど子供達から離れた場所。
「そうか。僕の方は一人だけ転生者と逢えたよ」
「なるほどね。では、首尾のほどは?」
「検討違い、アレは記憶を持っただけの普通の転生だった。憶測だけど女王の直径末席エーディンが関わってるかな?ギリシャ神群のペルセは……第三桁以上がこんな無意味をするのは考えられない」
「箱庭三大問題児の一人、クイーン・ハロウィンの女王なら気まぐれや実験でやるでしょうね。大父神ゼウスとデメテルの娘がは流石に私も否定派」
関係者が聞かなければ最早何の会話か分からず、木に背を預けて腕を組む金糸雀は淡々と告げ。
「箱庭三大問題児かぁ…女王"クイーン・ハロウィン"、魔星"アルゴール"、そして白夜王"白夜叉"、この三人には酷く困らされたよ。特に女王には………………うえっ」
思い出した様に、同じく両腕を組んで踵をカツカツと木々の間で語っていたエルは吐き気を催して片手で口許を抑える。
「あら、知らないの?白夜叉は"
「は……?プ、アハハハハッ!マジで!?孫悟空が!?星造の原典候補者の彼女が問題児とか世も世だ!あーおっかしい!人間側の外界では善神の名でも知れてる彼女は遺憾だろうけど、でも!!じゃあ神群は?!となると当然の事!六道地獄壊滅事件の十二天焔魔天や阿修羅族とか未だ根に持ってそう!!」
「そっちは知ってるのね…」
「…ほら、白夜叉や女王関係は意図的に避けてるから」
「ああ、理解したわ」
吐き気から復帰したと思えば爆笑して捲し立てるのに、尤も曾ての師や自分自身問題児であるため苦笑する金糸雀。
「そもそもさー、候補者って問題児多すぎじゃない?」
「あら、十六夜君はともかく殿下はそこまでじゃないでしょう?アレで知見も広く思慮深いのよ。それにその分、人間の特異極点やパートナーは優等生が多いわ」
唐突な疑問にクスっと笑って答える。エルと金糸雀の会話は単語も名称も色々多端なようで、謎に包まれている。
こんな内容なのは達どころか十六夜にも"まだ"聞かせられないとは金糸雀の言葉。
「まぁともかく、転生者はまだ居るだろうし、捜索は続行するよ。……それに彼も、無害だけど何か面白い事を言っていたしね」
「………?」
エルの言動を金の女性は不思議そうに捉え、そんな銀の少年はつい数時間前に出会った黒髪のパッとしない男を思い出す。
なのフェイのバリアジャケット装着シーンにて
ユーノ「全く、◯学生は最高だ!」●RED
十六夜「なのはは美麗で優雅、フェイトは勇敢で壮烈なBGMだな」感心
「「…………え?」」
これが淫獣とロマン厨の違いである(笑)