問題児がリリカルなのはに来るそうですよ?   作:増殖するX

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今回から本格的にオリキャラが登場します。




転生者が異世界(?)に来てるそうですよ?

十六夜を追った金糸雀がなのは達に接触後、今正に森の中で金銀の会話が成されてエルが思い出すのは数時間前の出来事。

 

 

 

 

           *

 

 

 

 

 

その男はもう覚えてない程前の夢を見ていた。

 

『ふーん、いいんじゃないかしら。ええ、それでは改めていらっしゃい、_____』

『ま、待てよ!誰だよふざけ────ッ!?』

『……。本当は貴方みたいな礼儀知らずは一族郎党皆殺し、けどもう死んでいるのよねぇ…。いい?"私は、貴方を、傷つけない"…ほら、これでもう大丈夫』

『───プハッ!?ハァハァッハァハァハァッ!』

『貴方に"私は安全だ"っていう暗示をかけたわ。時折いるのよ、こういう手間を掛けないといけない人。お菓子を貰っていたら"Trick or Treat!!(お菓子をくれなきや悪戯するぞ)"の契約ですませたのだけど……それじゃ、行ってらっしゃい?よい来世を』

 

 

 

 

 

 

『親も居なく家もなしでオマケに若返り……これからどうするんだよ!この図書館で乞食にでもなれってか!?古事記だけに!』

『ちょおっ静かにせぇ、ここ図書館やろ?なんやキミ家なき子?』

『は?……………_____』

『あれ、私のこと知っとるんか?』

 

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『まぁええわ、それならウチに来ぃや』

『えええ!?ちょっと!』

『せやから図書館ではお静かにや。兎に角はよ行こ?』

 

 

 

後半は今でも覚えている。気付いたら地球に居て、丸二日飲まず食わずでおかしくなってた時の記憶だ。

男は自分に優しくしてくれた人物がハッピーエンドを目指す上で決して欠かせない少女との予想外の出会い。その伝手で今では異世界に戸籍を持ち立派な職場の提供、彼女を守り養えるだけの地位と力を付けつつあり。

その人物を知ってるだけに全面的な感謝は出来ないが休止に一生を得た事は事実なので文句も言えまいと、寝起きの身体を起こしベッドから降りる。思うのは故郷に残してきた少女の安否と、数日前に見た"居てはならない化け物"との邂逅。

 

「は、はは…子供の姿とはいえ"アイツ"だよな?……畜生、やっぱリアルはクソゲー以下だッ」

 

拳を握り締め歯を食いしばり。

 

「やあ、起きたかい?」

「あ!ク、クロノ執務官!?おはよう御座います!」

「ああ、おはよう。急にすまない…マリエルからデバイスの修理が終わったと報せが来て、その件で伺った」

 

自動式の機械に溢れた部屋の扉が開くと上官へ即敬礼と姿勢を正し、用件にホッと安心すると。

 

「そうですか…良かった」

「アレほどボロボロだったんだ、時間が掛かったのは見逃してくれよ?……それにキミの言う"小規模な次元震"の兆候も未だ見られないんだから」

「なっ!?」

 

次いで驚愕。そんな馬鹿なとつい最近確認した事柄から日にち計算が狂っている可能性を考慮しだしたり脳内で思考を巡らせるも、兆候も無いのは流石に訳も分からず。

 

「キミの"予言"は最初から胡散臭くて、そこまでアテにしてないからいいけど。予定通りアースラは第97管理外世界へ向かうよ?どうやら上層部が情報だけは特定したみたいでね」

「そ、そうですか…!ええもう、それで結構です!」

 

その言葉には再びホッとする。

男の狙いが"アースラ"を予定通り地球に向かわせれば及第点という事もあってこれ以上の問答も無く。

 

「ブリーフィング後に向かう。紹介してくれたグレアム提督に恥じぬよう"火神翔駒(カガミ ショウマ)"嘱託魔導師の活躍を期待している」

「了解であります!」

 

それだけ言うと部屋から去るクロノ執務官。

デバイスの件で誤魔化した壊れた経緯を再度確認されるかと冷や汗をかいたが難を逃れ吉報まで届いたのだから嬉々となるのもいたしかた無く力が抜けてベッドに腰を下ろし。

 

『へぇ〜、知識を糧に成り上がり計画かな?』

「!?」

 

既に扉は閉まって己のみの筈の室内に他者の声が正に響き渡ると驚天動地、立ち上がり周囲を見渡す。

 

「未来の"預言者"としてギル・グレアムに取り入りこの組織…なんだっけ?時空管理局?多次元宇宙の警察もどきに入り込んだまでは僕も調べがついたけど。転生して"転移"までしたキミの望みを拝見したい」

 

一瞬室内が暗闇に覆われると直ぐ明るみを取り戻し、先程と違い目の前に立ついつ顕れたか知らぬ銀髪で白青の少年を視界に映し。

 

「転移?ハッ!お、お前も転生者の類か!?どんなチートを使ったかは知らねーけど、公式チートよりはマシだ!かかって────て嗚呼!デバイスまだ取りに行ってねぇ!!」

「公式チート……?と言うか転生者はキミだろう?」

 

勇み告げるも呆然とする彼。

 

「………クッ、情報量多すぎ。それも外れとか僕に過労死しろと?」

「ごく自然と遊◯王用語!?ますます油断ならないぜ!」

「しかもヤバい事に会話が成立しない。くっそ、こうなりゃ全て明かした上で話し聞くしかないじゃん」

 

手を彼の額に添えて目を瞑るも拳握り勇ましく挑むが、物理干渉無効系のナニカに阻まれ、苦渋の表情に次第に戸惑いを見せるも達観した様に肩を落とすとポツポツ語り始める。

自分は異世界から来た転生を悪用する者を探して裁く世界の調律者で、その仕事柄転生者の翔駒を見逃せなかったと。

勿論自分の素性を全て明かすつもりは無いが、一先ずそれで彼も冷静になったのかこの後は意外と話しが通る。

 

「つまり女王の手腕だね」

「箱庭と逆廻十六夜って単語が出て色々思ったけど、やっぱりかー!アレ……でも殆ど覚えがないぞ?」

「記憶齟齬と魂魄がまだ定着し切ってない証だよ。ちょっと覗いたけどややこし過ぎて僕でもどうも出来ない」

「ええー……てか此処って『魔法少女リリカルなのは』の世界じゃないのか?」

「えーっと、キミが元いた世界では僕らはアニメキャラ?なんだっけ?」

「正確にはお前の事なんか知らねーよ。女王だって名前しか…『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』も何処まで読んだかイマイチ覚えて無いし」

 

次第に混乱してきたのか頭を抱え出す。

 

「まぁキミのいう創作物が何処まで信憑性あるのか知らないけど」

「はぁ!?じゃあ物語通りにならないって言うのかよ!?」

 

なので僅かな刺激発言でもつい逆上してしまい、八つ当たりの如く目の前の少年の胸ぐらを掴み。

 

「───離せよ」

「ああ!?」

「……此処は太陽系から離れてて嫌になるな。ああ、本当に息苦しくて虫唾が走るけど────これさえ在れば大丈夫なんだ」

 

尚も反抗的且つ興奮する翔駒の己が胸ぐらを掴む腕を握ると次いで胸元からコバルトブルーのペンダントを取り出し、そのまま口に含んで飲み込む。

その摩訶不思議な光景に絶句するも咀嚼して飲み込むという一連の動作が終わると急に腕を掴む力が上がり、身体ごと吹き飛ばされて壁に激突し思わず胃液を吐き出す。

 

「ガァ…ッ!?」

「図に乗るなよ人間?僕がその気になればキミごとこの船、いやこの空間を端から端まで消し飛ばすなんて造作も無いんだぞ?アニメやキャラとか知らないけど"此処が現実"だ。自分が特別なんて思い上がりをしているなら壊すぞ人間」

「ッ!?」

 

内心は阿鼻叫喚。

面前で地から少し浮く少年は眼孔を開き透き通るような眼差しは蒼く光って翔駒を見下ろし、室内は怖気を催すくらい圧で充満し、それだけで身体の震えが止まらず。

そこで彼も理解する。これだけの力を発揮されればこの少年は間違いなく"あちら側"で格も違うのだと。

 

「す、すまなかった…」

「………ふぅ。で、落ち着いたかい?」

 

ただ一言、顔を背けながらなんとか上体だけ起き上がらせ謝罪を述べると、それで直ぐに少年は地に立ちニッコリ笑顔だ。

 

「あ、ああ。もう逆らわない」

 

何より自分には守るべき者が在りこんな所で怪物大戦(一方的な蹂躙)などしてる暇は無いのだと冷静さが戻り。

 

「…ふむ、意外だ。少しキミを見くびっていたかも」

「え…?」

「ねぇキミ、僕の協力者になる気はないかい?対価はキミの望む未来を少しだけ僕が可能な範囲でお手伝いするよ」

 

何故か見直された様な口振り後、一瞬その提案に理解が及ばず呆然としてしまう。

然しこれは渡に船だと直感的に感じた彼の返事は速かった。

 

「……火神翔駒です。宜しくお願いします」

「僕はエルネスティア、親しい人にはエルと呼ばれてる。しがない魔術師さ。それよりも協力者なんだ、敬語も萎縮も要らないよ?」

 

懐から異様な雰囲気を発するカードを取り出しおちゃらけた様な口調で名乗り、握手を和解の意と取ったか互いに手を握り交わす。

 

「で、でも協力って一体?」

「なあに、キミの言う"原作知識"っていうのを拝聴して欲しいだけだよ。差し当たり直近の出来事とかね?」

「そんな事でいいなら。…寧ろこっちが心強い味方を得たみたいなもんじゃないかコレ」

 

協力内容を聞くと安堵し、最後は小さく呟くもエルからは上機嫌な笑顔が返ってくるのみで、聞かれてたかの有無は分からずもイレギュラーへの不安を多少なりと解消した確信はあった。

何故なら彼は間違いなく"向こう側"の怪物の筈だから。

 

 

 

 

           *

 

 

 

 

 

「って感じで僕にもついに外界での助手が出来ました!」

「……ハァ、呆れたわ。別次元へ空間飛躍"大"魔術まで使って、その空間を破壊するって良く見栄が張れたものね。星造の権能も遠過ぎて"代替品"の神格に頼る羽目になったくせに」

「えっそこ!?み、見栄も時には必要さ!」

 

パァッと輝く程満点笑顔から一気に転落。

金糸雀の言葉に苦渋を味わう様子から図星なのは明白だが、それでも可能かどうかは可能であるとだけ言っておこう。

 

平行宇宙(パラレルワールド)の来訪者か、…でも逆廻十六夜が"イレギュラー"という部分に関しては驚くほど的を射てるわね」

「へ?そうなの…?」

「勘違いしないで欲しいのは物語がどうのとか、十六夜君がなのはちゃん達と接触した事だけが異常事態という思想ではないのだけれど…」

 

顎に添えた指を今度は宙に指して意味深な呟きをした金糸雀。

要領が得なかったエルも思い当たった様にポンっと手を叩くと得意気な顔で解答を述べ。

 

「あ、分かった!この時代における全ての人物と事象にって事でしょ?」

「ふふ、ビンゴよ」

 

片目を閉じて正解と指差す金糸雀に尚ドヤ顔のエル。

 

「……あれ?でもそうなると逆廻十六夜って──────」

 

そして、ならばと次いで浮かぶ疑問を口にしようとした途端、離れた場所から数人の気配を感じて黙り込み。

 

「何処に行ったのかと思ったぞ…こんな所で何してるんだ?」

 

金髪の少年が背後に少女や動物を連れて現れた。

どうやら模擬戦を中断して金糸雀を探していた様子の十六夜達に気付いて振り返り。

 

「……なんだ、コイツと知り合いなのか」

 

エルの存在にも気付いた十六夜が訝しげな視線を注ぎ金糸雀に問い。

 

「ああ、ごめんなさいね。長話しが過ぎた───」

「やぁやぁ初めまして!見目麗しいお嬢様方と野蛮で凶暴そうなキミ。僕はエルネスティア。金糸雀とはちょっとした知り合いかな?」

 

二人の下まで歩み寄った面々を見渡して謝辞を述べる金糸雀を遮って目の前まで来てニコニコと胡散臭い笑みと言動でボウ・アンド・スクレープのお辞儀を決めて名乗り出た銀髪の少年にたじろぐなのはとフェイト、そして文字通り胡散臭い物を見る目で軽く睨む十六夜。

 

「は、初めまして?わたしは高町なのはだよ!」

「…フェイト・テスタロッサ」

「初めましてでは全くないけどな…言われた通り野蛮で凶暴の逆廻十六夜だ白黒チビ。用法用量を守った上で以下略」

 

それでも見た目同年代も手伝いなのはは気さくに名乗り返すがフェイトは警戒しながら短く、十六夜は売り言葉に買い言葉とばかり更に皮肉を込めて呼称する。

 

「いや、以下略って……やっぱりキミ面白いね」

「そりゃどうも。お前も相変わらずおもしろ可笑しいな」

 

フハハ、ヤハハ、と笑い合うもお互い目は笑ってなく。

 

「早くも打ち解けてくれたみたいで良かった」

「打ち、えっ?…それより十六夜君とエルネスティア君って知り合いなの?」

 

口許を隠して上品風に笑う金糸雀の言葉へ頭に疑問符を生やしながら妙に慣れた態度を見てなのはが聞き。

 

「エルでいいよ。実はイザっちがなのはっちの家をストーカーしてたから注意した過去があるんだ」

「んん!?スト!?」

「やはり……!イザヨイは危険人物」

 

愛称を告げて後ろで腕組みながら前のめりでとんでもない言い掛かりを吐いた餓鬼に純粋ななのはが驚愕、フェイトは透かさずデバイスを起動してサイズフォームから金の魔力刃を発し十六夜の首筋へ。

 

「おいクソコラ白黒チビ色々ぶっ殺すぞなのはも簡単に信じてんじゃねえフェイト・テスタロッサさてはテメェ全体的に隠す気無いだろ」

「あら珍しい、十六夜君がツッコミに回るなんて」

「OK、本格的にツッコミ不在って事だな」

 

怒涛のツッコミだがその甲斐虚しく。

 

「まぁ嘘なんだけどね!」

「えええええ!?」

「コイツ絶対なのはいじって遊んでるだろ俺も混ぜろや」

「ちょっと!?」

 

然しいつの間にか標的が己になっていてなのはが安定の適役位置(ツッコミ)へリターンした。

昨今はすっかりツッコミキャラが定着しつつある。

 

「まぁ冗談はこれくらいにして…なのはが帰りに寄りたいところがあるんだとよ。折角だから俺らもって話しになったけど、金糸雀はどうする?」

「寄る所?」

 

夕暮れ時で実家住まいのなのははそれこそジュエルシード回収等の緊急時以外は親に迷惑は掛けられないと判断した結果の帰宅。

その前に立ち寄る場所があると聞き、問われた金糸雀はその所在に首を傾げる。

 

「一年くらい前から通ってるんですが、神社で離し飼いにされてる可愛い狐がいるんです!最近は今の件で中々様子を見に行けなかったので…その、今日は折角フェイトちゃんや十六夜君達新しい友達も居るので紹介がてら…」

「神社に狐…………折角だから私もご一緒していいかしら?」

「はい!是非♪」

 

なのはの説明に用件を把握し、何故か間を置いてから同行の許可を尋ねる金糸雀にニッコリと首肯するなのは。ついでにエルも「じゃあ僕も!」と挙手して結局現メンバー全員で向かう事に。

道中大人数になった面々に人見知りな狐だと説明しながら目的地を目指す。





お気付きの方もいらっしゃると思いますが敢えて明言せず次回で。
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