もう嫌だ…あんなに血を見るのは…
世界が崩壊してから数年が経った頃…
一台の車があった。
黒いボディーに特殊なエンジンがボンネットから見え、轟音を響かせながら荒れた道を走っていた。
そして、何かを探しているようだった。
「あれか……」
そう言って車を停め、運転席から出て来たのは、一人の男だった。
「おいインターセプター、姿を変えてもいいぞ。」
男がそう言うと、男の乗っていた車が光だし、黒い竜に姿を変えた。
「…ここは?」
インターセプターと呼ばれた黒い竜がそう問いかける。
その問いに対して男は答える。
男が言うにはこの先に街があるらしく、そこに行けば食料や水、ガソリンなどが手に入るかもしれないと言う事らしい。それを聞いたインターセプターはすぐに行こうと言った。
男も同意して、車の姿に戻った竜と一緒にその街へ向かった。
それから何十年か経った…
黒い車はすっかり荒廃して砂漠になってしまった世界を走っていた。
しかし、運転席には誰もいない…
あれから男はレイダーに殺されてしまい、インターセプターの方はなんとか逃げ延びたのだった…
だが、その時インターセプターは既に限界を迎えていたのだ。
その時の戦いでエンジンにダメージを負い、走る事がかなり厳しい状態だった。
そんな状態で走り続けた結果、ついにエンジンが焼き付いて動けなくなってしまった。
このままではレイダーにスクラップにされてしまうと思ったインターセプターは最後の力を振り絞って自分の体を車の形から竜の形に変えたところで力尽きてしまった…
それから半日経った頃…
「うぅ…ここは…何処だ…?」
インターセプターは目を覚ましたのだが、明らかに景色が違うことに気付いた。
(確か俺はエンジンが焼き付いて動かなくなってしまって……)
そこまで思い出した所でインターセプターはある事に気付く。
(!?エンジンが直っている!?)
(一体誰が…?)
インターセプターは周りを見渡したが、そこには誰一人いなかった……
「俺をここまで運んで修理してくれたのか?でもどうして……」
すると突然目の前で爆発が起こった! ドォン!!という音と共に砂煙が上がり、その中からバイクに乗ったレイダーが現れた!
「見つけたぜぇ!!」
レイダーはそう叫ぶとバイクを止めて銃を構えた。
「お前があのときのインターセプターか!」
インターセプターは何の事かわからなかったが、とりあえず答える事にした。
「あぁそうだ。」
「やっぱりな、お前の事は知ってんだぜ。」
レイダーの言葉を聞いてインターセプターは驚いた。
何故なら自分を知っている人間はもう居ないと思っていたからだ。
「なんで俺を知ってるんだ?」
「そりゃあ、あのときお前の相棒の男を殺したのはこの俺だからなぁ!」
レイダーはニヤリとした表情で言う。
インターセプターはその言葉の意味を理解した…つまりこいつは……
「俺を殺しに来たのか?」
インターセプターの質問に対してレイダーは答えず、代わりにこう言った。
「まぁそういうこった。悪いけど死んでもらうぜ!」
そしてレイダーはマシンガンを撃ち始めた。
それをインターセプターは咄嗟に竜の姿になり避けた。そのままレイダーに向かって口から炎を吐き出したが、レイダーはそれをジャンプして避けると、今度はミサイルを発射した。
しかしそれは外れてしまう。
インターセプターは一旦距離を取るためにその場を離れた。
レイダーはそれを追いかけようとしたが、すぐに立ち止まってしまった。
理由は簡単だ……
インターセプターがドラム缶を咥えて投げつけてきたからだ。
レイダーは舌打ちをして、それを避けた。しかし、その隙を突いてインターセプターはレイダーに体当たりをした。
その衝撃によってレイダーの体は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
レイダーはすぐさま起き上がって反撃しようとしたが、その前にインターセプターの尻尾による打撃を食らってしまい、再び壁にぶつかった。
体制を立て直すよりも早く放たれたインターセプターの右ストレートにより、レイダーは悲鳴を上げることなく事切れたのだった。
そして、インターセプターは事切れたのを確認して、そっと車の姿に戻った…その後、レイダーの死体から食料や水など(竜の姿では、食べないと生きていけないため)拝借し、自分を修理してくれた人を探し始めたのだった…
それからさらに何日か経ったある日…… インターセプターは荒野を走り続けていた。
しかし、インターセプターは少し疲れていた……
(くうっ!体が重い……もう限界なのか?)
その時、インターセプターはある事に気付いた。
(なんだあれは?……家か……?)
インターセプターの視線の先には一軒の家らしき建物があった。しかも人の住んでいる気配もする。
(…レイダーの拠点かもしれないな…警戒しながら近づこう…)
家らしき建物の死角になる位置まで移動し、竜の姿になった。
そしてゆっくりと家の方へ近づいていく。
すると、中から声が聞こえて来た。
「おい、まだ終わらないのか?」
「はい、すいません……」
どうやら誰かと会話をしているようだ。「まったく、いつ終わるんだよ……」
「もう少しで終わりますから……」
どうやら話している片方は青年のようだった。
「もういい!」
「うっ!」
もう片方の男が青年を蹴り飛ばした…
「何するんですか!」
「お前が黒い竜みたいなのを拾ってきてから何もかも変わっちまった!
レイダー達に襲われて…すっかり荒されてしまったじゃないか!」
「あの子は関係ない!それに、車だとしても、竜だとしても、傷付いた人を放っておけるわけない!」
(あの子か!俺を修理してくれたのは!)
「もういい!死ね!」
男が銃を取り出して、青年に向けた…
(まずい!)
そう思った瞬間、インターセプターはすぐに飛び出し、男の腕に噛みついた。
「ぎゃあああっ!!」
男は腕を抑えながら地面を転げ回った。
「あのときの化け物が!!」
「お前のせいで全てが狂ったんだ!お前も死ね!」
男はそう言いながらなんと、インターセプターではなく、青年に向かって銃を乱射した。
「うわぁ!?」
「やめろ!」
インターセプターは男の銃を尻尾で弾き飛ばし、そのまま青年の前に立った。
「大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます。」
「礼は後で良い、今は逃げるぞ。」
「はい!」
インターセプターは青年を乗せて走り出した。
「クソッ!死にやがれ!」
「うるさい」
「グハァ…」
インターセプターは男を尻尾で吹き飛ばし、そのまま建物を後にした。
「ここまで来れば安全だな……」
「あ、あの!」
「ん?」
「助けてくれて本当に有難うございました!」
「気にする事はない。むしろお礼を言いたいのはこっちだ。」
「えっ?」
「俺を修理してくれてありがとうな。」
「いえいえ!自分は傷付いた人を放っておけないたちなので、気にしないでください!」
「…わかった。」
「ところで名前はなんと言うんだ?」
「僕はユウキと言います。あなたはなんというのですか?」
「俺はインターセプターって言うんだ。」
「インターセプターさんですね。よろしくお願いします!」
「こちらこそ宜しく頼む。」
(この少年とならうまくやっていけそうだ……それに…もう血を見なくていいかもしれない…)
インターセプターは心の中で呟いた。
それから2人は一緒に暮らし始めたのだった…
世界は相変わらず荒廃しているが、少なくとも、俺とユウキはとても幸せに生きれている…
Continued ... maybe…