転生したら(自称)宇宙人になってしまった件   作:イガリマ

4 / 4
ペンギンは友達、怖くないよ

 

「全く…オサーム様ってば、あんなに怒らなくてもいいのに…」

 

 マスターランクチームのキャプテン全員で行った会議を終えた僕は、基地の入口へ向かっていた。レーゼが率いるチーム”ジェミニストーム”が奈良から戻って来るらしく、その出迎えに行くのだ。

 年齢に大きな差が無くとも、エイリア学園という組織にいる以上マスターランクの僕達は、レーゼ達の上司とも言える立場だ。例え実力が開いていようと、上の存在として可能な限りの労いはするべきだろう。

 

 基地内を歩いている最中に、僕は廊下にあった鏡に目を向ける。

 

「うん!今日も決まってる!」

 

 鏡に写っていたのは他でもない僕の顔。レーゼよりも薄い鮮やかな緑色をしたミディアムヘアをしていて、前髪に施した白いメッシュがいい味を出している。上手い具合に整った顔つきは自分で言うのもなんだが、グランに負けない程の美少年と言っても過言ではないだろう。

 

「今日も自分に見とれてるのかよ、ルシア?」

 

 突然聞こえた声の先に、僕は目を向ける。そこにいたのは、僕と同じアンドロメダのユニフォームを着た女性選手。

 彼女の名は”千浦 クリス”、エイリアネームは”リーチェ”。瞳は紫色で、銀色の長髪を二つ結びのお下げにしている。少しだけ口は悪いが、面倒見の良い性格。ポジションはMFで、与えられた背番号は”6”だ。

 

「たまたま鏡があったから見てただけだよ。僕は君が思う程ナルシストじゃない」

 

「ならいいけどな。あんまり”自分スゲー!”とか思ってる奴は、女に嫌われるぞ?」

 

 リーチェは挑発的な笑みを浮かべながら、僕を指さす。 この口調はグラン曰く、彼女が物心ついた時からこうだったらしい。

 

「…と言う冗談は後にしてだな、お前こんな所で何してるんだ?」

 

「ジェミニストームのメンバーが、基地に戻って来るって聞いたからね。出迎えに行くところだよ」

 

「ふーん。お前はトレーニングにでも行ってきたらどうだ?フィールドは今誰も使ってないし、アイツらの出迎えはあたしがやるから心配しなくてもいい」

 

「そう言うことなら、お言葉に甘えさせて貰おうかな。労いの言葉くらいは、ちゃんとかけてあげてよ?」

 

「言われなくても、分かってるよ。他にレーゼ達に伝えておきたいことはあるか?」

 

「……そうだね。”次の雷門中との戦いには気をつけろ”とだけ言っといて」

 

「……あいよ」

 

 僕の言葉の意味を察したのか、リーチェは少し暗い顔をする。そうしてジェミニストームの迎えは彼女に任せて、僕はフィールドに向かうことにした。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 誰もいないフィールドに着いた僕は、前々から考えていた必殺技の特訓をすることにした。その必殺技をする上において最も大切なのは……

 

 

ピィー!

 

 

「……うーん。ちょっとイマイチかな」

 

 

 そう、指笛である。イナイレを知っている人であれば共感できるかもしれないが、この世界では良い指笛を鳴らせば地面からなんとも可愛らしいペンギンが現れるのである。ガイアの面々は指笛を使わなくとも宇宙服を着たペンギンを呼び出せるが、僕はやっぱりイナイレファンなりに皇帝ペンギンの伝統を大事にしたい。

 ……間違ってもそのペンギンは喋らないし、マーグナーム!とは言わないよ?<マカロニデシメナサイ!

 

 とまぁ、こう言った感じで強力なペンギン技を使いたいなら上手な指笛は必要不可欠なのだ。勿論その技は僕一人で使うものだし、1号のように脚に噛み付かせたりはしない。アレスの世界線にある”オーバーヘッドペンギン”のようにするつもりだ。

 その為にも、もう一度力を込めて指笛を鳴らす。

 

 

ピィー!

 

 

 すると地面から、あら不思議。アンドロメダとお揃いの、黒と黄緑色のペンギンが出現した。しかしその数は3羽である。

 

「5羽呼ぶにはもう少し力が必要か……」

 

 ひとまずは3羽の状態で練習してみる。ボールを空中に向かって蹴り上げると、3羽のペンギンが各々垂直の体勢で嘴をボールに突き刺す。そのままドリル状に回転した後、僕が飛び上がってシュートを放つ。シュートは3羽のペンギンと共に、誰もいないゴールに入った。

 ゴールに着くまでの速度こそ”ブラックホールブレイク”より上だが、如何せん威力が無い。軽く見積もっても”ガニメデプロトン”と同じ位だろう。

 

「マスターランクチームのキャプテンが使う技にしては、まだまだだな……」

 

 今のこの技を実践級まで上げる為には、まだ練習が必要なようだ。僕は一度フィールドの傍らにあるベンチに座った。

 

「雷門が今いるのは奈良か……」

 

 もし原作通りに事が進んでいるなら、今頃はエースストライカーである豪炎寺がチームから抜け出した頃だろう。まさか妹が僕らの関係者によって実質的な人質にされて、それが原因で本調子を出せなかったなんて、この時の円堂には考えられない筈だ。

 豪炎寺と入れ替わる形で加入することになるのが北海道にいる吹雪だが、彼も弟関連で後々苦しむことになる。……こうしてみるとイナイレのメインキャラって身内関連に翻弄され過ぎじゃね?

 

「そろそろ本物の円堂に会ってみたいな~」

 

 僕が普通のホモ・サピエンスであれば、エイリア学園の基地がある富士の樹海から奈良まで行くとなれば数時間はかかってしまう。でも今の僕は(自称)宇宙人、お父様からいい物を貰っている。

 

 

 テッテレ~エイリアボールぅ~。

 

 

 僕が取り出したのは、黒をベースに黄緑のカラーリングが施されたサッカーボールそっくりのデバイスだ。これは使用者の意思によって好きにテレポートが可能な便利アイテムでもある。

 

 

 

 僕は早速これを使って奈良に向かうのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。