【番外編】お労しい兄上になったんだが…ここどこ?   作:gnovel

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ウマ娘の世界に転生した兄上 その2

「兄上、おはようございます」

「あぁ、縁壱」

 

朝早くトレーナー寮から出てきた二人は、身支度を軽く整え、辺りを散策することにした。

 

いよいよ自分たちが担当することになるであろうウマ娘が走る選抜レースが、明日に控えているためこの日の内にトレセン学園内を把握しておこうと計画していたのだ。

 

「では参りましょう」

「そうだな」

 

 

……余談ではあるが彼らの服装はほぼ同じであり、尚且つ外見も遜色ない為、道端ですれ違ったウマ娘たちからは二度見されることが多々あった。

 

 

ある程度散策を終えた二人はトレセン学園の周辺も見ておくことにした。

 

「兄上ここは公園のようですね」

「ふむ……それにしても中々良い天候だ」

「そうですね……兄上」

 

二人が平穏を味わっていると……

 

 

「わわわっ!そこの2人どいてどいてぇー!!!」

「む?」「ん?」

 

突如ウマ娘が走ってきた。二人は避けようかと考えたが、そのウマ娘の脚の動きから察するに自分たちを飛び越えてくるだろうと確信した二人は少しかがんだ

 

 

「しゅたっ!!……はいコレ帽子だよ!!」

「お姉ちゃんありがとー!すごいジャンプだったね、かっこいいー!!」

 

どうやら木の上に引っかかってた帽子を取っていた。その間二人はあのウマ娘について話していた

 

「兄上……彼女の脚は……」

「ふむ……かなり良い具合だな……それにあの高さからの着地をものともしない……」

「それにあの運動着は確か……」

「ああ、トレセン学園の物だったな」

 

 

それから二人は聞こえてくる会話からそのウマ娘の名前が【トウカイテイオー】であることと彼女もトレセン学園に所属している生徒であることを知った

 

「……っと、そーだった。キミたちびっくりさせちゃってごめんね。ところでキミたちって双子?」

「双子ではないがこちらは兄だ」「双子ではない」

 

その答えを聞いたトウカイテイオーは頭に『?』を浮かべる

 

「??つまり普通の兄弟?」

「いや血縁関係はない」

「どういうことなのー!?」

 

トウカイテイオーが二人の関係性に頭を悩ませていると突然

 

「きゃああああああ!!ひったくりよ!!」

「なにっ!?」「あれか!?」

 

「……!待ってて今ボクが……」

 

どうやら公園の近くでひったくりが起きたようだ。その犯人らしき人物はバイクに乗っており近くには被害者らしき女性が倒れていた

 

テイオーがすぐさま捕まえようとしてふと振り返ると

 

「……あれ?あの二人は……?」

 

さっきまでいた筈のあの二人が居なくなっていることに気づいたが、犯人を追うために視線をそちらに向けるとそこには

 

「え!?速くない!?」

 

あの二人が人間かどうか疑わしい速度で走っているのが見えた。

 

 

「兄上私がバイクを止めます」「任せた」

 

既に犯人の近くにまであの二人が接近していた。犯人が焦ってバイクを走らせようとするもたまたま渋滞のため、思うように進めずにいたがその間にも二人は近づいていた。

 

「くそッ!こうなったら……!ウマ娘用の道を使って……「使って、なんだ?」……ッ!!!」

「ふん!!」

 

縁壱がバイクを素手で抑えた隙に巌勝が犯人をバイクから引きずり下ろし拘束した。犯人は逃げようと体を動かそうとするもピクリとも動かない

 

「婦女子の荷物を狙うとは……恥を知れ」

(こいつら……どうやって俺を!?くそッここまでか……)

 

それから警察が到着するまでの間二人は犯人を押さえつけていた。やがて警察が到着し犯人は送り届けられ二人は感謝されていた

 

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!!」

「怪我が無くて良かった」

「では私たちはこれで……」

 

 

 

 

「……へぇ」

 

 

~翌日~

 

「もうじき始まりますね兄上」

「そうだな……これで担当が決まるのだから彼女たちもやる気に満ちているな」

 

選抜レース当日の日、二人は会場に来ていた。

会場はかなりの熱気に包まれ大勢が彼女たちの走りを見に来ていたのだった

 

そしてすでに全てのレーンにウマ娘たちが揃い、始まろうとしていた……

 

「……む?」

「兄上いかがなさいましたか?」

「縁壱、2番を見てみろ」

「2番……あぁ、昨日の……」

 

2番にあのトウカイテイオーがいた。どうやらたまたま彼女のレースに鉢合わせたようだ。昨日のこともあり二人の注目はトウカイテイオーに向いた。

 

「やはりトレセンの生徒だったか」

「彼女の適正は……『芝』でしょうか」

「脚質的には『先行』、距離は……『中距離』或いは『長距離』も行けるか……」

 

二人は『透き通る世界』でトウカイテイオーの足回りの状態から脚質や適性を判断した。そしてそうこうしている内にレースが始まった。

 

どうやら没頭していたようだ。二人は意識をレースに向けた

 

 

 

 


 

「素晴らしかったな縁壱」

「そうですね兄上」

 

あれから選抜レースが終わり、見事トウカイテイオーは2着に4バ身差をつけるという圧倒的な強さを見せつけて勝利を収めたのだった。

 

そしてレースが終わった後、様々なトレーナーからトウカイテイオーのスカウトが押し寄せたのだった。その際中トウカイテイオーが彼らと話しながらも巌勝と目が合った。

 

そしてその意図を察知した巌勝は縁壱に

 

「ふむ……どうやらあちらから話したいことがあるそうだ」

「であれば」

 

「いったんここを離れるとしよう。周囲の人間が密集しすぎてる」

「左様で」

 

一旦二人はその場を後にした。そしてトウカイテイオーもその場を後にする二人を目で追っていた。

 

 

それからしばらくしてひと段落ついた頃、トレセンのベンチに座っていた二人の元にトウカイテイオーがやってきた。

 

「どうだった?ボクのレース!」

「良かった」「素晴らしかった」

「でしょ!それと……君たちは会長の言っていた通りのトレーナーなんだよね?」

 

トウカイテイオーはあの時トレセン学園の生徒会長であり自身の憧れの対象である『シンボリルドルフ』から事情を聴いていたのだった。それは巌勝と縁壱が共にトレーナーであることとトレセン学園では異色の二人で一つのチームという形態であることを聞いていたのだった。

 

「で、あれば要件は一つか……」

「うん!だけどちょっと試させてもらっていい?」

 

そういってテイオーの口から語られた提案は、『一回トレーニングを受けてから判断する』ことと『一度自分と並走してみてほしい』というものだった

 

「……?トレーニングを受けてから判断するのは分かるが、並走……?」

「どういうつもりだ?」

「うん、昨日のこと覚えてる?」

 

そういってテイオーは昨日のことを振り返るように話し始めた。何でもあの引ったくりを捕まえた時のあの速さが気になっているとのこと。

 

これに関してはトレーニングを受けた後にやってもらいたいとのこと

 

「そうと決まれば……始めるとしよう」

「では兄上、私は器具の準備を」

 

そう言って縁壱が器具の準備に取り掛かる。そしてトウカイテイオーが疑問をぶつけてきた

 

「……ねぇ、やっぱり身内とかじゃないの?」

「身内ではない」

「兄上って呼ばれてるのに?」

「……あれは縁壱が言い出したことだ」

 

言った所で信じてもらえるかすら怪しいこと(前世)は言わないことにした巌勝だが、それによって更にテイオーの頭に『?』が浮かぶ

 

「えっと……じゃあ、あ、そうだ名前は!?」

「俺が継国 巌勝であっちが継国 縁壱だ」

 

同じ名字じゃん!と言ったテイオーだが、本当に血縁関係が無いと言われますます混乱する。

 

 

「腹違いの兄弟ってことは……?」

「ない」

「訳が分からないよ……」

 

テイオーは考えるのを辞めた。考えれば考えるほど訳が分からなくなってくるからだ。

 

「兄上、テイオー、準備が出来ました」

「では始めるとしよう」

「……はーい」

 

テイオーの気分が下がった気がしたが、トレーニングが始まる……

 

 

 


 

「良し……目標は達成したか……」

「良くやったテイオー」

 

「はぁ……はぁ……疲れたー!」

 

『透き通る世界』を使うことで結果として

 

ウマ娘の脚に負担が掛りすぎず、尚且つ効率的に結果を出せるトレーニングをトウカイテイオーの脚の具合から判断した二人は早速そのトレーニングを行った。

 

そして適性距離でのタイムを計るために2500mを走らせたことで

 

結果としてテイオーは疲れたと口にはしてるが、その表情はどこか満足気だった。

 

「足への負担も……問題ない」

「テイオー、飲み物だ」

「あ、ありがとー!」

 

「__2500mかG1レースでいえば、『有マ記念』だな。」

 

「あなたは……」

「あっ!カイチョー!?」

 

テイオーが休憩しているとシンボリルドルフがやってきた。そして自分も先程と同じ条件でタイムを計ってくれないかと頼んだ

巌勝が承認するとシンボリルドルフは少し体をほぐしてから巌勝の掛け声に合わせて走り始めた

 

 

「ふうっ……巌勝君、タイムは?」

「……2分32秒」

「テイオー、私の勝ちだ」

 

テイオーのタイムは2分34秒……テイオーのタイムより2秒早いという結果がでた。巌勝はテイオーの反応が気になりテイオーの方を向いた

 

「そっかぁ、やっぱりカイチョーはすごいなぁ……」

「……(向上心がないのか……?)」

 

もう一度シンボリルドルフがテイオーに敗北の事実を告げるが、テイオーはただただシンボリルドルフを称えるだけだった。

 

(何ともったいないことを……あれ程の才、磨けばもっと光るというのに……!)

 

実際にそうであることは巌勝も縁壱も分かっていた。まだまだテイオーには成長の余地があると見えていたのだ。

 

だが、どうもあの様子ではまるで『シンボリルドルフに勝てないのは当たり前』と認めていると同義であった。

 

 

二人は心の底で嘗ての記憶を思い返していた。

 

鬼殺隊の面々に稽古をしていた時のことだった。ある隊士がいた。その隊士はお世辞にも剣の腕があまり良くなく、他の隊士と比べても下から数えた方が早いくらいだった。

 

だがその隊士は他の者たちとは比べ物にならないほどの鍛錬を積んだのだ。周りの人物は彼に言った

 

『なぜそこまで鍛錬をするのか』とこれに対し彼は

 

『鬼に勝つためだ。あいつらに勝てないのは当たり前じゃない。勝てないのなら更に鍛錬するまで!悔しさを更に糧としてみせる!!』

 

彼はそれからも死に物狂いで鍛錬を続け、遂には当時の『柱』になって見せた。

 

 

そんな彼と比べてテイオーは彼が持ち得なかった『才』を持っている。さらには身体能力的にもトレーニングをさらに重ねれば『皇帝』にも届きうる物も持っているのにそれを自ら潰している現状に巌勝も縁壱も歯痒い思いだった

 

そんな二人を余所目にシンボリルドルフはテイオーにクールダウンと称して軽いランニングを提案した。

 

一応テイオーの脚的には問題ないため、巌勝も縁壱も承認した

 

 

「さて、勝手なことをしてすまなかった」

「いや、大丈夫だ」

「軽いランニング程度ならあれは問題ない」

 

「そうか……では率直に言う。先程のテイオーの様子を見てどう思った?」

 

二人は胸の内を告げる。勿体無いと

 

シンボリルドルフも同じだった。それからシンボリルドルフはテイオーとレースをすることを打ち明け、テイオーのことを任せると告げたのだった

 

「任せろ」

「私達があの子の可能性を広げましょう」

 

シンボリルドルフが満足そうに頷いた後しばらくしてテイオーが戻ってきた。

 

 

~おまけ~

 

「では行くぞ準備は良いか」「いつでも」「おっけー!」

 

「……よーい、スタート!」

 

(まぁ、さすがにボクが勝つに決まって……あれ?思ったよりも速い?)

 

 

数分後

 

「ボ、ボクの勝ち……(疲労)」「……負けたか(軽度の疲労)」「はぁ……はぁ……(疲労)」

 

(あれ……?この人たち……ウマ娘……じゃ……ない、よね?)

(さすがに速度では勝てなかったか)

(ば……化け物め……)

 

テイオーは途中まで並走してきた二人の頭にウマ娘の耳が無いか確かめる。

縁壱はさすがに速さでは勝てなかったことを知る。

巌勝は無理にテイオーと縁壱についていくために己が出せる全速力を出し続けた為現在疲労困憊である。

 

2500m

1着 トウカイテイオー 2分34秒

2着 継国 縁壱    3分20秒

3着 継国 巌勝    4分10秒

 

(……あれ?彼らって普通の人間だったような気が……)

 

観戦していたシンボリルドルフは己の常識を疑っていた

みこちゃんをどうしたいか

  • 病ませる
  • 兄上諸共他の世界に転移させる
  • 上二つ全部
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