強くてニューゲームを続ければ、いずれ英雄になれるだろうか?   作:ライadgj1248

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 まだまだチュートリアルです。まだまだ世界観の説明も兼ねてる感じです。


2話

 ドブさらいは良いものだ。確かに最初はキツくて臭くてたまったものでは無いと考えた。しかし黙々と一人で作業するのは嫌いでは無いし、臭いなんて人間の鼻は都合が良く出来ているのですぐに気にならなくなる。元々前世では肉体労働をしていたので、キツイ作業もそこまで苦では無い。それになにより定時で仕事が終わる、急な残業対応など無いのだ。さらにはなんと昼食と飲水の配給まである。もちろん簡素なパンと少量の干し肉だけだが、金欠の人間には充分な施しだ。

 

「よう兄ちゃん、兄ちゃんは今日で十日目だったな。これで今日から冒険者の仲間入りだな。」

 

 仕事が終わってその日の給料を受け取る時に、ドブさらいの監督をしている役人のロレンツさんが話しかけてくる。役人とはいうものの本人も作業に参加したりするので、体格のガッチリした土木作業系の人間だ。むしろ書類仕事とか出来なそうだ。

 

「はい!!このあと冒険者ギルドに行って登録をするつもりです!!」

 

 ドブさらいの仕事は夕方までで、冒険者ギルドは酒場も併設している関係かわりと遅くまで開いている。なんでも緊急の依頼主が来たりするので、少数の受付さんが夜も働いているとか。ギルド勤めはわりとブラックなのか?

 

「だったら水浴びくらいはしていけよ。兄ちゃんの鼻はバカになってるから気が付かねぇだろうが、今の俺達はかなり臭いからな。あまりの悪臭でギルドから叩きだされるぞ?ハッハッハッ!!」

 

「そ、それは勘弁ですね・・・どこか水浴びが出来る場所はご存知ですか?」

 

「公衆浴場なんて行く金はねぇんだろ?だったらいつも泊まってる馬小屋のとこに井戸があるだろ?あれで充分だろ?」

 

「そ、それもそうですね・・・」

 

 ロレンツさんには色々と教えて貰っている。ドブさらいの仕事に来るような人間は貧乏人ばかりだ。その日の暮らしも危ういからと稼ぎに来る者が多い。そんな人間を相手にしてきたからか、ロレンツさんは貧乏人がどうやって生きれば良いかの知恵が豊富だ。今寝泊まりしている馬小屋もロレンツさんの伝手で泊めて貰っている。

 

「まあ、冒険者なんて奴らも似たような生活をしている奴も多いから気にすんな!!大半の奴らはしっかり稼いで宿屋に泊まったりしてるが、無計画に生きるろくでなしも多いからな!!なぁに、また生活に困ったらドブさらいに戻って来いよ!!真面目に働く兄ちゃんなら大歓迎だ!!ハッハッハッ!!」

 

「もしもの時はまたお世話になります。それじゃ!!」

 

 ロレンツさんにそう言ったものの、もうここに来ることは無くなるだろう。なぜなら今日から俺は冒険者になるのだから!!

 

―――――――――――――――――――――

 

 井戸水を浴びてさっぱりしてから冒険者ギルドに入ると、ちょうどよく先日対応してくれた小柄で可愛い受付さんの前が空いていた。これは幸先良いな!!

 

「すみません。改めて冒険者の登録がしたいです。」

 

「ああカズキさん、今日もドブさらいお疲れ様です。これで10日間のドブさらいをして頂きましたので、冒険者ギルドへの登録料は免除ですね。あ、先に今日の分の報酬をお渡ししますね。」

 

 そう言って受付さんは今日の報酬である銅貨5枚を渡してくれたので、ひとまず財布にしまう。ちなみに貨幣の価値だが、生活に最低限必要なのは銅貨3枚くらい。馬小屋生活で昼食が提供されるドブさらいの仕事なら、1食分浮くから銅貨2枚で済む。銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、そして金貨100枚で聖金貨1枚だ。金貨から聖金貨のとこだけ倍率が違う。

 

「ありがとうございます。ではさっそく登録を。」

 

「はい、先日に必要事項の確認は終えていますので、今日はステータスの確認からですね。」

 

「おお!!ステータスですか!?」

 

「はい、ステータスとはその人の持つ能力の事で、筋力・生命力・魔力・精神力・敏捷性・器用さの基礎の6項目職業とスキルと称号によって構成されています。基礎の6項目の数値によって取得出来る職業が決まりますよ。」

 

 ふむふむ、HPやMPの概念は無いのか。そこは隠しステータス的なものなのか?

 

「スキルはなんとなく分かりますが称号とは?」

 

「称号はその人の生きた証とも言われていて、一定の条件を満たせば称号を獲得出来て、その恩恵として多少ステータスが上昇したり特殊な効果が得られたりしますので、是非積極的に取得してみて下さい。」

 

「具体的にはどんなものが?」

 

「そうですねぇ?初心者の方であればゴブリンバスターとかジャイアントラットバスターあたりが狙い易いでしょうか?条件もゴブリンやジャイアントラットを数多く討伐するだけですし、多少ステータスも上がるのでオススメです。それにゴブリンやジャイアントラットによりダメージを与える事が出来るオマケ付きです。」

 

「そ、そうですか・・・」

 

 なんかこう・・・もうちょっとカッコいい称号が欲しいんだけど・・・まあ、初心者なら仕方ないか・・・ドラゴンバスターとかならカッコいいんだけどなぁ。

 

「と、とにかくまずはステータスの確認をしてみましょう。こちらの水晶板に手を翳して下さい。」

 

 よ、よし!!気を取り直してステータス確認イベントだ!!神様的なやつと話をするイベントがなかったせいで、自分がどんな能力を秘めているか分からなかったけれど、きっと転生特典的ななにかがあるはずだ!!その力で無双して美少女ハーレムを築くんだ!!

 

「い、いきます!!」

 

 水晶で作られた板に手を翳すと、水晶板が少し光り始める。そのまま10秒くらい手を翳していると光がおさまる。

 

「もう良いですよ。」

 

 受付さんに言われて手を離すと、受付さんは水晶板の下に敷いていた紙を取り出して確認する。

 

「え!?こ、これは!?」

 

 よっしゃあ!!これは絶対当たりな反応だろ!?基礎ステータスがとんでもなく高いのか!?それとも何か特別なスキルがあるのか!?

 

「ど、どうなんですか!?早く教えて下さい!!」

 

「あ、えっと、その・・・」

 

 こちらの様子を伺っていたのか、周囲の冒険者達もざわつき始める。さあさあ!?俺の秘められた力はなんなんだ!?

 

「どうしたのシア?何か問題でもあった?」

 

「エレナさん!?ちょっとこれ見て下さい。」

 

「あらあら?これはまたずいぶん珍しいわね。」

 

 受付さんの対応に興味を抱いたのか、胸の大きな美人な受付さんが様子を見に来て、ステータスの紙を見て驚いている。あと小柄な受付さんはシアさんで美人の受付さんはエレナさんか。覚えておこう。

 

「早く俺にも見せて下さい!!」

 

「あら?ごめんなさいね。はい、どうぞ。」

 

 エレナさんから紙を貰って見てみるとそこには

 

 

カズキ

 

筋力  10

生命力 10

魔力  10

精神力 10

敏捷性 10

器用さ 10

 

職業  なし

スキル なし

称号  なし

 

 

 スキルなしかぁ・・・基礎ステータスは全部10だけどこれはどうなんだろう?

 

「えっと・・・これってどうなんですか?」

 

「こんなに均一なステータスなんて初めて見ました!!すっごく珍しいですよ!?」

 

「そうねぇ。でもこれだと冒険者になるのはちょっと大変かもしれないわ。」

 

「そ、そんなぁ・・・」

 

 あれだけ期待させておいてそれかよ・・・珍しさ特化とか誰得だよ・・・シアさんは物珍しさに驚いているみたいだけど、エレナさんはちょっと困ったよえな顔をしている。

 

「あ、いえ、別に冒険者になるのが無理なわけではないのよ?ステータス的には基本職なら何にでもなれるくらいの才能があるわ。神官だけは神殿の加護を受ける必要があるけれど・・・」

 

「え!?どんな職業にもなれるんですか!?」

 

 それは不幸中の幸いだ!!自分のなりたい職業を選べるのはせめてもの救いだろう。

 

「そう・・・なのだけど・・・能力値が均質だからこそ特別秀でたものが無いというか・・・前衛職に就くには筋力と生命力が低めだし、魔法職に就くには魔力が低めだし、弓使いやスカウトなんかに就くには敏捷性や器用さが低めなのよ・・・」

 

「つまり器用貧乏だと・・・」

 

「でもどの職にもなれるだけの最低値は確保してるのよねぇ。だからあなたの好みで選べば良いと思うわ。とりあえず前衛職・魔術士・弓使い・スカウトで選んで貰えるかしら?そこから細かいところを決めましょう。」

 

 どうするべきか・・・やっぱりファンタジー世界なら剣で戦うのが王道だと思うけど、魔法を使えるのもまた魅力的だ。弓使いやスカウトはちょっと地道だから除外して・・・

 

「魔術士でお願いします!!」

 

「分かったわ。じゃあ魔法の属性だけど、攻撃系と回復系と補助系のどれが良いかしら?」

 

「攻撃系が良いです。」

 

「だったら火属性が無難かしら?雷属性は制御が難しいから初心者向けじゃないのよねぇ。それか風属性も使い勝手が良いわね。」

 

 雷属性はカッコいいけど制御が難しいならちょっと辞めておこう。ここは無難に火属性で良いか、派手でカッコいいし。

 

「だったら火属性でお願いします。」

 

「分かったわ。じゃあシア、あとは任せたわよ。」

 

「は、はい!!ではカズキさんを火属性の魔術師として登録します。もう一度水晶板に手を翳してください。」

 

 言われた通りに手を翳すと、自分の手の上にシアさんが手を重ねて何か呪文をつぶやく。というかシアさんの手は小さくてスベスベだ!!もっとこの感覚を味わっていたかったが、すぐに水晶板が光ってしまいシアさんの手が離れてしまう。そして先程同様に水晶板の下から紙を取り出す。

 

 

カズキ

 

筋力  10

生命力 10

魔力  12

精神力 11

敏捷性 10

器用さ 10

 

職業 魔術士(火)

スキル 基礎魔術(火)

称号 なし

 

 

「おお!?ステータスが上がった!!しかも基礎魔術(火)のスキルもゲットした!!いっきに冒険者っぽくなったな!!」

 

「ふふっ、おめでとうございます。ですが油断は禁物ですよ?まずは冒険者ギルドが管理している演習場で練習する事をオススメします。最初は魔力操作の感覚に慣れてなくて、上手く使用出来ない方も多いですから。」

 

「なるほど。さっそく練習したいです!!」

 

「ではここの裏手に演習場がありますのでそちらを利用して下さい。この時間ならまだ管理人は居ると思いますので、その人の指示に従って利用して下さい。」

 

「ありがとうございます!!」

 

 シアさんに頭を下げてからギルドの演習場へと駆け出す。せっかく魔法が使えるようになったんだ!!とにかく早く試してみたい!!

 

「頑張って下さいね〜」

 

 シアさんが可愛く応援してくれるなら、俺はどこまでも頑張れます!!




 こういうちょっと欲望に忠実な主人公が書きたかった。
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