「あーっ、こうも毎日雨だとつまんないよ~!」
テイオーちゃんはベッドの上でスマホを投げ出して言った。
「どうしよマヤノ、暇で死んじゃいそう……」
つけっぱなしのテレビから流れるのは、近づ台風を繰り返し知らせるアナウンサーの声。横なぎの雨が窓を叩く。
関東に来そうで来ない、のんびり屋さんの嵐のせいでデートはおあずけに。
「たしかにマヤも暇だなぁ」
しばらくお外に出られないと、テイオーちゃんは目に見えて弱ってしまう。マヤの隣までやってくると、ほら、外の大雨に打たれ負けてるみたいによりかかってきた。
テイオーちゃんを支えるようにマヤも寄りかかると、結んでない鹿毛の髪がほっぺをくすぐった。
かわいそうだったし、ここはまだ平気なマヤがお世話しなくっちゃと、小さく意気込む。
「う~ん、ゲームは?」
「飽きた……」
ああ、たしかにス〇ッチで持ってるゲームは2人でやりつくした所だったね。
「あとは~、マルゼンちゃんが貸してくれたゲーム〇ーイあるよ」
「白黒じゃん……」
「ボードゲームなかったっけ?ほらカタンのなんとかって。マベちんも誘えば3人でできるよ」
「めんどくさい……」
あちゃ~、ここまで弱っちゃってると大変だ。元気を掴むための元気も残っていないと、抜け出すのは大変。マヤわかるよ。あとできるのは……なんだろう。
「ボクもうダメかも……マヤノをプレイするっ」
何もかも投げ出したような勢いで、マヤの背中に抱き着いてくる。ちょっと鼻息がくすぐったいんだけど。
「あとでね~?」
テイオーちゃんが攻略してくる前に何か考えないとなぁ。あと思いつく遊びなんて……。
「じゃあさ」
これはちょっと、イジワルだったかもしれないけど。
「愛してるゲーム、しようよ」
わざとハッキリとそのゲームの名前を言えば、抱き着いていたテイオーちゃんの腕が離れた。
「ほら、見つめ合ってぇ、想いを伝えあうやつ」
「あ、う、それは……」
振り返ると、ばつが悪そうに俯くルームメイトの姿。さっきとは違った弱り方をしているみたいだった。
「これも飽きた?」
「……だって、マヤノがいつも勝つじゃん……」
顔を隠そうとするようにぺたんと下がった耳に、ちょっと赤くなった顔がかわいい。ようやく生気のあるテイオーちゃんの顔が見られて、マヤは一安心。
「え~?今更恥ずかしいの~?」
「改まって面と向かって言うのが恥ずかしいんだよう!」
出会ってからけっこう経つのに、まだそうやってドキドキしてくれるんだ。そう思うとマヤは元気になったし、テイオーちゃんもダラダラからは抜け出した。
雨はまだ、上がりそうにない。 けど、これだけの元気があれば、きっと嵐なんて楽しくやり過ごせるよね。テイオーちゃんとの言い合いのさなか、マヤはそう思った。