テイオーとマヤノがお互いを大好きな短編集   作:ジズィリアム

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仲良しなマクイクに対抗心を燃やすテイマヤのテイ

 ボクの彼女、マヤノトップガンは宇宙一かわいいっ!

 ふんわりした髪にくりくりな瞳、ああ、かわいい所をぜんぶ挙げてたら日が暮れちゃう!

 話が合うし、とっても賢くて、でもほっとけない。ボクにとってかけがえのない子。そんなマヤノと今日はデートの日!

 すっかり秋で肌寒くなってきたけど、キミと手をつないで歩けば、ボクの心はもう南国にテイクオフしちゃうさ。

 

「こうしてるだけでも楽しいや」

「もう、テイオーちゃんったら」

 

 でもさ、本当のことなんだから仕方ないよ。一緒にいて楽しくない瞬間なんてない。

 さて、学園からそんなに離れてないあたりで、ボクらはばったりと出くわした。

 よく知ってる相手に。

 

「あ、マックイーンちゃんにイクノちゃんだ」

 

 マヤノに夢中で気づかなかったけど、車道を挟んで向こう側。二人並んで歩いている。

 そういえばあの2人も付き合ってるって聞いてたな。うわぁ、マックイーンってあんなにデレデレした顔するんだ……イクノもノリノリじゃん。身長高いね二人とも。

 ボクはその時点では普通にマヤノとのデートを普通に続けようと思っていた。だけど、マックイーンがこっちに気づいた。

 そして、ほくそ笑んでまたイクノの方に向き直った。

 わかるかな。何か失敗を見て「あらあら」とでも言いたげな、正直腹の立つ顔だった。

 なにさ!ボクがなにかしたっていうの!?カッとなるボク。でも理由に気づくのには時間はいらなかった。マックイーンは車道側を歩いている。ボクらだと、車道側を歩いているのはマヤノ。

 しまったぁ……これじゃあ恋人失格!もしやこれって愛が足りてない!?これじゃあマヤノに見捨てられてもボクは何も言えない……。しかも、マックイーンにも負ける事になる。

 ボクは考える――恋人としてより良い自分になるため、そしてボクらの方がカップルとして上だと知らしめるために――そうだ、よし。

 マヤノの腰に手を回して、

 

「おっと、車道に近すぎると危ないよ」

 

 ぎゅっと抱き寄せて、そう囁いた。

 

「わぁ〜!今のすごい恋人っぽかった!」

「えへへ、でしょ〜?」

 

 よし、成功。少しの失敗はテイオー様にかかればリカバリー可能さ。マヤノは喜んでくれた。マックイーンも見ていたので、ボクは最大限ムカつくようなドヤ顔を披露した。あ、ムスっとしてる。効いてる効いてる。カートゥーンだったら、怒りできっと耳から蒸気が出てるところだ。

 

「い、イクノさん」

 

 でも勝利の余韻にはまだ早いらしかった。

 

「寒くなって、きましたわね……」

 

 マックイーンは自分の巻いていたマフラーをほどいて、もう一度巻き直す。こんどはイクノも一緒に巻き込んで。

 ウワーッ!これが噂に聞く二人マフラー!?なんて恋人らしい……くそ〜、「これくらいの寒さならマフラーとかいらないでしょ」なんて思った自分を殴ってやりたい!

 

「どしたのテイオーちゃん?」

「い、いやなんでも」

 

 ちょっと声が裏返ってしまった。だめだぞテイオー、動揺するな……まだ挽回できる。

 

「ねねっ、手が冷たくなってきちゃったからさ、テイオーちゃんのポケットに入れていい?」

 

 きゅるるんボイスでおねだりするマヤノ。あぁかわいい。ボクの彼女かわいすぎる。

 もちろんokに決まってる。やっぱり恋はチームプレイだね。さてこれでマフラーの遅れは取り戻せたけど、決定打とはいえない。

 ボクらのほうが仲良しなカップルだとマックイーンにわからせてやるために必要な事、街に出ればそれが見つかるはずなんだ。

 

「あ〜っ!」

 

 さすが東京、考えなくたって答えの方からやってくる!

 現れたのは温かみのある木造の喫茶店。ウマスタとかでもよく見るし、まさにボクらの深い仲を見せつけるには絶好の戦場(バトルグラウンド)。いざ尋常に……。

 

「こんなところにイチャイチャ用のカフェがある!行こうマヤノ!」

「普通にオシャレなカフェだと思うけどな〜。じゃあ行こっか」

 

 さすがマヤノ、話が早い!

 西部劇でサルーンに入る時みたいに、バァーンともったいぶって扉を開けて入店(マヤノと観たことがある)。マックイーンたちもここが目的地だったらしく、ボクらに続く。

 賽は投げられた。勝敗はここで決するだろう。

 

 †

 

「この紅茶が美味しいんだよ〜、香りもフルーティでさ」

「テイオーちゃん詳しいもんね!来てよかった〜♪」

 

 ふふ、いきなりカップル専用ドリンクなんかを頼むのはシロウトだね。どうせなら紅茶をいただいて、別々のスイーツを頼んでシェア。これこそ王道、帝王道というものさ。

 目線をチラと横に向ける。向こうにマックイーンとイクノ、背が高いからよく見える。そこは普通に羨ましい。注文してるのは……なるほどコーヒーに紅茶、スキのないチョイス。だけどこーゆーオトナっぽい場所はマヤノの大好物、トータルの幸福度ならすでにボクらの方が上なのは間違いない。

 

「そ、それにしてもっ、いい天気ですね、い、い、イクノさんっ……」

 

 っていうか緊張しすぎでしょ。普段寮でどうやって生活してるのさ。

 

「はい、平年より高めだった気温もようやく落ち着いてきましたね。それに……」

 

 慣れてるのか、ただ気にしてないのか、イクノのフォローは鮮やかだ。

 

「マックイーンさん、いつも秋服が素敵ですから……また見せてくれるのが嬉しいです」

 

 ぐうぅ……なんてセリフ!イクノもかなり手ごわいぞ。鉄の女が見せるデレという事かぁ……あ、マックイーンもノックアウトされてるし。

 どうする?喫茶店に持ち込めば大差をつけられるなんて考えは甘かった。もっと大技が必要なのかな……?

 

「テイオーちゃ~ん?」

「はひっ、な、なんでしょうかマヤノ」

「驚きすぎ。周りじゃなくてちゃんとマヤを見てよ~」

 

 あぁっといけない。目の前に絶世の美少女がいるのに見ないなんて罰が当たる。ぷりぷり怒ってる顔もかわいいなぁ……トータルでお得だね。

 そんな考えもバレて、本気で怒ってるのに!なんて言われて、すぐ二人で笑いだす。

 そうしてるうちに、注文したスイーツが運ばれてきた。ボクのははちみーたっぷりのパンケーキ、マヤノはいちごのタルト。

 

「わぁ、おいしそう♪」

 

 同じものを注文してこれがおいしいね、なんて言い合うのもいいけどやっぱりデートなら、ね?

 

「マヤノのやつも食べてみたいな~?」

「もうっ、しょうがないテイオーちゃん」

 

 そうは言いながらも嬉しそうにするマヤノ。こういう子だから、ちょっかいを出したくなる時もある。一緒に居て楽しいキミと同室で恋人だなんて、ラッキーなボク!

 

「じゃあ、はい。あ~ん♡」

「あ~ん♪」

 

 あぁ、満足。スイーツはおいしいし、マヤノも楽しんでくれてる。これから長く続くであろうボクらの日々の大切な思い出となるだろう……。

 ……さて、マックイーンには効いたかな?ウブなキミにボクらの営みはちょっと刺激的すぎるだろうからなぁ~!

 と、思ったのだけど。

 マックイーンたちが居ない。

 というか、お客さんも店員さんもみんな外を見てる。

 

「あれ、あそこに座ってるのマックイーンちゃんじゃない?」

 

 お店が面してるストリート。

 さっきまで普通に車が通ってた車道は、リムジン二台がブロックしていて。

 オシャレな席、テーブル、パラソルが並ぶテラス席と化していた……!

 

「なにあれ……」

「あぁ、アレですか……」

 

 ちょうど通りがかった店員さんが説明してくれた。

 

「さきほどメジロ家がこのお店を買い取りまして……臨時のテラス席、だそうです……」

「ちょっとマックイーン!!!」

 

 ボクは激怒した。

 考える前に喫茶店を飛び出した。

 

「なにそれ!ズルい!反則!」

「ななな、なにがズルなのでしょう……」

「とぼけるにしても無理があるよ!」

「う、うるさいですわね!今日は普通にお出かけするつもりでしたのに、貴方ときたら!」

「セレブパワーで押し切るなんてボクが許さないよ!!」

 

 

「あ~あ、テイオーちゃんったらまた熱くなっちゃって……」

 

 勝負事となると本気になる所も好きだけど、マックイーンちゃんに負けたくないのはわかるけど。大事な日にマヤをほったらかしにするなんて……まったく、コドモなんだから。

 

「こんにちは、マヤノさん」

 

 遠くからケンカする二人を見てると、イクノちゃんがやってきた。そうだよね、イクノちゃんもほったらかし。

 

「大変ですね、お互い」

「そうだね……んもう、大人げないよね」

 

 おうちの財力で押し切るなんてマックイーンちゃんらしくないし、相当追い込まれてたんだろうなぁ……ちょと申し訳ない気分。

 

「私たちも加わって、援護した方が早く終わるかもしれませんね」

「や、やめた方がいいと思うな……?」

「そう、ですか」

「うん。ねぇねぇイクノちゃん――」

 

 手持無沙汰ということもあって、マヤは初めてイクノちゃんとしっかりお話をした。メガネかわいいね、とか。秋服について、とか。

 とにかく真面目な子なのかと思ってたけど、それ以上にノリが良くて楽しい子だった。

 会話は自然と、目の前でケンカしてるマヤたちの相手についてのお話になってゆく。

 

「マックイーンちゃん、変なところで奥手だから大変でしょ」

「えぇ、たしかに、そういう面は……でも、素敵な方です」

 

 図星みたいだけど、それでも恋人を立ててあげようとする姿勢、マヤ感銘しちゃった。

 

「じゃあ!そんなイクノちゃんにアドバ~イス!」

 

 健気な女の子にはお助けがあってしかるべきだよね?

 

「そういう時はねっ、ズルいオンナになるんだよ!」

「ズルい、女?」

「耳貸して……」

 

 これくらいは恋のキホン、って雑誌に書いてあったなぁ。簡単だけどすごく効き目のあるやつ。

 聞いたイクノちゃんは最初恥ずかしそうにして赤くなってたけど、持ち前の行動力ですぐ実行に移しに行った。すごい!

 

「マックイーンさん……」

 

 まだケンカの最中だったマックイーンちゃんに近づいてゆくと、くいっ、とコートの袖を引いて、

 

「かまって、くれないんですか……?」

「イクノさんっ……」

 

 あのイクノちゃんから甘えた声でそんな事を言われれば、もちろんマックイーンちゃんは即陥落。

 

「も、もちろんかまいますわ、かまいますともっ!あぁ次はどこへ行きましょう?夜まではまだ時間がたっぷりありますわ」

 

 脱線していた所から驚くような速さでデートモードに切り替わるメジロのお嬢様。鉄の女を引き連れて、街の中へと消えてゆく……。

 よかったね、イクノちゃん。

 

「すごい、イチコロだ……」

「テイオーちゃん」

 

 さて、かくして平和は取り戻された。そろそろ当初のスケジュールに戻りたいな。

 

「マヤたちも行こ?」

 

 そうだね、とテイオーちゃん。マヤたちは手をつないで、放置されたリムジンを後にしてデートの一日を再開しました。めでたしめでたし。




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