TSアクセラレータちゃんとはオレのこと   作:悪ィがこっから先は性転換だァ!!!!

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第5話 一流の悪党

 暗器であったワイヤーを反射され、オレに殴られた神裂火織こと、痴女。普通なら吹っ飛ばされるであろう威力が込められた拳であったのだが、痴女は数メートル後退するだけでその両足でしっかりと地面を踏みしめていた。

 

 ただまぁ、オレのベクトルパンチは聖人様にもしっかりと効いてくれたようで殴られた腹部を手で押さえていた。

 

「……あなたが誰で何故に私と戦うのか聞いても? 私の記憶違いでなければ、あなたとは初対面のはずなのですが」

 

 痛みに耐えている神裂は困惑気味にオレの正体を聞いてきた。神裂からすれば、インデックスを保護する為に当麻と戦っていたら、急にオレが降ってきて、竜巻ぶつけられて、自分のワイヤーが何故か効かなくて、ぶん殴られたという感じだろう。

 

 しかも、聖人であるはずの自分に確かなダメージを与えているのだから。初対面のオレが。

 

 神裂が困惑するのも頷ける。

 

 まぁ、オレが神裂と戦うのには大した理由などない。

 

「オレがオマエと戦う理由だァ? ただの憂さ晴らしでしかねェンだよォ。後ろでアホ面晒してるロリコンがオレとの予定をド忘れしてやがったからなァ。それの腹いせにオマエと戦ってるってだけだァ。ロリコンは貧弱だけどよォ、オマエは頑丈そうで良いオモチャになりそうだと思ったンだよォ!」

 

「──なっ!?」

 

 神裂と戦う理由を素直に明かしたら、神裂は絶句。殴られた理由がインデックスの為とか何でもなく、約束をすっぽかした男への怒りの八つ当たりというのだから絶句するのは当然だ。

 

 ただし、当麻が約束を忘れていたのは昨日の騒ぎが原因で、その騒ぎの犯人は神裂の仲間。その仲間にも当麻がド忘れした原因があるとは言えなくもない。

 

 そういう事なので仲良しこよしの仲間の責任は連帯責任という事で神裂に払ってもらうとしよう。

 

 さて、次は名乗りを考えるべきなのだが、どう名乗るのが正解だろうか。当麻がいる場所で馬鹿正直に「科学サイド学園都市第1位様」と名乗るのは100%有り得ないので却下。

 

 ならば、こう名乗っておくとしよう。

 

「あとオレはなァ、オマエなんぞに名乗る名はねェ。だがよォ、オレは一流の悪党だ、三下ァ!」

 

 地面を踏みしめ、能力で衝撃を地面を伝わせ、神裂の元へと衝撃を送る。オレが弄ったのは地球の自転により発生したベクトルなので地面を踏む必要など皆無だが、一流の悪党にパフォーマンスは重要である。

 

 衝撃を神裂の元へと送った過程でオレと神裂の間にあった道路が地割れでも起こしたかのように砕かれ、辺り一帯のビルのガラスも割れるが、魔術の存在を秘匿したい誰かが修理してくれるだろう、きっと。

 

 オレは何もやらん。

 

 誰かに道路の修理を丸投げしたこの攻撃だが、やはり神裂には当たらなかった。何らかの攻撃が自分の元に向かってくるのが滅茶苦茶分かりやすいからだ。神裂は攻撃が自分の元に到達するよりも前にその場から離れてしまった。

 

 地球の自転のベクトルを操作して繰り出すこの攻撃は当たりさえしてくれれば、大ダメージを相手に与える事が出来るのだが、攻撃が分かりやす過ぎるのが些か欠点であろう。

 

 地球の自転という事もあって、その衝撃のスピードは速いのだが、空間移動(テレポート)系の能力者や、凄まじい肉体性能を誇る相手には余裕で回避されてしまう。

 

 まぁ、派手で好きなんだけど。

 

 攻撃の欠点を考えていると、攻撃を回避した神裂が日本刀の柄を掴み、構えた。

 

救われぬ者に救いの手を(Salvare000) 七閃! 」

 

 神裂が言葉を発した瞬間、凄まじい速度で全方位からワイヤーが道路をバターのように切り裂きながら襲い掛かる。ワイヤーと分かるのはオレが原作知識を持っているからであり、そんなオレでも注視しなければ極薄のワイヤーを捉える事は出来ない。初見であれば、不可視の斬撃として捉える事も出来なかっただろう。

 

 如何なる攻撃であろうと、不可視だろうが、頑丈だろうが、鋭かろうが、オレの一方通行(アクセラレータ)の前では等しく全てが無力である。ワイヤーの尽くを反射し、攻撃を無力化した。

 

 それにしても、神裂が魔法名とやらを名乗ったという事は、本気を出さなければオレに敗れると悟ったらしい。本気を出そうが出さまいが、オレに勝つ事など神裂には出来ないだろうが。

 

 オレに勝つ為には木原数多や第2位のように何らかの手段を用いて能力の仕様の裏を突くか、魔神のように生物としての格が別次元ぐらいでなければ、不可能に近い。

 

 あらゆる異能を打ち消す当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)は別という事で。

 

 それにしても、神裂のワイヤー攻撃が絶え間なく降り注いでくるのがハッキリ言って鬱陶しい。360度から間髪入れずに攻撃を繰り出し、その全てを反射しているけれども。神裂は、オレの能力に穴が無いのかを攻撃の中で探しているのだろうが。

 

 発動のクールタイムやタイムラグ、360度全方位に反射の能力を常時展開しているのかどうか等々。オレを倒す為に色々と様子見をしているのだろう。

 

 だが、その全ては無駄な足掻きでしかない。

 

「オマエの攻撃は、どうやらオレには効かねェみてェだぞォ! 他になンかねェのか? これで終わっちまったら期待外れも良いとこなンだけどよォ!」

 

 神裂のワイヤー攻撃は止まり、彼女は帯刀している刀を抜くべく、柄に手を掛けた。原作では刀による攻撃は神裂にとっての奥義に近かったはず。どうやら、向こうは本気で全力でオレを倒そうと決めたらしい。

 

 果たして、その攻撃がオレに効かなかった時は神裂はどんな表情を浮かべるのだろうか。相手は聖人だ。どれだけ痛めつけても、そう易々と壊れる事は無いだろう。神裂をどう調理してやろうかと妄想を膨らませている時だった。

 

「鈴科! お前ちょっとやめろ!」

 

 左肩に当麻の右手が乗せられた。

 

 ……そういえば、当麻がいたんだっけか。目の前に頑丈な聖人(おもちゃ)が出て来たから、ついつい我を忘れそうになっていた。というか、ここに来た目的はオレの存在を忘却の彼方にしていた当麻をぶちのめす事にあったんだった。

 

 だがまぁ、ここに来て一発目で顔面に蹴撃を食らわせてやったし、良しとしよう。目の前の聖人と違って、当麻は幻想殺し(イマジンブレイカー)という特異な能力を持ちこそすれど、その肉体は一般人と何ら違いはない。

 

 ここで神裂とガチバトルを繰り広げると、その余波で当麻が死にそうだし、やめておこう。

 

 肩に乗せられた手を払って、後ろにいる当麻に向き直った。

 

「けっ、分かったよ。オマエのせいで興醒めだしなァ。あの痴女と話したい事があンだったら、さっさと終わらせて帰ンぞ。オレを忘れてやがった事とかでたっぷりと話したい事があるからなァ、上条当麻くゥン」

 

「は、はい……」

 

 オレが良い笑顔を浮かべて言ってやれば、当麻は快く頷いてくれた。顔を真っ青にしていた気もするが、気のせいだろう。

 

 当麻を神裂の元に向かわせて、オレは歩道に設置されていた近くのベンチに座った。立ったまま当麻を待つのは面倒な事この上ないし。

 

 ベンチに座りながら神裂と当麻の会話に耳を傾ける。

 

 神裂曰く、インデックスに刀を振るった時、刀がインデックスを傷付けるとは思ってもみなかった。

 

 まぁ、それはインデックスを変態が喜びそうな姿にした当麻が悪いな。それにしても、神裂の口ぶりから察するに聖人の攻撃を防げる程の防御力をシスター服は持っていたのであろう。そんな代物を一瞬でぶっ壊してしまうあたり、本当に幻想殺し(イマジンブレイカー)は破格の能力なのだという事が伺える。右手でしか扱えないのが本当に惜しいと感じてしまう。

 

 また神裂曰く、完全記憶能力を持つインデックスは10万冊を超える膨大な魔道書に脳の85%を占有されており、脳の残り容量は15%程度らしい。どんな過程を経て、そんな阿呆な答えが出たのかは全く知らないが、1年生活しただけでその15%も使用され、たちまちインデックスの脳はパンクするという。

 

 いやぁ、それはそれは大変な事で……ぶふっ。

 

「あひゃははひゃひゃははは! ぎゃはひゃははひゃはははは!」

 

 あぁ、駄目だ。堪えきれなかった。あまりに阿保な事を抜かすもんだから、ついつい爆笑してしまった。

 

 インデックスの悲しい運命やら自分達の辛い任務を話している時に爆笑された神裂は鋭い目つきでオレを睨み、当麻の方は突然笑い出したオレに困惑している。だがまぁ、妙なツボに入ったのか、中々笑いが収まらない。貧弱な腹筋も攣りそうだし、涙も出て来た。

 

「一体何がおかしいというのですか!?」

 

 一向に笑いの止まらないオレを見て、神裂は怒りを宿した声を放ってきた。確かに超絶真面目な話をしている時に笑われるのは腹が立つのは分かるのだが。

 

 それでも、あれだ。何とか笑いを抑えて、思った事を口にする。

 

「いやァ、本当に馬鹿ってのは損すンだなァと思っただけだ。あァ、思い出しただけで笑いそうになってきちまったじゃねェか」

 

「私のどこが馬鹿だというんです!?」

 

「上の言葉に盲目的に従ってンのと、常識的な考えをしないとこ。ちょっとでも考えてみりゃァ分かンだろうがよォ。1年で15%も使うってなら完全記憶能力を持つ奴らは7年は生きれねェって事だ。オマエら、そんな話聞いた事あンのか?」

 

 オレのその言葉に神裂は漸く思い至ったらしい。自分達が嘘の情報を握らされているのではないかという事に。もし、神裂の上司の言葉が本当だとしたら、完全記憶能力は生まれた瞬間から余命6年少々の致死率100%の難病という事になる。それ自体は単なる能力でしかなく、治療法や特効薬なんてものは無いのだから。

 

 残酷な真実に気が付いた神裂の心の内を示すかのように彼女の顔は分かりやすい程に青褪めていく。

 

「そもそも人間の脳は140年は生きれるぐれェの容量があると言われてンだ。そう易々とパンクなんて事にはなんねェンだよ。それに記憶と一概に言っても、意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶って具合に分かれてンし、たった1年で約6分の1も使うなンていう阿呆みたいな事にはどうやってもなんねェンだよ」

 

「……まさか、そんな、ことが……」

 

 神裂はオレの言葉を信じたくないのか、茫然と呟く。けれど、オレの言葉を否定出来るほどの材料を、知識を神裂は持っていない。

 

「幾ら親友の記憶を奪う罪悪感やらで余裕がなかったンだとしても、ちょっと調べれば分かる事だ。救える為の手段があったかもしれないってのに、何もせずに1人の人生を奪い続けたのは大きな間違いだなァ。まァ、魔術なんてもンがあンなら嘘を信じやすくさせるとか洗脳系の魔術とかがあってもおかしくねェが」

 

 オレの言葉を聞き終えた神裂はその場にへなへなと座り込んだ。自分達は騙されていたとは言え、親友の記憶を何度も奪ってきたのだ。それを考えてしまえば、そりゃあそうなるよなって感じしかしない。

 

 そもそもの話、神裂に偉そうに言える程の資格をオレは持っていないだろう。神裂は1人の人生を何度も奪ってきた。インデックスの外見年齢的に15回程度だろうか。どれだけ多かろうとも、20は行っていないだろう。

 

 だが、オレはどうだろうか。人生を奪い続けた回数は10回や20回では済まされない。0が3つは足りていない。しかも、罪悪感マシマシな神裂とは違い、オレは原作のオレと同じように確かな悦楽を覚えているのは間違いない。

 

 自分の事を棚に上げるオレと碌に調べる事をしなかった目の前の神裂。どちらの方がヤバいかと聞かれれば、オレの方が余程タチが悪いと言えるだろう。それだけは間違いない。

 

 我ながらセンチメンタルな思考を回していると、若干ながらも持ち直した神裂が覚束無いながらも立ち上がった。

 

「……その情報は一度持ち帰る事に致します。あなたの話の整合性を確認でき次第、また連絡いたします」

 

 それだけ言って、神裂はオレ達に背を向けて歩き出した。お仲間の外見詐欺の魔術師であるステイルと会う為だろう。

 

「一先ずは何とかなったって、事か……」

 

 ステイルからの襲撃や神裂の戦闘のダメージ。インデックスの安全の為に常に周りを警戒していたのもあるのだろう。一気に緊張が解けた当麻はその場に崩れ落ちた。地面に直撃しないように受け止めてやったから感謝して欲しいものだ。オレとの約束をすっぽかした恨みは大きく、そのまま地面とキスさせてやろうかとも思ったが、ボロボロな当麻にトドメを刺すような気がしたのでやめておいた。

 

 念の為に能力で読み取った生体電気から生体情報を確認して、体や脳の何処かに異常がないかを確認しておいた。まぁ、見た目の通り大した事にはなっていないようだが。

 

 オレってば、優しいと思わない? 後は、当麻を小萌の家に送り届けてやれば解決だろう。

 

 ただまぁ、ここで新たな問題が発生している。

 

「オレ、小萌の家まだ知らねェンだけど……」

 

 小萌の家を知らないから空を飛んで当麻を探していたというのに、頼みの綱であるはずの当麻は気絶してしまっている。原作では数日間は目を覚ます事は無かったはず。当麻がすぐに起きる事に関しては望みは薄いだろう。

 

 マジでどうしたものか。

 

 

 ────────────────────

 

 

 場所は変わり、コンテナ置き場。当麻は小萌の家に置いてきた。どうやって、小萌の家まで辿り着いたのかというと小萌の家が分からずに途方に暮れていた所に案内人が来たのである。その案内人の名は、インデックス。魔術の気配を察知して来てみたら、ボロボロで気絶している当麻と途方に暮れているオレを発見し、小萌の家まで案内してもらったという訳だ。

 

 それで当麻の傷の治療は小萌やインデックスに任せて、オレは実験があったのでそこでお別れしたという経緯である。

 

 そして今、武装した妹達(シスターズ)の1人と実験を始めようとしていた。

 

「被験者アクセラレータは所定の位置についてくださいとミサカは伝令します」

 

 これからオレがする事を想像するだけで気分が高揚する。口角が自然と吊り上がる。こんな事にどうしようもない楽しさを覚えるのと同時に自分への好感度は0を振り切って、マイナスへと到達する。

 

 罪悪感を抱きながら1人の人生を奪う魔術師と快感を覚えながら何千の人生を奪う最強。どうしようもないのはどう考えでも後者だろう。しかも、極悪非道なその最強がこれから1人の知り合いから忘れられるかもしれないと考えただけで心を搔き乱されているのだ。

 

 だが、そのむしゃくしゃをぶつけられる相手は不幸にも目の前にいる。うずうずし過ぎて、今か今かと実験の開始を待ち侘びる。

 

「これより第9867次実験を開始しますとミサカは宣言します」

 

 その言葉と同時にオレは駆け出した。目の前のオモチャで遊ぶ為に。

 

 あぁ、本当にオレはどうしようもねぇなぁ。

 




一応言っておきますけど、作者は神裂大好きです。エッッなメイド姿を見て、ハートを撃ち抜かれたのは何時だったか……

土御門グッジョブ
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