TSアクセラレータちゃんとはオレのこと 作:悪ィがこっから先は性転換だァ!!!!
A.私です。
そういう事で本当にすみません。
あ、今回は試しに視点変更を入れてみました
当麻が意識を失い、早3日が経過した。
特にやる事もないので補習と実験以外は小萌の家に入り浸り、当麻の様子を見るか、インデックスや小萌と話す事が殆どだった。3日もインデックスとは話している内にそれなりに仲良くなれたと思いたい。この3日間の内にあった大きな出来事と言えば、神裂とステイルの方からオレへの接触があった事であろう。
神裂達が自分達で調べていく中でオレの話が真実であると受け入れる事が出来たようなのである。幸いにもここは学園都市。能力開発を盛んに行っている為か、脳科学に関する資料など山のように溢れている。テキトーな資料を1つ2つ見繕えば、オレの話が真実であると分かったのだろう。
それが判明するとオレに接触してきた。端的に言えば、それは協力の要請だった。
自分達が嘘を言われたという事に気が付いた神裂達は、何かしらの細工がインデックスに施されている可能性を考えた。それ故にインデックスの耳には入らないように、オレ個人に接触してきた。
話された内容は要約すると3つに絞る事が出来るだろう。
まずはインデックスの記憶に関する虚偽は上層部に問い詰めない方向性で行くそうだ。インデックスに何かしらの細工を行われたと仮定した時、その細工の詳細は不明なままであり、遠隔起動が出来る可能性も考えてとの事らしい。これは魔術組織に属していないオレにとってはどうでもいい話なのでスルーしておいた。
次にインデックスに施された細工を見つけて欲しいとの事。記憶の圧迫が嘘だとしても、今までインデックスを追ってきた神裂達は1年の周期が近付くにつれて、体調を大きく崩しているインデックスを見た事があるらしい。それからインデックスは記憶の圧迫とは異なる要因で苦しめられているのだと推察して、何かしらの魔術がインデックスに仕掛けられていると考えたらしい。その魔術をオレに見つけろとそういう事だそうだ。
神裂達はインデックスを追いかけて学園都市までやって来たのだし、顔バレしている。神裂がインデックスに「昔は友達だったんだ。だから体見せて」とか言っても断られるのは目に見えている。そこで当麻の看病を通して、仲を深めているオレに頼み込んできたんだと。
最後に当麻とオレへの有事の際の協力要請。当麻が起きたら協力してくれるように説得するからそのサポートをお願いされた。どんな異能なのかは詳細は分からずとも、魔術を打ち消す
正直言って、オレの方にメリットなど皆無であるが、他にやる事もないので了承はしておいた。尤も、最後の当麻の説得は意味など無い気がするが。当麻なら「インデックス助ける為に力貸して」とでも言えば、「その幻想をぶち殺す!」とか言って協力してくれるのは目に見えているからだ。
インデックスに施されている魔術に関しては、原作知識で喉奥にインデックスの首輪の魔術がある事は知っている。なので、それをインデックスが寝ている内にちょっと見た結果、原作知識と相違ない事が分かったのでそれを神裂達に報告しておいた。
そんなのがこの3日間の出来事。
インデックスと共に当麻の看病をしていると、当麻に動きがあった。
「……んぅ、インデックスに、鈴科?」
軽く呻いたと思ったら、当麻の目がゆっくりと開かれ、インデックスとオレの名を呼んだ。窓から差し込む日の光で眩しそうに目を細めながら、上体を起こして右腕を抑えた。
「うっ、いってぇ……」
オレの
起き上がった当麻にインデックスがまだ寝とけと言うが、当麻は聞き流す。当麻の体の状態を鑑みれば、寝ておいた方が良いのは確かだ。だが、その言葉を聞き流すというのなら、実力行使しかあるまい。
「オマエはまだ寝とくのがお仕事だっつゥの」
当麻の肩を軽く押してやる。肉体年齢が13歳のオレが男子高校生の肩を押した所でどうという事は無いだろう。だが、触れた瞬間に当麻の体に流れる生体電気を掌握し、オレの行動に抵抗しないようにしておけば、簡単に当麻は横になってくれた。なってくれたというか”させた”という表現が正しいのだろうが。
オレに倒されるとは思ってもみなかった当麻は阿保面を晒しているが、そんなのは気にせずに神裂に当麻が起きたというメールを送っておいた。
意識を失う直前は夜で今は朝。どうせ一晩ぐらいしか経っていないのだろうなどと思っていそうな当麻に残酷な真実を伝えてやる事にした。
「よォ、寝坊助野郎。3日ぶりの目覚めはどォですかァ?」
「3日……? はぁ!? 3日ってどういう事だ── いっつぅ」
オレの3日という言葉に最初は理解が追い付いていない様子だったが、理解が追い付くとそれはそれで喧しかった。完治していない体で喧しくし過ぎた結果、体に痛みが走ったようだが、それで静かになってくれたのは助かった。あまりに痛みが酷そうだったら、脳の電気信号をちょっと弄って痛覚を和らげてやろうかとも思ったが、それはしないでおいた方が良さそうな気がする。そっちの方が自発的に静かにしそうだし。
「とうま、3日も寝たままだったんだよ? 本当に心配したんだから!」
騒いだ代償に痛みに悶えまくっている当麻にインデックスが言葉を掛ける。オレは当麻が数日で目覚める事を予め知っていたので心配は皆無だったのだが、インデックスはオレのように未来の知識を持ち合わせていない。当麻が寝ている数日間のインデックスはそわそわしていたというか、落ち着きが無かったというか、当麻の傍に四六時中いたのだけは確かだ。
インデックスと当麻がギャーギャー騒いでいるのを後目に携帯を見てみると、神裂から返信が来ていた。内容は短いものであり、昼過ぎにこの家に訪れるのでインデックスを少しの間だけ外に連れ出しておいてくれとの事だった。首輪の事がインデックスの耳に入った途端に仕掛けられた魔術が起動する可能性を加味してとの事。
物凄く慎重になっているなとは思ったが、神裂とステイルにとってインデックスというのはそれだけ大切な人なのだろう。例え、インデックスにその記憶が無かったとしても。だからこそ、常に最悪を想定して行動しているらしかった。
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(上条当麻 side)
昼頃になって、鈴科はインデックスを連れて外に出て行った。昼飯を買ってくるとの事。インデックスは小萌先生の部屋に残りたがっていたが、鈴科はそんなインデックスを説き伏せて共に外出して行った。鈴科はインデックスと共にそれだけ外出したかったのだろうか?
出る直前に鈴科から「痴女とヤニカスが来たら部屋に入れてやれ」と言われたが、どういう事だろうか。
……それにしても、3日前に見た鈴科の姿は一体何だったのだろうか。
神裂とか言った魔術師に俺がボコられている所に突然現れた鈴科は、俺の理解力では全く追い付きそうにない何らかの力で神裂を圧倒していた。まさか鈴科も魔術師とかいう奴なのだろうか。
いや、それは違うだろう。何時だったか、鈴科は自分が高レベルの能力者である事を匂わせるような事を言っていたはずだからだ。流石に能力のレベルが幾つなのかは教えてもらう事は出来なかったが、この前の戦いぶりを見るに
身近にいる存在が実は学園都市が世界に誇る最高位の能力者である可能性が何の違和感もなく思い浮かぶぐらいには、鈴科の戦いは圧倒的だった。
ただ、あいつがどれだけ優れた能力者であろうと鈴科百合音という人物は残念な頭脳を持つ俺に何だかんだ言いながらも、勉強を教えてくれたりする優しい奴だ。口調の荒さと行動の優しさが全く以て不一致で、不器用な優しさを持っている俺のクラスメイトである事は間違いない。
それはそれとしても、やっぱり鈴科の能力の詳細が気になる。空から堕ちてきたり、竜巻を起こしたり、地割れを起こしたり、軽いパンチであの魔術師を吹き飛ばしたり、ワイヤー攻撃を弾いたりと能力に一貫性があるようには見えないのだ。
ついさっきも上体を起こしていた俺を鈴科は軽く押すだけで倒していた。あの時、鈴科に触れられた時に体が言う事を全く聞かなかったのだ。抵抗しようとしても、筋肉に一切力が入らず、簡単に倒されてしまった。
能力は1人1つが常識であり、能力を応用する事で多様化させる事もあるが、それでも似通った部分はあるはずだ。だが、鈴科の能力にそれは見られなかった。
幾つもの能力を持つ幻の
1人で考えるという行為を馬鹿な俺がやった所で答えに辿り着く訳もなく、分かったのは「鈴科ってすげぇ」ぐらいである。それ以外は皆目見当もつかないと言っても過言ではないだろう。
いっその事、本人に聞いてみるのはどうだろうか。何だかんだ言いながら教えてくれるような気もするし、キレ散らかしてぶっ飛ばされる未来も見える。
俺1人では最適解を見つける事は叶わず、唸っていると家のインターホンが鳴った。
鈴科とインデックスは鍵を持っているはずであるし、家の主である小萌先生も同じく鍵を持っている。そうなると訪れたのは宅急便とかだろうか。小萌先生の事だから宅急便が来る予定があったのなら、俺達に来ると伝えていそうなものだが。
何はともあれ、見ない事には始まらない。未だに痛む体に鞭を打って起き上がり、ドアに付けられている小さな穴であるドアアイから外を覗き込む。
「…………はぁ!?」
思わずといった感じで驚きの声を上げ、その場から大きく後退した。何故ならば、そこにいたのは3日前に戦った女魔術師とインデックスと出会った日に戦った男魔術師がいたからだ。何故にこの場所がバレているのだろうか。まさか発信機でも付けられていたりしたのか。それとも相手は魔術師だし、何らかの魔術で俺の居場所を探ったりしたのだろうか。
どれも有り得る気がする。
まさか鈴科が言っていた事はこれの事だったのだろうか。神裂とかいう女魔術師は服装は露出が激しいし、ステイルとかいう男魔術師も煙草を吸っていると言われても違和感が全くない。そして、鈴科は外出にインデックスを無理矢理同行させ、2人がいなくなってすぐに魔術師が部屋を訪れた。
これらから察する事が出来るのは、鈴科と魔術師達が通じているという事だ。
俺が気絶する前に鈴科と女魔術師は戦闘を繰り広げていたが、俺にはあれが演技だとは思えなかった。あの時は、相手を排除する為に本気で戦っていたように思う。そうすると鈴科が魔術師たちに通じ始めたのは、俺が気絶している間の事だろう。
その間に何かがあったと推察する事は出来る。ついでに言えば、そのあった何かというのもある程度は推測可能だ。それは俺が気絶する直前に鈴科が言っていた事だ。
女魔術師に与えられていた記憶の圧迫により1年周期で記憶を消す必要があるという情報が全くの出鱈目であったという事だ。出鱈目でありはしたが、問題が発生して、魔術師たちは鈴科に協力を持ちかけたとかそういう感じだろうか。
散りばめられた情報からある程度の事は推測する事が出来た。そうなると2人の魔術師を家に入れてもいいような気がしなくもない。だが、あくまでそれは俺が考えたものであり、全くの見当違いという可能性もある。
見当違いであれば、扉を開けた瞬間に魔術師たちに殺されるという可能性も無くはない。
うじうじ悩んでいると、魔術師たちは業を煮やしたのだろう。扉を強めにノックしてきた。そして、扉の向こう側から女魔術師の声が聞こえた。
「数日前の事は謝ります! だから、どうか、インデックスを救う為にあなたの力を貸して欲しいのです!」
インデックスを救う……?
……あぁ、もう! うじうじ悩んでもしょうがないよな。俺の目には女魔術師が嘘を言っているようには見えなかった。本当にインデックスを救いたいと思っているのだろう。
もしも、女魔術師の言葉が嘘で俺を殺す気だったら、その時はその時だ。未来の俺に任せる事にする。俺なんかが悩んだ所でどうにもならないんだ。
ええい! ままよ!
俺は勢いに任せて、扉を勢いよく開けた。
……扉の前に立っていた男魔術師の顔面を扉でぶん殴ったのは悪いと思っている。本当だぞ?
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神裂から説得成功という内容のメールが送られてきた。それ以外にも当麻の人間性を心配するような内容も書かれていた。
まぁ、散々ボロボロにされた魔術師から「インデックスを救いたいんだ!」と言われて、当麻は即答即了承したらしいから人間性を心配するのも間違ってはいない。当麻の精神はヒーローとしては立派なものであり、何なら立派過ぎるのだが、常人と比較してみるとその精神構造は隔絶していると言ってもいいだろう。
インデックスの体内に施された魔術を消すのは今夜。住民が寝静まった頃に行うという予定になったそうだ。何があってもいいように、オレ、魔術師2人、当麻という万全の4人体制でインデックス救出作戦を行うらしい。
原作では、そこでインデックスの首輪は消え去り、上条当麻は上条当麻ではなくなった。
話は大きく変わるが、オレの知る物語において、アクセラレータという人物は男であり、その人物が物語に登場するのはもっと先の話だ。要するに既にオレの知る正史から大きく逸脱しているという事だ。
ならば、これから物語を大きく変えた所で今更という事に違いない。ここは物語ではなく、人が生きる世界なのだから。未来を決めるのは、その世界に生きる人々だ。
まぁ、何を言いたいのかと言うと当麻の記憶が失われないように立ち回ろうという事である。
当麻が原作で失ったのはエピソード記憶。知識はあるが、その知識を何処で獲得したのかなどは覚えていないという風になってしまう。それはつまりどういう事かというと、オレが時間を掛けて教えてやった知識などは当麻の脳内に残りはするが、それを教えてやったのがオレであるという事を忘れてしまうという事になる訳だ。
そんな事態になると非常に遺憾と言わざるを得ない。
オレへの恩を忘れるとか万死に値する。もしも忘れたら、その時はオレがぶっ殺してやるってことだ。