すみません。でもいいガンプラは作れました!
何かの冗談かと思っていた。
あり得ない、あれはなんなんだ。
人間と同じ位の背丈で形も人間そのものだ。
だが、見た目はこの世の生物とは一線を越している。
鋭い爪と刺々しい腕。そこから出ているエネルギーラインは肩までも続いている。
脚は全体的にスマートなものの、膝や踵は腕同様に尖っている。
腰から上半身は装甲板のような重々しいものをつけている。
極めつけは顔だ。まるで戦国武将が着けていた鎧兜のように顔全体を覆っており、鬼の角のように鋭利な角が生えていた。
しかし、それ以上に驚いたのはその全体像だ。これらを凝縮した見た目は、スネーク達はよく見ていた。
「「メタルギア!?」」
スネーク達の世界に存在する悪夢の兵器に酷似していた。
«な、何ですかあれ!?»
「クロノも知らないのか?」
«初めて見ました。お二人も?»
「見たことないに決まってるだろ」
クロノも知らないと言うことは、魔法とは関係ないのだろう。だが、あれは一体なんなんだ?
とてもではないが人間には見えない。
と、
「47536623566632256 !?」
歪な、数字のような奇怪な叫び声を轟かせ、メタルギアもどきが視線を動かす。
赤い、血の色のようなツインアイがこちらを捉えた。
同時に右腕が曲がり、内部フレームを露出させながら変形。
関節を折り返し、折り畳みながらマズルを覗かせ、肘の部分からレーザーサイトとスコープが展開した。
その形状は大型銃そのものだ。
左腕で大型銃を支えながら、ターゲットに照準を正確に合わせる。
マズルに光が纏い始める。
「ちょ、待っ」
狙いはエルズスだ。
(クソッ、マジかよ!?)
こんな時だからこそ、クロノのサポートが欲しいが本人も解らないと言っているため、回避に徹するしかない。
が、
「う、うぁぁぁぁぁ!!」
後ろにいた沢山の民間人がいた。
(チッ、まだ民間人が逃げ切れてねぇ!)
この状態で撃たれれば、エルズスはかろうじて避けられるが、後ろにいる民間人がアウト。
無論、まともに食らってエルズスが無事な道理もない。
だったら、
「スネーク今ッス!」
「!?」
エルズスに目を向けている隙に相手の死角を突いたスニーキングをしていたスネークが影のように現れる。
相手が反応するよりも先にスネークが地下鉄戦で拝借していたワイヤーガンが発射され、ライフルに絡み付く。
同時に二人が発砲。だがー
「578552!」
叫びとともに弾丸が明後日の方向に弾かれる。
«バリアフィールドです!攻撃を弾きます!»
(これも魔法ってやつなのか・・・・?)
だとしたらオカルトにも程がある。こちらの既存兵器と常識が通用しない。
そして1つの疑問が浮上する。
(なぜワイヤーガンを弾かなかった?)
弾丸を弾けるならワイヤーガンなど容易いだろう。
それをなぜ受けた?
(スネークも気づいていると思うけどそこがこの魔法の欠点だろう)
続けて発砲。今度はワイヤーガンに電流を流す。
青い閃光が相手を包み--
そして弾かれる。
だが、重要なのはそこではない。
重要なのは電流を流すことによって周りのビルのガラスが瞬間的に閃光を増幅させることだ。
瞬間的な閃光弾。効果はまぁまぁだろう。
「っ」
スネークのうめき声でワイヤーが千切られていることに気付く。
無論相手も抵抗することは判りきっている。それでも時間稼ぎにはなる。
«standby»
民間人の逃げるための時間稼ぎにも。
«ready»
強化外骨格の起動のための時間稼ぎにも。
「エルズス、今だ!!」
«start»
「アイアイサー」
起動完了。
強化外骨格の脚力を生かし、相手に一瞬で肉薄。そのまま蹴りを入れ、地面に叩きつけた。
が、
「やっぱり効いてねぇか」
叩きつけられたメタルギアもどきはよく見ると全身を覆う薄く丸い力場のようなものを展開していた。
«魔法壁と同反応を示しています。これは一体?»
「恐らく、同じものだろう」
こちらの物理攻撃を無効化する強力なシールド。まさに打つ手無し。
というか、魔法というチートに近代兵器で挑むなんて無理にも程がある。
とは言えこちらは長年の戦いで培ってきた知識と経験がある。
苦戦こそすれ、負ける理由など一切ない。
唐突に相手がシールドを解き、こちらを見る。
«まずい、避けて!!»
次の瞬間、エルズスは赤黒い閃光に飲み込まれていた。
「エルズス!?」
スネークは見た。あのメタルギアもどきが腕を急速変形させた瞬間を。
あまりにも変形速度と発射が速いため、反応しきれなかった。
一挙動でその2つを行ったため、エルズスも避けきれなかった。
まぁ、エルズスのことだ、生きているだろう・・・・・・・・多分。
むしろ民間人が巻き込まれていないか心配だったが、直前でエルズスが吹き飛ばしていたのか、停めてある車の影に隠れる形の場所に気絶していた。
これでもう民間人に気を取られることなく戦える。
ほっとすると同時に危険を感じ取り、真横にローリング。
スネークのいたところに、閃光が迸り、アスファルトを抉りながら、射線上にあるものを消し飛ばしていった。
油断大敵。戦闘は終わらない。
まさかこんな事態になると思っていなかったため、こちらの手持ちは手榴弾と拳銃程度だ。
それに比べて、相手は強化外骨格で身体能力を強化したエルズスの蹴りをまともに食らっても無傷。
物理攻撃を完全に無効化する魔法のシールドと展開が異様に速く狂ったような威力のライフル。
普通に考えて勝てる相手ではない。
勝つためにはこちらの策に嵌めるしかない。
(こんな時、オタコンが居てくれれば楽なんだが)
せんなきことを思いながら目の前の敵と対峙する。
奇策を以て強敵を制す。
それしか方法は無いだろう。
出来なければ
「死あるのみ・・・・か」
泣きたい程に絶望的だ。
取り合えずここからは1人でやらなければならない。
エルズスは動けないだろう。
千切られたワイヤーガンの先端にナイフを結び、ビルの屋上の手すりに向けて発射。
くくりつけて巻き付ける。
ワイヤーを力強く後ろに引きウィンチを巻き上げる軌道で敵のライフルの攻撃を避け、屋上に着地。
顔を上げると目の前には絶望的な強さの怪物がいた。
怪物は迷いなくスネークに発射。
しかし、既にスネークはそこにはいない。
「外周を回りながら相手の攻撃に対応・・・・後がないな」
彼はいつのまにか隣のビルの屋上に立っていた。
全力ではない。踵から足をつき、膝の曲げで身を前に引き寄せる。
そして身体のバランスが前に傾きだし、タイルに靴の凹凸を合わせて爪先までをつく。
抉るようにして踏み、確実な加速で前に出る。
ただそれだけのことだが、これを相手に撃たれている状況で冷静に行うのは不可能に近い。
それを軽くやってのけるというのが『伝説の傭兵』の所以なのだろうか。
「855・・・・・・213」
数字の言葉を吐きながらも敵の攻撃の手は止まらない。
スネークのいたところを手当たり次第に撃ちまくる。
反撃として9mm弾を当てまくるが、やはり効果がなく効いていない。
だが、スネークは1つ解ったことがあった。
・・・・・物理攻撃を無効化しているのはあくまでもあのシールドであって、本体の前方を覆っているだけに過ぎないな
つまり、シールドとメタルギアもどきをどうにかして引き剥がすか、後ろから奇襲を仕掛ければダメージを与えられる、というわけだ。
そして1つの事実がスネークにある仮説を生み付けた。
・・・・・・コンクリート片を弾いていない?
先程から相手がライフルを撃つたびに削れるビルのコンクリート片。
コンクリート片自体は小さいものの、シールドの防御範囲内だというのに弾かず、そのまま相手に当たっている。
そう言えば、地面に叩きつけられた時はシールドを下に展開していた。
あれはまさか・・・
(試す価値はあるな)
拳銃のマガジンの中にある弾を撃ち尽くし、スネーク『とっておき』の特殊弾を専用マガジンにセット。
スネークはウェポンセレクトシステム、«WSS»を持っていた端末、『アイドロイド』から操作し、マガジンと拳銃を繋ぐ。
その意志は手に持っている拳銃へと伝わって、鉄の装填音が確かに応えたことを知らせる。
コッキング。そのまま拳銃を構え、目の前の敵の遥か上空ーー向かいの建設途中のビルにあった作業用のクレーンを狙う。
かなり上の位置を狙うことになる。空気抵抗で届かないかもしれない。
それでも
「 !!」
危険を肌で感じとったのか、相手がスネークの行動を阻止しようと動くがそれよりも速くスネークが動いた。
撃針が薬莢を直撃し特殊弾を発射。
遊底が反動で後退、自動的に空薬莢を排莢し、撃鉄が落ちる。
発射時のマズルファイアが打ち出された弾丸の螺旋を描き、弾丸が青白く輝く。
弾丸の側面には『MGaAP』と彫られていた。
直撃したか確認するよりも速く相手が動き、ライフルを撃つ。
その光にスネークは飲み込まれていった。
アレはいったい何がしたかったのだろう
こちらが攻撃する前に何かを撃ってきたが外れた。
こちらの攻撃は避けようと思えば、避けられたはずだ。それをなぜ?
理解が出来ない。折角のチャンスを自ら不意にしたのだ。
無論、こちらには最強の矛と盾の2つがある。攻撃されたとしても決して遅れなどは取りはしない。
だが、やろうと思えば、こちらに危害を加えられたはず。
・・・・・・まぁ、いいか。
今大切なのは『彼ら』を救うことであって、戦うことではない。
それだけを肝に命じておかなければ。
思いを胸に、前へと飛翔しようとした。
と、唐突にシールドが発動し、右前方をカバーした。
そこには、
「くそっ、惜しい」
スネークが生きていた。
「69873584!?」
何を言っているのかさっぱり解らないが、とりあえず驚いているというのはなんとなく解った。
おそらく、こちらが相手のライフル攻撃をローリングと匍匐を組み合わせて避けたのを視認出来なかったのだ。
勿論、ただ組み合わせて避けるのではなく行動に継ぎ目を無くし、全て一挙動で終わせる。
にしても我ながら危なかった。あと少し遅かったら今頃消し炭だ。
そのかいあってか、クレーン車が発光し始める。
原因はスネークの撃った弾。なおも強く発光する。
相手は完全にこちらに気を取られており気づかない。
構え、撃つ。
クレーン車が崩れ落ちる。
その発光に相手が気づいた時にはもう遅い。
シールドが自動的に発動し、前方ががら空きになる。
構え
「こいつで」
相手に焦りが浮かぶ。
撃て
「終わりだ」
その無防備な胴体に吸い込まれて行った
スネークの撃った特殊弾、『MGaAP弾』の正体は瞬光式徹甲榴弾と呼ばれるものだ。
これは直撃した対象に刺さり、その対象を内側から膨らませて破壊するという。
大岩に小さな傷をつけ、そこに先端を削った木の棒を差し込み、水を吸わせる。
すると、時間とともに木の棒が膨張し、岩を破壊する。
合理的かつ科学的な考えで作られた弾丸は文字通りにクレーン車をへし折った。
そしてシールドは発動した。スネークは何故弾丸を弾いてコンクリート片を弾かなかったのかを理解していた。
・・・・・やはり速度だな。
速度と言っても弾丸を弾くぐらいだ。速度は問題ではないと思っていた。
が、地面に叩きつけられた時に相手は自動的にシールドを発動していた。
反応出来ていた素振りは無かったから断定していいだろう。
加えて撃っているときにシールドを発動していなかった。
つまり相手の攻撃にのみに反応するという欠陥魔法なのだ。
防御も反応速度を越えていた場合に起動していたと仮定すれば辻褄があう。
だが、クレーン車は避けずに受け止めるだろうか?
そう思い、だからこその瞬光式徹甲榴弾だ。補足説明を一つすればこの弾は内部破壊時に科学反応が起こり、青白く『輝く』。
その強烈な光は閃光手榴弾と同程度と言えばその強力さが解るだろう。
結果として避ける暇もなく、落下物を確認する暇もなく落ちてきたクレーン車を受け止めてしまったというわけだ。
シールド自体がクレーン車に耐えられるかもしれない。
しかし、今いるのはビルの屋上。
数十トンを越えるクレーン車をビルが耐えられるはずもない。
轟音をたてながらゆっくりと倒壊していく。
「ジャックポット」
スネークもまたビルの倒壊に巻き込まれていった。
とりあえず、パラダイスロスト編では『現代科学が魔法に勝てないと誰が決めた?』
といった姿勢で書いていこうと思うのでこれからもよろしくお願します。
次回も遅くなりそうですが、また見て下さい。