歯車と眠れ   作:MSX

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友人B「更新遅すぎだろwwwww亀だなホントwww」









手 の 骨 が 折 れ た


第19話 破片の雨をも越えていけ

海鳴工業高校の校舎を抜け、西北側にある寮に向かうスカリエッティをエルズスとスネークが追う。

 

今は西方向に向かって寮の並びの間を走り抜けていた。

 

目の前を行くのは双頭のメタルギア、カラーリングは赤く、背部には大きなリングの形状をした兵器を装備している。

 

メタルギアは人が駆り、動かすものだ。どうして校舎を駆けれる?

 

答えは明確。スカリエッティがスネーク達ごと小さくしたからだ。

 

(それがスカリエッティがした『魔法』の正体・・・・・・まっ、スネークも薄々気づいているだろう)

 

問題は人質だ。あれでは手出しができない。

 

そうこう考えているうちにスカリエッティが寮西側入り口に飛び込んだ。

 

オートバイ並みの速度で軽々と廊下の暗がりに飛び込んでいく。

 

エルズスも続くようにアクセルを捻った。

 

「聞きたいことも腐るほどあるんでね。逃がさねぇよスカリエッティ」

 

声とともにエルズスは学生寮の中に突っ込んだ。

 

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真夜中の追走劇は場所を変えて深夜の独特の空気が支配する寮に変化した。

 

本来いるはずの学生も、既に退避しており、より一層静かになっていた。

 

(急げ)

 

それだけを胸に前を行く。明暗差によって一瞬闇になった視界が、逆にエルズスの思考からためらいを消した。

 

彼は迷わずエンジンを全開にする。

 

「!」

 

大排気量を支えるタイヤが樹脂材の床に噛みついた。

 

グリップ力は速度に直結し、オートバイは廊下を突っ走る。

 

小さくなり、廊下自体がドラッグレース並みに長い。

 

だが、高速の動きと反響する排気音の叫びが先行する影を捉えた。

 

・・・・・いた!

 

闇に慣れた視界の中、20メートル先の暗陰にスカリエッティのメタルギアが見えた。

 

人質の女性を抱えたメタルギアの背に乗りながら、器用にこちらを見た。

 

笑っていた。

 

「改めて挨拶しよう、別の世界の住人よ!」

 

大仰に動く。まるで道化師の動きだ。

 

「私はこの世界の”イレギュラー”が一人、ジェイル・スカリエッティだ。自分で言うのは変だが、こうみえて紳士でね。趣味は機械弄り、職業はー」

 

「マッドサイエンティストだろ?」

 

スカリエッティが笑った。

 

「その通りだ。貴様は!?」

 

「ー美少女ならともかく、野郎に答える趣味はない!」

 

「ふっ、つまらん男だ!」

 

笑いながら高速で手を振った。真横、コンクリートの壁に。

 

直後、メタルギアからアームユニットがもう一つ飛び出し、その手で人工の石壁を割り砕いた。

 

アームの手首から先が突き刺さり、止まらない。

 

走るメタルギアの速度に合わせ、寮の壁が手首の太さで抉られていく。

 

機械音とコンクリートの破片を撒き散らしながら、壁を砕いてメタルギアは走る。

 

「私の技術では機械と魔法を平行して扱うことはできなかった。ディシィーズの開発に成功はしたが、所詮は不完全品。私自身も魔法を使うことは出来なかった」

 

「出来なかった?」

 

眉を逆立て、笑みを濃くした。

 

「今ならば出来る!魔法という奇跡の力を!」

 

メタルギアの手首を彼は上に捻り上げた。中にあった何かを掴み抉った動きだ。

 

引き抜かれた巨大なマニュピレーターは一つのものを握っていた。

 

野太い鉄の丸鋼材。それは学生寮を造る鉄筋コンクリート建材の主たる一部だ。

 

「鉄の身よ、己が身を砕け!」

 

(詠唱!?)

 

声が響いた瞬間だ。

 

エルズスは音を聞いた。スネークは異変を感じた。

 

まるで巨大なものが倒れるような音を。

 

それが地響きだと解ったとき、いきなりの震動によって車体が宙に浮いた。

 

1秒以上は宙に浮かんだだろうか。

 

「・・・・・・・!?」

 

樹脂材の床にタイヤがバウンドして設置。軽い空転からまたタイヤは床に噛みつく。

 

同時。

 

本を閉じるように天井と壁が自壊した。

 

「何・・・!?」

 

学生寮が内破する。

 

砕きの連鎖は頭上を越え、柱や壁や天井や並ぶ部屋をも飲み込んだ。

 

そして壁が割れて天井が落ちてきた。その上にある階層分の体積とともに。

 

(野郎、一体何をしやがった!?)

 

考えるよりも早くスネークが答えを導く。

 

「魔法だ!スカリエッティの魔法!それで柱を・・・!」

 

(そういうことか!!)

 

エルズスも理解した。

 

(スカリエッティの魔法はおそらく『体積変化』。それを使って柱と鉄筋コンクリートを縮めたのか!)

 

エルズス達が小さくなったのも頷ける。単純で簡単な魔法だが、使い方によっては脅威そのものとかす。

 

エルズスの判断はこの崩壊から逃れること。

 

スネークの判断は人質を救けだすことだ。

 

両方叶えるには、

 

 

 

「お前を追うしかないんッスよ!!」

 

「お前を追うしかないんだよ!!」

 

 

 

アクセルを引き絞って前に弾け飛ばせる。

 

コンクリートの砕ける音、強化ガラスの曲がり割れる音、全ての軋む音を貫いてオートバイが前に出る。

 

対するスカリエッティは笑いを止めない。

 

「人質のためにここまで来るとは。感動的だな。だが無意味だ!」

 

「勝手に・・・・」

 

スネークが身を低く、既に絞りきったアクセルに更なる力を込め、

 

「勝手に無意味と決めつけるな、スカリエッティ!!!」

 

激怒した。

 

「・・・・冷静な男と思っていたが・・・・・・見込み違いか」

 

スカリエッティの顔から笑いは消え、冷めた目で冷ややかにスネークを見つめていた。

 

「興醒めだな。もういい」

 

人質を抱えたアームを壁へと振り上げた。

 

「よせっ、やめろ!!」

 

スネークが叫び、エルズスが高周波ブレードを手に持った瞬間だ。

 

いきなり女性の身体が崩れた。

 

「なっ」

 

「は!?」

 

二人は見る。今まで人質だと思っていたものを。

 

しかし違う。これは・・・・

 

「はははははは! 騙されたかね?冗談だ! 紳士である私がまさか女性を人質に取るとでも?」

 

マネキンだ。

 

「な・・・・・・・」

 

絶句するエルズス。

 

「何だと!?」

 

驚くスネーク。

 

それは本当かキバヤシ!?などとふざける暇もなく。

 

「テンメェェェェェェェェ!!!」

 

エルズスの怒りは素直に表に出た。

 

(不覚!このエルズス、よもや海賊版を・・・・!)

 

ギャルゲーやエロゲーをネットで買うときの絶対的な冴えは発揮されなかったとはいえ、この屈辱、許しがたい。

 

「この詐欺師がぁぁぁぁー!!」

 

「黙れ。騙されるほうが悪い!!」

 

紳士どこ行った。

 

エルズスは奥歯を噛む。誠に遺憾ながらこの場では正論だ。

 

アクセルは限界を振り切っており、ギリギリの状態だ。降り注ぐ瓦礫や破片を無視してギアの操作に集中する。

 

「まだ終わっていない!!」

 

それでも前に向かう。

 

オートバイの重心自体を低くし、サスペンションを限界近くまでに下げる。震動する床に噛みつき、タイヤの空転現象を皆無にする。

 

所詮はスネークの真似事。しかし、その走りは絞られたアクセルそのものとような全力の走りだ。

 

前へ。ただひたすら前へ。

 

風をも纏い、落ちる天井と倒れ込む壁との僅かな間を疾走する。

 

だが、

 

「間に合わねぇ・・・・・・・・!」

 

西側出口からスカリエッティが外に飛び出した。

 

その差25メートル。差は歴然だ。

 

頭上の崩落は確定だ。自分が外に出る前に学生寮は崩壊する。

 

前方、漆喰が剥がれ、剥き出しになったコンクリートが迫っていた。まずい、避けられない!

 

間に合え、思う気持ちは焦りとなる。エルズスはアクセルを緩めない。

 

その時、

 

「エルズス!」

 

何だろうか、という思いを吹き飛ばすようにスネークは武器を構えた。

 

「身を低くしろ!吹き飛ばす!!」

 

次の瞬間、学生寮は崩壊した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

壊れて崩れていく寮の正面、スネークを乗せたオートバイが突っ込んできた。

 

後輪をロックした横倒しのドリフトを決めながら、武器を取り出した。

 

バンダナから。

 

(いや待てどうなってんだ!?)

 

冷静に考えればバンダナから武器を取り出すなんて無理なはず。一体どうやって・・・・・・・?

 

そんなエルズスの疑問をよそにスネークは武器を装備した。

 

かつてメタルギアが装備していた規格外質量兵器。エルズスがレールマグナムで破壊した暴力的なまでの破壊力を持つそれをオタコンが改造し、小型化した兵器。

 

「あ、間違えた、こっちだった」

 

エエエエエエエエエエエエエエ!?

 

「マスブレード使えよ馬鹿!」

 

「いやここはこれだろ」

 

マスブレードを捨てたスネークはバンダナからロケットランチャーを取り出した。

 

(あの体勢で撃てるのか!?)

 

それはスカリエッティも思うところがあるらしく、驚いた表情と

 

「・・・・・・・いいだろう!来いッ!」

 

「あっ、これでもない」

 

「お前は土壇場のドラえもんか!!」

 

あれでもない、これでもない、ええと、あった!!

 

映画でよくあるシーンだが、実際にいる奴がいるなんて・・・・。

 

スネーク、恐ろしい子・・・・・・!

 

「じゃねーよ!何土壇場でコントしてくれてんだよ、あんたは!?」

 

「悪気はない」

 

悪気がなくても反省しろ。

 

「よし、これだ!」

 

摩訶不思議バンダナから腕にある武器を装備した。あれは・・・・!

 

スカリエッティも初めて見るのか、驚きを隠せないでいた。

 

当たり前だ。なにせ、スネークが装備したのは

 

「空気砲!?」

 

ちょっと待てなんだそれ、初めて見たわ!

 

「そこだ!」

 

スカリエッティとエルズスの疑問やツッコミを無視し、スネークが無理やり放った。

 

響きとともに白線が崩れゆく天井に直撃した。

 

その瞬間、直撃の震動で崩壊の動きが止まった。

 

空白と一瞬の静寂の中で全ての崩壊煙や震えが吹き飛び、僅かな間を開けて叩きつけるような無音無光の爆発が起きた。

 

(着弾衝撃波か!)

 

大質量同士が高速激突したときに生じる強力な衝撃波だ。

 

そんな音をも超える衝撃が学生寮の北を走った。それは崩壊の破片やガラス、表面建材を一瞬で抉り、水蒸気の爆発が

噴き上げた。

 

スカリエッティが作りだした崩壊が、スネークの破壊で相殺され、歪み、破裂をもたらしながら消えていく。

 

しかし轟音は鳴りやまず、そこで終わらない。

 

メタルギアの咆哮のような破砕音の中、空気の軌跡が空を貫いて消えていった。

 

結果、学生寮は消し飛んだ。

 

僅かに1階層を砕き遺して。

 

呆気にとられるエルズスとスカリエッティを尻目にスネークは口に強い笑みを浮かべ、叫んだ。

 

「まだ終わってないさ、お互いに!」

 

よかった、スネークの頭も終わってない。

 

しかし、今のはまさか、

 

「本物の空気砲とでもいうのか・・・・・・・!」

 

信じられない思いからか、スカリエッティは先ほどの余裕を捨て、素直な驚きを表した。

 

気持ちは分かる。エルズスだって初めて見たのだから。

 

「って、最初から使えば良かったんじゃ」

 

「忘れてた」

 

「おう」

 

ふふふ、今さらこんなことで動じる私ではないよ。

 

「それに使えるかどうか解らなかった」

 

前言撤回。

 

「そんなもん、絶体絶命の状況で使うなや!!」

 

それに動じず、スネークは勝ち誇った笑みで言う。

 

「結果オーライだ」

 

「こォの野郎ぉ・・・・・・!」

 

「無視しないでくれ!いくら紳士な私でも傷つくぞ!!」

 

あ、スカリエッティいたんだ。

 

「「すまん、忘れてた」」

 

「キイィィィィィ!!許さんー!」

 

憤慨したスカリエッティがこちらに向かって攻撃を加えるが遅い。簡単に避けられる。

 

「こら、避けるな当たれ!」

 

「お前そんなキャラだっけ!?」

 

イメージと違いすぎる。

 

あるいは初めからこんなキャラだったのだろうか。

 

まぁ、それは置いといて

 

「そろそろゲームを終わらせようぜ、スカリエッティ」

 

決着をつけよう、マッドサイエンティスト。

 

 

 

 

 

 

 




いてぇ・・・・いてぇよラグナ・・・・・。

上に書いた通り、私、MSXは産まれて初めて骨折してしまい、更新するどころではありませんでした。痛かった・・・・・。

しかし、一度書いてしまえばまた書きたくなるのがハーメルン。

こうして懲りずに駄文を書き、楽しんでいます。





スカリエッティは原作だとどろどろした感じのキャラだと個人的に思っており、「ならば、イケメンで紳士なスカリエッティはどうだろう?」という風な形で書きました。(ギャップがあって書いて楽しい)

まぁ、原作やったことないんだけどね。







今回も亀更新で申し訳ない(メタルマン感)。しかし、また私の小説を読んで頂き感謝の念に尽きません。

手が治り次第、ペースアップしていくのでよろしくお願いします!

では次回に続きます。



あと大学受かりました。



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