歯車と眠れ   作:MSX

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Q.この作品のメタルギア要素って?

A.ああ!





第21話 異世界の歯車

「始めよう、あんたの敗北を」

 

「ならば焼き付けろ、私の勝利を」

 

どちらかが言い、誰かが動く。

 

終わりを決める為に。

 

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先に動いたのはスカリエッティだった。

 

彼は腕を上げて言う。

 

「ここは決着にふさわしくない。全力を尽くせる場所に行こうか」

 

(またあの魔法か!)

 

対応する暇もなく魔法が発動する。

 

(・・・・・・・なんだ?)

 

空が歪み、視界が霞む。今度の魔法は大規模なものだ。

 

「-行こうか、決着の地に」

 

スカリエッティの言葉すら、二人には歪んで消えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

身体が引き裂かれるような痛みを味わい、スカリエッティの攻撃を受けたのだとエルズスは錯覚した。

 

「・・・・・・・え」

 

違う、唐突なことで疑問符が出てしまったが、これは攻撃ではない。

 

エルズスの隣には寂れた看板が淋しく立っていた。

 

「採掘場、だと・・・!」

 

看板に書いてある名前を見て、スネークも呆気にとられた。

 

俺達がいたのは工業高校のはず、これはいったいどういうことだ。

 

そんな二人の考えを見透かしてか、スカリエッティが言う。

 

「空間移動を体験した感想は?」

 

「空間、移動・・・・・」

 

あり得ない。そんなことが出来る筈がない。

 

「冗談ぬかせ。そんなこと出来るはずがない。いったいどんなカラクリで」

 

「カラクリはある。だとしても、空間を移動したのは揺るぎない事実だがね」

 

スカリエッティの淀みない一言に現実を再認識される。

 

「・・・・・・・・ハッタリだ」

 

しかし、理屈や感情で否定しても現実は変わらない。ちょうど今の二人のように。

 

「移動したからどうした?そんなことをしてもお前に有利にはならない」

 

それでも虚勢を張ってしまうのは認めたくないからだろう。

 

「それはどうかな。-サイズチェンジ」

 

直後、スカリエッティが大きくなり、採掘場を埋め尽くした。

 

見上げる中、エルズスはようやく巨大化した物に気付く。

 

巨大化した物、それは

 

「メタルギアが・・・・・・・・・!」

 

鉄の巨人が本来の総躯を取り戻す。その大きさに圧倒されながら、その姿を今一度見る。

 

しっかりとした基礎フレームに爆発反応装甲や複合型装甲に包まれ、その確かな鎧の各所には二人の見たことのない兵器が取り付けられていた。

 

腕に該当する部位こそないが、代わりに胴体からアームユニットが伸びていた。

 

堅牢な鎧、その巨大さ。見る者全てに威圧感を与える。

 

特質すべきは頭部ユニットにあった。一言で言うなら深紅の双頭。装甲は赤くカラーリングされており、頭部は2つある。

 

その背部には土星のリングのような大きな円状のユニットが取り付けられており、控えめの金と鉄の補助ユニットがその円を更に大きく見せていた。

 

なのはの世界でスカリエッティが作り上げた異色のメタルギア。間違いなく強敵だ。

 

知らず知らずの内に高周波ブレードを持つ手が勝手に汗ばむ。

 

極度の緊張は体感時間を無限にし、悠久とも思える時間の中、ようやく状況が落ち着いた。

 

しかし、その時間はエルズス達に絶望感を植えつけるだけだった。

 

-勝てるのか、この怪物に。

 

ただでさえスカリエッティの魔法で窮地に立たされているというのに、そこにメタルギアという圧倒的な火力が備わることになる。まさに鬼に金棒だ。

 

対して、エルズス達はオートバイを破壊され、足となる物がなく、武器はリボルビングガンと高周波ブレードだ。

 

無論、『とっておき』もあるが温存するに越したことはない。

 

・・・今思えば、そんな甘い考えは捨てるべきたった。

 

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採掘場に突如として現れた巨人の頭の上に白衣の男が立つ。

 

「距離、角度、オートサイト後、チャージ開始」

 

手を水平に振り、メタルギアのAIに支持を出す。

 

『了解。チャージ完了まで5分かかりますが4分で仕上げます』

 

「3分で頼む」

 

有無を言わさぬスカリエッティの真剣な表情とは反対に頼んだことは無理難題だ。

 

本来なら最低5分懸かるものを4分でなんとかしようとしているというのに、それを3分でやれだと?

 

『善処します』

 

スカリエッティ製AIは化け物か!3分だと・・・・!

 

「よし、ならば3分間耐えて魅せよう」

 

その言葉を起点として背部のユニットが起動した。あれは・・・・・

 

「レンズ・・・・・・・か?」

 

確証は持てない。だが、コンタクトレンズのような『何か』が背部で生まれたのは事実だ。

 

言葉には出さなかったが、エルズスとスネークは同じことを思っていた。

 

(あれはヤバイ、絶対に止めないと大変なことになる)

 

ならば、効率よく短時間でメタルギアを破壊する方法とは何か?

 

脚だ。

 

「関節を狙えエルズス!脚部でもいい、兎に角、何でもいいから体勢を崩せ!」

 

しかし、

 

「させるかっ」

 

すぐさまスカリエッティの妨害が入る。この妨害とは即ちメタルギアの火力攻撃だ。

 

何故、メタルギアがスネークの世界で恐れられていたか。

 

エルズス達は再認識する。メタルギアの脅威を。

 

まず、頭に内蔵された大型ガトリングガンによる隙のなく、かつ、一発でも喰らえば致命傷に成りかねない弾丸の雨が地面を穿ちながら二人に接近する。

 

忘れてはいけないのは、相手のメタルギアが双頭であるという点だ。つまり、ガトリングは合計4門であり、双頭であるが故、充分に二人をカバーできる。

 

ここでびびったら話にならない。

 

スネークとエルズス、お互い逆方向に走り、ギリギリのところで攻撃を回避する。

 

どんな銃器でも必ず射角というのがある。銃の死角のようなものだ。

 

このメタルギアの場合、頭にガトリングガンを搭載しているが、

 

「首の稼働範囲外は撃てねえだろ!」

 

近くの遮蔽物に飛び込むところで、ガトリングガンの掃射が止み、エルズスは自らの仮説が正しかったことを確信する。

 

が、それもつかの間、メタルギアの脚部のハッチが開き、ヒューンという情けない音とは裏腹にエルズス達がいる場所に何かが殺到してきた。

 

「あれは・・・」

 

悠長に見ていたエルズスにマイクロミサイルの群が殺到。息を吐かせぬメタルギアの強力極まりない火力にスネークも舌打ちするしかない。

 

スネークは無理(当たり前だが)だと悟り、素直に遮蔽物から遠退き、リボルビングガンをメタルギアに向けて構えた。

 

弾丸は装甲をも内側から破壊するMGaAP弾だ。それをメタルギアの脚部関節の僅かな隙間に向かって撃った。

 

「無駄だッ!」

 

スカリエッティの叫びに呼応したかのように弾丸が縮小していき、メタルギアに直撃した時には目には見えない程に小さくなっていた。

 

直撃してもあそこまで小さくされては意味がない。

 

スカリエッティの魔法が厄介なことは理解しているが、ここまでくると対策案も浮かんでこない。

 

「スネーク!ま、まずはヘルプ!!あなたの大切な仲間のエルズス君がミサイルに殺されそうに・・・・・ギャアァァァァ!!」

 

爆音とともに何かが絶叫とともに吹き飛び、着弾地点の地形をすり鉢状に変えていく。

 

「さて、あの魔法をどうにかしないとな」

 

しかしどうしたものか。弾丸を縮小されてはスネークの立つ瀬がない。仮にグレネードやC4(プラスチック爆弾と呼ばれる強力な火薬兵器のこと)を使ったとしても爆発範囲を小さくされて終わりだ。

 

「ど、どうにか生き残った・・・・」

 

あのミサイルサーカスの中、逃げまどったらしく、既にエルズスはボロボロの格好だった。

 

「エルズス、暫くの間、囮を頼む」

 

「心配しろよ!鬼かアンタは!?」

 

時間稼ぎのための撒き餌になれと言わないだけでも感謝してほしい。

 

ヒューン。

 

「イヤァァァァァ!!」

 

エルズスがも猛ダッシュでその場を離れ、コガモの行進宜しく、ミサイルが彼を追走していった。

 

よし、これで時間を稼げる。すまないがエルズスには尊い犠牲となって貰おう。

 

「覚えてろよクソ野郎・・・・・・!」

 

何処からか、エルズスの声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

 

そうこうしている間にもカウントは進む。

 

ふと、目をこらすと、メタルギアの足元に小さな亀裂が走っているのに気づく。

 

スネークの脳裏に寂れた看板が現れる。

 

間違いない、ここは廃採掘場だ。ということは、ここで何かしらの事故があったに違いない。

 

「ん?」

 

メタルギアの後方には古いプレハブ小屋がある。それを目ざとく見つけたスネークに一つの作戦が浮かぶ。

 

いけるかどうかは運次第。だが、やらなければ敗北は必然。

 

スネークは全速力でメタルギアに走っていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何をする気だあの男。

 

警戒したスカリエッティは指示をだす。

 

「レーザースタンバイ!」

 

股間部に取り付けられたレーザー砲にエネルギーを充填。迫り来るスネークにロックオンした。

 

何が狙いか知らないが、阻止するに越したことはない。

 

『充填完了。発射準備完了しました。いつでもいけます』

 

無機質なAIの声にスカリエッティは叫ぶ。

 

「ファイアッ」

 

股間部から死光が直線的に流れ、スネークを切断せんと迫った。

 

発射タイミングも申し分ない。スネークは避けきれないだろう。

 

(いや、彼は必ず来る!)

 

半ば確信に近い予想をするスカリエッティ。

 

果たして、その予想通りスネークはこの攻撃をスライディングしつつ、身体を半身にするという最低限の動きで避けた。

 

無駄はなく、時間のロスもない。機械の如き、その精密動作にスカリエッティは息を飲む。

 

が、

 

「甘い!」

 

アームが人体関節を無視した変則的な動きでスネークの進路を阻む。アームに掴まれば、流石のスネークでも脱出は無理だろう。

 

スネークは手に持つリボルビングガンをスライディングしながら構えた。

 

馬鹿の一つ覚えとはこう言うのだろう。

 

「無駄」

 

「かどうかは周りをよく見てから言うんだなスカリエッティ」

 

「何!?」

 

スカリエッティは慌てて周囲を探るが特に変化はない。

 

「引っ掛かったなスカリエッティ!」

 

しまった、ハッタリだ。

 

「な、き、貴様、卑怯だぞ!」

 

狼狽するスカリエッティに対してスネークはしてやったりといった顔で一言。

 

「騙されるほうが悪い!!」

 

「このような屈辱は初めてだ・・・・・・・!」

 

許しがたい怒りに全身を震わせるスカリエッティを後目にスネークはメタルギアの後ろのプレハブ小屋に到着。

 

「くっ」

 

ここでスネークに気を取られれば、エルズスに背を向けることになる。

 

そうなれば、危険だというのはスカリエッティも充分理解していた。

 

エルズスとスネークに挟まれる形になっている時点で危険なのは変わりはないが、それでも障害は減らすに限る。

 

「ならば、これで-!」

 

「ーエルズス、今だ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

スネークがプレハブ小屋に着く数秒前にエルズスは無線を受け取っていた。

 

«スカリエッティは俺が引き付ける。その間がチャンスだ、必ず仕留めてくれ»

 

つまりスネークは囮になるということだ。

 

「善処するッス」

 

無茶いうなスネーク。今はミサイルに熱烈歓迎を受けているんだ。と言わなかったのはエルズスにある秘策があったからだ。

 

出来るかどうかは解らない。やるしかないと言う台詞は失敗してもどうにかなる奴が言う台詞だ。

 

残念だが失敗すれば命はない。それほどに危険だ。

 

それでも

 

「やるしかねぇ」

 

やらずして敗北など冗談ではない。やらなくて良かったと安堵して負けるなどこちらから願い下げだ。

 

覚悟を決めろ、エルズス・スネーク。プレイヤーなら意地を見せてみろ。

 

「ーよし」

 

逃げまどっていたエルズスは身体ごと前を向く。迫り来るは一列ミサイルの群だ。

 

眼前を睨みながら走りだす。最初はゆっくりと歩くような速さで。

 

徐々にスピードを上げ、足がもつれないように必死に疾走する。

 

そのまま四肢に力を込め、左足を前に出し、姿勢を低くしながら右足に前に進む為の力を込めて走る。

 

と同時に強化骨格を解放し、脚に力を蓄える。

 

脚への負担が嘘のようになくなり、動きがスムーズになる。

 

その分、ミサイルの接近も速くなるが、許容範囲内だ。

 

疾走の勢いを生かしたまま、脚を地面に沈ませ、大きく跳んだ。

 

僅かな滑空のあとに風の通り抜ける奇妙な浮遊感。

 

同時に高周波ブレードにアタッチされた空気砲を後背下に撃つ。

 

炸裂音と共に凄まじい加速感が全身を叩く。

 

着地地点に着地を合わせる。但し、それは地面ではない。

 

飛翔するミサイルの上だ。

 

「届け・・・・!」

 

その思いが通じ、一つ目のミサイルの上にエルズスは着地した。

 

成功したことに安堵する暇もなく前を見た。スカリエッティはこちらに気づいてはいない。

 

右足着地地点ギリギリに信管が当たるかどうかの位置にあることに焦りを覚えながらも、もう一度ミサイルに向かって跳躍した。

 

成功。続けて3つ目。成功。次は4つ目だ。

 

強化骨格のもたらす運動性能と空気砲の圧縮空気による加速が無理難題を辛うじて可能にした。

 

そして、全てのミサイルを跳びきったその次の着地地点はメタルギアだ。

 

「エルズス、今だ!!」

 

「!?」

 

スカリエッティが驚いて振り向くが何もかもが遅い。

 

「これで-」

 

スカリエッティの顔が歪む。エルズスは容赦なく高周波ブレードでスカリエッティを斬った。

 

「-終わりだ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

エルズスがスカリエッティを捉え、一気に片をつけた。

 

空気砲も相乗した神速の切断に咄嗟に対応できないだろう。

 

しかし、スカリエッティが無傷なのを確認してスネークはその対応方法に目処をつけた。

 

「エルズスまだだ!まだ終わってない!!」

 

「-どうやってここまで誘き寄せようか考えていたけど、その手間が省けたよ」

 

「!?」

 

斬った感触がない。

 

ブレードを見て、愕然とした。

 

「刃が、小さくなって・・・・・・!」

 

電子音声が響く。最悪のタイミングで。

 

『チャージ完了しました』

 

「!?」

 

まだ2分も経っていない、速すぎる。

 

「3分で完了すると言ったな」

 

スカリエッティが真顔で言う。

 

その続きの言葉を知っているエルズスとしては今すぐにここから離れたかったが間に合わない。

 

「あれは嘘だ」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

アームに脚を掴まれ、そのまま空に投げ出され、姿勢制御する暇もなくエルズスはきりもみに飛ばされた。

 

「出力開始!」

 

スカリエッティが言うと同時にメタルギア背部のレンズが発光した。輝きは淡く、しかし確かな光を伴いながら輝きをより一層強くする。

 

光の中、レンズがその数を縦に増し、直線方向に揃え、レンズの中心部は歪みを持ちながらも統一した動きを見せる。

 

「どうだ、これこそが私が作り上げたメタルギアの機構、その名も重力制御だ!」

 

スネークは絶句する。では、学生寮でのあの芸当は・・・・・・

 

「25枚の重力加速レンズを通した耐熱耐爆Eカーボン弾、避けられるなら避けてみせろ!」

 

同時、レンズを通して弾丸が発射された。

 

無摩擦で放たれる弾丸は連続したレンズの中をたどりながらも加速を更に増していく。水蒸気爆発が起こり、弾丸自体も耐えきれないのか、徐々に溶けていくもそれは全てのレンズを通りすぎ、加速が頂点に達した後だ。

 

天候現象に近い規模で光は空に放たれ、その先のエルズスに向けて加速し

 

「!!!」

 

直撃した。雷鳴のような轟きと稲光の輝きをもたらしながらだ。

 

「エルズスッッ!!!」

 

スネークの叫びが空に木霊した。

 




という訳で次回から『ジェイル・スカリエッティの憂鬱』が始まりま・・・・・・・え、古い?仕方がない。では次回から『ときめきメタリアル』をお送りします。

主人公、脛江空とヒロイン達によるときめき群像劇をこう御期待!!(絵留図巣も出ます)







・・・・・・・・・嘘です。はいごめんなさい、次回に続きます。

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