スネークは段ボールを好きすぎる(誉め言葉)。
空が爆発に満ちていた。メタルギアの背部砲撃発射時に沸き起こった
「エルズスッッ!?」
まともに喰らった彼が無事である道理はなく、現にエルズスの姿は見えない。消し炭になってしまったのかもしれない。そう考えるだけでもスネークの背に冷汗が通り抜けた。
その後ろで金剛石色に輝きを増していく大型リング。メタルギアの必殺兵器だ。
スカリエッティの言うにはメタルギアの能力は『重力制御』。ちなみにスカリエッティ本人の魔法は『質量変化』だ。
もっとも、後者は本人が言わないためスネークの憶測による暫定的なものだが、今までの戦闘具合から十中八九当たりだろう。だが、それでは説明出来ないことがある。
ここに来るまでの経緯についてだ。スカリエッティ曰く、空間移動らしいが、そんなもの端から信じていない。紳士を気取っているが、敵というのは疑ってなんぼの存在である。
「まずは一人」
スカリエッティが無感動に言い、スネークを平倪する。慢心や油断につけ込む隙はなさそうだ。
「そして終わりだ!!」
メタルギアの砲門から火薬が炸裂したと同時にスネークは後ろのプレハブ小屋にスライディングした。
メタルギアの集中砲火を限界まで引き付け、いなす。たったこれだけのことなのにメタルギア相手だと至難の技に変貌する。冗談にもほどがある。
鉛弾の嵐を無傷で避けきれるはずもなく腕に一発命中。熱とともにスネークに堪え難い痛みをもたらす。
しかし奇跡的と言うべきか、それだけに留まり、運よくプレハブ小屋の前までたどり着いた。
「逃がすものかっ」
スカリエッティの叫びにあわせるようにスネークがドアを蝶番ごと蹴り飛ばし、なし崩し的に中になだれ込んだ。
その後ろに大木を連想されるメタルギアの脚が迫り、スネークがいたところを踏み潰した。が、
「脚がッ?!」
どうやら勢い余って脚が嵌まったらしい。
いい気味だ。
悪態をつきながらも辛うじて腕の応急処置をする。
「クソッ、弾が深い・・・・取り出すのは無理そうだ」
余裕のないこの状況ではろくな処置は出来ない。それでもなんとか止血すると、周りを見渡す。
スネークにも考えがない訳ではない。ここに来たのは陽動以外にも理由がある。とは言え、それがあるかどうかは解らないし、あったとした出来るかどうかも分からない。運要素で言えば、エルズスといい勝負だ。
(だけどそれに賭けなくてはあれには勝てない!)
もしも上手くいけばという甘い考えにすがる自分の境遇を省みて、エルズスに言ったことのある言葉を思い出し苦笑する。
『いいかエルズス、俺達にもしも、はない。メタルギアとの戦闘は徹頭徹尾、死ぬか勝つかだ』
近くのパイプを焦って蹴飛ばし痛みに呻きながらもお目当ての廃掘施設となる以前の採掘場の地図を見つける。
埃だらけだが、それを綺麗にする余裕はない。こうしている間にもメタルギアの嵐の如き火力がプレハブ小屋を襲っている。もう持たない。
ご丁寧に地図には今年に閉鎖されたと書いており、時間があまり経っていないらしい。ならば、ダイナマイトが落ちていれば、まだ使えるかもしれない。
光明が見えたのはいいが、新たな作戦を考える暇はない。と、地図を見ていたスネークは違和感を覚えた。
「坑道が一つ消えている・・・・・」
それもマジックで、だ。
地図によると消された坑道はプレハブ小屋の近くにあるらしい
「もしかすると・・・・・・」
1つだけ色の違うプレハブ小屋の壁をリボルビングガンで割りながら一言。
「ビンゴだ」
さらには段ボール箱を3つ見つけ、その中に入っていた物を見て、作戦を練る。
スカリエッティには悪いがここで負けるつもりは毛頭ない。
オタコンのいた場所に戻るまで、そして独房でエルズスの言っていたことの真偽がどうかを聞くまでは絶対に死ぬわけにはいかなかった。
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嵌まった脚を取り出し、姿勢を安定させる。
小屋の破砕はものの数瞬で終わった。当たり前のことだが、メタルギアの火力で押しきれないものなどこの世には存在しない。
「・・・・・・いやいたか」
管理局という人間兵器の武器庫とも例えられるものが。
今はまだ関係ないが、出てくれば流石に勝てないだろう。
「・・・・・・・・・あの男は本当に死んだのだろうか?」
原形を留めぬ小屋を見つめ、スカリエッティは警戒心を強める。
先ほどの事がある。スカリエッティの心境からすればスネークの死体か、手足の一本でも見つからない限り安心は出来なかった。
生きていることを前提にアームを使い、慎重に小屋の中を探る。
するとどうしたことか、小屋の壁が割れており、その奥に大穴が横に伸びていた。
疑問は消え、確信が残る。やはり彼は生きている。
ならばどこにいる?どこに潜んでいる?坑道の出入口に繋がっているが、問題は何処から出てくるかだ。
坑道の出入口は合わせて10道ほどある。もぐら叩きよろしく1つ1つの坑道に気をかけていてはキリがない。
かといって対処せねば、何をされるか分かったものではない。
コンソールを操作し、後部から小型UAVを二機飛ばす。
さて何処から現れるんだ?伝説の傭へ
がさ、ごそ。
気のせいだろうか、穴のすぐ横に3つの段ボール箱が置かれており、その内の1つ、一番右から音がした。
「・・・・・・・・・」
今、そこの段ボール箱が動いた?いや、気のせ・・・・・
がさ、ごそ。
「・・・・・・疲れているな、うん」
ースネーク、彼にはおかしな趣味というか・・・・癖というか・・・・とにかく変人です。彼はー
震電の言葉が本当ならば、スネークはあそこに・・・・?
「いや、でもまさかなぁ」
段ボール箱の中に入るなんて頭がどうかしている。彼のような傭兵がそのようなことをするか?いやない。断定してもいい、彼は坑道から
がさ、ごそ。
・・・・・・・・。
いや、うん。ここは震電の言葉を信じよう。一応の仲間だし。
メタルギアを操作し、脚の裏に件の段ボール箱を合わせる。
半信半疑だが、やってみて損はないはずだ。
アクチュエーターに力を入れ、ゆっくりと踏む。段ボール箱の形が次第になくなり、ゆっくりと潰れていった。
反応は・・・・・・ない。
「やはり、気のせ」
「き、貴様ァ!よくも段ボールを!!」
隣の段ボールから狂人が飛び出してきた。
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スネークは激怒した。かの悪逆非道のスカリエッティを断罪しなければならないと確信に似た決意と殺意をスカリエッティに抱く。
「・・・・・」
ちなみにスカリエッティは口をあんぐりとしていた。恐らくスネークの剣幕に驚いているのだろう。
「段ボールという世界遺産にも勝るものを脚で潰す・・・・・・その罪の重さを思い知ってから死んでもらうッ!」
スネーク、怒りの逆襲。これにはスカリエッティも対応が遅れ
「撃て!」
るほど甘くはなかった。
スネークは機銃の速射をローリングすることで回避するも、そこにメタルギアから放たれたミサイルが迫る。隙の出来た今を狙ったか。
咄嗟にリボルビングガンを水平撃ち。ミサイルの安定翼が穿たれ、1つが爆発し、それに続いてほかのミサイルも連鎖爆発を起こしていった。
その爆煙を潜り抜け、誘爆しなかったミサイルがスネークを急接近。突然のことに迎撃タイミングを逃し、ミサイルとの距離が10メートルを切る。
(ならこれでどうだ!)
足元に折れて転がっていたプレハブ小屋の基礎鉄を力の限り蹴り飛ばすことでミサイルに当て、弾道をずらす。
だがそれだけだ。爆発しない。ただ蹴っただけだ。そしてスネークはそれに向かって弾丸を放った。
(跳弾させる気か!?)
そんなスカリエッティの考えは次の結果に覆された。
発射時の螺旋運動を描きながら弾丸は直撃する。
「!」
――基礎鉄に、だ。
(跳弾ではない!?まさか!)
直撃を受けた基礎鉄。弾丸はお馴染みのMGaAP弾。その効果は――
(命中対象を内側から破壊する!!)
結果として破裂した基礎鉄は即席グレネードと化し、ミサイルの噴射孔に命中、爆発した。
「くっ、ミサイルが・・・!」
「オセロットのようにはいかないか」
自嘲気味なスネークのセリフを皮肉と取ったか、スカリエッティの眉が動いた。
これでミサイルは全て落とした。次はメタルギアだ。
もっとも、次の行動でメタルギアも終わる。
(遅かったな、スカリエッティ。既に仕込みは終わってる。後はお前を誘導するだけだ)
段ボールが目の前で潰されるという悲惨な光景がフラッシュバックし、スネークの怒気が更に鋭くなる。
段ボールをスタンプしたスカリエッティには段ボールの1000倍の苦しみをもって死んでもらう。もはや決定事項だ。
「うわぁ、めっちゃ怒ってる・・・・・・・・」
そんなスネークを見て、スカリエッティはドン引きしていた。
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スカリエッティは頭がいい。いくら設計図があるとはいえ、オリジナルメタルギアを産み出した時点でスネークはそれをよく理解していた。
しかし、スカリエッティは戦闘には馴れていない。特に不測の事態に対しては対応しきれずに隙を見せる。
最初にスネークが出した、彼に対する評価であり、あの場はアームを使い、段ボールを丁寧に退けてから攻撃する。それが常識だ。
「それを・・・・あんな扱いを・・・!!」
「えぇ・・・・・」
「スカリエッティ、今この場であの悪行を謝ると言うなら許してやろう」
「・・・・・・・・・・ごめんなさ」
「許 さ ん !!」
「いや待った理不尽すぎる!?」
2.4秒も待ってやったのにとのチャンスを無駄にするとは・・・・・・いい度胸だ。
「貴様には最も悲惨な最期を遂げさせてやる」
「人の話を聞けよこの狂人!!」
なんかスカリエッティが喚いているが聞こえない。
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「地獄に落ちろ、スカリエッティッ!!」
おもむろに、唐突に、手にしたボタンをスネークが押した。
「ちょ、待っ、誤解だって!」
PON☆と軽い音とは逆に採掘施設全体が音をたてて崩壊しはじめた。
「!?す、スネーク!?貴様、何をしたんだ!?」
狼狽するスカリエッティを後目にスネークは一際悪い顔を浮かべて答える。
「なに、採掘施設封鎖のための火薬全てを地下坑道の1つに集中爆破しただけだ。こう見えて、爆発物による地形変化計算は得意なんでね」
地下坑道の爆発により、地面が割れ、徐々に崩れていく。それも採掘施設全体が、だ。
「段ボールは陽動のために?」
合点がいった。やはり彼は戦士だ!
「違う!あれはお前が勝手にやっただけだ!」
前言撤回したい。なにこの狂人、資料の内容とは全く違う。違い過ぎる。
色々な意味でスネークに対するイメージが崩壊する中、スカリエッティを指し、彼が言う。
「お前の負けだ、スカリエッティ。今なら無傷で済む」
「・・・・それは私のセリフだ。君1人で何が出来る、私には魔法がある、メタルギアがある。君の負けだ」
「――お得意の魔法を使ってみろ、まぁ使えないだろうがね」
「」
衝撃の一言にスカリエッティは閉口する。まさにその通りだ。ということは・・・
「・・・・・私の魔法の正体に気づいたか」
頷くスネーク。地盤沈下を起こしたのはこの為か。
「最初、お前の魔法の正体は『質量変化』だと思っていた。だが、高校から一瞬で移動した。質量変化では説明出来ない」
「それで?」
「高校ではメタルギアの重力操作を使い、移動には空間そのものを小さくした」
崩れる音が全体に響き、採掘施設が落ちる。
スネークの本音としてはこの仮説は外れてほしい。当たっていたら最悪としか言い様がない。
「『質量変化』なんて目じゃない、お前の魔法は空間にも干渉できる魔法」
外れていてくれ。
「――『現象縮小』だ」
「・・・・・・・・・・」
無言を徹したスカリエッティがスネークを見つめ―
「ご明察!」
スカリエッティが笑った。
今年最後の更新に間に合った!
満足したぜ(満足同盟並みの感想)。
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今年から連載を開始したこの小説。文才皆無にも関わらず、見てくださった方々には感謝しかありません。本当にありがとうございました。
来年も懲りずに投稿しようと思うので、よろしくお願いします!
ではまた来年に。そして今年に感謝を。
次回に続きます。