歯車と眠れ   作:MSX

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ええっ、ハーメルンでミリオンモンキーズがない!?

だったら書けばいいじゃない!

という感じで今回から新しくミリオンモンキーズ編をやろうと思います。



相変わらず文才は皆無なので期待せず、気長に見て下さい。


猿蛇合戦/猿蛇戦争
第24話 ミリオンモンキーズ


晴天、青空の広がる澄みきった空が街を照らし、光をもたらすことをその街に住む人は気にかけない。

 

気にかけるものでもない不変的で当たり前のことだからだ。

 

交通網が激しく、車と人の往来の激しい道路の横断歩道にいる少年はヘッドホンから聞こえる音楽を聞きながら青信号になるまで待っていた。

 

赤信号、待てども待てども変わりなし。

 

と、空に曇りが射し、人々が上を見上げ、口々に叫び始めた。

 

「あれは何だ!?」と。

 

音楽を聞いていた少年もつられ、空を見上げる。そこにあるのは晴天ではない。

 

巨大な空中戦艦だった。

 

どよめく人々はこれから起こる惨状に何を思うのだろうか。

 

ただ、分かることはある。

 

これが全ての始まりであり、当たり前だと思っていた晴天は尊いものだったのだと。

 

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PM11:25

 

「わぁ、すっごい。巨大な街だぁ!」

 

屈託のない表情で少年がテラスに駆け寄り、辺りを見渡す。

 

ビルが多く、一見すると何が違うのかと思う。

 

しかし、随所を凝らして見れば、それらはデジタル技術を組み合わせて作られた近代街と言うことが分かる。

 

「ナツミ、あれもすごいよ!何あれ!」

 

「ちょっともー、おのぼりさんじゃないんだから、そんなに叫ばないでよ。恥ずかしいでしょカケル」

 

少年、カケルの後ろからナツミと呼ばれた少女が迷惑そうな表情を浮かべ、その隣にいた白衣を着た白髭の老人が「ほっほっほ」と、人の良さそうな柔和な笑顔で仲介に入った。

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着くんじゃ。カケル君はここに来るのは初めてかな?」

 

「うん!この街に来るのは初めてだから、興奮しぱなっしだよハカセ!」

 

「ほっほっほ、そうかそうか。それなら連れてきたかいがあったのお。なぁチャル」

 

「そうですね。ハカセ」

 

ハカセの隣にはポニーテールの少女がおり、ハカセと同様に笑顔を浮かべていた。

 

「二人とも、カケルに何か言ってよ。恥ずかしいわ」

 

「とかなんとか言っちゃって~、ナツミだって昨日は寝てないじゃないか」

 

カケルの発言に「ち、違うわよ!」と言い、次第に言い争いを始めるナツミ。

 

「ほっほっほ」

 

そんな二人に対して、やはりというか、ハカセとチャルは優しく見つめるだけだった。

 

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PM11:30

 

喫茶店と書かれた店は昼中というのに客足は疎らで席は空いていた。

 

テーブルに座る客は四人で、一人で来た少女とそこから離れた場所に男が三人いた。

 

この様子では、店じまいもそう遠くない未来の話だろう。

 

しかし、この店のパフェは老舗レストラン仕込みのものに優るとも劣らない素晴らしいパフェを出す店として一部の人に知られており、いわゆる隠れた名店というやつだった。

 

ここにそのパフェに惹かれて来た客が一人。

 

「お待たせしました。当店特製パフェで御座います」

 

(うわわぁぁぁぁぁ!)

 

ウェイトレスの声も耳に入らない。この日の為にどれだけ心を砕いてきたことか。

 

出そうになる涎を必死に抑えながら、パフェを見る。

 

まず目がいくのは美しい断層の上の豪華なトッピングだ。

 

バナナ、イチゴ、メロン、オレンジ・・・・・数えきれない程の果物が彩りを豊かにし、ホイップとクリームがそれを引き立てさせる。

 

クリームはこの店の自慢の一つである自家製。それを惜しげもなく使ったそれは口の中でえもいえないハーモニーをもたらすだろう。

 

至高の一品。我慢の限界などとうに振りきっている。

 

「頂きます」

 

内心の喜びを表に出さず、ゆっくりと噛み締めるように味わう。

 

文句なし。この為に生きていたのかもしれない。

 

感動のまま、もう一口。値段は高いが、金銭的余裕ならまだある。もう一杯だけなら・・・・

 

と、強烈な視線を感じ、意識を店内に向けると

 

「・・・・・いいなぁ」

 

サングラスをかけた不審者がこちらを見ていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・・・・・」

 

あっ、やべ、つい本音が。

 

視線の先にはパフェ。率直にいうと食べたい。

 

しかし、金はない。無銭飲食をすれば・・・・・・・・

 

「ああ、でもうまそう!」

 

ど、どうすれば・・・これはどうすれば

 

「ごめんちょっとだけ貰いまグリィャ」

 

サングラスをかけた不審者の後ろにいた、同じ格好の、つまりサングラスをかけた不審者が首を逆方向に向け、おかしな声を出してダウン。そのまま動かなくなった。

 

「すまない。連れが迷惑をかけた」

 

サングラスをかけた不審者その2が謝罪してきた。・・・・・・どう反応すればいいんだろうこれ。

 

「え、えっと・・・・・」

 

反応に困っていると首の向きがおかしくなったサングラスが起きた。

 

「スイーツ!甘い物!パフ」

 

グリ。

 

「気にしないでくれ」

 

「は、はぁ・・・・・」

 

首が一周したような気がするが、気のせいだろう。

 

「二人とも何を・・・・・・おや」

 

(今度は誰?!)

 

サングラスをかけた不審者その3。しかも白衣つきだ。

 

「おやおやおやおや。これはこれは、ごきげんよう可愛らしいお嬢さん。私の十僕が迷惑をかけてしまって・・・申し訳なブッ」

 

「「誰が十僕だ!!」」

 

サングラスをかけた不審者その2と首がおかしな方向に向いたサングラスが、ダブルキックを顔面にぶちかまし、白衣の不審者は店のテーブルを引っ掻けて吹き飛んでいった。

 

(な、何なのこの人達・・・・・・)

 

これがハルカと彼らの初めての出会いだった。

 

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PM11:35

 

それからどういう訳か、4人でテーブルを囲んでいた。

 

「お待たせしました。ケーキセットとパフェです」

 

その言葉に不審者青年が口の端を上に上げた。

 

「いんやぁ~パフェだけではなく、セットまで・・・感謝の言葉もないッスよ!」

 

「・・・・・厚かましい」

 

反眼でパフェを頬張る青年を睨むが、当の本人は気づいていない。

 

コーヒーなら頼んだが、パフェやケーキセットを奢るとは一言も言っていないのに。

 

はたから見れば小学生にたかる大人三人。控えめにいって言って最低だ。

 

「すまん。今この世界の通貨を持っていなくてな」

 

体格のいい不審者が体を小さくして謝るが、この『世界』ではなく、この国の間違いではないのか。

 

その言い方が気になったが、今は無視してマグカップのコーヒーを口につける。

 

独特の苦味と微かな甘味が疲れた身体に染みるようだ。うん、美味しい。

 

「いえ気にしないで下さい。困っている人を見ると無視できなくて」

 

その言葉に感動したのかサングラスをとり、パフェをかきこみながら青年が涙を拭いた。

 

「いやはや、都会の中にも優しい人がいるもんッスねぇ!」

 

優しいというより、半ばこうさせられたような気が。

 

「食べるか喋るかどちらかにしろ。ところで、お嬢さん」

 

「はい」

 

体格のいい不審者がこちらに問いかけてきた。

 

「最近、この街で何か変わったことはないか」

 

真剣な表情で言われる割に聞かれたことはつまらないものだ。

 

「変わったこと、ですか?」

 

ハルカとてこの街に来たのは3日前のことであり、聞かれてもわかるはずもない。

 

「頼む。何でもいいし、些細なことでもいい。今の俺達にはそれが必要なんだ」

 

だが、この男の言葉は言い様のない重みのようなものがあった。

 

「噂ですけど」

 

そう話をきりだして言おうとした瞬間、バックの中に入れていた携帯電話が振動。ディスプレイを確認するとそこには『父』と書いてあった。この街に行くことは事前に知らせてある。どうしたのだろうか。

 

「すみません、ちょっと席を外します」

 

「ああ」

 

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PM11:40

 

ハルカが見えなくなった後、残った三人は彼女には言えない話を始めた。

 

「まさか転送装置の取り付け位置を間違えるとは思わなかったよ」

 

白衣で不審者な男とサングラスをかけた不審者がパフェをかきこんで食べていた青年に話しかける。

 

「転送位置がずれてビルの壁面を滑って落ちた挙げ句、ゴミ箱ダイブをするハメになるとはな」

 

おかげで死にかけたのは言うまでもない。

 

絶対零度の視線を向けられても青年はどこ吹く風だ。

 

「あの時、壁面に運悪く引っ掛かった二人を助けようとしたら『俺のことは気にせず先に行ってくれ!』って言われたのには感動したッスよ」

 

無論、落ちた青年を踏み台にするためである。

 

「いやいや、『仲間を見捨てて一人だけ行くなんて絶対にできない!行くなら三人一緒だ!』って言いながら飛びついてきた貴様には負けるよ」

 

さらに言えば、青年は二人にしがみつき、先に引きずり落とそうとしていた。

 

青年は振り返ってこう思う。

 

「今となってはいい思い出ッス」

 

しみじみと語る青年に白衣がキレた。

 

「自分の失敗を思い出話にして美化してんじゃねーよハゲ!」

 

「ハゲてませんし~、ふさふさですし~、剛毛ですし~」

 

「この野郎・・・・・!」

 

リアルファイト3秒前。しかし、それよりも早く変化が起きた。

 

パフェに口をつけた瞬間のことだ。

 

店が爆発に巻き込まれた。

 

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PM11:45

 

(今のは何!?爆発!?)

 

「ゴメンお父さん、いったん切るね」

 

携帯を切り、慌てて店内に戻ったハルカの目に飛び込んだのは、爆発で吹き飛んだテーブルや、店の道具の無惨な最期だった。

 

全体が酷く損傷してる中、辛うじて店長とウエイトレスは無事だ。

 

「あのお客様が・・・・・!」

 

それで察した。彼らが店長達を助けたのだろう。

 

しかし、肝心の彼らがいない。まさか爆発に巻き込まれて・・・・・・・

 

「んもおおおおおおおお!?何?パフェ食ってたら唐突に爆発って何なのよ!?」

 

瓦礫の中から青年が何故かオネェ口調で現れた。

 

「っ、生きて――」

 

続きを言う前に本日二度目の爆発。しかもかなり大規模なものだ。

 

「いったい何が起きてるんですかぁ!」

 

ウエイトレスの叫びも爆発に掻き消される。

 

そんな中で白衣の男がこう言った。

 

「全く本当に退屈しないな!」

 

これから起こる戦闘を予期していたかのように。

 

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