歯車と眠れ   作:MSX

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戦闘描写を濃くするんだっ!と言われて第6話。

終わった後に残るのは自分の愚かさだけだと確信しました。

でも、反省しません。また、書きます。


そんな第6話をどうぞ。


第6話 その境界線の上に立つ者へ

うーん、条件とは?

 

「魔法っていいですよねぇ・・・」

 

は?

 

「夢とロマンに満ち溢れているし、カッコいいですよね・・・」

 

・・・・・はぁ

 

「『魔法少女リリカルな○は』や『魔法少女ま○か★マギカ』、『カードキャプターさく○』等を見ているとしみじみと思います」

 

いきなり何言ってんだコイツ・・・・・

 

「それを自分で使えたら、すんばらしいですよね」

 

・・・・・・・おい、まさか、条件って

 

「ユー、魔法使いになっちゃいなYO!」

 

だが断る

 

「・・・・エェー、マジデ?」

 

片言で言っても断る

 

「ボクと契約して魔法少女になっ」

 

死んでも断る

 

「いや、あなた死んでるでしょ」

 

あ、そうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追いついたぜ、ストーカー」

 

暗い地下の中、全身帰り血で真っ赤なエルズスが問う。

 

「どうしてあの少女に固執する?そこまでする理由は?」

 

問われた先、相手が気だるげな表情でこちらを向く。

 

その足を止める事は出来たが早くしないとスネークが危ない。

 

あちらも2対1で戦っているからだ。

 

「・・・・・・・・えーと、理由ですか?」

 

「ああ」

 

「・・・・・・それが、私も知らないんですよ」

 

「知らないのに自分の命を賭けているのか?」

 

「はい」

 

迷いも憂いもなく相手は答える。

 

「私は駒です。チェスでも将棋でも最弱です」

 

ですが、と、前置き一つを置いて男は言う。

 

「そんな駒でも向き合えば何かが得られると思うんですよ」

 

誰かさんに言われたセリフだなぁ、と、こちらは苦笑と共に言葉を送る。

 

「大事なのは得にいくことで、向き合うことは、スタートラインに過ぎないだろ」

 

「やっぱ、そう思いますか?」

 

「ああ、とは言っても俺もスタートラインに立ってないんだよ」

 

持っている高周波ブレードを向ける。

 

「奇遇ですね」

 

相手もそれに気づき、自然と構える。

 

「ああ、奇遇だ」

 

だから、

 

「ここでスタートラインに立とうぜ、オッサン」

 

「・・・・・・私これでも26歳なんですけどねえ」

 

笑みを強くしながら相対する。

 

何かに向き合う為にお互い初めの一歩を踏み出す。

 

さぁ、

 

「行くぜ」

 

間合いが詰まり、元々狭い戦場がさらに狭くなる。

 

エルズスは正面を見たまま、視界の隅で戦場の上下左右を確認。

 

左右はシート、上はつり革、下は床だ。

 

当たり前の事だが、当たり前の事を侮れば、結果は自分に帰ってくる。

 

主となるのはやはり回避よりも力と速度を先に叩き込むことだ。

 

必須となるのは、近接状態からの判断時間を与えないような居合いや連打だ。

 

運のいいことにエルズスの身体よりも相手の方が大きい。

 

そしてエルズスは自分に合った回転の速い攻撃方法を体得している。

 

つまり、相手の懐に入って連続攻撃を決められれば、エルズスの勝利は確定する。

 

身を屈めるだけで向こうの腹を狙えるのに対し、

 

向こうはこちらの頭上あたりを攻撃することしかできない。

 

しかし、手は届かなくても、ブレードを握れば下段で殺れる。

 

ハンデがあるとはいえ油断はできない。

 

と、正面の男が動きを止めていた。

 

急停止。距離は約5メートル。数歩の踏み込みで攻撃が当たる位置だ。

 

しかし、男の方がリーチが長く、エルズスは短い。

 

こちらから見て左手にある高周波ブレードを相手は握り直す。

 

予測どうりやはり下段。真下に杖を突くかのような手のひらでブレードの尻を包んだ握りだ。

 

しかも片手打ち。しかも、かなり特殊な構えだ。

 

剣というのは両手握りは威力があるが、力を入れるために速度は落ちる。

 

片手振りは手首のスナップと肘の跳ね上げだけでも十分速い。

 

となると、 

 

・・・・・やっぱ、牽制か。

 

相手の右足が、外側に向けて前に出ている。

 

エルズスが右方向に動いた場合、即座に対応するための配慮だ。

 

左に動けば手に持ったブレードを振ればいい。

 

電車の中では、それで十分に牽制できる。

 

なら、正面に飛び込むのがベストだ。

 

一見無駄に見えるが、突きは身をよじって回避できる。

 

とはいえ片手打ちだとスナップ一つで下から上へと攻撃し、下手をすると顎か横腹を斬られる可能性がある。

 

無論、エルズスの一撃は届いているだろうが、向こうが耐えられるかもしれない。

 

その時点でエルズスは殺される。

 

勝てるかどうかは初撃にかかっている。

 

相手と比べればエルズスは遥かに劣っているだろう。

 

だが必ず仕留める。今までもそうだった。

 

例外があったとしても必ず殺す。さもなければ、死ぬのはエルズス自身だ。

 

頭の中で、一瞬で自分の動きが思いつく。

 

別に特別なことをしたわけではない。

 

長年の戦闘経験が自分のすべき動きを組み立てて、勝利の流れをシミュレートするだけのこと。

 

・・・・これを言ったら、またスネークに「キリングマシンみたいだ」と嫌そうな顔をされそうだ。

 

然り、ならば今の自分は、キリングマシンだ。

 

そして、キリングマシンは相手の隙を欲する。突きが届くその前に。

 

それは唐突にやって来た。

 

前の車両で大きな爆発。

 

「!」

 

瞬間、エルズスは前に出た。一瞬、意識を取られた男がエルズスの瞳を覗きこむ。

 

前傾姿勢で床を力強く蹴り込み、距離を半分に詰めた。

 

男がエルズスに対して動き、

 

「え?」

 

エルズスの身体が空中に浮いた。

 

気づけば、男の右足が先に踏み込んでいた左足を軸に蹴り出されていた。

 

・・・・・・・・さっきのフェイントか!!

 

下段に置いたブレードを囮に一番後ろに下げていた足でのカウンター攻撃。

 

ブレードを特殊な構えにしたのは初撃を悟られないようにしたためだろう。

 

自分のすべき動きだけを考えていた結果がこれだ。

 

全く、この世界は未熟者にはとことん厳しい。

 

このまま、蹴り足で一気に蹴られれば、アドバンテージは大きくもっていかれる。

 

宙で身体を折り曲げ、両腕を肘下に曲げた。

 

エルズスはブレードの柄を口にくわえ、両腕と手のひらで蹴りをガード。

 

そのまま足首をとろうとするも行動の意図を読まれ、足を戻される。

 

口からブレードを離し、右手で掴むと同時に姿勢を低くし、相手の横方向の斬撃を回避。

 

「今の斬撃を避けますか!!」

 

男の問いに答えるようにさらに加速した。

 

相手もそれに合わせてバックステップ。

 

大柄な彼の一歩は大きいが、狭い電車の中でそれは悪手といえる。

 

「これはどうですか!」

 

バックステップ中に高周波ブレードを下から上へと跳ね上げた。

 

狙いはエルズスの横っ面。急加速が仇となるだろう。

 

当たる。ならば、どうでる少年。

 

急加速していたエルズスがいきなりブレードを床に突き刺した。

 

派手な音をたてて本人が減速する。

 

刺さったブレードがストッパーの役目を果たすと踏んだか。だが、

 

「もう遅い!!」

 

既にブレードは振っている。

 

仮にブレードを盾として使ったとしても当たる瞬間に逆手持ちをして当てればいい。

 

勝負は決まった。彼は死ぬ。いとも簡単にあっさりと。

 

「すまない。だが、君の死をもって私はスタートラインに立つ」

 

ブレードがエルズスに吸い込まれる。

 

「お別れだ」

 

「ああ」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたのな」

 

よく見れば、エルズスは完全に減速していない。

 

床に刺したブレードでは完全に勢いを殺しきれていないのだ。

 

だが、

 

「それがどうした!」

 

--それはエルズスに当たる寸前だった。

 

「なっ!?」

 

彼は飛んだ。

 

両手はブレードを離さぬまま、加速の勢いを殺さぬままに右足をバネに縦一回転。

 

半回転途中でブレードを抜き取り、身体の動きの邪魔にならないように持つ。

 

男の斬撃を空中、紙一重で回避。

 

またもや避けられた。だが、今度は一回転。これでは先ほどのような身動きは取れまい。

 

自分の頭上を越えるだけで着地地点も予測しやすい。

 

振り返ると同時に斜めに斬ればいい。

 

今度こそ、

 

「終わりだ!!!」

 

振り返りと同時に斜め斬り。

 

手応えは―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ないだと!?」

 

右肩に激痛。見ればエルズスの高周波ブレードが刺さっていた。

 

エルズス本人は男から二つめのつり革に左足を引っかけ、そのまま落ちると同時に踵落としをする。

 

反撃の為に動かしたブレードが弾かれ、右肩に刺さったブレードを弾き、空中に飛ぶ。

 

痛くないわけがないが、ここで悠長にしている暇はない。

 

エルズスが右手を思い切り引いた。

 

見える。彼の右手からワイヤーが伸びている。ということは

 

「よいしょ」

 

掛け声とともにワイヤーに引っ張られて戻ってきたエルズスの高周波ブレードを自分の高周波ブレードで受け流す。

 

エルズスはそのまま手に取り、姿勢を低く、超加速の突きを放つ。

 

「だったら!!」

 

こちらも突きを放ち、攻撃を相殺する。右肩が出血し始めてきた。

 

この一撃で全てが決まる。

 

しかし、彼は本日3度目の驚きを体験した。

 

ブレード同士が当たり、

 

 

 

 

 

 

 

 

「突き攻撃を受け止めた、だと・・・・・・・・・・!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見れば、エルズスの高周波ブレードの先端部が欠けている。

 

・・・・・・・・・・先ほどの急停止の時か!!

 

あの時、わざと床に刺してブレードを貫通させたのだろう。

 

電車が走っているからこそできる芸当だ。

 

思い出せば、あの時、ブレードをそのまま刺さずに横に刺していた。

 

盾にすると思っていたが、違う。

 

実際は、これをするために金属結合の甘い横腹で刺したのだろう。

 

そして、そのあとの派手な音。あれは高周波ブレードが折れた音だったのか・・・・・・・・!

 

後悔してももう遅い。

 

エルズスが突きを受け止め、そのままお互いのブレードを一回転させ、こちらの突き攻撃の勢いを逸らした。

 

エルズスは言う。

 

「あんたはふりだしに戻れ」

 

「え・・・・」

 

「俺はあんたの可能性を奪ってスタートラインに立つさ」

 

よく見ると車両が切断されていた。

 

「先ほどの高周波ブレード同士の一回転は・・・・・」

 

「ああ、この為のものだ」

 

切断された車両が別れ、エルズスは前の車両の方へ、

 

男は後方の車両の方に取り残され、徐々に差が開き始める。

 

「・・・・・・・完敗です」

 

悔いはない。

 

前方の車両から包帯が投げられる。

 

「借し借りなしだ。あんたの高周波ブレードは貰っておくぜ」

 

「いつの間に・・・・・」

 

・・・・抜け目のない少年だ。

 

「一つ聞いていいですか」

 

「?」

 

「私を殺そうと思えばあの時殺せたはず」

 

「ああ、そうだ」

 

「なぜ生かしておくのですか?」

 

「あんたのおかげでやっと思い出したからだよ」

 

何を?とは言わない。彼の表情を見て断言できる。

 

彼は手に入れたのだろう。スタートラインに立てなかった自分とは違い、大切な何かを。

 

男のいる切断された後方車両とエルズスのいる切断された前方車両の差が大きく開いた。

 

エルズスのいるところがスタートラインならば、自分はそれ以前なのだろう。

 

だけど、

 

だけど、

 

「あなたの名前は!!」

 

気づけば叫んでいた。

 

「エルズス」

 

一息。

 

「エルズス・スネークだ」

 

声を張り上げる。

 

「エルズス!私は次に殺されようとも敗北を認めない!」

 

 

 

「いずれ、絶対に、と前置きをしてでも必ず勝って」

 

 

 

「あなたと同じスタートラインに立ちます!」

 

だから、

 

「それまで首を洗って待っておいてください!!」

 

エルズスは笑い、声を張り上げる。

 

「馬鹿か、あんたは」

 

 

 

「自分で追いついて来いよ!!」

 

 

 

 

そして、お互いの声が聞こえなくなる中、エルズスの独り言が車両に響く。

 

「相手の名前は聞いといて自分は名乗らずかよ」

 

しかし、どこかで笑う自分もいて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くもって締まらねぇぜ・・・・」

 

言い訳をもって立ち去った。

 

 

 

 




第6話でしたー。

今回の冒頭部分で言っていた「魔法でいいじゃない」発言はこの先の本編で出てくるかもしれません。

しかし、MGSの内容に魔法って・・・・・・・・。

どーしましょ。
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