歯車と眠れ   作:MSX

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今回、スネークの戦闘描写が短くなってしまい、ファンの人には申し訳ないと思っています。

しかし、あまり書きすぎるとエルズスとスネークの実力の差が解らなくなっちまうかも・・・

と思い、少なめになりました。




第7話 英雄は人を殺さない

「私は大切なことに気がつきました」

 

ん、大切なこと?

 

「魔法少女とはなんですか」

 

何かって、そりゃ、女の子が魔法の力で変身して・・・・・

 

あ、

 

「そうです!魔法『少女』です!」

 

お、おい、まさか、お前・・・!

 

「あなたは前世では男の子でしたが魔法少女になるならば性別を変えないといけませんねぇ」

 

い、いやだから、ならなくていいって・・・

 

「駄目です!転生条件です!」

 

転生条件なんてなかっただろ!

 

「よいではないか、よいではないか」

 

よ、寄るな、来るな、近づくなァァァァァァ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説は何故、伝説と呼ばれるのか?

 

理由は簡単で明快だ。

 

あらゆる可能性をもってしてもそれが不可能だからだ。

 

それを成し遂げた。

 

故に人はそれを『伝説』と呼ぶ。

 

伝説は人が生み出し、人が紡ぐ。

 

しかし、そこに伝説を生み出した本人の意志は、意思は、一切存在しない。

 

虚構で一瞬の儚い夢。

 

そしてそこには、結果の事実しか残らない。

 

例え、親友と殺しあったとしても。

 

例え、父親と殺しあったとしても。

 

例え、人に絶望しようともだ。

 

『過去』という名の過程も『伝説』という結果の前では忘却される。

 

それが、遊びやスポーツならばまだいい。

 

仮にそれが戦争だったならば?

 

エルズスはスネークにこう言った。

 

「辛くないのか」と。

 

「解らない」

 

スネークはいつもそう言って誤魔化していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルズスが戦っている中、スネークも残りの二人と戦っていた。

 

二人を同時に相手をしながらもスネークの動きは俊敏そのものだ。

 

前からもう一人のコートの男が拘束のための鎖を飛ばし、地を縫うようにしてナイフを持った少女が先行する。

 

圧倒的不利。しかし、スネークの表情は変わらない。

 

麻酔銃を素早く構え、発砲。

 

飛んで来た鎖を空中で当て、勢いを弱くし、鎖を掴む。

 

ナイフの軌跡を少女の身体の動きで判断。三撃めを鎖でブロックし、巻きつける。

 

リロード。

 

構え、

 

発砲。

 

熟練の動きは無駄を生まない。

 

そんな言葉を体現したかような鮮やかな動きでコートの男を狙う。

 

麻酔弾の射線上には、鎖がある。故に弾いて反撃できる。

 

その油断が驚きを生む。

 

「--鎖を通り抜けてくるか!」

 

男が叫ぶのも無理はない。

 

スネークがやったのはいわゆる『精密射撃』と言うものだ。

 

・・・・・・・・1対1ならまだしも襲われている状況でも冷静か!

 

なら、

 

「カマヤ!」

 

名を呼ばれた少女は言われる前に行動していた。

 

予備のナイフを専用ホルスターから出し、二つ投擲。

 

一つはスネークの放った麻酔弾の先端部の針に当たり、一緒に弾いた。

 

二つめのナイフは一つめのナイフに当たり、回転しながら天井に刺さる。

 

鎖に絡みついたナイフを捨て、天井に刺さったナイフを三度めの投げナイフで反射。

 

その真下にはリロード途中のスネークの姿。

 

麻酔銃は一発撃つごとにリロードしなければならない。

 

予備の殺傷用拳銃は持っているが、出すタイミングがない。

 

なら、どうするか。

 

簡単だ、飛んで来たナイフを片手で弾き、床に刺す。

 

大きく出る。

 

鎖を離し、ワイヤーガンを放つ。

 

スネークに向けて撃ったとしても利用されるのがオチだ。

 

こちらからみて左、スネークの後ろのポールにワイヤーを通し、勢い殺さず、真横のポールにワイヤーを通した。

 

これで彼の後ろは囲んだ。前しかいけない。

 

深呼吸。

 

スネークは前に出る。床に刺したナイフを足場に加速。

 

リロード完了。

 

加速することによってカマヤと呼ばれたナイフ使いの少女の攻撃タイミングをずらす。

 

しかし、それでもカマヤは反撃に出る。

 

大型ナイフを逆手に持ち、反撃。

 

スネークの右腕を削ぎおとさんと腕を振る。

 

銃身を縦から横にし、ナイフを受け流す。悪手だ。

 

仮に流しきったとしても着地の瞬間を狙えばそれで勝ちだ。

 

あとは少女を回収すればいい。

 

小細工をしようとしても、着地地点はカマヤとコートの男の中心点。

 

 

スネークが空中でこちらを見ずに発砲。狙いはカマヤ。

 

・・・見ずに当てに来るか!!

 

やけくその一発ではない。

 

確かにスネークはカマヤを見てはいない。しかし、麻酔弾の軌道は正確そのもの。

 

・・・・・・目で追いつける。

 

カマヤは内心でそう思い、実行。

 

正確すぎるからこそ狙いも読めやすい。

 

首を傾げるという最小限の動きで麻酔弾を回避。造作もない。しかし、

 

「山猫ほど上手くはいかないか」

 

スネークのその言葉の意図に気づき、カマヤに向かって男が叫ぶ。

 

「避けるな!落とせ!!」

 

「!」

 

意図に気づき、カマヤが右足で後ろに振り向きながら虚空を蹴った。

 

軽い感触。麻酔弾だ。

 

・・・・・跳弾!?

 

「そうか、床に刺さったナイフを利用して・・・!」

 

だが、麻酔弾で跳弾は構造上、不可能な筈だ。

 

そもそも麻酔弾とは、簡単に言ってしまえば注射器だ。

 

弾丸内部に薬品麻酔が入っており、相手に直撃した衝撃で弾自体がピストンし、中の薬品麻酔が注入される。

 

そのため、先端部は鋭い注射針の筈だ。

 

跳弾などできるはずがない。

 

スネークが軽く着地。

 

手動でリロードし、マガジンから次弾が装填される。

 

・・・・マガジンの弾は残り2発。さて、どうする?

 

表情には出さないがスネークもかなりまずい状況だった。

 

・・・こいつらの連携を見て、マガジン交換をする暇はなさそうだ。

 

恐らく、麻酔弾の構造にも疑問を持っているだろう。

 

エルズスのことも気になる。無茶苦茶してなければいいのだが。

 

まぁ、

 

「あと一人か」

 

「・・・・・あ・・・・・れ・・・・・・」

 

カマヤの視界がふらついていく。

 

「しまったっ!」

 

「・・・・・な・・・・・・・・・に・・・・・・・・・?」

 

「カマヤ!」

 

彼女の首に麻酔弾が刺さっていた。

 

「・・いつの・・・・・・・ま・」

 

喋ることさえままならない。そのまま視界がブラックアウトしていく。

 

彼女はそのまま倒れて動かなくなった。

 

一発撃つごとにリロードしなければいけない。

 

麻酔銃は構造上そうなって・・・・・

 

(そういうことか!!)

 

前提から間違っていた。

 

この麻酔銃はーー

 

背中に刺さる感触。

 

「・・・・・・・・カハッ」

 

口から血を吐き出した。

 

「・・・・・何だと・・・・・・・」

 

背中を見る。

 

これは、

 

「高周波ブレード・・・・・・・・?」

 

男の視界もカマヤ同様に薄れていく。

 

・・・・・・・・・クソ

 

「・・・・勝ちたかったな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れた男の後ろに投擲した高周波ブレードを抜き取った。

 

「どうして殺した、エルズス」

 

エルズスはさも不思議と言わんばかりに首を傾げた。

 

「そうしなかったら、スネーク殺されていたッスよ」

 

「しかし、残ったのは男一人。2対1だ」

 

「余裕ッスかそれは」

 

それとも

 

「油断ッスか?」

 

「違う、殺す必要はなかったはずだ」

 

「生かす必要もないッスよ」

 

言い切る。

 

「事実、スネークが殺される可能性もあったッスよ」

 

「確かにその通りだ」

 

だが、

 

「負けないさ」

 

「・・・・そうッスか」

 

この自信はどこからくるのか全くもって度しがたい。

 

そんな剣呑な空気の中

 

「あ、あの・・・」

 

どこからか控え目な声が聞こえた。

 

「ん?」

 

スネークの近くからだ。

 

「あ、忘れてた」

 

エルズスの横の整備ハッチから少女が出てきた。

 

「助けて頂いてありが・・・とう・・・・・・」

 

「ん、ああ」

 

少女は血だらけのエルズスを見て息を飲む。

 

「悪りいな、お嬢さん」

 

「い、いえ」

 

「さて、お嬢さん、すまないが色々と質問させてもらってもいいか?」

 

スネークがはっきりと言う。

 

「単刀直入に言う」

 

 

 

 

 

 

 

「君は俺達の敵なのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




麻酔銃、説明しろよ!!

と思ったそこのあなたにひとつ言うことがあります。



考えずに書いてました。



いや、ぶっちゃけ、いろいろとネタを考えていましたが、

「麻酔銃にはその理屈は無理じゃね・・・?」と書き終わってから気づきまして・・・

そのうち説明しようと思います。






次回はあいつが登場します(予定)。

ヒントはスネークとおなじ名前を持つ元合衆国大統領です。



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