あと、この作品をご覧になっている三好夏凛ファンの皆さんには申し訳ないことをしたなぁ、と思ったり思ってなかったり。
友奈ァ、夏凛の想いも背負って東郷さんを止めるんだぞ!
〜この作品が暗くなってきたのでここだけでも明るくいこう〜
友奈「酷いよ東郷さん! せっかくオルガさんがカッコいい事言って私を勇気付けてくれたのに、引き裂いちゃうなんてっ」
東郷「友奈ちゃんに付く悪い虫は取り除かなければいけないのっ」
友奈「だからってオルガさんと手を繋いでいる最中に…。いくら親友でも人の恋路を邪魔するなんて‼︎」
東郷「恋路ッ⁉︎ いやよそんな事‼︎ …おのれオルガ・イツカめ。友奈ちゃんを誑かした所業、万死に値するッ!」
オルガ「はあぁ⁉︎ 何かおかしな状況になってんだけどッ⁉︎」
風「まったく、罪な男ね…」
三日月「オルガ。この落とし前はキッチリ付けなきゃダメだよ?」
オルガ「えっ何? これ俺がワリぃのかッッ⁉︎」
『みんな、どうしてそこまで頑張れるのだろう。私は、もう心が折れてしまいそうなのに。……勇者だから? 勇者だから頑張れるの? ……じゃあ、勇者って何? 私たちをこんな目に合わせている世界を、守り続けなければいけない勇者って何なの?』
※大赦書史部解体の為,検閲未実施
東郷は涙を拭い戦艦で上昇する。友奈たちが跳んで来れない位置まで。
「……友奈ちゃん……あのままじっとしていれば良かったのに。……もう、何もかも手遅れだね」
そして、砲塔を下にいる友奈たちに向けた。
「……‼︎」
その瞬間、五人は一斉に散らばる。そして、そのすぐ後に砲撃が放たれた。
「くっ。あんな高い所から一方的に攻撃されたんじゃ……」
「とにかく足を止めるなァ! あの威力じゃ仮にバリアで守られたとしても、その衝撃ダメージで何本か骨逝っちまうぞ‼︎」
三日月は抱えられたまま樹に指示する。
「樹ちゃん、一旦俺を結界の外へ連れてってくれ」
「……?」
三日月の言葉に首を傾げた。
「あそこには多分雑魚がいるはず。今は何でか大穴から出てこないけど。……そいつらを蹴散らせば良い''経験値''になる」
樹は三日月の言いたいことを察した。しかし迷っているようだ。
「樹ちゃん、お願いだ。俺はやらなければいけない。東郷さんを止めるため、助けるための手助けをッ!」
こくっと樹は意を決して三日月と結界の外へ向かった。
「う〜、何か策は無いの? 飛んでいるアレに何か……」
風は跳び回りながら模索する。
「遠距離メインの場合は、それを上回る遠距離攻撃か、接近戦になるよう誘導するのがセオリーだが……」
「でもイツカ。遠距離攻撃なんて今の私たちは無理だし。誘導する方法なんて……」
「ワイヤーで括り付けて放り投げるってのはどうだ?」
「いやいや、あの距離まで放られるとなるとかなりの力よ? ワイヤーの力で先に体が裂けちゃうじゃない」
「それもそうか」
「それに樹はミカと外へ行っちゃったし……」
周囲を見ると、確かに二人はいない。
「いつの間にッ⁉︎」
「私が見た時にちょうど壁の外へーーって‼︎」
その時、風はオルガを掴み跳躍する。そこへ砲撃が飛んできたのだ。
「あっっぶねぇ。サンキュー部長」
「考え事もまともにできないわねぇっ」
すると、友奈が二人の元へ跳んできた。
「風先輩! オルガさん! 私が行きますッ!」
二人は友奈の手甲を見た。
「あなた……。満開する気ね」
「はい」
「それがどういう意味かもわかってんのか?」
「……はい」
二人は無言で向き合い、そして頷き合った。
「……わかった。ダメだって言っても聞かねぇだろうし、どのみちそれしか方法がねぇなら」
「うん。それに懸けるしかないわね」
友奈は二人にお辞儀をする。そして真上を見上げた。
「満ッ開ッッ‼︎」
「ーーミカさんと樹ちゃんがいなくなった? もしかして形成途中のバーテックスを倒しに行ったのかしら……」
東郷は周辺を見渡す。
友奈たち三人は小さく見えるが、三日月と樹の姿が見えない。
(まぁ、バーテックスを倒しに行こうが、隠れて隙を狙おうが問題ない)
今の三日月と樹で、あのバーテックスを倒せるとは思えないからだ。
東郷は形成されているバーテックスが何なのか知っている。
ーーと、その時、大輪が咲き誇るのが見えた。
「ーーッ! あれはっ友奈ちゃん!」
視線の先には満開時の特殊な勇者装束を纏い、両手には巨大な手甲を備えている友奈がいた。
「今行くよ‼︎ 東郷さん‼︎」
足に力を入れて、友奈は跳躍した。
「勇者ぁぁぁ、キィーーーーーッックッ‼︎」
「ーーくっ!」
跳んで来た友奈に対して砲塔を向け、レーザー光線を発射した。
「ぐッッ‼︎ ううぅぅぅ……!」
しかし、手甲で光線をいなした。
光線は進路を変えて友奈から逸れていく。
「っ‼︎」
「東郷さあぁぁぁぁんん‼︎」
「来ないでッ‼︎」
今度はミサイルが放たれる。
ミサイルは友奈の手甲に直撃すると同時に爆発した。
「うああああぁぁぁーーッ!」
牛鬼のバリアによって守られたが、衝撃により友奈は地に落下した。
「がぁっ。……はぁ、はぁ」
「「友奈ァー‼︎」」
しかし、友奈は地に拳を叩きつけて起き上がった。
「とう、ごう、さん……」
「……友奈ちゃん、しばらく眠ってて……」
再度、ミサイルが放たれた。
「ーーッ! 部長ォォ‼︎」
「ええ! わかってるわ‼︎」
風とオルガがミサイルの前に立ちはだかった。
「風先輩! オルガさん‼︎」
風は大剣でミサイルを迎え打つ。
オルガは風の体を支える。
「グッウウウウ……‼︎」
「うっ、クソがッ」
そして、ミサイルが爆散し二人を吹っ飛ばした。
「まだ、抗うんですか……」
「ええ、私が……」「ああ、俺が……」
「諦めるまでねェ‼︎」「諦めるまでなァ‼︎」
その時、風のももに記された花弁に光が灯る。
「っ! 満開ゲージが!」
「風先輩まで満開したらッーー」
だがその時、結界の外から巨大な物体が現れた。
「ーー‼︎ 今度は何⁉︎」
東郷の視線の先には、二足で立つ巨人がいた。
……それは、白を基調とするトリコロールカラーで、全身の装甲が以前より一層厚くビルドアップされているバルバトスであった……。否、
「ま、さか……。ミカさんたちが結界の外に行っていたのは」
それは一見、バルバトスのようであり、精霊としてしか、東郷は見ていないが、バルバトス・ルプスのようであり、しかしどこか違っている。
特に、前腕部や足先の装甲の厚さが異様に目立ち、背中には尻尾のような武器が収まっていた。
「……満開するため、だったんですね……」
「東郷さん。これが俺の答えだよ」
三日月はその中から東郷に呼びかける。
後から来た樹もまた、満開しており特殊な勇者装束を纏っている。
「たとえボロボロになっていこうが、俺はっ、俺たちはアンタを止める。そして、助け出してみせるよ」
「……なん、で……。そこまで頑張るんですか。満開したらどうなるか知ってッ! それでもなおっ、どうして頑張れるんですかッ⁉︎」
「友奈が言ってたでしょ?」
「……!」
バルバトス・ルプスに似た機械兵器は友奈たちの方へ歩き出した。
中にいる三日月は東郷を見たまま告げる。
「友達だからだよ……」
「あなたまで……そんなことを言うんですか?」
「そんなこと?」
「あなたはっ何とも思わないんですかっ? あなたの一番近くにいたイツカさんは、人間じゃなかったんですよ? 精霊だったんですよ⁉︎」
「……そうみたいだね」
「仲間だとか、友達だとか、耳障りの良い言葉並べて私たちに取り入ってきて……、でも! 実は紛い物でーー」
「……だから、何?」
「……えっ」
三日月から思ってもみない返答をされ、東郷は戸惑う。
「オルガが精霊だった……。だから何? オルガが俺たちを騙すために勇者部に入ったって? オルガがそんなことすると本気で思ってるの?」
「……っ」
「ねぇ、東郷さんって俺たちのこと何もわかってないよね? 全部一人で完結させてさ……」
「どういう意味ーー」
「悩んだら相談、じゃなかったの?」
「ーー‼︎」
「自分一人で勝手に背負いこんで……。世界を壊すことが友奈のため? みんなのため? ……誰がそんなこと言ったんだよ」
「で、でもーー」
「もういいよ、喋らなくて。これだけ言っても分からないなら、もうぶつかり合うしかないね……」
すると三日月は友奈の方を向いた。
「友奈。アンタに託すよ。東郷さんのこと」
「……うん。わかってるよ。オルガさんにも言われたからっ」
迷いのない友奈の顔を見て安心する。
「なら、良いや」
そして、三日月は東郷に立ち向かう。
「三日月・オーガス。バルバトス・ルプスレクス。出るよっ!」
三日月に呼ばれ、バルバトス・ルプスレクスの目が光った。
「……っ、ここまで届くと思ってーー」
「ところがねぇ、届くんだよっ!」
ルプスレクスの背中からスラスターが出現し、そこから噴き出るブラストを推進力として上昇していった。
東郷は以前、バルバトスが宇宙まで駆り出していたことを思い出した。
しかし、これほどの機動力ではなかったはずだ……。
「バルバトス・ルプスレクスは空中戦もできるようになってるんだっ」
「そんなっ。……なら撃ち落とす!」
飛んできたルプスレクスに向けて照準を合わせ、レーザー光線とミサイル攻撃を放つ。
「コイツにレーザー攻撃は効かないよっ」
ルプスレクスは先に飛んできたレーザーをまともに受けたが、その厚い装甲にレーザーは弾かれた。
次に来たミサイルも、空中で躱していく。
「なんて装甲と機動力ッ。……でもこれならっ」
浮遊戦艦は一旦、砲塔を収めて代わりに巨大な鉄の矢を出現させた。
「射手座、と呼ばれるバーテックスの弩弓を元にしたものよ」
「それは多分効くかな……」
しかし、三日月はそのまま加速して突っ込む。
「……‼︎」
「あの攻撃を元にしてるなら威力もでしょ? ……ならこの距離で撃てば俺も東郷さんも終わりだよ」
ルプスレクスは一気に距離を縮めた。もう少しで、東郷まで届く。
「……それでも、撃ちますッ!」
「させないよっ‼︎」
ルプスレクスは背中から剣のような尾を伸ばして船底へ攻撃した。
「ぐぅ……ッ‼︎」
戦艦は仰け反るように上を向くと、同時に弩弓が発射され、ルプスレクスとは逆の真上へ放たれた。
「東郷さんっ。これで諦めーー」
「まだだぁぁーーー!」
そのまま一回転した戦艦をルプスレクスへぶつける。
「ゼロ距離ならッ、躱せないでしょ‼︎」
「ーーッ⁉︎」
密着したまま全砲門から無数のミサイルを撃った。
「ぐぅあっ!」「キャアァァァ!」
攻撃を受けたルプスレクスも、至近距離で撃った戦艦も、共に地へ落下した。
「……はあ、はあ。……どうやら……、私の勝ち、ですね……」
東郷の乗った戦艦は、ボロボロになりながらもゆっくりと再び浮上していく。
「これで、一番厄介な相手は倒しました……。あとはーー」
「そうだねっ……。俺たちの勝ちだッ!」
「ーー‼︎」
そのとき、無数のワイヤーが戦艦に絡みついた。
戦艦はその場で動けなくなる。
「樹ちゃん……‼︎」
樹の腕や天輪の羽衣から出した無数のワイヤーにより、もう戦艦は攻撃も回避もできなくなった。
「東郷ーーッ‼︎」
そして、満開した風が巨大化させた大剣を戦艦に突き刺した。
「おとなしくしろォォォ‼︎」
戦艦を貫通した大剣は地にも刺さる。
「今よッ友奈ーッ‼︎」
「行けッオルガッ!」
風と三日月に呼ばれた二人は叫ぶ。
「オリャアアァァァァァァ‼︎」
「うおおおおぉぉぉぉ‼︎」
オルガと友奈が戦艦に跳び移り、二人同時に東郷を殴り飛ばした。
「っぐッ‼︎」
殴られた東郷も、勢いをつけすぎたオルガと友奈も倒れ込む。
しかし、二人はすぐに起き上がり東郷を抱きしめた。
「友奈、ちゃん……。イツカ、さん……」
「東郷さん……。私たちはこの世界で生きていかなくちゃいけないんだよ? たとえこの先、どんな運命が待ち受けていたって」
「……なん、で」
「だってこの世界は、私と東郷さんが出会った大切な居場所だから……」
「……」
「なァ東郷、俺はよ。お前の気持ちはよぉくわかんだ……」
「えっ?」
「俺もな。こんな世界、変えてやりてぇって思った。大赦をぶっ潰してやりてぇってよ。……でも、それはやめにしたよ」
「……?」
「ミカが、それでも歩いていくって決めたからだ。……俺はミカのために大赦を、世界を変えようとしたが、それをミカは望んじゃいなかった」
オルガは東郷を抱きしめ続けながら話し続ける。
「ミカがこの世界で、前を向いて生きていくって決めたんなら、俺がクヨクヨしてられねぇだろ。俺は……。俺の役目はミカがやりてぇことを、全力でサポートすることなんだからな……。ミカのやりたい事が、俺のやりてぇ事なんだ……」
「精霊、だから……?」
「……今思えば、そうかもしれねぇな。……でも、それだけじゃねぇよ。精霊だろうがなァお前らと過ごしたこの時間は嘘偽りじゃねぇからよ」
そこでまた東郷は泣き出す。
「……で、でも! みんないつかは忘れてしまう!」
「忘れねぇよ」「忘れないよ」
オルガと友奈は同時に答えた。
「神々の戦いは、永遠に続いていく……! 私たちも終わらない戦いの中で、いつかっ、大切なものを失っていくよっ」
「失ってたまるかよ」「失わないよ」
「なんでそう言い切れるの⁉︎ 相手は神なんだよ⁉︎ 勇者だからってーー」
「なぜならッ!」
友奈は力強く叫んだ。
「私がッ! メチャクチャ強く思っているからッ‼︎」
「……‼︎」
「だから絶対に忘れないッ! たとえ相手が神だろうとっ。この絆を断ち切ることなんてできない!」
「……私たちも……、私たちもきっとそう思ってた……」
東郷の脳裏に乃木園子の姿がよぎる。
「でも今は、ただ悲しかったということしか覚えてないのっ! 自分の涙の意味さえわからないのっ!」
「東郷さん!」
「いやだよ! 怖いよ! きっと友奈ちゃんも今はそう言っても、いつか必ず私のことを忘れてしまう!」
「そんなことないっ」
「口だけならなんとでも言えるよ! 例えば私がっ、神樹様の供物として、天の神の生贄として、その存在そのものが失われたとして、友奈ちゃんが私を覚えている保証なんてどこにもないじゃないっ!」
「何回同じこと言わせんだッ‼︎」
オルガは東郷に頭突きした。
「忘れるわけないだろーがッッ‼︎ 仲間ってのは、魂で繋がってんだよ! 根っこの部分に刻み込まれてんだよ‼︎ 魂に刻まれてるものをッ綺麗さっぱり無くすことなんてッできないんだよッッ‼︎」
東郷の額にぶつけたまま叫び続けた。
「忘れたのかッ⁉︎ お前は、乃木園子と会った時、何かを感じたんじゃねぇのかよ⁉︎ やつが褒めてくれたリボンを手に、何かを感じたんじゃねぇのかよ! 悲しくなったんじゃねぇのかよ‼︎」
「それはっーー」
「それがッ記憶を消されたって確かに残ってたものなんだよ! テメェの涙の理由なんだよ‼︎」
「でも!」
「でも、じゃねぇ‼︎ いくら神樹がお前の記憶を奪おうがッお前の魂までを奪うことはできねぇハズだッ‼︎ 失っちまった記憶ならッもう一度作り直せば良いだけのことだッ‼︎ 違うかよッ⁉︎ 東郷美森ィ!!!!」
そこでやっと額を離した。
東郷の額は若干赤くなっていた。
友奈はニコっと笑う。
「そうだよ。思い出は何度だって作り出せるよっ。これから先の未来がある限り、私たちがいる限り」
「どうし、て……そこまで……」
「……何回同じこと聞いてんだよ……」
オルガは呆れ気味に、そう口にした。
「仲間だからな」「友達だからだよ」
「……! へっ」「……! ふふっ」
言葉が微妙に食い違い、オルガと友奈は失笑した。
「……うっ、うううっ……ううああああああああっ」
その言葉に枷が外れ、東郷は泣き叫んだ。
「忘れたく無いよッ‼︎ 友奈ちゃん! ''オルガさん''っ‼︎ 私を忘れないでいてぇぇっ! ひとりにしないでぇぇぇぇ‼︎」
「忘れないよ? ひとりになんかさせないよ。……ずっとそばにいるからね」
「……」
オルガは東郷から離れ、真上を見上げた。
「心配いらねーよ。お前にゃ友奈が、部長が、樹が、……夏凛が、ミカが、いるんだからなっ。……ひとりには絶対になんねーよ……」
そして無数の花びらが散り始め、東郷の満開は解けた。
その場には、風と樹が駆け寄り夏凛を除いて勇者部メンバーは集まった。
……東郷はずっと友奈に抱きしめられながら、泣き叫んでいた。
しかし、もう彼女の目から、涙は流れなかった……。
次回予告
『このままッ押し返すッ!』
『珍しいんじゃない? 東郷さんが遅刻なんて』
『後で金貸しなさいよッ‼︎』
『友奈ちゃああん‼︎』
『やっっちまえぇぇ! 友奈ァァァァ‼︎』
『『『『負けて、たまるかァァァァーッ‼︎』』』』
『届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎』
ーー第二十四話 今を全力で生きるためにーー