…毎度長くてごめんね。そして読んでくれてありがとう。
あの三体は本当に仲が良い。いっつも一緒。ズッ友ってやつだよ笑
『敵はウイルスから誕生した。そうお姉ちゃんは言っていた。もし、それが本当なら、いくら●●●●、●●が無いんじゃないかな……』
大赦書史部・巫女様 検閲済
友奈は東郷を追い、屋上を後にした。東郷の車椅子は学校の階段に付いている特殊な台の上に固定しスライドさせることで上り下りが一人でも可能だが、補助があるのとないとではまるで違う。
「待って! 東郷さん!」
「友奈ちゃん……?」
友奈は下りていく車椅子を支える。。そしていつもどおり取手を持ちゆっくり押しながら廊下を歩いていく。
「ごめんね。友奈ちゃん……」
「? どうして謝るの?」
「さっき私は感じ悪いことを言ってしまった……。風先輩はきっとどうしようもない事情があるって頭ではわかってたのに……。ああ言うしか自分の中のモヤモヤを晴らせなかった……」
東郷は俯きながらポツポツと呟いている。友奈は一旦立ち止まって東郷の前に移動する。
「そっか! ありがとね。東郷さん!」
「……え?」
突然友奈がお礼を言うので東郷は困惑する。
「だって東郷さん。私のために怒ってくれたんでしょ? だからありがとうだよ」
「違うの。私は本当に、自分のことしか考えて……」
東郷の言葉を遮るように、友奈は腰を落とし東郷の両手を握る。
「ううん。東郷さんは、私が危険な目にあったから怒ってくれた。そのモヤモヤだって、みんなが一生懸命戦っているのに自分だけ戦えない。みんなの役に立てない……、だから悩んでる。東郷さんはいっつも自分より私たちのことを考えてくれている。想ってくれている。……その気持ちに対して、ありがとうって言葉以外に何がふさわしいかな?」
「ーーっ!」
友奈の言葉に東郷は涙ぐむ。いつだって彼女の言葉は東郷を救ってくれる。友奈こそいつもみんなを、東郷を想ってくれているのだ。その言葉が立ち直るための勇気をくれる。
「ああ……。なんだか友奈ちゃんが眩しい……!」
東郷は泣きながら、しかし笑いながら友奈と共に帰路についた。
ーー翌日ーー
友奈と東郷は教室に入る。するとクラスメイトが友奈に話しかけてきた。彼女は昨日、友奈に助っ人を頼んだソフトボール部の人だ。
「ごめんっ! 結城さん! 昨日の件だけど、無かったことにしてっ!」
「……? どうしたの?」
彼女は顔の前に手を合わせて友奈に謝ってきた。
「実は昨日の放課後、対戦相手のチームが事故にあったって連絡が。最悪には至らなかったけど、集団で帰っているところに車が突っ込んできて数人が骨折や捻挫になって……」
話によると、坂に止めていた車はサイドブレーキがかかっておらず、ひとりでに坂を降り、下校中の集団に突っ込んだらしい。
学校の近くだったこともあり、また生徒の中にソフトボール部員がいて怪我をしてしまったため、向こうから校外試合の中止を持ちかけてきたのだ。
「そっか〜。それは仕方ないね。でも命に別状がなくてよかった〜」
「うん……。頼んでおいて本当にごめんね。今度埋め合わせするから!」
「別に良いよ。また頼ってね〜」
友奈はそう言って席に着く。その様子を東郷は訝しむ。
放課後、二人は勇者部に顔を出す。中には勇者部メンバーはもちろん。昨日、バーテックスと戦った二人の男もいた。
「おっつかれさまで〜す!」
元気よく挨拶する友奈と、お辞儀をする東郷。
「きたわね。二人とも。……」
風はニッコリと笑って答え、その後にぎこちない表情をした。昨日の件を気にしているのだろう。
「風先輩。昨日はすみませんでした。みなさんも」
「え、いや私の方こそごめん。今まで黙ってて。東郷が怒るのも無理ないよ」
「いえ、先輩のやっていたことは、国や大赦を第一に考えての行動なのはわかってます。だから、すみませんでした」
「……、東郷」
「んじゃあ、仲直りも済んだことだし部長! 改めて説明よろしくな!」
オルガが話を切り替える。
「え? 二人とも勇者部に入ってくれたの⁉︎」
「そ。これからは色々と連携した方が効率いいからね。二人に入部してもらったの!」
「う〜〜やったー!」
友奈は目を輝かせて喜ぶ。
「ほらイツカ。ミカ。今度は二人に挨拶して」
「ってことで。今日から勇者部に入った。……俺は……、オルガ・イツカだぞぉ……」
「改めて、三日月・オーガス」
なぜか苦しそうに名乗るオルガと、淡々と名乗る三日月。
「私は結城友奈! 改めてよろしくね。イツカさん! ミカくん!」
「東郷、です。えっと……、イツカさん、ミカさん……」
元気よく挨拶する友奈とは逆に東郷は恥ずかしそうに挨拶をする。
「ご、ごめんなさい。男性の方と面と向かって挨拶するの……恥ずかしくて……」
「東郷も樹みたいなこと言うのね〜。樹も恥ずかしそうに、み……三日月くん……、って〜、アッハッハッハ〜」
「もうお姉ちゃん! 蒸し返さないでよぉ!」
笑う風と照れながら怒る樹。勇者部は一層賑やかになった。
「ハッハッハ〜〜。……さて、じゃあ昨日の説明するわね」
「……もお、お姉ちゃんのばか……」
頬を膨らませる樹を横目に風は話し始める。
「バーテックスっていう人類の天敵が壁を越えて侵攻してくることが神樹様のお告げでわかったの。奴等の目的は神樹様を破壊して四国の人たちを根絶させること、と言われてる。大赦はこの強大な敵に対抗するため神樹様の力を宿した私たち、つまり勇者を迎撃にあたらせることにしたの」
「なるほど〜。それが私たちの戦う理由ってわけですね」
「ええ、敵が壁を越えてきたとき神樹様は四国内を独特の世界に変化させそこに住む人や街に直接的な被害が出ないようにしてるの。大赦はこれを神樹世界、または樹海って呼んでるわ」
「だから俺たちが派手に暴れても街の人を巻き込む心配はねぇってわけか」
オルガが納得したように言う。
「でも、注意事項として何かしらの理由で樹海にダメージが発生すると日常に戻った時、何かの災いとしてフィードバックされてしまうの」
友奈はそこでハッとする。朝、ソフトボール部の子が言っていた事故とは昨日の戦いの影響ではないのか、と。
説明を聞いている東郷はより真剣な表情で耳を傾ける。
「俺が暴れたから樹海にダメージが?」
三日月は風に聞く。
「ミカのせいじゃないわ。ああしなきゃ封印の儀は失敗。世界は昨日で終わってたんだから」
「そうだぞぉミカ。寧ろ封印の儀をまともにやれなかった俺たちにも責任がある」
オルガの言葉に風が付け加える。
「封印の儀の祝詞は魂込めて詠唱すること。言葉に詰まったり、なんとなくで唱えていると、効果が薄れて時間切れも早くなる」
「うっ……。確かにまともに言えてなかったよぉ」
「……俺もカタコトだったし、言葉間違えてたし、感情こもってなかったし、……やっぱり俺のせいかな」
「だからミカのせいじゃーー。……ミカのせいじゃねぇよな?」
不安になって確認を取るオルガに、他のみんなは静まり返る……。
「と、とにかく、今後は再戦も備え詠唱の練習もしていきましょう」
風がパンっと手を叩いて仕切り直す。
「んじゃ次は精霊の紹介ね。コイツは私の精霊、犬神って呼んでるわ」
風はスマホを触ると何もないところから青い獣が現れる。
「精霊はね。詠唱時や敵の攻撃を守る盾として手伝う、つまり勇者のサポートをしてくれるの」
「かわいい。マスコットみたい〜。あ、そういえば私も」
友奈はスマホを触ると羽の生えた牛が出てくる。
「牛鬼って呼んでる。かわいいでしょ。ビーフジャーキーが好物なんだよ」
「え⁉︎ 牛なのに‼︎」
樹が間髪入れずつっこむ。
「樹も昨日家で出した精霊を紹介しなさい」
「……えっと、この子は木霊……。お姉ちゃんが名付けました」
樹の前に現れた精霊は草色をしたモコモコに芽が出ている。
「うわ〜、この子もかわいい! ねぇミカくんとイツカさんは?」
「俺は……」
そう言って三日月は精霊を呼び出す。それは昨日、バーテックスを倒した機械兵器によく似たミニチュア版であった。
「ぬいぐるみみたい」
「ん〜、昨日のアレをかんたんに描きましたって感じね〜」
「名前はなんて名付けたんですか?」
「バルバトス。コイツの名前」
バルバトスっと名付けられた精霊はすぐに消えた。
「あっ消えた。意外とシャイなんですね」
樹はふふっと笑う。自分と親近感を感じたらしい。
「でも変わったスマホよね〜。私たちとは少し違うし」
風が自分のスマホと三日月のスマホを見比べる。彼女たちのはホーム画面を開くためのボタンが画面下に付いているが、三日月のはそれがない。代わりに下部を上向きにスライドさせるとホーム画面に変わる。
「それ、景品で当てたのよね?」
「うん。背が高くて金髪の男に誘われてくじを引いたら……」
「もしかして、大赦の関係者ですか? 風先輩」
大赦の関係者である風に東郷は尋ねる。
「ん〜。金髪って意外といるしね〜。私と樹もそうだし。ただ、背の高い男性で金髪。ハーフなら調べたらわかるかも」
風は大赦宛てにメールを打つ。
「一応、大赦に連絡してみるけど……」
ハーフというのは西暦時代、まだ日本の他に様々な国が存在していた頃、日本以外の国の人と日本人との間にできた子供のことを指す。300年経った今、純粋な外国人の数は減り、ハーフも血は薄れてきているが、大赦は四国や日本以外に人が存在していた、という証明のため、外国人、またはハーフを丁重に扱っている、と聞く。事実、犬吠埼家は百年単位の祖先に外国人が混じっている、と昔聞いたことがある。
「俺は両親いないから。今は俺と似た境遇のハーフが集まってる家に厄介になってる」
「全然知らなかったよ……」
「まあ二人は入学したばかりだしね、お互いを知らなくても当然か」
「ミカの家はすげぇぞぉ。美人なねぇちゃんが二人、ミカの世話をしてくれる」
オルガが馴れ馴れしく三日月の肩に腕をかける。オルガも昨日は三日月の家に泊まったようだ。
「それって、アトラと藍那のこと?」
「ったりめーだろ? 普段は3人で暮らしてんだ。隅に置けない奴め」
三日月はオルガに小突かれるが意味がわからない、という顔をしている。
「んまぁ、それは良いや。で、俺なんだが……」
脱線した話を戻しオルガは何かを言いかけるが……。
「あの、イツカさんはスマホを持っていないんですよね。生身で戦っていましたし、精霊もいません……」
東郷の言葉にオルガは頷く。
「ああ、そうだ。俺だけ手違いか?」
「わかんないわ。ミカと同じでイツカも大赦からなんの話も聞いてないのよ」
「……もしかして、俺は、勇者じゃねぇのか?」
オルガはさっきまでと違って塩らしくなった。
「イツカさんは変身できない状況でも戦いに赴いたじゃないですか!」
「そ、そうよ。敵の攻撃を食らったのにピンピンしてる。勇者装束も精霊の盾も必要ないくらい強いってことなのよ!」
「うんうん! イツカさんは偉い!」
「凄い……です」
「オルガが助けてくれなかったら俺は無事じゃなかったんだ」
「お、おまえら……」
オルガはメンバー全員に励まされ、目頭が熱くなった。
……はたからみると6人で一番大きい野郎が少女たちに励まされているシュールな光景に映る。
「そう、オルガさんは変身しなくても勇気を持って立ち向かったのに……。私はあろうことか、敵前逃亡……」
「ああ〜〜! 東郷さん! 卑屈になっちゃダメぇ〜」
東郷は昨日の自分を思い出し卑屈になる、
「ああ! 友奈! 何か面白い芸やって!」
「ええ!? えっと〜、どうしよう〜」
風に無茶振りをさせられ友奈は軽く考えて、あっと声を出した。
「い、一発芸やります!」
友奈は近くにいる牛鬼を服の胸の部分に突っ込んだ。
「見てみて〜。私のお胸がホルスタイン〜〜」
友奈の胸は勇者部で一番だと思われる東郷以上の豊満さへと進化した。
「うああああァァァーーッ‼︎」
オルガが急に叫び上がり、鼻血を出して倒れた。
「……だからよぉ……止まるんじゃねぇぞ……」
オルガは左手人差し指を友奈に向けて動かなくなった。
「オルガ……?」
三日月は呆然とオルガを見つめる。
(ん〜。二人の性格が何となくわかってきたわね〜)
風は糸目になって二人を見る。
「……友奈ちゃん……。私のためにこんなネタを……。嬉しい……」
そう言うが、東郷は友奈と目を合わせようとはしない。若干ひいている。
(ぎゃ、逆に気を使わせてしまった〜)
「つ、次‼︎ 樹、なんか占って!」
「ええ⁉︎ 無茶振りだよ、お姉ちゃん」
樹は急いでタロットカードを並べる。……が焦りすぎてカードをばら撒いてしまった。
「ああ〜! ……え?」
しかし、そのカードが床に落ちることはない。空中で停止している。
「うそ……。連日……?」
ピロリロリロリーン、ピロリロリロリーンと奇怪なアラーム音が4人の少女たちの携帯から鳴り響く。しかし、三日月の携帯には違うアラーム音が流れている。
『キ〜ボボボボ♪ キ〜ボボボボ♪』
「……何その着メロ?」
「わかんない。昨日も流れてた。勝手に設定されてる」
「はぇ〜。ミカくんのはやっぱり私たちとは違うんだね」
特異なメロディのアラーム音に風と友奈は不思議に思う。……と世界はまた、樹木だらけの不思議な光景に変わった。
「帰ってきちゃった。神樹世界に」
友奈は携帯の画面を見ると、遠くに三つのマーカーが記されている。黄、赤……、そして少し離れた位置に青。
「あちゃー。昨日の今日なのに。しかも三体も」
「でも、やるしかないね。……東郷さん、待ってて。終わらせてくるから」
「あ、待って友奈ちゃん! 私も今変身してーー、うッ!」
東郷はスマホを持つが、遠くに見えた三体の異様なフォルムに体が震えた。
「大丈夫。東郷さんには指一本たりとも触れさせないよ」
友奈はスマホをクリックし勇者装束に変身する。オルガ以外の3人はもう変身している。
「まず先行してくる2体を片付ける! 私と樹であの鋏がついたやつを。友奈とミカはあの長い針がついたやつをお願い」
「わかった」
「「了解」」
「お、俺は……」
オルガは風に尋ねる。
「イツカはまた生身でしょう? 昨日はたまたま運が良かっただけかもしれない。だからここで東郷を守ってて」
「あ、ああ……。わかった」
オルガは不服そうにしているが、東郷を、非戦闘員を守れと言われて断れるはずがなく頷く。
風と樹は鋏がついているバーテックスへ向かう。両腕らしき場所と尾の場所、合計三つの鋏がついており、周りには数個の板が舞っている。
友奈とミカが向かうバーテックスは長い尾の先端に針がついており、下部には球型の器を手らしきもので抱えている。
後方の止まっているバーテックスは体と表現する部分が見つからず、でかい顔、口が付いているがさらに上に大きな口が付いている。
「封印の儀の練習は出来てないけど、やるしかない!」
犬吠埼姉妹は鋏付きに攻撃をしかける。風は大剣で斬りかかり、樹はワイヤーで尾と鋏の連結部を切断しようとする。
しかし、周りに舞っていた板は二人の前に立ちはだかり風の一撃を弾く。樹のワイヤーも板に命中し鋏には届かなかった。
「あの板みたいなの。盾の役割を果たしてるのね」
てっきり風は昨日のバーテックスの羽衣同様に攻撃手段として使ってくると思っていた。
(でも、バーテックスは基本、修復能力が備わってる。盾なんているのかしら)
風はこの板の役割が他にもないか分析する。
尾針のバーテックスと戦う友奈と三日月はその尾に翻弄されていた。
「うわああ〜。間近でみると痛そう〜」
「尖っていて危ないな。まず針から壊す!」
三日月は拳銃で針の部分を狙う。が、バーテックスは尾をくねくねと不規則に動かし避けていく。数発は命中したが、ひびが入るだけ。また、すぐに修復してしまう。
「ああ……。イライラする……」
三日月が業を煮やしていると
「ミカくん! 頭上ッ‼︎」
友奈の声に上を見上げると無数の光の矢が降り注いできた。三日月は素早く樹木の影に隠れてやり過ごす。
「サンキュー助かった」
三日月は降ってきた方向を見る。矢は離れた位置にいる顔だけバーテックスの口から放たれたものだった。バーテックスはまた小さい方の口を開けて無数の矢を放つ。
「ウザイ……。動けないじゃん……」
三日月は身動きが取れない。少しでもそこから移動するとたちまち蜂の巣にされるからだ。
「ミカくん! 大丈ーー」
心配した友奈は三日月に気を取られすぎて尾針の攻撃に対応できず、宙を舞った。針は友奈の腹部に突き立てているが、牛鬼の張るバリアに守られ、ともに上昇していく。
「ぐっ。う、あ、あ……っ」
バリアに守られているとはいえ、衝撃全てを無くすことはできず、友奈は腹部を抑え、尻尾を転がりながら落下していく。
「ーッ! キャアァァ!」
バーテックスは、今度は尾を薙ぎ払うように友奈にぶつける。バリアに守られた友奈は吹き飛んで地に叩きつけられる。
「友奈ちゃん!」
「友奈ァ!」
叩きつけられる友奈を見ていたオルガと東郷は叫ぶ。バーテックスは尾針で何度も友奈を突き刺そうとする。
「あのバリアが破られでもしたら……」
東郷はゾッとする。オルガは東郷の元から友奈の元へ駆けつけようと走る。しかし、接近するオルガに気付いたバーテックスは勢いをつけオルガを尾で薙ぎ払った。
「うああぁぁぁああーッ! ……がッ!」
飛ばされたオルガは友奈同様に地に叩きつけられる。
「イツカさん!」
「こんくれ、ぇ……、何てこと……。ぐふッ」
オルガは立ち上がるがすぐにまたうつ伏せで地に伏す。
「だからよぉ……、止まるんじゃねぇぞ……」
オルガは左手人差し指を東郷に向け動かなくなった……。
バーテックスは再び友奈に尾針を向けて突き刺そうとする。
ガン‼︎ ガン‼︎ と何度も突いてはバリアに弾かれる。その繰り返し。
「……めろ……」
東郷は自分の心臓の鼓動が速くなっていくのを感じた。彼女の脳裏には友奈との思い出がフラッシュバックされる。
……初めて出会った時、一緒に帰った時、勇気づけてくれた時。
「……やめろ……」
東郷は思い切り叫ぶ。
「友奈ちゃんを……、いじめるなァァーーッ‼︎」
あたりにこだまする。バーテックスに聴覚があるのかはわからないが、友奈への攻撃を止め、東郷に尾針を向けた。
その瞬間、東郷に向けて攻撃。東郷はその針に貫かれーー。
……ることはなかった。彼女の前には卵型の精霊が現れ、バリアを張っていた。
「友奈ちゃんを、私の友達を傷つけるやつは……。誰であろうと許さないッ‼︎」
東郷はスマホをクリック。勇者装束に身を包んでいく。青と白の色を主体とした戦闘服へ変わっていく。
その様子を、いつのまにか立ち上がっていたオルガは目撃する。
「なんで、俺だけ……」
オルガは拳を強く握りしめた。爪の型がつくぐらいに……。
次回予告
『国防……』
『おまえ……消えろよ……』
『なんて詠唱……‼︎』
『もしかして、イツカさんの中に……』
『誰か~。手伝って~』
『俺たちが立ち止まらない限り、道は続く』
『案外、大したことないのねっ!』
ーー第四話 芽吹く思いーー