おるがいつかは勇者である   作:amorphous

4 / 27
拙稿ですがよろしくお願いします。
射手座「よーし。今回の反省会するぞ!」
蠍座「やっぱりぃもっと協力した方がいんじゃなぁい?」
蟹座「でも射手座の連射をワイが反射させて、相手の気を散らし密かに蠍座でプスっと。これ以上にどんな連携があんねん?」
蠍座「・・・」
射手座「そうだ。俺がダインスレイヴ攻撃と連射を同時にやって、そのうちに君らで特攻! これどう?」
蟹座「・・・それ二年前にやったやん。アレ食らうと痛いねん。堪忍してや〜」
射手座「ごめん。あん時はマジごめんな」
……なんてこと話し合ってたらおもしろいと妄想した。


『私はあの三体を見た時、すごく●●を感じたのを覚えている。まるで、●の●に出会ったかのように。でも正しくは●●の●だ』

 大赦書史部・巫女様 検閲済


第四話 芽吹く思い

 勇者装束を纏った東郷は友奈の横に立つ。

 立つと言っても足は依然動かないため勇者装束の一部が東郷の体を支えている。東郷は右手にハンドガンを出すと、同時に二足で立つ狸の精霊が出現した。

 銃口をバーテックスに向けると、敵はまた尻尾をくねくねと動かして照準を合わせないようにしている。

 

「それで、躱せると思ってるの?」

 

 東郷は引き金を引くとバーテックスの尾針に弾が命中。針は呆気なく折れた。

 

「東郷さん。凄い……」

「もっと軽くしてあげるわ」

 

 東郷は、球体がいくつも連なったような形をしている尻尾の接合部分を的確にハンドガンで射抜いていく。

 

「……狙い撃つ。……狙い撃つ。……狙い撃つ」

 

 そう口にするたびに引き金を引く。ついに尾針のバーテックスはその最大の特徴を失っていた。

 

「よし、これだけやれば簡単に修復できないでしょ。友奈ちゃん、あとはよろしくね」

「うん! ありがとね、東郷さん。勇者パーーンチッ‼︎」

 

 友奈は東郷からフィニッシュを託されバーテックスの頭らしき場所へ拳を放つ。バーテックスは地に叩きつけられ、めり込んでいる。

 

「これで動けないでしょ。あとは祝詞を唱えて……」

 

 東郷は封印の儀を友奈に任せて、高いところへ跳ね上がる。着地する際も勇者装束の一部がクッション代わりになり綺麗に着地。そのまま東郷はうつ伏せになる。

 東郷は武器をハンドガンからスナイパーライフルに入れ替える。すると精霊も卵型に入れ替わった。

 

「あの顔しかないやつがミカさんたちを苦しめているやつ……」

 

 顔だけバーテックスはいまだ三日月への連射を繰り返している。だが、並行して鋏付きバーテックスへの援護射撃も行っている。

 

「も〜。あの遠距離攻撃、腹立つ〜!」

 

 風と樹は樹木の影に隠れている。二人とも鋏付きの繰り出す板に攻撃を阻まれ続けており、そのうえ無数の矢が飛んでくるので完全に手をこまねいている。

 

「なんか、いい手は……。ッ⁉︎ 樹! ここから離れるよ!」

「え⁉︎ うわっ‼︎」

 

 風は樹を引っ張り退散する。そのすぐ後に、光の矢がそこに命中していた。

 

「え⁉︎ あそこから完全に死角だったのに‼︎」

「鋏のやつが板を使って、私たちがいた場所へ誘導させたのよ」

 

 風は走りながら考える。

 

(やっぱりあの板は攻撃を反射させるものだったんだ。最初は防御のために使っていると見せかけておいて、私たちを油断させようとした)

 

 鋏付きは、板を操作し飛んでくる無数の矢を反射させて風たちに命中させようとしている。風はその板を注意深く観察していたため、すぐに察して退避できたのだ。

 

「でも、これじゃあ近づけない」

 

 二人はどんどんバーテックスから遠ざかってしまう。風の大剣はもちろん、樹のワイヤーもギリギリ射程外か。

 

「ん! 東郷から電話きた! ……もしもしぃ?」

「お姉ちゃん。戦いの最中に……」

 

 風は逃げながら電話に出る。

 

「風先輩。お待たせしました。援護させてください!」

「……! 勇者になれたのね!」

 

 風の問いに、はい、と東郷は答えた。風は満面の笑みを浮かべる。

 

「OK! 東郷! 一緒に国防に励もう‼︎」

「国防……」

 

 東郷は目を輝かせて、はいッ‼︎ と今度は威勢よく返事をした。

 

「撃ち合いなら……。バケモノ相手でも負けるわけにはいかないっ!」

 

 東郷はライフルのスコープを覗き込む。照準を合わせて敵を狙撃する。狙撃弾はバーテックスの小さい方の口に命中。

 

「さらにもう一発ッ! 狙い撃つッ‼︎」

 

 東郷は素早く、リロードし同じところを狙撃した。バーテックスの顎が破壊される。

 

「……! 遠距離攻撃が止んだ? 今ならっ」

 

 三日月は攻撃が来ないことに気づき、素早く、遠距離攻撃してきた敵の懐に潜ろうと走る。

 

「おまえ……消えろよ……」

 

 三日月は凄まじい殺気を漂わせながら突進していく。もう少しで射程圏内に入るーー。

 だが、顔だけバーテックスはその時、今度は上の大きい方の口を開け、一発の弩弓を構える。その弩弓は大きすぎるバーテックスの口でさえ収まりきれておらず、口を貫くように前後に飛び出している。

 

「ーーえッ?」

「ミカさん‼︎ 逃げてェェーー‼︎」

 

 三日月はその弩弓に気付く。東郷は遠くから声を張り上げる。 ーーと同時にバーテックスから弩弓が発射。三日月の方へ一直線に飛んでいく。

 東郷は即座に発射された弩弓に向けて撃つ。しかし、リロードが少し遅れてしまったため、三日月の近くで二つがぶつかる。

 

 凄まじい明滅と爆音が響き、衝撃波も広範囲に広がる。

 

「うああッ」

「キャッ‼︎」

 

 衝撃波は犬吠埼姉妹にも及ぶ。二人は精霊のバリアで守られ、煽られるだけで済んだ。が、二人を追いかけていた鋏付きは地を抉りながら飛ばされ転がっていく。

 

「……ミカ、さん?」

 

 東郷は呟く。当然その声は遠すぎて届かない。さっき張り上げた声も届いていないだろう。

 辺りは一面土煙に包まれ、勇者側もバーテックス側も動きはない……。

 土煙の中で、三日月はーー。

 

「……生きてるか? ミカ」

「……わかんない。オルガは? 生きてる?」

「四肢が分裂するかと思ったぜ……」

 

 オルガはうすら笑いながら、担いでいたミカを下ろした。

 

 

 ーー少し遡り、

 

「よし、御霊が出たよ。イツカさんの独特の詠唱のおかげだね!」

「よし友奈ァ。やっちまえ! 」

 

 友奈とオルガは尾針がついていたバーテックスの封印の儀を行っていた。オルガは変わった祝詞を詠唱する。すると、足元から花びらが舞い、カウトダウンは『六零零』から始まっていた。

 

「……! ミカがアブねぇ‼︎」

「え? イツカさん⁉︎」

「悪い、友奈! 少し任せるッ!」

 

 オルガはそう言い残し、三日月がいると思われる方角へ向かった。

 

「……え? イツカさん……⁉︎」

 

 友奈は突然の出来事に混乱している。

 

「ど、どっどうしよう〜。まだ時間はあるけど」

 

 封印の儀は原則二人以上で囲う……この場合は挟む必要があり、完成すれば一人は維持のため動かずにいなければならない。

 

「誰か〜。手伝って〜」

 

 友奈の声は誰にも届かない。向こうはそれどころではないのだーー。

 

「ミカ……。動けるか?」

「ごめん。足を挫いたみたい」

 

 オルガも三日月も衝撃波を受けボロボロの満身創痍である。三日月は地に横になる。

 

「多分、バルバトスがバリアを張ってくれたんだ。じゃなきゃ死んでた……」

「ああ……。そうだな……」

 

 オルガはふらふらの状態であたりを見渡す。

 

「へっ……。あの野郎。自分も衝撃波食らってぶっ倒れてるじゃねぇか……。間抜けが……」

 

 勇者たちと違い、精霊バリアを持っていない顔だけバーテックスは自分の放った攻撃の衝撃波で半壊し、地に落ち修復している最中だった。

 

「ほっとくと……、完全に治ってまた撃ってくる。その前にとどめを刺すぞぉ……」

「でも、俺もオルガも……」

「ミカはここにいてくれるだけでいい。俺が反対方向から奴を挟んで、封印の儀を行う!」

「でも、御霊を壊すほどの一撃がーー」

「ミカーーッ‼︎ イツカーーッ‼︎ 無事なの⁉︎」

 

 風と樹が駆けつけて来た。二人ともオルガたちを見て真っ青になる。

 

「ちょ、ちょっと、アンタたち……」

「三日月くん……! 死んじゃ嫌だよ……」

 

 三日月とオルガはふっと笑う。

 

「大丈夫……。俺たちは日常を取り戻すまで絶対に死なないから」

「ああ……。たどり着くぞ! 全員でな!」

 

 オルガはニィっと笑い、

 

「そうだ。部長。向こうで友奈が封印の儀を行なっている……。加勢してやってくれ! あと、ソイツは俺が祝詞を唱えるから御霊を破壊してくれ……」

「わかった。樹! 友奈のところへ‼︎」

「……! うん‼︎」

 

 樹はワイヤーを使って猛スピードで友奈の元へ飛んでいく。

 

「……でもイツカ。あなた一人で詠唱は……」

「大丈夫だ。任せてくれ……」

「わかった。バーテックスを囲える位置まで連れていくね」

 

 風はオルガの体を抱えて移動する。オルガを所定の場所に立たせると、風も位置に着く。三人で三角形をつくり修復中のバーテックスを囲む。

 

「はぁ、はぁ、……スゥ〜」

 

 オルガは呼吸を整えて詠唱を始めるーー。

 

 

 友奈のもとへ駆けつけた樹は御霊を見て驚く。

 

「友奈さん! どうしたんですか、これ⁉︎」

「樹ちゃん! 実は時間が経つと、どんどん増殖しちゃって……」

 

 見たところ、尾針だったバーテックスから出てきた御霊は一つではなかった。目算で十個はある。

 

「でも、最初は一つだっだんだよ。だから本物も一つだよ‼︎」

「わかりました! なら‼︎」

 

 樹はワイヤーを無数に出してネットを作る。それを使って御霊を丸ごと全部包み込んだ。

 

「すっご〜い。……あ! でも早くしないと!」

 

 足元のカウントダウンは『一五零』だったが、何よりバーテックスの尻尾が修復し終わっている。

 

「大丈夫です! これでーッ‼︎」

 

 樹は包んでいたワイヤーネットを収縮させ、全ての御霊を圧縮させて破壊した。文字通り一網打尽にしてバーテックスは消滅していった。

 

「やったよー‼︎ 樹ちゃん‼︎」

「はい……‼︎友奈さん‼︎」

 

 二人は喜びのあまり抱き合う。そして、樹は三日月たちの方角を心配そうに見つめる。

 その時、友奈は樹のうなじあたりにある花弁の模様に色が付いたのを見たーー。

 

 

「そうだ……。俺たちが今まで積み上げてきたものは全部無駄じゃなかった。これからも……」

 

 オルガは祝詞を詠唱していく。先程友奈に独特だと褒められた、オルガ渾身の魂を込めた祝詞を。

 

「俺たちが立ち止まらない限り、道は続く」

 

 すると、足元から花びらが舞い始め、その影響で漂っていた土煙が晴れていく。

 だが、オルガは詠唱をやめず、最後まで唱える……。

 

「俺は止まんねぇからよ……。お前らが止まんねぇ限り、その先に俺はいるぞぉ‼︎ ……だからよぉ……、止まるんじゃねぇぞ……」

 

 詠唱を終え、オルガは力尽きて倒れる。左手人差し指をバーテックスに向けたまま……。

 

「なんて詠唱……‼︎」

 

 風は喜びと同時にオルガの詠唱に圧倒された。

 

「じゃあ最後は私が……‼︎ ええ⁉︎」

 

 しかし、出てきた御霊はバーテックスの周りを高速回転しながら上昇していく。風がジャンプして斬ろうとするが大きく回転しているので捉えられない。

 

「このーッ‼︎ ここまできて終われるかってんだよーーッ‼︎」

 

 風は高らかに叫ぶ。

 ……その声は神樹世界にいる全ての勇者の耳に届いていた……。

 

「そんなの当たり前だよ……」

「当然じゃねぇか……」

 

 三日月とオルガは笑って呟く。そして二人同時にーー。

 

 

 

「「だろう? 東郷さん……‼︎」」

 

 バッシューーン‼︎ っと狙撃音が響き、高速回転している御霊を一発で撃ち抜いた。

 ……そして、バーテックスは砂となり消滅した。

 

「……目標の消滅を確認」

 

 東郷はそう呟き、跳躍しながら友奈と樹とともに合流する。

 

「やっと倒した〜。って終わりたいけど向こうに鋏付きが吹き飛んでいってるから、私たち四人で片付けましょう」

 

 風はオルガと三日月に、ゆっくり休んで。と囁き、鋏付きが吹き飛んだ方角へ向かう。樹は何か言いたげにオルガを見つめてから風に続く。

 

「もしかして、イツカさんの中に……」

 

 樹は誰にも聞こえないような声で呟いた。

 

 ーー鋏付きバーテックスはまだ地に倒れたままだった。

 

「ラッキー。じゃあ、みんな画面見て祝詞をーー」

 

 そう言って画面を見ようとした風へ、尾の部分にある鋏が飛んでくる。

 

「「風先輩‼︎」」

「お姉ちゃん‼︎」

 

 だが、風は咄嗟にスマホを投げ捨て、大剣で鋏を受け止めた。

 

「へへっ。アンタらのそういう卑劣な策……、見切ってんのよ……」

 

 踏ん張っている風から距離を取った東郷がライフルでバーテックスを狙う。

 その時ーー。

 

 上から三つの何かが降ってきた。それはバーテックスの頭部らしき部分に命中。途端に爆発した。

 

「今の、東郷さん⁉︎」

「……違う。私じゃない……」

 

 東郷がスコープから目を離す。風以外の三人が上を見上げると、赤い服を着た少女が落下してきた。

 

「フッ……。チョロい!」

 

 少女は落下しながら、両手にある二本の刀を敵の周りに投げる。刀は二本とも地に突き刺さった。

 

「封印開始ッ。……思い知れ! 私の力をッ‼︎」

 

 そして、バーテックスの足元から花びらが舞い、御霊が現れる。

 

「うぅらぁーっ!」

 

 飛び出た御霊に少女は斬りかかるがすんでのところで避けられる。

 

「避けた? なら、こうだ!」

 

 少女は持っている刀を一本御霊に向かって投げた。御霊はそれを避けるが、避けた先にはバーテックスの体があり、ぶつかって転がる。

 そこをすかさず、少女は斬りかかり真っ二つにする。

 

「殲・滅」

「諸行無常」

 

 呟いた少女の隣に小型の武者が現れ喋った。

 

「案外、大したことないのねっ!」

 

 少女は四人の方へ歩いてくる。

 近くで見ると、友奈たちと同じ背丈で薄い茶髪をした少女だった。

 

「アンタたちが先遣隊ね。ハイ、ご苦労様。もう戦わなくていいからね〜」

 

「「「「ええ⁉︎」」」」

 

 

 




次回予告

『完全勝利よ』
『あれじゃ、全然ダメだ』
『おい、誰なんだソイツは一体⁉︎』
『死神のカードが出てます』
『不吉ですね……』
『そんな話聞いてないわよ』
『勇者部へようこそ!』

ーー第五話 最強の勇者ーー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。