おるがいつかは勇者である   作:amorphous

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拙稿ですがよろしくお願いします。 …アレ? なんか風先輩に死亡フラグ立ってね?

天秤座「私、本編じゃ何の能力も見せずに終わっちゃったんだけど」
水瓶座「それ言うなら私もよ。すぐ吸収されてさー」
獅子座「安心せよ諸君。今回の話で諸君らには見せ場が用意されている」
天秤座・水瓶座「やった〜。さっすがリーダー‼︎ そこに痺れる、憧れるゥ‼︎」
牡羊座「あの、僕は…」
獅子座「君はいつもと同じだ」
牡羊座「ウソでしょ⁉︎ もっと僕に見せ場を‼︎ 出番をーッ‼︎」
獅子座「一番槍は美味しい役なのに。何が不満なんだ…?」


『敵には知性がある。学習能力がある。成長もしている。……時々思う。アイツらは私たち、●●みたいだ』

 大赦書史部・巫女様 検閲済


第九話 試練に立ち向かう

 夏凛は樹木に覆われた高台と思わしき所から敵を見据える。

 

「これ、七体全部来てんじゃないの?」

 

 風たち七人の視線の先には神樹の壁際にいる巨大なバケモノが合計五体見えている。しかし、レーダーには七体表示されていた。

 事前に風からバーテックスは残り七体であることを聞かされているがそれが全て攻めてきたということだ。

 

「なんか数合わなくねぇかぁ?」

「おそらくは身を潜めているのでしょう。樹海の中や、地中に」

「……敵ながら圧巻ね」

「でも、コイツら倒したら御役目は終わったも同然だね!」

 

 ガンガンッ! と友奈は両手の拳を胸の前でかち合わせる。

 

「よし! アレやろ、アレ!」

 

 風の掛け声で夏凛以外は肩を組んで円になる。

 

「これって円陣じゃない!」

「いいでしょ。決戦の前はこうやって士気を高めるもんなのよ!」

 

 まったく、と夏凛は呟き、円陣に加わる。

 

「いい? あとで好きなもん奢ってあげるから、絶対に死ぬんじゃないわよっ!」

「生き残るぞッ! 全員でな‼︎」

「当然です」

「私、讃岐うどんで!」

「じゃあ俺は夏凛のサプリで」

「ちょ、三日月、それ私が奢る形になるんだけど。ってか毎回あげてんじゃん‼︎」

「なら俺は、か! うどんだな。前にアトラが作ったやつがすげぇうまくてな!」

「力うどんだよ、オルガ」

「私も頑張る。叶えたいものがあるから!」

 

 風は驚いて樹の方を見る。

 

「叶えたいって?」

「今はまだ、お姉ちゃんには内緒……」

「あははっ、なにそれ。気になるわよぉ」

 

 その様子にオルガと三日月は微笑む。

 

「わかったわ。じゃあ、いつか教えてくれるまで楽しみに待ってるから」

 

 そして風は夏凛の方を向く。

 

「そ、れ、と。これ勝ってみんなで夏凛の誕生日会ね」

「えっ⁉︎」

 

 風の突然の言葉に夏凛は変な声をあげる。

 

「今日は六月十一日。アンタの誕生日の前日でしょ? だからこれに勝ってみんなでお祝いしましょ」

「い、いらないわよ‼︎」

「またまた〜。照れちゃってぇ」

「う、うっさい‼︎」

 

 風が夏凛を茶化すのはもう日常と化している。

 

「ま、とりま終わってからね。……じゃ、気を引き締め直してぇ……。勇者部ファイトォーーッ‼︎」

「おぉぉーーッ‼︎」

 

 威勢のいい掛け声と共にみんなで叫ぶ。

 ……敵は少しした後、一体だけ突撃してきた。

 

「まずあの芋虫みたいなやつからね。速攻で終わらせるッ!」

 

 夏凛は、ヘルメットのような殻を被った芋虫に似たバーテックスに向かう。相手には小さな脚があるが、それを使わず飛び跳ねながら向かってきた。

 

「ソォラァーッ!」

 

 夏凛は両手の剣を向かってくるバーテックスに投げつけた。剣はバーテックスの頭部に刺さり爆発する。

 

「で、でたぁー。夏凛ちゃんの必勝パターン‼︎」

「友奈! 一緒に御霊を破壊するわよ」

 

 夏凛は新たに出した二本の剣を周りに刺し、封印の儀を始めた。

 バーテックスの尾の辺りから御霊が出てくる。……が、その御霊はその場で高速に自転している。まるでドリルのようだ。

 

「なに、回ってんのよ‼︎」

 

 夏凛は剣を投げる。……が、高速自転している御霊に弾かれた。

 あとから追撃する友奈の拳も弾かれてしまう。

 

「ちっ。剣が刺さらなきゃ爆発しても意味ない……」

 

 夏凛が焦れったく思っていると、後方から狙撃弾が飛んできて、御霊を見事に撃ち抜く。

 

「⁉︎ 東郷‼︎ やるわねェ‼︎」

「……まず一体。……でも、いつ見ても不思議な消え方」

 

 東郷は砂になって消滅していくバーテックスを見つめていた。

 ……東郷の胸に記されている花弁に光が灯る。

 

「あと、六体か。ノルマは一人、一体って思ってたが……」

 

 オルガは三日月と共に一番奥にいる、最も巨大で中央に獅子の牙がついており、威厳あるバーテックスに向かっていく。バーテックスは基本的にどの個体も勇者より遥かに巨大だが、その敵はそれを凌駕するほどである。

 

「俺とミカで奴に封印の儀をかます。東郷さんは援護頼むぜェ‼︎」

 

 オルガは東郷に聞こえるように叫ぶ。

 

「了解! ……あの大きさ、イツカさんたちが向かった後ろのアレが、おそらくリーダー格……」

 

 東郷は前に夏凛に言われた通り、移動して再度うつ伏せになりライフルを構える。

 しかし、構えながら東郷は疑問に思った。敵はなぜ一体だけ特攻してきたのだろう。まるでこちらの出方を見るための囮のような……。

 

「ーーッ⁉︎ 何ッ⁉︎」

 

 その瞬間、東郷が先程狙撃していた場所の地中からバーテックスが現れる。その敵は、三つのヒレが目立ち、背中には半円状のリングが付いている。全体的にクラゲに近い個体だ。

 クラゲに似たバーテックスは東郷に向けて突進。東郷は即座に跳び上がり、回避する。

 

「このッ! 援護射撃できないッ‼︎」

 

 

 ーー樹は、二本の大きなツノを持ち、その間に鐘がついたバーテックスと対峙する。

 

(ベルが付いてる。変わったバーテックス……。音楽でも奏でるのかな……?)

 

 風はその近くで、真ん中に、取手のないマグカップのような造形で、左右に水泡を構えているバーテックスと対峙している。

 

(何あの水泡。人間、一人入りそうじゃない……。捕獲用?)

 

 風は敵を分析し、二つの水泡を警戒する。

 と、その時、敵が水泡を一つ、風に飛ばしてきた。

 

「わぁっと! 危ないなぁ……。ってうわっ」

 

 水泡は何度も風を追尾する。風はジャンプしたり、樹木に隠れたりして回避し続ける。

 

「ああ、もう! しつこい男はモテないんだぞぉ‼︎」

 

 バーテックスに性別があるのかは不明だが、風は怒鳴る。

 

(飛んでくる水泡は一つだけ……。じゃあもう一つは何のために?)

 

 飛んでくる水泡を避けながら、もう一つの水泡を観察する。

 

(……‼︎ もしかして、あの中に御霊が⁉︎)

 

 敵の体、と思われる部分は空洞になっている。バーテックスは体のどこかに御霊を隠している。その大きさは不明だが、どう見ても御霊が入りそうな部分はあの水泡しかない。

 

(でも、中には水しか入ってなさそうなのよねぇ)

 

 風はその仮説が正しいか証明するため、敵に接近する。

 敵は風との距離を縮めても、もう一つの水泡を繰り出そうとしない。

 

「おっりゃあーーッ‼︎」

 

 風は大剣で水泡目掛けて薙ぎ払う。

 バーテックスはそれを避ける。風は前に夏凛に教わったことを思い出し、薙ぎ払った大剣の刀身を上に掲げた。

 

「点の攻撃をヒラリと躱すのならば……、面の攻撃で押し潰すッ‼︎」

 

 刀身をバーテックスの頭らしき所目掛けて振り下ろす。

 今度は命中し、バーテックスを地に叩きつける。

 

「……水泡を狙わなかったから避けなかった……?」

 

 風の仮説が立証されたかはわからない。が、封印の儀を行えばそれがわかるはずだ。

 ……風のももに記されている花弁に光が灯る。

 

 

 ーー友奈は夏凛と共に今度は、大きい分銅を敵から見て右に、小さい分銅を三つ、左に持った秤のようなバーテックスに立ち向かう。

 

「いっくよー! 勇者パーーンチ‼︎」

「ソォラァーッ!」

 

 友奈は敵の体らしき所へ拳を放つ。夏凛は剣を頭らしき所へ投げた。

 ……しかし、拳を放とうとした友奈と、夏凛が投げた剣が敵の大きい方の分銅部分へ向かった。

 

「えっ⁉︎ 体がっ、攻撃が引き寄せられる⁉︎」

「⁉︎ 友奈‼︎ 危ないッ‼︎」

 

 分銅に命中した友奈の拳だが、ヒビがはいるだけ。そして剣が友奈に向かって飛んできた。

 ガキンッと剣は牛鬼の張ったバリアに弾かれる。

 

「あっ。ありがとう、牛鬼!」

「ごめんッ。友奈‼︎」

 

 友奈は分銅から離れ、夏凛の元へ戻る。

 すると、秤のバーテックスは体を回転させて竜巻を発生させた。

 

「うわあぁぁ。吹き飛ばされる‼︎」

「クソッ。これじゃあ……」

 

 敵はしっかりと夏凛の爆発する剣の対策をしていたのだ。

 

「ん〜。あっ、そっか‼︎」

 

 飛ばされないように、樹木にしがみついている友奈は何か閃いたかのような表情をする。

 

「夏凛ちゃん! 上からだよ! あれ台風みたいじゃない? ニュースで見たけど台風って中央は穴空いてるよね?」

「ええ、目のことね」

「そ! なら上からおもっきり殴れば‼︎」

「それは名案ね。でもあの引き寄せる分銅はどうするの?」

 

 友奈は足に力を溜める。

 

「大丈夫。上から攻撃すれば、引き寄せられたとしても先に敵の頭に届く‼︎」

「そ、そうね‼︎ でも友奈、気をつけなさいよ!」

「わかってる! ……勇者ぁ……キィーーック!」

 

 友奈は力いっぱい地を踏みしめると、上空に飛び上がった。

 そこからバーテックスの頭部目掛けて落下していく。

 

「う、くうぅぅぅ」

 

 台風、と友奈は表現していたが、確かに台風のように激しく吹き荒れている。友奈の勇者装束は風圧で徐々に裂けていく。

 

「うおおおーーッ‼︎ 勇者キィーーック‼︎」

 

 友奈は凄まじい勢いでライダーキックを頭部に命中させる。

 ドォーーン、とバーテックスが吹っ飛び地を抉っていく。

 

「……吹っ飛ぶのはあなたの方だよ‼︎」

 

 スタッと友奈は着地する。右手の手甲についている花弁に光が灯る。

 

「……ん? これって……」

「やったわね。友奈! さあ、封印の儀でカタをつけるわよ!」

「うん‼︎ ……キャアッ‼︎」

 

 準備に取り掛かろうとした友奈と夏凛だが、突然どこからともなく鐘の轟音が鳴り響き、その場にうずくまる。

 

「う、うるさい……」

「樹の方のやつ……ね」

 

 二人だけでなく、鐘の音を鳴らすバーテックスと戦っている樹、すぐ近くで封印の儀を行おうとしていた風もうずくまる。

 

「く、うっう……」

 

 樹は耳を塞ぎ動けない。バーテックスは鐘を鳴らしながら樹に突進する。

 

「キャアァァーーッ‼︎」

 

 バリアに守られた樹だが、その反動で吹き飛んでしまう。……まだ、鐘の音は止まない。

 

 

「……‼︎ オルガ? この音は?」

 

 三日月は巨大バーテックスに弾を撃ち込んでいる。オルガは拳や蹴りを何度も食らわせる。しかし、両方とも効き目はない。

 

「なんかイヤな予感がするな」

 

 二人の距離からは大きな音が鳴り響いていることしかわからない。

 

「東郷さんの援護射撃もない……。もしかして……」

「いや、そんなはずはねェ。アイツらが簡単にくたばるわけがねェ」

 

 オルガも彼女たちが気になるのだが、もっと気になる事がある。

 さっきから二人が攻撃しているのに、巨大バーテックスは少しも反撃してこない。まるでアリがゾウに攻撃しているかのような……。

 

「くっ、なんで、なんで来ないんだ。バルバトス……!」

 

 

 ーー東郷はクラゲに似たバーテックスの突進を避けつつ、ショットガンで地上に出てきたところを狙っていく。

 

「……ダメ。攻撃を当てても効き目がないっ! 地中に潜っている間に修復してるし。かといってライフルじゃあ……」

 

 東郷はショットガンをライフルに切り替える。精霊も青白い火の玉から卵型に変わる。

 東郷がスコープを覗き、狙いを定めるが、敵は地中に潜り、東郷がいる場所へ飛び出る。

 東郷はそれを跳んで回避。……その繰り返しが続く。

 

「くっ、ライフルが一番高威力なのに。撃たせてくれないっ……」

 

 

 ーー鐘付きバーテックスは依然鳴らしながら勇者たちを足止めしている。

 

「ま、まずい……。修復しきってる……」

 

 風が大剣で叩きつけたバーテックスや友奈が蹴りをかましたバーテックスも修復を終えて起き上がってきた。

 

「うっ、まだだ……よ。私はまだ……」

 

 樹はよろめきながら起き上がる。

 

「音は……みんなを、幸せにするもの! ……こんな音は、こんな音はぁーーッ‼︎」

 

 樹は力を込めワイヤーを数本飛ばし、鐘を縛り付けた。

 鐘は動かなくなり、途端に音は止んだ。

 

「樹、ナイス‼︎ 食らえーッ‼︎」

 

 近くにいた風は大剣でバーテックスの鐘の部分だけを切り裂いた。

 

「アンタらもぉ、くたばりなさいッ‼︎」

 

 両腕を翻し、修復し終えたバーテックスを二体まとめて薙ぎ払った。

 二体は吹き飛ばされる。

 

「凄いっ、お姉ちゃん‼︎」

「凄いのは樹よぉ‼︎ さすが私の妹ね!」

 

 風は樹の頭を撫でる。

 

「立てる? 友奈」

「うん、あのうるさいベルがなくなったからね!」

 

 友奈は立ち上がり、二体が飛ばされた方角を見る。

 それを見た友奈は首を傾げた。

 

「後退してる?」

 

 風と樹は鐘を失ったバーテックスに封印の儀を行おうとするが……。

 

「アイツ、撤退していく……」

 

 敵はいち早く、風と樹の元を離れ後退していた。

 

「待って……。イツカさんたちの方に向かってる⁉︎」

 

 友奈たちは焦り後を追う。向こうで戦っている二人を挟み撃ちにするつもりなのだろう。

 

 ……しかし、彼女たちの予想は外れる……。

 

「おいミカァ‼︎ やっこさん、三体こっちにきてやがるッ‼︎」

 

 それを聞いた三日月は攻撃をやめ樹木に潜む。

 

「そんな……、やられたの?」

 

 三日月は風たちが敗れたのではないかと危惧したが、すぐに風の声が届く。

 

「ミカァー! イツカァー! ごめん、そっちに行ったわよぉぉー‼︎」

「ミカ! 一旦退避だ!」

「うん。……ねぇ東郷さんのところへ行こう! 部長たちは無事だったけど東郷さんが心配だよ」

「わかった。どのみち俺らじゃアイツを倒せねえ。七人全員で力を合わせねぇと、封印もままならねぇ」

 

 二人は東郷のもとへ全力で走る。……三日月の背中に描かれている花弁に光が灯った……。

 

 

「ん? イツカたちを攻撃しない? 挟み撃ちが目的じゃあなかったのねぇ」

 

 風は二人に構いもせず後退し続ける三体を見て安堵する……。

 ーーしかし、それは一瞬だけだった……。

 突如、三体のバーテックスが赤く燃えるような輝きを放ち、二人が戦っていたバーテックスに取り込まれたのだ。

 

「な、なに、アレ?」

 

 遠くで戦う東郷にも''ソレ''は異様に映った。

 巨大バーテックスは取り込んだ三体それぞれの特徴を合体させたようなフォルムで、しかももとよりもまた倍近く大きくなっていたのだ。

 その合体した超巨大バーテックスの中心から大きい太陽のような球が出来上がっていく。

 

「何? あの元気っぽい玉は……」

 

 風は冷や汗をかく。

 ……そして、それは突如放たれた。

 狙いは、風たちではない。劫火球は彼女らを通過する。方角からして、後方で戦っている東郷でもない……。

 

「……‼︎ 神樹様に‼︎」

 

 劫火球は東郷より後方の、神樹に向かって放たれたものだった……!

 

「ウソ……」

「マズイッ‼︎」

 

 東郷はライフルを劫火球に向け、狙撃する。スコープで狙うどころの話ではない!

 しかし、それは非情にも球に包み込まれるだけだった。

 

「なんとかしなーー」

 

 風はバーテックスから完全に背を向けた。その瞬間を狙ったのか、敵から水泡が放たれ、風は中に閉じ込められた。

 

「うっ、ごぼっ、がはっ」

 

 水の中で息苦しく、大剣を振り回し暴れる。

 

 

 ーー東郷はライフルで何度も撃ち続ける。

 

「止まれ、止まれ、止まれェェェーーッ‼︎」

 

 劫火球が東郷を通過してしまえばもう誰も止めることはできない。

 ……そうなってしまったら世界は。

 

「やめろォォーーーーッ‼︎」

 

 東郷の悲痛な叫びが樹海中に響く。

 

 

 ーーそのとき、東郷の近くで何かが光り輝いた。

 

「……やっちまえェーーッ‼︎ ミカァ‼︎」

「……‼︎」

 

 白く猛々しい機械兵器が、持っているメイスで劫火球を空へ打ち上げた。

 ……劫火球は空高く舞い上がり、遥か上空で爆ぜる。

 爆風に煽られ、東郷はその場から落ちる。

 

「うああーっ……、うっ、え? イツカ、さん?」

 

 頭から地に落ちるかと思ったが、オルガが東郷を抱きかかえる。 

 

「無事か?」

「あっ、はい。ありがとう……ございます……」

 

 オルガは東郷を下ろすと、三日月が乗っている機械兵器を見る。

 

「そうだよなァ。お前が、俺たちを、こんなところで終わらせるはずねぇよなァ」

 

 三日月は遠くからでもはっきりと見える合体バーテックスを睨む。そして、自身の乗っている機体に告げる。

 

「おい、バルバトス。今までサボってんじゃねぇよ……。その分、今日ここで……、その溜まっていたツケ、全部払っていけッ‼︎」

 

 ーーそして、バルバトスと呼ばれた機体は、自身の数倍の巨体である合体バーテックスに立ち向かっていくーー。

 




次回予告

『我、敵軍ニ一斉攻撃ヲ実施ス』
『そっちに行くなぁーー‼︎』
『目を、開けてくれよぉ』
『俺が……諦めるとでも思ってんのかッ⁉︎』
『もっと……、もっとよこせぇ、バルバトスッ‼︎』
『そいつを倒せぇぇーーッ‼︎』
『勇者……ドラァァーーイブッ‼︎』

ーー第十話 大輪を咲かせるーー
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