配信家族 番外編!   作:桜桃 

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嘘つきは誰だ!!

 突然ですが、リビングに家族が集合。

 

「パパンのラム肉を食べた人がいます」

 

「あらまあ~」

「……私ではないよ」

「……はあ。どうせならわたしが全部食べたかった」

「えっと? 蒼空ちゃん、どうしてパパを見るのかな? バリカンの電源入れるのやめようね?」

「ラム肉なんかあったの!?」

「わんわん∪^ω^∪

(俺じゃねえ)」

 

 全員の視線は一人に向けられている。

 

「……パパはね、こんなことでは怒らないよ?」

「早く『ごめんなさい』しなさい。桜桃ちゃん」

「……こういうのは、正直に言う方が罪は軽いよ?」

「まったく、勝手に食べちゃダメでしょ? お姉ちゃん」

「わんわん∪^ω^∪

(まったくだ)」

 

「ええええ!? わ、私じゃないよう!!??」

 

「……なるほど?」

「嘘を言うなんてママじゃなくてパパに似たのね」

「……妹よ……」

「嘘はダメだよお姉ちゃん……」

「わんわん∪^ω^∪

(無事解決)」

 

「違うってば! ホントのホントに違う!! 違うもおおおん!!」

 

「……と、言っておりますが。大丈夫だよ。パパは信じてるから」

「パパ……!」

「桜桃ちゃんがちゃーんと『ごめんなさい』できる子だとね」

「うわああん! この鬼畜ドS腹黒ゲスひつじー!! パパンのばかー!!」

 

「こらこら、娘をいじめないの。これだから、小説からでしか栄養を摂取できない奴はダメなのよ。桜桃ちゃんもちゃんとごはんを食べないと、パパみたいに頭がスカスカになっちゃうわよ~?」

 

「ごふっ。(吐血)」 パパに大ダメージ!

 

「とんだ風評被害……」

「……それはわたしも庇えない……なんならわたしにもダメージが……。というか全員に効くんじゃ……」

 

 

「よしよし。ママは桜桃ちゃんのこと信じてるからね。そんなことしないでしょ?」

「ママ……!」

「そもそも桜桃ちゃんは、お肉見つけた瞬間にすぐに分かるし。ね?」

「ママ……。わ、私が興奮しすぎて夜中に起こしたこと、まだ怒ってる……?」

「うふふ。怒ってないわよ~? 何事かと飛び起きたら、推しについて朝までみっちり話されるとは思わなかったわ~」

「…………笑顔が怖い」

「うふふふふふふ」

 

「お、お兄ちゃん! お兄ちゃんなら、私のこと信じてくれるよね!?」

「…………ソウダネー」

「なんで目をそらすの!?」

「……私、ラム肉楽しみにしてたんだけど。超奮発していいやつを買ったんだけどね、まさか、一日で全部無くなるとは思わなかったよ……?」

「お兄ちゃん、目が怖い」

「……おっとごめんね? じゃあお詫びに……

 

『桜桃。ちゃんと、正直に言ってくれないかな?』」

 

「んぎゃああああ!! 超絶イケボふわあああああ!!」

 

 

「あ、パパは小説書くから自室こもるねー」

「ママはお昼ご飯作りまーす」

「……あ、私も配信あるんだった」

 

 

「……おっふ。じゅるり……。はっ! 意識を失っていた……。川が見えたぜ……」

 

「わたしも配信準備しなきゃ」

 

「い、妹!! 妹なら分かってくれるよねえ!!??」

「ペンギンパーカーを掴まないでよー。お姉ちゃんはバ……ポンコツ……マヌケ……」

「……え? え? なんかこわい」

「…………お姉ちゃんは『多少抜けてる』から、犯人はお姉ちゃんじゃないよ! 絶対ね!」

「……かなり言い直した!?」

「さーてわたしも配信準備するぞー」

 

「あー!! く、くそう、残るは……!」

 

「わんわん∪^ω^∪

(えっ、俺?)」

 

「犯人はお前だろー! 犬だし! そうに違いない!!」

「わんわん!∪^ω^∪

(俺様はベジタリアンだぞ。しかもパパさんのお肉食べたなんてバレたら、保健所に送られちまう。そんなアホなことするか。あの人俺の前で『いやー、やっぱりひつじの方がいいなあ』っていう人なんだぞ! 日に日にドッグフードを何粒かずつ減らしてるような人だぞ!!)」

 

「ママー! 犯人はイッヌだったよー!!」

 

「わんわん∪^ω^∪

(アッやめろコラ)」

 

「ドラムはそんなことしません! 桜桃ちゃんじゃないんだから! 大人しくパパに『ごめんなさい』しなさい!」

 

「……えー……」

 

「わんわん∪^ω^∪

(ほらな)」

 

 

「じゃあ、私が犯人さがす! このまま私が犯人扱いなんて、絶対いやだ!! ねえ、パンジャンドラム!?」

 

「わんわん? ∪^ω^∪

(えっ?)」

 

「とゆーわけで、ききゅこみゅ……きき……きくゅ…………一人ずつ話を聞きに行くぞー!!」

 

「わんわん……∪^ω^∪

(勘弁してくれ……俺様のお昼寝タイムが……)」

 

 

【一人目:パパ】

 

「どうも、パパでーす。ラム肉が無くなったことが知りたい? ……ああなるほど。いいよ」

 

「……なんかたくらんでる顔だ……」

 

「気のせいだよ? ねえ、パンジャンドラムさん?」

 

「わんわん∪^ω^∪

(えがおがこわい)」

 

「怖くない怖くない。ふふふ」

 

∪^ω^∪ イッヌは失禁した。

 

「あー! パンジャンドラムが漏らしたー!!」

 

 *10分後*

 

「……では気を取り直して。

 ラム肉が無くなったって気づいたのは……ついさっきかな。冷蔵庫を開けたら、小さくなったものが入ってて二度見したよ。なかなか大きなブロックだったからね。今日の晩御飯に出そうと思ってたから、また買い出しにでも行こうかな。桜桃ちゃんは、何が食べたい?」

 

「パパのお料理ならなんでもー!! って、ちがうちがう!

 えーっと、なにかここりょあたりはないの?」

 

「冷蔵庫なんて、誰でもいつでも見れるし、パパ、ここりょあたりはないなあ(ニヤニヤ)」

 

「わんわん∪^ω^∪

(ワロスワロス)」

 

「ぐ、ぐぬぬ……!! もーいーもん!! ママに聞いてくるー!!」

 

「はーい。頑張ってねー。

 ……ちょっとずつ無くなってたってことを言い忘れたけど、ま、いいか。もし気づいたら、残しておいた最後のひとかけらはあげよう」

 

 

【二人目:ママ】

 

 

「パパのラム肉のこと? うーん……それなりに高かった、としか……。お兄ちゃんとお金を出し合って買ったみたいね~。あれなら超豪華な一人飯が作れるほどはあったわ~。千鶴ちゃんにおすそ分けもできたし」

 

「千鶴おばちゃまと会ったの? っていうか、パパとお兄ちゃん、一緒にお買い物行ってたなんてずるい!!」

 

「……そうは言っても、お腹出して寝てたじゃない」

 

「…………ほ、他に何かない?」

 

「ああ、よだれも垂らしてたわね」

 

「そっちじゃなくて!!」

 

「わんわん∪^ω^∪

(ワロスワロス)」

 

「うふふ。

 お肉ねえ……。私が一回見た時は、冷蔵庫の一段が全部埋まるぐらいだったけど、次見た時は、その半分ぐらいになってたわね~。三回目に見た時は、フライパンに全部入っちゃうぐらいになってたわ~」

 

「ふむふむ! ずばり、パンジャンドラムが食べたんだ!」

 

「わんわん∪^ω^∪

(まったくちがう推理で草)」

 

「……ドラムは足が届かないでしょ?」

 

「誰も見てないところででっかくなったんだよ!」

 

「まあ、それはすごいわね~。それ、お兄ちゃんにも聞かせてあげて~」

 

「分かった!!」

 

「わんわん∪^ω^∪

(ちゃんとついて行くから耳引っ張らんといて)」

 

 

【三人目:お兄ちゃん】

 

 

「……犯人を見つける? 全部食べたのは私ではないよ。おおかた、父さんと母さんが二人でこっそり食べたんじゃないかな……?」

 

「わんわん?∪^ω^∪

(ん? 『全部食べたのは』?)」

 

「んー、でも、パパとママが見た時は、もうなくなってたって」

 

「……なら、誰かがこっそり食べたか、どこかに持って行ったか。冷凍して隠しているか。それか、二人が嘘をついているか……かな」

 

「ふ、二人は嘘なんかつかないもん!」

 

「……さあどうだろう。もしかしたら、妹以外の全員が嘘つきかもしれないよね? ないとは思うけど、桜桃ちゃんに罪をかぶせようとしているのかもねぇ……。二人“は”嘘つきじゃないかもしれないよねえ……ふふふ……」

 

「……わんわん?∪^ω^∪

(……まさか、この飼い主以外全員が……? だとしたら、パパさんとママさん、あにさんの話も説明が……)」

 

「お兄ちゃんのバカー! おたんこなす! イケボ! ちゃんとご飯食べて寝るんだぞー!!」

 

「……最後のは悪口ではないね。まあいいか……」

 

 

【四人目:妹】

 

 

「……ポンコツまぬけお姉ちゃん、いったい何の用? 配信止めてるから早くしてよね」

 

「こんぺんぎんっ!」

「はーい! こんぺんぎーん!! 今日も来ていただきありがとうございまーす!」

 

「うん、かわいい!」

「知ってる!(可愛いポーズ)」

 

∪^ω^∪

 

「……で、何の用?」

「犯人は、お前だー!」

 

「……」

「……」

∪^ω^∪

 

「……ついに頭がおかしくなった? 大変だ……頭の病院に予約入れておくね……。付き添いはしてあげる」

「ち、違う違う! そんな冷たい目で見ないでっ! ……ああ、でも、そんな眼差まなざしも悪くない気が……ぐへへ……」

「病院じゃなくて警察かな? パパー、変態がいるー」

「やめてえ! お姉ちゃんが悪かったからああ!!!!」

 

 

 *間かくかくしかじか*

 

 

∪^ω^∪<女子会とか言われて追い出され申した。

 

 

「……なるほど。ラム肉を食べた犯人探し、と……。お姉ちゃんはまずナイでしょ? ちょっとばかだし。パンちゃんもナイ……」

 

「え待って。すっごい自然に『ばか』って聞こえた気がするけど?」

 

「……となれば、怪しいのは、やっぱりパパとママとお兄ちゃんじゃないかなー」

 

「無視と書いて『シカト』!! ついにお姉ちゃん妹に無視されちゃったああ!?」

 

「……うーん、でも、あれだけ巨大なお肉だったら、なくなったらすぐにバレちゃうからなあ……。他の人も、隠れてちょっとずつ食べたってことなんじゃ……」

 

「……い、いや待て桜桃。逆に考えるんだ。そう! これは、『放置プレイ』という名のご褒美っ!! そう考えたら興奮が止まらねええええ!!!! トイレ行きたくなってきた!!!!」

 

「おねーちゃん、うるさい」

 

「冷ややかな視線いただきましたあ! うひょおおおうううう!!!!」

 

「……おねーちゃん、ちょっと立って」

 

「ん!? なに、なに? こんぺんぎんっ!」

「はーい! こんぺんぎーん!(可愛いポーズ)」

 

「ところでパソコン光ってるけどいいの?」

 

「え……? ああああああ!!!! マイクオンのままだったあああああ!!!!」

 

「え、声入ってんの!? いえーいお姉ちゃんでえーす!!」

 

「わ、わたしは清楚系なのに! クールビューティーなのにいいい!! お、お姉ちゃん回れ右!」

「はーい!」

「そのまま廊下出て」

「はーい!」

「じゃ!」

 

 バタン、ガチャ。

 

「……え?」

 

「わんわん∪^ω^∪

(追い出されとるやんけ)」

 

「あれええええええ!!??」

 

 

【再びリビング】

 

 

「……ごほん。というわけで、みにゃしゃまおわちゅまりいただき……」

 

「はーい。パパからも、みなしゃまおわちゅまりいただき、ありがとうございまーす」

 

「ママもいまーす」

 

「……多分、『皆さまお集まりいただきありがとうございます』って言いたいんだと思うよ」

 

「それ! さすがお兄ちゃん!」

 

「……う、ううう……汚よごれてしまった……。わたしの清楚さが……」

 

「蒼空ちゃん、蒼空ちゃん」

 

「む……? なんですかひつじさん」

 

「こんぺんぎーん(可愛いポーズ)」

 

「はーい! みなさまこんぺんぎーん! 『今日も可愛い!』コメントありがとうございまーす!! わたしは可愛い! 異論は認めない!!」

 

「……妹が復活したようでよかった。それで、犯人は見つかったのかな?」

 

「それなんだけどねお兄ちゃん…………見つかりませんでしたー!」

 

「なるほど。まあ、犯人探しなんて最初からする気もなかったからね。犯人は、一人とは限らないし。桜桃ちゃん、よく頑張ったね。えらいえらい」

 

「パパ……!」

 

「そもそも、食べられたくなかったら、メモでも貼り付けておけって話よね~。何も書いてないものなら、食べられてもしょうがないってママは思うわ~。いくら、鈍感な子がいるって言っても、あとの三人は気づくでしょうしね~」

 

「……私も同感だね。メモを残しておけばよかったと、少し後悔しているよ。それか、切り落として隠しておけばよかった。あんなにおいしいとは思わなかったからね……」

 

「……お兄ちゃん、食べたことあるの?」

 

「……そうだよ。少し前にね、一人前を食べたことがあるんだ。焼いたら思いのほか縮んだから、もっと食べておけばよかったよ」

 

「へー。私も食べたかったー」

 

「……まったく、食べ物で犯人探しとかっ! わたしは今から番君とデートなので、勝ち組です!」

 

「リア充め! ……ってあれ? なんで冷凍庫あさってるの?」

 

「……きょ、今日は暑いから、番君にアイスをあげるんだよ!」

 

「今日雨だよ?」

 

「あ、雨でもアイスは食べたいでしょうがっ!」

 

「なんかあやしい!」

 

「あやしくないもん! お肉あげるとかじゃないもん!!」

 

「この野郎いちゃいちゃしやがって! 爆発しろ!」

 

 

「……私もそろそろ部屋に戻るよ」

 

「お兄ちゃんも、なんで冷凍庫あさってるの?」

 

「……ごはん食えってうるさいから、アイスを食べるんだよ」

 

「アイスはごはんじゃないし、冷凍保存の袋に入ってるアイスなんかないよー! もー、お兄ちゃんはバカだなあ!」

 

「……妹よりは賢いと思うよ?」

 

 

 電子レンジ『パワフルワッショイ』

 

 

「……なんかお肉の匂いがするぞー! お隣さん、焼き肉かなー!」

 

「……じゃ、私は部屋にいるから」

 

「ねえねえパパン! うちも焼き肉しようよー!」

 

「ラム肉買ったからもうお金ないよ。明日から野宿だね」

 

「え……」

 

「こらこらパパ。そんな嘘言わないの」

 

「ごめんごめん。つい面白くて。さてと、買い出しにでも行くかな」

 

「ママも行くわ~。桜桃ちゃん、お留守番よろしくね~」

 

「はーい!」

 

「そうそうパパ、あのお肉の味付け、最高だったからまた味見させて~」

 

「パパが食べてるところに乱入してきた人のセリフとは思えないなあ……」

 

「こっそり食べてる方が悪いでしょ~」

 

「まさかみんなが集まってくるとは思わなかったよ……。その後全部なくなるし……っとその前に、パンジャンドラムさんにご飯あげておこう」

 

 電子レンジ『ブーン』

 

「わんわん∪^ω^∪

(おっ。今日はお肉ですかだんなぁ)」

 

「わ……∪^ω^∪

(え……これ……あの……)」

 

「いつもいじめてごめんね。最後のひとかけらだから、しっかり味わって食べるんだよ?」

 

「∪^ω^∪

(まじですか)」

 

「これで、パンジャンドラムさんも『嘘つき』だね」

 

 パパさんは口の前に人差し指を持っていき、にっこりと笑った。

 

 

 

『この作品は 萩月エリカ ちゃんが書きました。』

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