ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~GM戦隊グレートメンバー~ 作:天野空
おかゆに高くあげられたボールに向かってスバルが跳ぶ。
そんなスバルをラプラスはにこっと笑いながら腕組みをして見ていた。
「諦めたのか、ラプラス」
ボールが折り返して下に落ちてくる。
スバルはそれに狙いを定めながらラプラスに言った。
ヒーロはスバルが打つ球をいつでも取れるように構えた。
「スバルさん、吾輩ぐらいになるとわざわざ跳ばなくても自陣にボールを入れる事くらい造作もないんですよ」
「なに!」
ラプラスの言葉に下にいるラプラスを見るスバル。
そのラプラスの背中から紫の手が現れ、一瞬でスバルを追い越した。
「しまった」
紫の手はボールを自陣へ。
そのボールをコートにいるラプラスハンドがキャッチした。
スバルは地面に着地した後、素早く自陣に戻る。
「ごめん、ボール取られた」
「いえ、あれは私達でも無理です」
「どんまいっす」
スバルにそう伝える2人。
「では、そろそろいきますよ」
ラプラスはそんなヒーロ達に宣言する。
ヒーロ達はラプラスに向かって構えた。
ラプラスはヒーロをちらりと見る。
ラプラスハンドがラプラスの意思を受ける。
「いけ!
ラプラスハンド」
ラプラスの号令にラプラスハンドは勢いと魔力を込めて、ボールを投げる。
ボールはすごい勢いと紫のエネルギー体に包まれながらヒーロに向かっていった。
ドゴン!
凄まじい音と共にヒーロの周りで砂煙が上がる。
誰もが息を飲む。
それほど凄まじい威力の球だった。
しかし。
「ほぅ」
砂煙が徐々に晴れ、そこに立っていたのはGMスーツを着たヒーロとそれを背中から支える、スバルとリィスだった。
「めちゃくちゃなボール投げてくるなぁ、チェンジしてなかったら死んでたぞ」
グリーンイーグルのヒーロがぼやく。
「押さえてないと吹き飛びそうでした」
ピンクウルフのリィスも驚いたように言う。
「ま、このボール、闘技用のボールだからなぁ」
とヒーロの持つボールを見てため息混じりで言うスバル。
「闘技用!?」
「疑問が出てるので少しタイムして、ぼくから説明するね」
審判おかゆがにこやかな笑顔でコートの真ん中に移動する。
「普通は競技用使うんだけど、今回は面白そうなので、独断でぼくが闘技用に変えておいたよ。
ちなみに闘技用は投げる人の力がボールに影響を与えて性質を変化するから。
投げる人によっては鉄球みたいな固さになったり、人を斬る円ノコになったりします」
『ぶっそう!』
GMとスバルに加え、ラプラスも突っ込む。
「そう?
せっかくのホロメン同士の戦いだからこれくらいじゃないとと思ったんだけど。
では、試合再開」
そして、ボール変更なく試合再開となる。
「くそ、こうなったらさっさと倒す」
ヒーロは振りかぶり、ラプラスに向かってボールを投げた。
ボールはあまり変化なくラプラスに向かう。
「あれ?」
投げたヒーロは拍子抜けしたような声をだした。
「ふ、この程度」
腕組みをしたままのラプラスにボールが当たろうとした瞬間、ラプラスハンドが現れてボールをキャッチした。
「まずはあの紫の手から当てないといけないか」
「ふふ、そう簡単に当てられるかは疑問だがな」
ヒーロのぼやきにラプラスは笑いながら言った。
「そら、お返しだ!」
ラプラスの言葉にラプラスハンドの鋭い一撃が、ヒーロに向かって投げられる。
今度のボールは槍のように細長く尖った形に変わった。
(これは!やばい殺られる!)
ヒーロがそう思った瞬間。
バシ!
ボールはヒーロに届く前に、横からスバルが掴み取っていた。
その手にはスバルアーマーが装着されていた。
「さすがにこれは取れないとヤバいよ、ラプラス」
そう言ってラプラスを睨むスバル。
確かに取れなければヒーロの体を貫いていただろう。
「え、いや、取れるかなぁって」
スバルに睨まれしどろもどろになるラプラス。
「あまり危険なのは投げないようにっと!」
スバルはラプラスハンドを目掛けてボールを投げる。
ボールは普通の形で跳んでいく。
「これなら」
ラプラスハンドにボールを取るように命じるラプラス。
しかし、ラプラスハンドの近くで、突然ボールが変化する。
ボールが不規則にブレたと思うと、複数に分裂したのだ。
「な、なに!」
ラプラスはこれには指示が追い付かず、ラプラスハンドにボールがヒット。
「ラプラスハンドその1かな?
アウト!」
審判おかゆの声が響く。
慌ててボールを取るもう1体のラプラスハンド。
「く、まさか分身するとは」
「ふふ、こういうこともできる」
悔しそうなラプラスにスバルがにこっと微笑んだ。
「なら、ラプラスハンド1は、一番奥に配置する」
「オッケー
では、奥のプレイヤーさんお疲れ様~」
おかゆに言われて、ラプラス側の一番奥の一般参加プレイヤーが下がり、ラプラスハンドがその位置についた。
「これで、外からの攻撃も可能だな」
ラプラスはそう言って、ラプラスハンドはボールを投げる。
やはり狙いはヒーロ。
(また俺か。
でも、予想してたぜ)
予想していたヒーロは、十分に腰を落としてキャッチ体勢にはいる。
だが、予想は外れる。
ボールがヒーロの目の前で消えた。
「な?」
バシン!
背後でボールをキャッチする音がした。
慌てて振り向く3人。
そこにボールを構え投げるラプラスハンド。
「しま」ったの声は最後まででず、ヒーロはボールに当たった。
「ヒーロくんアウト!」
「くそう」
おかゆがコールする。
「すみません」
ヒーロはすまなそうに2人に言った。
「ドンマイ」
「外からの攻撃お願いします」
「まかせろ」
2人に声をもらいヒーロは外に出る。
出る場所はラプラスと同じ一番奥。
リィスは掴んだボール両手で持った。
そして、このボールを届ける相手の事を思った。
さて、ここでリィスの私生活でのエピソードを紹介しよう。
リィスには1人の弟がいる。
その弟もこのゲームをしているのだが、家で2人はあまり喋らない。
そんな仲の2人だが最近弟がリィスに変な事を聞いてきた。
「なぁ、彼氏とか出来たの?」と。
「へぇ?」
突然の言葉にリィスは驚く。
「な、なんでそんな事」
「いやぁさ。
推しの写真見てにやにやしてるのはいつも通りだけど」
「わ、悪かったわね」
弟に言われて少し顔を赤くして言うリィス。
「いや、別に悪かぁないよ。
俺もこよりちゃん推しだし」
「え?そうなの?」
弟の突然の言葉に喜びと困惑の混じった顔をするリィス。
「ま、それはいいんだけど、推しの画像の中に1枚だけ違うの入ってない?」
「え?」
弟に指摘されて推しの6期生の画像がたくさん表示されている画面の中を見る。
そこには確かに1枚だけ違う写真があった。
「推しの中に自然と入れてるから彼氏かなと思ってさ」
「ち、違うわよ。
たまたま紛れただけってそれより、こよりちゃん推しって本当?」
「話はぐらかすなよ」
リィスが目をキラキラして迫るので弟は逃げ出した。
リィスはふぅと息を吐くと画面に目を移した。
確かに弟の言うとおり、自分の推しである6期生の中に1枚だけ違う写真が混ざっている。
それは少し前から気になっている人だった。
初めは頼りない感じの人だったけど、今はずいぶんと頼りがいが出てきた気がする。
でも、それは好きとは違う、はず?
でも、やっぱり気になる人ではあった。
ふぅ。
もう一度息を吐くリィス。
「好きなのかな?」
リィスは写真に向かってそう呟いた。
写真の人物、ヒーロはそんな事は露知らずにピースしてにこやかに笑っていた。
ぶつぶつ呟いてしまうリィスは、はっと我に返り前を見た。
(危ない今は戦ってる最中、戦いに集中しないと)
「?」
ラプラスが不思議そうにリィスを見ている。
そして、リィスは思いを抱いたままボールを投げた。
「な、なにぃ!」
ボールはかなり、遅かった。
いや、止まるかと思う程、空中をのんびりのんびりと進む球。
「えっと」
GMチームのスバルでさえ、その遅さに困惑する。
ボールは低速で狙いはラプラスハンドその2。
「掴め」
ラプラスはラプラスハンドに指示した後、スバル達を見た。
「次はスバルさん覚悟してくださいね」
そう言って笑うラプラス。
しかし、スバル達はラプラスを見ていなかった。
ズ、ズズズズズ
ラプラスは隣から変な音がするのに気づく。
スバル達もそちらを見ている。
ラプラスは少し怖くなりチラリと隣を見た。
「はぁ?」
ラプラスは隣のラプラスハンドを見て驚く。
ラプラスハンドは確かにリィスの球をキャッチしていた。
しかし、掴んだまま後ろに下がっている。
いや、下がらされていると言った方がいいのか?
リィスが投げた球はラプラスハンドにキャッチされてもその勢いは衰えず外へと進んでいた。
「な、なんなんだ?
く」
ラプラスはラプラスハンドに力を送っているのだろう。
どうにかリィスの球を止めようとしている。
ラプラスハンドはラプラスの力を受けたが、そのボールは止められず、コートの外に出る。
そして、ボールはヒーロの前でコロンと地面に落ちた。
「ラプラスハンドその2、アウト!」
おかゆの声が響く。
「す、すごい。
やったね、リィス」
スバルが喜んでリィスとハイタッチする。
「しかし、どんな力を使ったら、あんな球を投げれるの?」
スバルはリィスに興味本位で聞く。
「いや、あれはそのう」
何故かしどろもどろになるリィス。
(さっき考えてた事が影響したのかな?)
そんなリィスを見るおかゆ。
「ゆっくりなスピードで重い球、ヒーロくんの前で急激に速度が落ちる。
なるほどね。
青春だね」
おかゆはそう呟きながらうんうんと1人頷いていた。
「吾輩から見て右側の方にラプラスハンドを配置する」
ラプラスがおかゆに伝え、お手伝いプレイヤーとラプラスハンドが交代した。
「これからが反撃だ」
ラプラスは背中から紫の手を出してボールを握る。
そして、凄まじいスピードでスバルに向かい投げる。
スバルは慌てて避けたが、後のラプラスハンドはそのボールをキャッチ、すぐさまもう1体のラプラスハンドに向かって投げる。
その線上にはリィス。
リィスもキャッチは諦めボール避ける。
ボールはコート内のラプラスへ。
ラプラス、ハンド、ハンド三点でボールが凄まじい勢いで飛び交う。
スバルはスバルアーマーを装着してその猛攻を避ける。
リィスも同じく、早く鋭い球をなんとか避けている感じだ。
「そこだぁ!」
ラプラスが避けて体勢を崩したスバルに向かって投げる。
それを見てにやりと笑うスバル。
スバルはすぐさま体勢を戻し、その絶好球を待ち構えた。
体勢を崩したように見せて、ラプラスの狙って投げる甘い球を誘ったのだ。
しかし、そんなスバルを見てラプラスも不適な笑いを浮かべる。
ラプラスの投げた球はスバルを目の前にいきなり曲がる。
曲がった球は、自分は狙われていないと安堵し隙を見せていたリィスに向かった。
「う、しまった」
スバルが球を取ろうと飛び付くが、球はそれ以上に曲がっていく。
ダン
「リィスちゃんアウト!」
おかゆの声が響く。
ボールは取りにくい足を狙っており、油断していたリィスには取ることは出来なかった。
「す、すみません」
先程の連続攻撃を避けて、息が上がっているリィスが謝る。
「どんまい。
それにあれは相手の方が一枚上手だったよ」
ボールを拾いながらスバルはラプラスを見た。
「頑張ってください」
「まかせて」
リィスはスバルに声をかけて右側の参加プレイヤーと交代した。
「とうとう一対一だね」
おかゆはコートに残るスバルとラプラス見て言う。
2人は睨みあったまま動かない。
「それじゃ、2人とも頑張って!」
おかゆの応援に周りからも2人に向かって声援が上がった。
「ここまでは五分五分。
これからはスバルが出せる最高の力でラプラス、おまえを打ち負かす」
「ふ、できるんですか?
スバルさんにそれが。
holoX総帥の力を見せてあげますよ」
「いくぞ」
スバルがボールを持った手を頭上に高々と上げる。
周囲からボールに謎のパワーが集まってくる。
「な、なんですかそれ」
ラプラスは驚きながらスバルに聞く。
「これが噂のみんなの元気を分けてもらって放つ元気球」
ラプラスが周りを見ると外野の野次馬プレイヤーが、スバルに向かって手を向けていた。
スバルの手からボールがゆっくりと浮かぶ。
ボールに謎のパワーが集まり青白く光輝いていく。
「ちょ、ちょっとそれは反則です。
こっちから阻止できないじゃないですか」
ラプラスが慌ててうろうろしだす。
「問答無用!」
スバルの声にボールが青白い球へと変わった。
「くらえ、スバルの元気球!」
スバルが手を勢い良く振り下ろすと同時に、浮いていた元気球がラプラスに向かって放たれた。
「しかし、元気球は別に避けてしまえばどうという事はないですよ」
ラプラスはそう言って元気球を難なく避ける。
「ああ、そこは当たるとこ!」
スバルは避けたラプラスにブーイング。
「そんな決まりありませんって」
避けたラプラスは、スバルに言い返す。
「そこがお前の命取りだ!」
「え?」
声がして振り向くラプラス。
そこには元気球を打ち返すヒーロの姿が。
「しまった、跳ね返すパターンかぁ!」
ラプラスはそう言いながら、元気球に当たった。
ポコン
コロコロ
「え?」
「さすがに死ぬほど痛いような球は投げないよ」
元気球に当たって、まったくダメージがなく驚いているラプラスに、スバルは笑いながら言った。
「ラプラスちゃんアウト!
よって勝者スバルチーム」
おお~
おかゆの声に野次馬から盛大な声が上がった。
「やったぁ~」
「やりましたね」
外野のヒーロとリィスもハイタッチで喜ぶ。
ヒーロがコートを見るとスバルとラプラス、そしておかゆが手を取り合っているのが見えた。
その後なぜかおかゆに抱き締められているラプラス。
「仲いいですねよね」
「そうだな、こうやって見ると秘密結社の総帥だなんて信じられないよ」
「秘密結社だからって悪い人って訳じゃないですよ」
ヒーロはいつか聞いた事のある言葉を聞いた。
「俺達はこれで」
ヒーロ達はスバル達にそう声をかけた。
「うん、助かったよ」
スバルは2人に挨拶する。
「私も楽しかったです」
リィスもそう言って微笑んだ。
2人はGMバイクに乗り、そのまま【学園】を後にした。
【学園】編でした。
さて、次回は【近未来都市】の攻防戦。
この戦いでGMはかけがえのない何かを失う事になります。
果たしてそれはいったい。
では、次回もお楽しみに