ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~GM戦隊グレートメンバー~ 作:天野空
しかし、その各地で対抗戦力が動いていた。
だが、コメント集の勢いは止まる事を知らない。
果たしてGMやホロメン、プレイヤー達に勝ち目はあるのか?
そこは【ファンタジー】にある第3の町の遥か先の海上。
そこに島はない筈なのに白い大きな島が見えている。
よく見るとその上に5人の人がいる。
いや、よくよく見るとそれは5人のホロメンか?
「はぁ、やっぱりラミちゃんの言う通りだったね」
ぼたんはそう言って、肩に担いでいたスナイパーライフルの持ち手を島に置く。
「なんかさ、雪民さんにみんなを紹介する為、世界を巡ってたらアレの気配がしたから」
「巡るっていうか、ねっ子のストーカーしてたんじゃないの?」
ラミィの言葉にねねが島に寝転がりながらいう。
「はぁ?
カレは雪民さんですが?
それに危ないからこっそり後についていっただけで、ストーカーとかじゃありませんが?」
「ええ?
カレは雪民じゃなくてねっ子ですぅ」
「ああ、もうそれはどっちでもいいから」
『よくない!』
2人の間に入ったポルカは2人から怒鳴られた。
(ま、なんにせよ。
そのお陰でこうして吾輩達は裏で、コメント集の動向を探れたわけだからね)
宙に浮かぶアロエは苦笑しながら言った。
「でも、他の誰も気づかない気配を気づけたのは、ラミちゃんが1度コメント集に取り込まれたからかな?」
宙に浮かぶアロエに聞くぼたん。
(たぶんそうだろうね。
吾輩でも気づけなかった。
ラミィはそれほどコメント集に近い場所にいたんだと思う)
和気あいあいと言い争う2人と、どうしようとおろおろするポルカを見ながら、アロエは答えた。
「ま、いいわ。
この決着は後程」
「OK」
「いや、決着つけなくていいから。
ポルカがしんどい」
3人はどうにか和解?して島に座り直す。
(それでこれからどうする?)
アロエが4人に聞く。
「これでラミィ達のやるべき事は終わったと思う」
「そうだね、思う存分暴れられた」
「後はみんなに任せますか?」
そう言ってねねとポルカは島に寝転がった。
「確かに、少し休憩しよう」
ぼたんもその場に座る。
(それが正解かな。
働きすぎもよくないからね)
アロエもその場に寝転がるように浮かぶ。
【ファンタジー】の沖合いに白い島は存在しない。
彼女達が休んでいるその場所は、この世界で倒せるものはいないと呼ばれた五帝の1体、白鯨帝ホエーライブの腹の上。
彼女達は5人だけで、そのホエーライブを倒しきっていたのだった。
『総司令、今回は整備もばっちり、武装もばっちりだ。
思う存分暴れてくれ』
ホロカイザーの中のロボ子に、作業長が元気に伝える。
「ありがとう。
眷族角は大丈夫?」
作業長に言った後、ロボ子はオペレーターに聞いた。
『はい、そちらには数名のホロメンの方が来てくださってますし、プレイヤーの方も大勢参加してくれてます』
「OK。
なら、こっちはこっちで全力出しきる」
ロボ子はそう言ってホロカイザーを動かした。
目標はこちらに向かってくる五帝の1体、ホロサウルス。
前回はノエルの【ホロライブソード】のお陰で勝ったが今回はそれも期待できない。
しかし、武装が完全なホロカイザーに負けはない。
「最終決戦ロボ ホロカイザー ロボ子行きます!」
ロボ子は勢いよくホロカイザーと共に宿敵ホロサウルスに向かっていった。
『眷族角多数射出を確認。
総員戦闘準備お願いします』
「よぉ~し、野郎共、敵がくるぞ~」
『うぉ~!』
街全体のアナウンスに白い狐の女性が剣を掲げて鼓舞する。
それに合わせてプレイヤー達を各々の武器を掲げて応じた。
「さてさて、久しぶりに大暴れと行きますか」
白い狐の女性フブキはその体に狐神の気を纏う。
アナウンス通り、無数に落ちてくる眷族角。
眷族角は自動迎撃システムによりいくつかは落とされるが、無傷でそのまま落ちてくるものもあった。
地面に激突した眷族角が小さなホロサウルスに変わる。
「よし、いくぞ~!」
『うぉ~』
先頭をきってフブキが突撃する。
その後に続くプレイヤー達。
この一帯は彼女達の活躍で抑えられるだろう。
しかし、【近未来都市】は広い。
ここに戦力が少ない場所があった。
「うわぁ~」
ちびホロサウルス数体に押されて、プレイヤー達は後退していた。
ここにはホロメンもこれず、プレイヤーの数も少なかった。
プレイヤー達は少ないながらもこの都市を守る為に、全力を尽くしていたが、それももう限界だった。
「くそう、俺達だけじゃ、ここまでか」
座り込む数人のプレイヤー
そんなプレイヤーの頭上を剣撃が通りすぎ、ちびホロサウルスを真っ二つにする。
「な、なんだ?」
驚くプレイヤー達。
その剣撃が飛んできた方に1人のロングヘアの女性が立っていた。
その手には大きな剣。
白いTシャツに青いジーパンを履いたその女性は、プレイヤー達を飛び越えて、次々にホロサウルスを倒していく。
「あ、あれは。
Aちゃん!」
プレイヤー達はよろよろと立ち上がりながら叫ぶ。
(あれ?変装してきたつもりなんですが?)
Aはくいっとメガネをあげる。
(ま、まぁいいでしょう)
「よく持ちこたえてくれました。
ここからは私も戦います。
もうしばらく共に頑張ってください」
Aの言葉によろよろだったプレイヤー達は立ち上がる。
「よしゃぁ、Aちゃんが来てくれたぞ」
「ここで根性見せたりゃぁ!」
「やってやるわよ!」
プレイヤー達はAちゃんの鼓舞に力を出す。
そして、【近未来都市】の戦力は整いつつあった。
(そちらは大丈夫ですか?
貴女ならやれているはずですよね?)
Aは敵と戦いながら、ある人物に思いを送っていた。
「くそう!
あんなに飛び回られたら当たらねぇ」
数人のプレイヤーは空に舞う五帝の1体、黄帝鳥ライバードに向かってスナイパーライフルを撃ち続けていた。
しかし、巨大とはいえ動きが早く、弾が当たってもあまり効果を見せないその鳥にプレイヤーとGMには、絶望の色が見えていた。
この一帯にはホロメンの助けが遅れており、GMとプレイヤーだけでの戦闘になっている。
倒せるものがいないと言われる五帝を相手するには戦力が足りなさすぎた。
ライバードはそれが分かっているのか、プレイヤーやGMを一撃で倒すのではなく、痛め付けるような攻撃を繰り返していた。
「はぁはぁ、もうダメだ。
俺達はここでやられるんだ」
「こんなイベント参加するんじゃなかった」
プレイヤーの中にはもう戦う気力がなくなった者も出てきている。
「諦めるな。
必ず増援は来る」
そう言ってGM達はライバードに向かって攻撃を続ける。
しかし、誰もその増援を期待していない。
もう、それほど時間がたっていたのだった。
ギャァァァァ!
ライバードが空中で止まりプレイヤーとGMを見下ろす。
その嘴があざけ笑うように歪んだように見えた。
大きく翼を広げるライバード。
そして、大きく羽ばたいた翼から無数の羽根がプレイヤー達に向かって放たれた。
この羽根に当たれば一撃で貫かれ死んでしまう。
そんな一撃だった。
「くそう…」
プレイヤーやGMが諦めたその時、1つの光が飛び込んでくる。
その光輪は無数に分裂し、すべての羽根を切り裂いた。
驚く一同。
「八つ裂き光輪…」
その光輪を見てプレイヤーの1人が呟く。
そんなプレイヤー達の上を誰かが飛び出していく。
全身白のスーツに赤い模様。
スーツと同じようなフルフェイスを被り、首には5色の色で編まれたマフラーが風に舞っていた。
「あ、あれは」
GMの1人が声をあげる。
彼は研修中に教官から聞いた事があった。
自分達がログアウトしている時にバグが攻めてきて、その時にたった1人で戦った戦士がいたという事を。
「最強の戦士!」
その言葉に絶望していたプレイヤーやGMが立ち上がる。
(何とか間に合いました)
zero ultimate
0期生の力を借りて変身したのどかは胸を撫で下ろす。
見た感じ、やられている人はいない。
のどかは右手に大麻を取り出す。
それはよく、みこが使う道具だった。
それを手に、くるりと回ると大麻から淡い光が辺りを包む。
「お、傷が」
「体力が回復してるぞ」
倒れそうだったプレイヤーとGMが立ち上がり体を見る。
のどかはみこの力を使ってみんなを癒したのだった。
グギャァァァァ!
ライバードはのどかを敵とみなした。
他の者とは違うその相手にライバードは怒りの眼を向ける。
(ここからは私が相手です)
のどかは自らに気合いを入れる。
すると懐かしい声が頭に響いた。
『春先のどか。
本当の戦いが来た。
今こそカードとリングの全ての力を出しきるのだ』
それは昔聞いたリングの声。
その声に呼応するように、カードケースのカード達が光輝く。
のどかはリングの付いた右手でカードを掴む。
そして。
「ホロメンのみなさんの、絆の力お借りします」
その言葉と同時にカードを頭上に投げるのどか。
カードは光の粒子に変わり、のどかを中心に円のようにホロメン達の残像が次々に現れていく。
グガァ?
その光景にその場にいる誰もが驚く。
全てのホロメンが集結した時、のどかは天に手を伸ばす。
「今ここにホロメンのみなさんの絆を1つに。
Ring of Bonds」
ホロメン達全員の眼前を描くように光の円が広がる。
「ホロシウム光線!」
のどかの掛け声と共にホロメン各々が武器を前に出す。
そこから放たれる光が収束し、のどかの前に集まっていく。
そして、のどかは手をL字にして技を放つ。
それはまるで虹の光のようにライバードに向かっていった。
この一帯の勝負は終結へと向かっていく。
「やっぱりここに来たぺこか」
勇者の格好のぺこらはこちらに向かってくるコメント集の大群を見ていった。
「予想通り過ぎてバカらしくなってしまいますね」
両肩をあげ手を広げるマリン。
「そう言わない、ここをとられたらみんな困るんだよ」
「困るだけですみそうにないけどね」
ノエルの言葉にフレアが苦笑する。
「ありがとうです、みんな」
その後ろですまなそうにるしあが言った。
「何言ってるぺこか。
ノエルの言う通りここは絶対に渡せないぺこ」
そう言ってぺこらは後ろを向く。
そこはモンスターがやられたら行き着く場所。
【大霊園】の円形ドームの前だった。
ノエルの言う通り、ここをコメント集に落とされれば、やられたモンスターが際限なく復活してしまう。
そうなれば、ホロメン達やGM、プレイヤーがいくら頑張ったとしても劣勢になるのは目に見えていた。
「さぁ、あいつらに第三世代組の本気ってやつを見せてやるぺこ!」
『お~』
5人は自らの武器を持ち、影を見る。
ここはどうしても守らないといけない場所だった。
「ふぅ、きりがない」
自慢の魔法銃を撃ち続け、かなりの数の影や亜種を倒しているフレアがため息をつく。
「大丈夫?フレア」
メイス片手に敵をなぎ倒し戻ってきたノエルは、フレアを心配そうな表情で聞いた。
「ノエルもだいぶ無理してない?」
ノエルの鎧を見てフレアが言う。
「大丈夫、大丈夫」
ガッツポーズをとるノエルだが、その鎧のあちらこちらは欠けていた。
「おりゃおりゃおりゃ~」
最前線で【皇帝眼】を使って無敵になっているマリンがフラッグハルバードを振り回し、敵を殲滅している。
しかし、【皇帝眼】の無敵時間も後僅かだ。
「ふぅ」
「大丈夫?ぺこら」
「ん?もちろんぺこ」
るしあに言われてぺこらは笑顔で答える。
しかし、その姿は絶対勇者の姿だった。
(やっぱり、あの方法しか)
るしあはそう思い、4人に目を向ける。
みんなの疲労はあきらかだった。
「ごめん、ぺこら。
もう少しだけ耐えて」
そう言って【大霊園】の円形ドームに駆け出するしあ。
「ちょ、ちょっとるーちゃん」
ぺこらは止めようとしたが、るしあは止まらなかった。
ぺこらはノエル、フレア、マリンを見る。
3人は力強く頷いていた。
(私さえ我慢すれば)
るしあはそう思いながらドームに入る。
そして、奥にある装置に手を当てた。
もしもの為に作られた絶対防衛装置。
それはこの施設を操作する場所であるこのドームをゲームから切り離し隔離する事。
これを行えば、運営といえどもすぐには元に戻す事はできない。
その間るしあはこの施設の中で1人きりだ。
(1人は慣れっこです)
るしあはゆっくりと手を当てた場所を押し込む。
けたたましいサイレンが鳴り、ドームの入り口がゆっくりと閉まる。
(ここが閉まったらみんな逃げて。
もう大丈夫だから)
るしあは笑う。
その目に涙を溜めながら。
「させるかぁ~!」
「え!」
扉が閉まる直前、飛び込んでくる女性。
「ぺ、ぺこら!!」
「こんな事だろうと思ったぺこ」
「なんで、すぐには戻れないんだよ」
「構わないぺこ。
どうせ、絶対勇者が切れたらしばらく隔離だし」
「でも、切り離されたら誰とも会えなくなるんだよ」
涙声のるしあ。
「構わないぺこ。
るーちゃんがいるし」
そう言って笑うぺこら。
「だから、1人で頑張らなくてもいいぺこ」
そう言ってぺこらは優しくるしあを抱きしめた。
「それにぺこら達の仲間がどうにかするぺこよ」
ぺこらはそう言って閉まった扉を見て言った。
「間に合ったね」
「そうだね」
フレアは閉まったドアを見ながら言った。
ノエルも頷く。
「これでるしあ1人で寂しい思いしなくていいね」
マリンもそう言って頷く。
「後は私達お姉さん組がさっさと敵をやっつけて、2人を戻すのみ」
「おうさ」
「任されよ」
フレアの言葉にノエルとマリンが答える。
眼前にはまだまだ影が溢れている。
しかし、3人はここを通すつもりはない。
そして、その思いは誰かに必ず届く。
バサリ。
巨大な影が背後のドームの上に降り立った。
「間に合わなかった?」
その巨大な影、赤竜から降りてきたのは1人の天使。
「かなた!」
「そんな事ぜんぜんないよ」
ノエルがかなたに言った。
「るしあパイセン、絶対防衛装置を使われたんですね」
竜から人型に変わったココが降りてくる。
「うん、さっきね」
マリンが答えた。
「よかった、それならわためが力になれるよ」
そう言ってわためがココに続いて降りてくる。
「わため?」
フレアが少し驚き声をかける。
わためはそれを笑顔で応じながら変身した。
そして、扉の閉じたドームに手を当てる。
「どうですか?」
「ん~ん、あ、あった。
大丈夫掴んだからこっちに引っ張るね」
ココの言葉に笑顔で答えるわため。
「何したの?」
「え?超能力で切り離されたらドーム内の施設を掴んでこっちに繋ぎ合わせてる。
ま、超能力だし、設定とかお約束とかぶち壊しても、わため悪くないよね?」
ノエルの言葉にそうわためは舌を出して笑う。
「なら」
「はい、ここを守りきれば私達の勝ちです!」
マリンの言葉にココが答える。
「じゃ、いくよ!」
胸に手を当て変身するかなた。
『おう』
各々が武器を持ち直し気合いを入れる。
希望は掴んだ。
後は勝って友達を迎えるのみ。
「はぁ、はぁ」
「やっと終わったか」
ワープ空間の中、2人のGMが座り込む。
迫り来る影を全て倒した2人は、体中傷だらけになりながらも勝利した。
「しかし」
そう言ってワープ空間を見るさくや。
先程まではっきりとした空間だったワープ空間は、今は揺らぎ始めていた。
「長くいすぎたか」
フジもその揺らぐ空間を見て呟いた。
「これから向かっても間に合わないね」
「そうだな」
「だったら、せめてこれだけでも」
さくやはライオンバズーカを取り出した。
そして、1つの弾に自分の残りの力を込める。
フジもその弾に手を当てて力を込めた。
さくやはその弾をバズーカに込めて、ワープの先へと流す。
バズーカは勢いよくワープの先へと流れていった。
「大丈夫かな、あの2人」
「もちろん、俺達の仲間だぞ」
さくやにそう答えるフジ。
「ま、おにぃが言うならそうか」
ワープ空間の揺らぎが大きくなる。
もう空間が持たない。
「さて、これからどこに放り出されるやら」
フジがそう言って苦笑した。
「別にどこでもおにぃが一緒だし」
さくやはそう言ってフジにもたれ掛かる。
「ふう、そうだな。
どこだろうと2人いれば帰れるな」
フジはそう言って笑った。
そして、ワープ空間はゆっくりと消えていった。
各地で行われているコメント集との戦いでした。
先に進んだヒーロ達はさくや達の願いを受けとる事ができるのか?
そして、holoXと共にコメント集を消滅される事ができるのか?
次回最終回お楽しみに。