ホロライブ・オルタナティブver.IF外伝 ~GM戦隊グレートメンバー~   作:天野空

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無事?に予選を突破したヒーロ達。
マスクを一新したリーダーと共に最終戦に挑むのだった。
果たしてヒーロ達はこの争闘戦で、第六世代組の野望を止められるのか?


第9話 激戦 樹海争闘戦~後編~

「そうそう先に言っとかないといけない事がある」

さくやは決勝戦が決まったヒーロとリィスに向かって言った。

「解説席に博衣こよりがいる」

「はい?」

さくやの言葉に変な声を出すヒーロ。

「えっと本当ですか?」

「ああ、きちんといつもの挨拶してたからな」

リィスの言葉にフジが答えた。

「何やってるんだ運営は」

「ま、運営も一枚岩ではないからな」

ヒーロの言葉にため息混じりでさくやが答える。

「今のところ普通に解説役をしている。

ただし、他の第六世代組がここにいないとは限らない。

決勝戦も十分に気を引き締めていくように」

『はい』

さくやの言葉に元気よく返事をする2人。

そこにもう1人のチームメイトが現れた。

その人物を見て驚く4人。

「どうかしたか?」

そのチームメイトは笑いながらそう言った。

「えっと、いや、なんかマスクが変わったと言うか雰囲気が変わったと言うか…」

チームメイトを見てヒーロが答える。

「ああ、決勝戦だからな。

イメチェンしてみた」

そう言って笑うチームメイト。

そのマスクは確かに獅子のマスクだったが白が主に出た物だった。

そして、口元も隠されており完全に誰か分からない。

「ま、今からは私を白獅子仮面、もしくは白獅子さんと呼んでくれ」

白獅子はそうヒーロ達に言った。

「まさか、そうですか、そう言う事ですか」

白獅子を見てさくやは何か感づいたようだ。

「心配しなくていい。

今向かっているだろうから間に合うさ」

白獅子はさくやの方を向き言った。

さくやはその言葉に大きく目を見開いた後、ゆっくりと頭を下げた。

「ではな、私達は観客席で応援している。

もし、博衣こよりが変な動きをしたら、こちらで対処する。

そちらは任せたぞ」

『了解です』

さくやの言葉に3人は元気よく答えた。

 

『それでは、ただいまより第47回樹海争闘戦、本選を開催いたします。

決勝戦に残られたチームの方はステージに上がってください』

アナウンスが終わりヒーロ達はステージに上がる。

総勢10チーム。

予選の1位2位のチームが本選に出場する。

『それでは、本選のルールを説明します』

アナウンサーが本選のルール説明をし始めた。

本選は予選と違い全チームがレーダーに表示される。

本選に配布されるレーダーは、全体マップではなく遠距離が届く範囲だけのレーダー

しかも精度は低くレーダーに表示されているとしても隠れている場合そこがどこかまでは分からない。

そして、その表示されている相手も認識するまで誰かは分からない。

運が悪ければ優勝候補といきなりあたる可能性もある。

後、警戒して動かないと言うことを考慮して、時間と共にエリアが狭まっていく。

最終的に遠距離武器が届く範囲まで狭くなると言うことだった。

もし、そこまで逃げ回っていた場合、かなりの混戦になってしまう。

その事を踏まえ戦わないといけないようだ。

他に配布される武器とアイテムは予選と一緒で、もう一度選び直しもできる。

『以上です。

それでは各チームの代表者は1人ずつクジをひいていただきます。

全員ひき終えましたら番号順にエリアに入っていただき全員侵入した後、試合開始です』

ヒーロ達の代表者白獅子が番号をひきにいく。

戻ってきた白獅子がヒーロ達に見せた数字は5だった。

「真ん中ですね」

「これっていいんですか?」

ヒーロ達が白獅子に聞く。

「ま、早い方が場所取りができるけどほぼ変わらないよ」

「なるほど」

白獅子の言葉に頷くリィス。

その後、全チームがクジをひき終わり1番からエリアに入っていった。

「注意するべき相手は2番と9番」

チーム転送が行われている時に白獅子がヒーロ達に言った。

「2番は言うまでもなくトワ様のホロメンチーム、9番は予選を無傷で上がってきたチームだ」

(後は獅子仮面を最後に撃った相手だが…)

「確かにその2チームはやばそうですね」

「うん」

白獅子の言葉にヒーロ達が頷く。

「ま、予選の動きを見た感じではそこまで一方的にやられることはないと思う」

白獅子はそうヒーロ達に言った。

「まずはエリアに入ったら近くで潜伏。

試合開始と同時にレーダーに相手が表示させるからそれを確認してから動こう。

さっき言った2チームと鉢合わせにならないように祈りながら中に入ろうか」

白獅子はそう言って笑う。

そんな白獅子を見て2人は少し落ち着くことができた。

そして、ヒーロ達がエリアに入る出番となった。

「気合い入れていくぞ」

白獅子の言葉に2人は力強く頷く。

ヒーロ達の最終戦が今始まろうとしていた。

 

 

「近くにはいないな」

試合開始のアナウンスの後、潜伏していたヒーロ達に白獅子はレーダーを見ながら言った。

レーダーに地形は表示されず端の方に赤い枠が表示されているだけだった。

「この枠がエリア境界線だ。

それ以上は外には出れないし、中にも入ってこれない。

「時間がたてば狭まると言っていたのがこれだ」と白獅子が説明してくれた。

「それじゃ、この境界線にそって上に向かおうか」

『了解です』

白獅子の提案に2人は返事をして3人は上へと境界線を沿うように移動した。

 

「なんとかやれてる」

ヒーロは2チーム目を撃破したところで一息を付く。

「はい。

ま、ほとんどが白獅子さんの力ですけど」

嬉しそうだが喜んでいいのか分からないリィス。

「ん?

2人とも十分やれてるよ」

白獅子はリィスを見て言った。

その言葉にリィスは嬉しそうに微笑む。

「少し休憩したら上がるよ」

「はい」

しばらく歩いた後、リィスが2人に止まるように伝えた。

「どうした?」

ヒーロが聞く。

「レーダーに反応が」

リィスの言葉に2人もレーダーを見た。

「本当だ。

でも、1人?」

レーダーにうつっている反応は1つ。

「引き返して反対回りで行くよ」

白獅子はそう答えて来た道を戻る。

「え?どうしてですか?相手は1人なのに」

ヒーロは白獅子の後を追いながら声をかけた。

リィスもその後に続く。

「あれは9番だ。

残りの2人も遠距離が届くギリギリで待機している。

予選での戦い方から間違いないだろう」

「完全回避の囮役」

リィスはそう呟く。

「そう、だからバカ正直に1人だけでいられる。

絶対の自信があるんだろうな。

だから、まだ戦わない。

戦う時はいずれ来る」

そして、3人は先程とは逆方向に進み始めた。

 

「いないですね」

あれから逆方向に進んだが他のチームとはぶつからなかった。

「ならそろそろかな」

リィスの言葉にそう白獅子が答えた時にアナウンスが入った。

『時間によりフィールドが短縮されます』

その宣言通りエリア境界線が迫ってくる。

「真ん中に向かう」

それを見て白獅子が答えた。

2人は頷き3人はフィールドの中心へと歩き始めた。

「予想では、あと私達を入れて残りは3チームだと思う」

「それは入る前に言っていた?」

「そう、その2チームが残っているはず。

そして、もうフィールドの中心付近で戦闘が始まってると思う」

「レーダーに反応。

全部で5つです」

フィールドの中心近くに来た時にリィスが言った。

「5つ?」

リィスの言葉に驚くヒーロ。

「たぶんどちらか1人はとられてるみたいだね」

白獅子はそう呟く。

そして、3人は先に戦っていた2人を確認した。

 

「トワ様とサスマタ?」

接近戦で激しく戦っている2人を見てヒーロが言った。

トワの攻撃を紙一重で避け続ける。

時折、トワに向かって撃たれるスナイパーライフルの弾をトワは切り落としながら戦っている。

「ライフルの弾って切り落とせるんですか?」

「同じ能力なんだよな?

なんであんなに避けられる?」

ヒーロ達2人は驚きながら見守る。

「確かに性能は同じでもそれをどれだけ引きだせれるかによって能力は変わるよ」

白獅子は周囲に気を配りながらヒーロ達に答えた。

「それじゃ、始める前に。

あのホロメンと戦ってるのは確実に第六世代組だから無理に勝とうとは思わず、出きるなら隙を作ってほしい」

「え?第六世代組ですか?」

「そう、トワ様と戦ってるのがクロヱちゃんだね」

(?言い回しが)

白獅子の言い方にヒーロが少し疑問に思ったが、あの戦いを見れば何故か納得がいく。

「私は今から隠れてる3人をどうにか引っ張り出すから2人は第六世代組をどうにか狙ってくれる」

『分かりました』

「じゃ、行くよ!」

その言葉と同時に白獅子が隠れていた場所からトワ達の方に走り出す。

それに応じてどこからともなく弾が撃たれるが、白獅子はそれを時にソードで切り落とし、時にスナイパーライフルで応戦する。

するとクロヱの方の森から2つの人影が現れた。

フウマとロークだ。

それを確認した瞬間、白獅子はその2人へと方向転換する。

「な!」

驚くフウマ。

咄嗟にロークの前に出たフウマは白獅子に攻撃した。

切り結ぶ2人。

その横をロークが抜け、トワ達の方に出る。

ヒーロ達もトワ達の方へ向かった。

ロークがクロヱと合流。

ロークに変わってクロヱがヒーロ達の方へ向かう。

が、そこに横からあくあが森から現れクロヱを攻撃する。

それを見たリィスはヒーロから離れて、トワ達の方に向かった。

 

切り結んだ2人が離れお互いを見る。

同じ屈強な男性2人。

なのだが、白獅子はフウマに向かってある名を出した。

「フウマ、風に真って漢字だと書くのかな?」

「さぁ、どうでしょうね」

そう言って笑うフウマ。

「そっちこそ、白い獅子は覚えがあります」

「そう?よくあると思うけど」

お互いに笑う。

フウマが勢いよく間合いを摘める。

しかし、白獅子はバックステップで間合いを取りながらガトリングを撃った。

手数の多いガトリングだが、その弾の弾道は直線。

フウマはそれを見越して回避している。

チラッと横を見る白獅子。

「させない!」

何かに気づいたのかフウマは白獅子に斬りかかる。

「さすがに隙までは出来ないか」

それをソードで受け止めながら白獅子は笑った。

先程の白獅子の目線の先にはロークがいた。

 

「やるねぇ、あんた」

ロークと相対するトワが言った。

ロークがクロヱとスイッチした後、ロークがトワと接近戦を行っていた。

「そうですか?

こっちはだいぶ傷だらけですけど?」

はぁはぁと肩を揺らし息をしながら回復薬を使うローク。

「それに隙をついてちょっかいかけてくる子もいるし」

そう言ってリィスをちらっと見るトワ。

確かにトワの言う通り先程からちょっかいを出す感じでハンドガンを撃ち込むリィスだったが、正直2人の戦いに入ってはいけていなかった。

それほど目の前の2人の戦いは高度なやり取りを繰り広げていた。

しかし、リィスの目からはトワの方が押しているように見えているが。

「さて、どうしたものでしょうか?」

ロークがトワに向かってそう言うとトワはまたロークを見る。

お互いに睨み合ったまま動かない。

周りからの掩護射撃も今はなかった。

一瞬、ロークがにやっと笑ったようにリィスには見えた。

そして、ロークが動き出す。

相手はリィス!

「え?」

自分に来るとは思ってみなかったのか一瞬動作が遅れた。

「な、相手はトワがしてる!」

トワはそう言ってロークを追いかけソードで攻撃を仕掛けた。

「やっぱり、トワ様は天使ですね。

自分より弱い相手を敵だと分かってても守ろうなんて」

背中から来るトワにロークはそう言うと、リィスにぶつかる瞬間一瞬でリィスの背後に回り後ろから背中で押した。

ロークの動きについていけてないリィスは背中を押され体勢を崩しながら前へ、トワへとぶつかっていく。

咄嗟に受け止めるトワ。

そして、リィスの背後でロークは構えていた小型ミサイルを発射した。

「く」

トワは敵であるリィスを抱きしめ小型ミサイルの盾となる。

そして、小型ミサイルは爆発した。

「トワ様!」

爆発の後、倒れているトワにリィスが声をかける。

「はは、ドジったぁ」

徐々に光になりながらトワは呟く。

「なんで」

「なんでかな、なんか守らないといけない気がしたから」

トワの手を握るリィス。

トワはその手を握り返し光と消えた。

「これは試合ですから、悪く思わないでくださいね?」

座り込むリィスの背後にいつの間にか立つロークは、その背にソードを突き刺した。

「リィス!!」

ゆっくりと光に変わっていくリィスは声をかけてきたヒーロに微笑み消えた。

 

「くそう!」

「行っても仕方ない、もうあっちは決着ついてる」

ヒーロの目の前にいるクロヱが言った。

姿は小柄な少女になっているが、中身はあの第六世代組。

さっきから攻撃を仕掛けているがヒーロの攻撃は1発もクロヱには当たっていなかった。

「なぜ攻撃してこない!」

ヒーロの言う通りクロヱは避けるだけでヒーロに攻撃をしてこない。

「避けるだけなのか、あんたは!」

ダン!

「うが」

膝をつくヒーロ。

目の前のクロヱはハンドガンを構えていた。

「当てようと思えばすぐにでも当てられる。

ただの時間稼ぎ。

それくらい分からない?」

冷ややかに言うクロヱ。

「…」

ヒーロは最後の回復薬を使いながらクロヱを睨む。

(どうする?

攻撃が当たらないんじゃ足止めにもならない)

さっきからどこからともなくクロヱに向かってスナイパーライフルの弾が撃ち込まれているが、見てないその弾さえもクロヱは避けていた。

「でも、もう時間稼ぎもいらないか。

目的は後1人」

クロヱはそう呟き、ヒーロの斜め後ろの森を見る。

(どうする?

一撃でいい。

動きさえ止められれば)

そう考えるヒーロにふとサバイバル訓練で教官が言った言葉を思い出す。

(猪突猛進にはなるな、状況を見ろそして、そこから最善の策をとれ)

「おらぁ!」

ヒーロはクロヱに向かってハンドガンを撃つ。

「バカのひとつ覚え?」

クロヱはその弾を軽く避ける。

ヒーロは諦めず動き続けながら撃ち続けた。

時折、森から撃たれるスナイパーライフル。

しかし、クロヱはその弾をやはり全て避けていた。

(やっぱり、なら!)

その動きを見ていたヒーロは、何かを感じたのかハンドガンを撃った後突如クロヱに飛び掛かる。

「バカ?」

そのヒーロさえも紙一重で避けるクロヱ。

その手にはソードが持たれていた。

「避けると思った!」

ヒーロはそう言ってクロヱの真横で地面を勢いよく蹴る。

そして、そのままヒーロはクロヱに突進した。

「!!」

いきなりの事で一瞬クロヱの動きが止まる。

しかし、その一瞬が今のヒーロには十分の時間だった。

クロヱの腰を抱き締める形で動きを止めるヒーロ。

「離せ!」

「白獅子さん!」

暴れるクロヱを押さえながら叫ぶヒーロ。

(よくやったよ)

チーム通信から白獅子の声が聞こえた。

「く!」

クロヱは飛んできた弾丸をソードで切り落とす。

白獅子がフウマの戦いの中撃ったのだ。

「このぉ」

クロヱは自分を捕らえるヒーロに向かってソードを振り下ろす。

ガ!

背中に突き刺さるソード。

「くそう」

光に徐々に変わるヒーロ。

しかし、ヒーロが掴んだ腰もまた光に変わっている。

「え?」

ヒーロは見た。

憎らしげに笑いながら森から出てきている1人の人物を見るクロヱを。

そして、その先にスナイパーライフルを構えているあくあを。

「今回はひいてあげる」

そう声を聞いてヒーロは光になって消えた。

 

 

「お疲れ様です」

「え?」

そう誰かに声をかけられヒーロは気がつく。

そこは【樹海】に入る門の前のステージ。

声の方を見ると笑顔でリィスがヒーロを覗き込んでいた。

「ま、よくやった方だな」

その横からさくやが声をかけてきた。

「あ、ありがとうございます。

あれ?フジ先輩は?」

周りを見るヒーロ。

「ああ、ノリノリで解説してる博衣こよりを監視してもらってる」

そう言われてよく聞いてみれば確かにノリノリのこよりのアナウンスが聞こえてくる。

ふとステージの端に立つある人物が目に止まったヒーロ。

「さくや先輩、あそこにいるのは第六世代組の沙花叉クロヱです」

さくやにヒーロは言った。

「ああ、リィスから聞いている。

しかし、現状彼女を捕まえる事は出来ない。

何もしてないからな」

「確かに」

そうクロヱはただ今回試合に出ただけだ。

再封印が出ているラプラスと違い他の第六世代組は、何か暗躍はしていてもそれが表にでない限り手出しは出来ない。

「ま、今はゆっくりと観戦しろ。

お前達のリーダーはまだ健在だからな」

さくやに言われて門の前に浮かぶ巨大なモニターを見る。

そこにはフウマと対峙している白獅子の姿が映っていた。

 

 

「後は私達含めて4人か」

フウマを見ながら白獅子が言った。

少し離れてあくあとロークが対峙している。

ダン!

突如離れたロークにスナイパーライフルを撃つ白獅子。

しかし、弾を大きく外れて明後日の方向に。

撃つ寸前にフウマが白獅子のスナイパーライフルをソードで下から打ち上げたのだ。

「危ないな」

接近戦の間合いで白獅子に言うフウマ。

「そう?」

とぼける白獅子の手にもソードが握られている。

白獅子の不意の攻撃を何とかフウマは封じてはいるものの、あくあ達は白獅子達の方も警戒しなければならないようになっている。

「さすがと言うべきか」

ぼそっと呟くフウマ。

「いつまでその喋り方続けるつもり?

そんなんじゃ、本気出せないんじゃない?」

白獅子は笑ってフウマに言った。

「べ、別に普段からこんな喋り方だが!」

少しむきになるフウマ。

「ふぅん。

おさるはどこかに落としてきた?」

「な、おさるじゃない、ござるでござる!

あ!」

「そうそう、その方が調子でるでしょ。

お侍さん!」

下からソードを切り上げる白獅子。

それを紙一重で避けるフウマ。

「はぁ、せっかくの役作りが無駄になるでござるよ」

フウマいや、風真いろはは呟く。

「はじめからバレバレだったけど?」

「な、そんなことはないでござる!

それを言うなら白獅子どのだって、ぼたん先輩ではないですか!」

そういろはに言われ笑う白獅子。

「それは内緒な」

 

「え?

白獅子さんて獅白ぼたんさんなんですか?」

ステージで座ってモニターを見ていたヒーロがさくやの言葉に驚く。

「そうだ。

あの姿は間違いなくあの時のままだしな」

「それじゃ、獅子仮面さんはぼたんさん?」

「いや、あれは総隊長だ。

今は急な用事で本部に戻っているがな」

(傷の事は伏せといた方がいいだろう)

「なんで総隊長の変わりに」

さくやとヒーロのやり取りを聞いていたリィスが疑問を言った。

「それは総隊長がSSRB団だからだ」

『はい?』

さくやの言葉に2人はハモった。

「なるほど、そんな事が…」

昔の事情を聞いて頷くヒーロ。

「そんな訳だからよく見とけよ。

ぼたんさんの腕を見れるのはそうそうないからな」

さくやはヒーロ達に言う。

『分かりました』

そして、2人はモニターを見た。

ぼたんといろはは今まさに近中距離戦を繰り広げていた。

 

「さすがに接近戦では分が悪いか」

「よく言うでござる、分が悪いのはこちらでござるよ」

近距離と中距離の武器変更が恐ろしく早いぼたんにいろはは押されていた。

それに少し離れるとすぐにあくあ達へと牽制しようとするぼたん。

その度に何とか邪魔をして弾道を外してはいるもののこのままではいずれ弾が命中する。

何合かして距離を取るぼたん。

また、ロークを狙う。

「させない!」

いろははそのぼたんの行動に咄嗟に体が動いていた。

「待ってたよ」

ぼたんの言葉に目を見開くいろは。

さっきまでハンドガンを使っていたぼたんは、ここまでの戦いで手に入れたガトリングをいろはの目の前に向けていた。

ぼたんは待っていた。

牽制を何度もする事で、牽制する動作をしたら不用意に近づいてくるように仕向けていたのだ。

「く」

咄嗟に防御をするも遅く、ぼたんのガトリングはいろはに放たれた。

手数の多いが威力の小さいガトリング。

しかし、それを連続で撃ち込まれ続ければいくら威力が低いと言えどもダメージは大きい。

そして、スナイパーライフルを構えたぼたんがいろはを狙う。

遠距離までガトリングを撃ち込まれ続けたいろはにそれを対処する力は残っていない。

そして、ぼたんは引き金を引いた。

ダン!

「隙ないですね」

引き金を引いたその瞬間を狙ってロークが撃った弾をぼたんはあっさりと避けていた。

「さぁ、最終戦するかい?」

ぼたんはそう言ってあくあとロークを見た。

 

ぼたんによっていろはは消えた。

残りは3人。

ぼたんはロークを、ロークはあくあ、あくあはぼたんに各々武器を構え硬直状態が続く。

各々2人に視線を移しながら出方を伺う。

誰が初めに動くのか?

動けば狙っていない方にやられる、そんな空間だ。

しかし、その時間は永遠には続かなかった。

ダン!

突然均衡を破るようにロークがあくあを撃つ。

咄嗟に避けるあくあ。

その隙を逃さずぼたんはロークを撃った。

しかし、そのヘッドショットを避けるローク。

その動きに少し驚いたぼたんだったが、すぐに次を撃つ。

しかし、また避ける。

「な、怖いんだけど!」

あくあもロークを撃つが避ける。

あくあが怖がるのも分かる。

ぼたんが撃っているのはロークの側面。

そしてロークは一切ぼたんの方を向かずあくあを凝視したまま弾を避けているのだ。

まるで体は別の人物が動かしているように。

(なんだ?

この違和感)

ぼたんは止まらずロークを狙う。

たまに被弾はするロークだが腕で受けたりして致命傷はさけている。

(なぜ、そんなにあくあ先輩を見ている?)

そう思ったぼたんは確かに何かを感じた。

(まさか!)

ダン!

ぼたんが今度狙ったのはロークの目。

弾はロークの目をかすり潰す。

この3人になって初めてぼたんの方を向いたローク。

そのロークはぼたんを見てにやっと笑った。

ダダダダ!

その瞬間、あくあのハンドガンの連発がロークに全て当たりロークは光となって消えた。

「こ、怖すぎる」

ハンドガンを下ろし、肩で息をするあくあ。

そんなあくあに不用意に近づくぼたん。

「え?え?」

不用意すぎて戸惑うあくあ。

「ごめん、あくあ先輩」

そう言ってぼたんはあくあの胸を軽く叩く。

「え?きゃ」

突然胸を触られびっくりするあくあは、目の前に自分のステータス画面が出た事にまたびっくりする。

「え?なんでステータス画面出せるの?」

ちなみにステータス画面は基本自分しか開けない。

ただ、ホロメン同士ならこういった事もできるようになっていた。

(はは、私も同じホロメンですから)

そう思いながらぼたんはあくあのあるステータスを確認する。

(やっぱり)

確認が終わった後、ぼたんはステータス画面を叩いて元に戻す。

それから数歩あくあから離れた。

 

「さぁ、仕切り直しと行きましょうか、あくあ先輩」

ハンドガンを構えるぼたん。

「え?もしかして、ぼたんちゃん?」

あくあもハンドガンを構えて聞く。

「ま、今は白獅子仮面ですけど」

「なるほど。

じゃ、あのあてぃし達が出れなかった時に現れた白獅子さんって事ね」

何故か嬉しそうに言うあくあ。

「本当は今回も観客のつもりだったんですけど」

そう言って笑うぼたん。

「それはもったいない。

いつか戦いたかったから」

「お手柔らかに」

そして、お互いのハンドガンが火を吹いた。

お互いにヘッドショット。

(まじかぁ!)

ぼたんは弾を避けながらあくあを見る。

あくあはぼたんの弾を自分よりすれすれで避け、なおかつこちらをじっと見ている姿に身震いした。

(完全に獲物を狙う猟犬の顔ですよ、あくあ先輩)

お互いに中距離を保ちながら撃ち合う。

ぼたんは完全に沈めるつもりで撃っているのだが、あくあはそれを全て紙一重で避け、カウンターを撃ってくる。

(笑いが止まらない)

ぼたんはそう思った。

(本気だ、ここまで全力を出せるのはいつぶりか。

それも一対一で)

ぼたんの実力はこのゲームの世界のAIでも健在だった。

(本気を出せば、他のホロメンにも負けない自信がある。

それを今目の前にいる先輩はこうも簡単に返してくれる。

嬉しい以外何がある)

ぼたんはいっそう狙いを定め撃ち込む。

あくあはナイフに切り替え間合いを詰めてくる。

(あはははははは)

自分の撃つ弾をナイフで打ち落としながらそれは距離を詰めてくる。

ギャン!

あくあのナイフをソードで受けるぼたん。

あの弾幕の中、間合いを詰めたあくあにぼたんは恐怖すら感じた。

「すごいです」

そのぼたんの言葉にあくあはにこっと可愛らしく笑った。

 

 

『試合終了です』

アナウンスが流れる。

アナウンサーがこよりに今回の試合について聞いていた。

「ごめんな」

そう白獅子はヒーロ達に言った。

「そ、そんな事」

ヒーロは恐縮して返事をする。

目の前にいるのは屈強な男性ではなく、引き締まった体に抜群のプロポーションを持つ女性だ。

被っているマスクは、破れて口元が露になっていた。

結果はぼたん達の負けだった。

別にあくあに負けたのではなく、ぼたん達の反則負け。

なので壇上にも上がれなかった。

反則負けになった理由は試合途中での選手交代。

登録されていない人が試合に出たことだ。

この場合、獅子仮面と白獅子仮面がマスクを変更しただけではなく中身が違う人だった事が問題だった。

あくあとの戦いの中、楽しすぎてぼたんが紙一重でナイフを避けた時にマスクを破られ、変身機能が壊れ、ぼたんの本来の体が露になった。

あくあは「ごめんなさい」と謝っていたが、ぼたんは笑いながら「大丈夫です」と答えていた。

「そういえばいつの間にか第六世代組いないですね」

ヒーロはステージを見ながら言う。

「今回、どんな目的だったんでしょう」

「さぁ、ただ試合をしただけのような感じだったが」

リィスの疑問にさくやが答えた。

その言葉を聞いてぼたんは1人何かを考えるようだった。

「ま、なんにせよ、ご苦労だった。

長かった試合もこれで終わりだ。

ゆっくりと休め」

さくやはそう2人に言う。

『はい、ありがとうございます』

「ぼたんさんもありがとうございました」

さくやはぼたんに礼を言った。

「楽しかったよ」

さくやの言葉にぼたんは微笑みながら答える。

そして、長かった樹海争闘戦は幕を閉じた。




「例の件、処理を完了して現在は通常通りに動くそうです」
「そう、よかった」
デスクにつくAちゃんはのどかの報告を聞いてふぅと息を吐く。
「でも、今回の件、コメント集ってなんですか?」
のどかは自分の手元の資料を見ながら言った。
「これ…ね。
よくネットで言われるでしょ、様々なコメントでいろいろな人が傷ついて、時には亡くなる。
もちろん、コメントによって元気をもらうっていうのもあるわ。
昨今、技術も進化して私達みたいなAIが活動するような分野が増えてきた。
そんな時よ、このコメントが力を持ち始めた。
1つ1つは弱いんだけど、コメントが集まった時、私達みたいなAIやゲームキャラはそのコメント集に犯される。
自分の意識が奪われ、気分が高揚して何をするか分からない。
そして、最後には自滅する。
コメントによってこの世から消えてしまうの。
別にコメントが悪いって訳じゃないわ。
ただ、そのコメントは誰かに確実に影響する。
それを書いてる人や言った人は知らなすぎる。
ま、うちのGMは優秀だから対処方法は確立してるんだけど」
そう言ってAちゃんは力なく微笑む。
話を聞いていたのどかも身震いした。
「あの時、全てなくなったんだと思ったんだけど」
Aちゃんは最後に悲しそうな顔で言った。
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