某日、ダンジョン王国。
「「「サキュバスの労働環境の改善を!」」」
今日もサキュバス達はデモ活動を行っていた。
「…あんな事をいくらしたところで無意味だというのになぜ分からないのかしら」
金髪の髪を靡かせながらデモ活動を行うサキュバス達を冷ややかに見る人物がいた。
彼女の名はサキュラ、サキュバスである。
「サキュラ様…」
彼女の背後から2人のサキュバスが現れる。
「貴方達…『希望』は見つかりそう?」
「それがまだ…引き続き調査は続けてます」
「そう…お願いね」
去っていくサキュバス達を見送るサキュラ、その目は決意の炎が燃えているかのように紅く輝く。
「絶対に見つけるわ、私達の為にも…‼︎」
「う〜ん!ようやく着いた!」
「ユズ、人前ではしたないわよ」
サキュバス村の入り口でユズが大きく体を伸ばしながら言うユズにビアンカが陳言する。
「だって久しぶりの故郷なんだもん!楽しくなるよね、相棒!」
ユズは満点の笑顔を女騎士に向ける
「さあ、早く用事を済ませてゆっくり休みましょう」
「そうだね、2人とも行こう!」
3人がサキュバス村に来た理由、それはサキュバスカフェという新しい業務形態を築いたユズと女騎士。
そして、冒険家稼業に戻るまで常にトップランクであったビアンカ。
3人は今年、サキュバス養成学校の新入生達に講義をしてほしいという依頼が来たのでこうしてやって来たのだ。
「まだ時間に余裕はあるとはいえ遅刻はしたくないわ、早く向かいましょう」
ビアンカの号令のもと、3人はサキュバス養成学校へと向かった。
数時間後…
「ふぅ…疲れたねー」
「そうね、まさか質問があんなに止まらないとは思わなかったわ」
講義に出た3人、中々の光景だったのを覚えている。
「ドリームセラピーのコツは?」
「サキュバスとしての心構えは?」
「ニューチューバーって儲かりますか?」
「オススメの美容法は?」
「あの…サイン下さい!」
とまあ色々とありながらも何とか講義を終えて、今は養成学校近くのカフェでのんびりと寛いでいた。
そんな中、後ろの席にいた魔族達の話が女騎士の耳に入る。
「なあ最近、サキュバス達のデモが過激になってないか?」
「ああ、少し前から不当な扱いをしている店を荒らしたり、聞いた話じゃあ誘拐までしてるらしいぜ」
「マジかよ!何だってそんな事を?」
「まとめ役みたいなのがいてサキュバス達に指示してるんだと、ただ…」
「ただ?」
「誘拐された連中は生気を少し吸われただけですぐに解放されるんだとか」
「何だそれ?」
「さあな、ただ解放された奴らが言うには誰かを探しているらしいぜ」
「誰かって?」
「そこまでは知らん」
盗み聞きは良くないが聞いたところ、どうやらダンジョン王国で何か物騒な事が起きているらしい。
「なにをボーッとしてるのかしら」
ビアンカに声をかけられハッとする女騎士。どうも気になるので先程聞いた話を2人にする。
「うーん…ここには久しぶりに戻って来たし、私は知らないなぁ」
ユズに心当たりはなさそうだ。
「確かに、最近は一部のサキュバスが暴徒化して騒ぎを起こしていると聞いた事があるわ」
「そうなの!?」
「とはいえ、彼女達が騒ぎを起こすのはサキュバスに不当な労働をさせたり、賃金を碌に払わない悪徳な店ばかりだから万が一にも私達が巻き込まれるなんて事はないはずよ」
ビアンカの話に聞き入る2人。
「だからといって暴徒である以上、危険なのには変わりないわ貴方達も気をつけなさい」
「うん、分かった!」
談笑を終え、帰路に着く3人。
ビアンカは自分の屋敷へ、女騎士はユズの家に泊まるので、2人でユズの家に向かった。
帰り道、視線のようなものを感じ振り向く女騎士。
「どうしたの相棒?」
ユズが気づいていないあたり、見られているのは自分だけのようだ。
何でもないとユズに告げながらも先程カフェで聞いた話を思い出し、警戒しながらユズの家へと向かったのであった。