宇宙へ到達した超戦艦のお話   作:バトルマニア(作者)

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 異次元大会に出るかもしれない話……


~おまけ~出場するらしい

 

 目的地に行く途中で、暇になった一人と一機は適当な雑談をしていた。

 

「いつ頃に着くんだ?」

『千年ぐらいはかかるんじゃないでしょうかね?』

 

 巨大銀河の中心に着くのにどれだけかかるのか気になっていた鈴木は、なんてことなさそうに戦艦に聞く。それで返って来た答えが意外に長い時間だった。

 

「なんで?かかりすぎだろ」

『装置が万全でないのと、宇宙世界。特に銀河内は障害物が多いので、超加速が使えないんですよ。空間移動系はやりやすくなったんですがね。適度にスカスカだから』

 

 超加速は、光速を超え際限なく速度を引き上げ続ける移動手段であり、普通に秒間/光年単位での移動を可能にする。だが早すぎて直進以外に進むことができず、おまけに移動範囲の周囲ごと削り落とすという性質があった。しかも事故ると銀河程度であれば丸々消滅させる程の被害が発生する、非常に厄介なものなのだ。

 

「空間移動か。こっちは空間が安定してるのか?」

『虚空や狭間世界に比べて、非常に安定していますよ。空間移動も次元移動も使い放題ですね』

 

 狭間世界は空間に関するものが超高密度かつ不安定で、無暗に瞬間移動や距離操作などの空間移動などをしようとすると大変なことになる。それこそ能力者や専用の装置がないと問答無用でぐちゃぐちゃにされることも珍しくない。だから長期運用を前提とした空間拡張や亜空間関係の技術は好かれないのだ。

 

「狭間世界に比べると密度も複雑さも大したことないし、虚空程何もないわけじゃない。何より無がないからな」

『そうですね。安全性も維持コストが非常に安く済みます。ちゃんと研究すれば狭間世界でも……無理ですね。壊されます』

 

 そもそも空間関係の操作と相性が悪い狭間世界なのに、それを簡単に壊せる奴が多すぎるというのも問題であった。

 

 

「にしても、お前だったら効率考えて障害物とかお構いなしに進むと思ってたんだがな」

『現状の空間移動でもその程度ならできますよ。そうすれば一年もかかりませんし。あくまであなたが無暗に壊すなと要望したのでそうしているだけです』

 

 あくまで鈴木の要望で遅くなっているのだ。周囲を考慮しなかければさっさと終わることを……

 

「そうだったな、悪い……そういやなにか知的存在は観測できたか?」

『はい、いくつかは。ですがルートから離れてまで行く必要はないので無視してます』

 

 そこそこ発展した星がいくつかあるが、せいぜい宇宙に進出できているかどうかが限界の惑星には興味がない様で、後回しにされていた。

 

「そうか、高度な文明は少ないか」

『いわゆる銀河帝国だとか、宇宙帝国だとかがあればいいんですがね。技術の回収が期待できますので』

 

 星々を支配する程度であれば、戦艦も注目するだろう。だが今のところそういう文明は観測されていない。

 

「能力とか神とかがいるのにな」

『こういう世界は星の外へ出る必要がないんでしょうね。と言うか余裕がないというか、思いつかないと言いますか、なんせ宇宙なんて広いだけで費用対効果に合いませんから。並行世界や異世界に行った方が効率がいいですし、宇宙開発と言ってもせいぜい恒星系が限界ですよ』

 

 確証もない他の星にまで行ってやることなどあまりないのだ。特に能力や神があればそれで事足りてしまう。

 

「虚空に近い世界だもんな。そらスカスカだ」

『廃棄かその先の消滅を待つだけの世界ですから』

 

 虚空に近い世界はスカスカな世界しかない。それは滅びかかっている世界であり、それを防ぐために世界はあらゆる手段を用いて強引に存在を維持している。その影響で世界は複雑化したり莫大なエネルギーが発生し、能力や神と言った高位存在が生まれるのだ。これは滅びが近い世界程その傾向が強くなる。

 

「折角だからもっと内側に行きたいんだがな」

『難しいですね。内側へ行けば行くほど安定した世界ですので、付け入る隙がありません。それに単純な法則だけで成り立っている世界ですから、異物には敏感で入った瞬間に押し出されます』

 

 そもそもが入る隙間がなく、もし強引には入れたとしても、入った世界部位ごと切り離されて、行こうとした世界に酷似した並行世界(世界レベルの捨て駒)に辿り着いてしまう。これにより安定世界に入ることができない。

 

「じゃあさ、不明級ならいけるのかね?」

『それこそわかりませんよ。不明級は何ができるのかわからない連中ですから』

 

 不明級。それはよくわからない者たちの事である。しいて言うなら、どいつもこいつも規格外の怪物ぞろいと言うことだけだ。

 

 

「だよな。……そういやここネット繋がんの?」

『考えたことありませんね。ちょっと待ってください。え~と……あっ、繋がりました』

 

 Wi-Fiっぽいものが繋がり、驚く一人と一機。

 

「ありえんだろ。まさかお前も不明級に……」

『縁起でもないこと言わないでください。ですがそうですね。いくら施設があるとはいえ、世界を超えてまで繋がるとは……やはり特級技術は凄いですね』

 

 一方的に送れても、こちらからは受信できないと思っていた戦艦は、少し誇らしげにネットを開いた。

 

「おうおう、普通に繋がってる。流石は量子通信機。俺が運営していたサイトは……残ってないか」

『どれほど時間経ってると思ってるんですか。管理もされていないのであれば当然でしょう』

 

 長すぎる年月と、そもそも人気のない個人サイトなど残っているはずもなく、キレイさっぱり消えていた。

 

「情報局め、俺の凝りに凝ったサイトをよくも……」

『余計なものを削るのはよくあることです。あと有用な情報は収集されていると思うので大丈夫ですよ。ほんとに有用ならですが……』

 

 今も昔も最大手のサーバー、情報局を使わしてもらっていたのにこのいい様である。それに呆れながら戦艦は価値があるなら多少は残っているはずだと言っていた。

 

 

「まぁ仕方がない。それにしても動画も放送も普通に使えるな。へ~今はこうなってるんだ」

『買いものもできるみたいですよ。まぁここだと……』

 

 やり取りできても、物理的に来れないのだから無意味かと戦艦が思った瞬間、あることを閃いていた。

 

『不明級だったらもしかして……』

「おっ、注文すんのか?じゃあこれとこれ頼もうぜ」

 

『あっ……』

 

 戦艦の考えなどつゆ知らず、鈴木はそう言いちゃっちゃっと注文を済ませる。

 

「そういや金あったかな?まぁ足りなきゃ狭間金融から借りればいいだろ。最悪ここの適当に売りさばけば数億は手に入る」

『ひどい言いようですね。まぁ私も頼みましたが……』

 

 サラッと戦艦も買い物をしたようで、注文済みになっていた。

 

 そして――

 

「狭間速達でーす!」

 

「お、来た来た。やっぱ狭間運輸は優秀だな」

『ホントに来ましたよ』

 

 一分もたたずに、突如として目の前に配達物を持った兎の獣人娘が飛び出してくる。それになんの違和感も覚えない鈴木と、若干の気味悪さを覚える戦艦。

 

「こちら鈴木 賢治様と戦艦様で間違いないでしょうか?」

 

「ああ、何の問題もない」

『はい、合ってます』

 

 兎娘は何も気にしてないようにスラスラと手続きをして……

 

『って、そうじゃない!』

 

「どうしましたか、お客様?」

「どうしたんだよ?」

 

 戦艦が突っ込む。

 

『どうやってここに来たんですか!』

「ん?そういやどうやって来たんだ?」

 

「どうやってって、普通に『跳躍』してきたんですが……」

 

 困ったようにそう言う兎娘に、更に困惑する鈴木と戦艦。

 

『い、意味わかりません。これが不明級の力ですか』

「不明級……あっ!そういや速達部と言えば!」

 

 そこで鈴木も思い出していた。それは速達部と言う、何時でも 何処でも 何物でも 必ず3分以内に届けてくれるサービスをしている組織があったと……

 

『私たちがあれだけ苦労して乗り越えた虚空が……』

「跳躍の一回で……」

 

「いえいえ、一回ではありませんよ。途中で邪魔が入って少し遅れましたし」

 

 あれは危なかったと、思い返しながら兎娘は安堵した顔をしていた。

 

『誰に?』

「何に?」

 

「こっちに来てから管理者とか言う奴に襲撃を受けたんですよ。危うくお客様の商品が消し飛ぶところでした。逃げきれてよかったです」

 

 どうやら管理者に攻撃を受けて、コンマ数秒とは言え遅れていたようだ。兎娘はそれを申し訳なく思っているようで、とある提案をしてきた。

 

「もし差し支えなければ、お詫びとしてこの戦艦の整備を無料で請け負いましょうか?見たところ相当きているみたいですし……どうでしょうか?」

 

「それはうれしいな。じゃあ早速……」

『サービス良いね……って管理者から逃げ切った!?どうやったんですか!?』

 

 うるさくなる戦艦に、耳を閉じる鈴木。

 

「ですから、ちょっと『跳躍』しただけですよ。もちろん戦ってませんよ。配達が何より重要ですから」

 

 それを当然のように言う目の前の兎娘。

 

「すごい、気にしてる場所も話の次元も違う……」

『え~と、速達部、序列28位。速達兎の兎月 早華。平均評価、4,08。最近付いたコメントは管理者より、勝手に不法侵入されて困ってます、二度と来んな。評価1ですか』

 

 戦艦がさっと調べた、と言うより公式ホームページに書いてあることを読み上げる。すると兎月は、顔いろを悪くしながら、チラッと自分でも確認していた。

 

「う、うそ……せっかく、せっかく4,1まで頑張って上げてた評価が……」

 

 仕返しと言わんばかりに管理者から低評価を付けられショックを隠せないようで、肩をガックシさせてうなだれる。

 

「ホントだ。てかこいつで28位かよ。どんなけやべぇんだ、速達部」

『あくまで配達に関しての評価でしょうが、裏を返せば意味不明な配達をする人があと27人いるってことですね』

 

 兎月の事を放って戦艦と鈴木は評価ランキングを見ながらそんなことを話す。

 

「距離とか次元とか時空の支配者とか、挙句の果てには全知全能が配達員してんのか、てか全員不明級じゃね?何度か利用してたはずなのに気づかんかったわ」

『序列10位の天人族 メルトリア・アキタランテさんですね。全知全能の配達員にして、全知全能委員会の名誉副会長を兼任している人らしいですね。あそこは魔境だと聞きますから、相当な実力者ですよ』

 

 全知全能委員会とは、自称やこじつけ、意味不明な理由で全知全能を語っている者たちなどが集まってできた組織だ。全知全能とはどんなものかや、誰が一番の全知全能かを決める討論や大会などをしている、不明級組織の一つである。

 

 

「って、違う違う、今はとにかく配達だ。これ以上変な評価を付けられるとあいつらにバカにされる」

 

「あ、復活した」

『こいつらは配達以外の事が頭にないんですかね?』

 

 色々悩んで吹っ切れたのか諦めたのか、仕事モードに戻った。

 

「ではここにサインを。あと整備します?一応この戦艦を万全に戻せますが?」

「これでお願い。そうだな。それもいいんだが、ちょっと頼まれてほしいことがあるんだ」

 

 鈴木の頼みごとに不思議そうに首をかしげる兎月。

 

「なんですか?できる限りのサービスはするつもりですが、無理なこともありますよ」

「お前の得意なことだ。俺たちを虚構施設に送ってほしい」

 

 それを聞いた兎月は、へ?と言う表情になり

 

「そんなのでいいんでしょうか?」

「ああ、ちょっと帰れなくなって困っててな。せっかくだし一緒に帰らせてくれないか?」

 

 兎月にとっては大したことなくても、鈴木としては大歓迎の話で、戦艦も同じだった。

 

「構いませんが……いえ、お客様がそういうのであれば、私は全力を尽くすまでです」

『あ、ちょっと待って。その前にあそこの回収したい』

 

 そうして兎月は跳躍をしようとしたが、戦艦はやり残したことがあるのか、少し待ってと言い出す。

 

「ちょっとって。そんなレベルじゃないだろ」

『いえ、すぐに終わります。あれを直接回収できなくても、情報だけでも得ときたいんです。余裕ができたんで、ついでに周囲のも含めても10分もかからずに終わりますよ』

 

 ある程度の情報があれば、あとは研究するだけで再現可能だ。それが仮設だけでも問題ないと言うのに、本物のデータが取れるのなら取っておいて損はないだろう。

 

「そうか、じゃあ頑張れよ」

 

 そうして戦艦は即座に観測を開始する。その間に二人は軽い雑談をして、狭間世界がどうなっているのかだとか、お前凄いな~と兎月を褒めたりしていた。

 

 そんな中に出てきた話……

 

「異次元大会?」

「ええはい、なんだか来る途中に見かけたんですよね。魔魅さんがやると言ってました」

 

 準備中の異次元大会の事を話す兎月。どうやら魔魅さんから聞いたようで、内側に行くんだったらよさげな奴いたら教えてと言われていたらしい。勿論配達優先なので、いたらねと当たり障りのない言葉で返して仕事に戻っている。

 

「参加してみては?ちょうどあなたぐらいの参加者を集めているみたいですし」

「そうだな。まぁ久々の戦闘だから、勘を取り戻すために行ってみようかな。楽しそうだし」

 

 異次元大会を好意的に受け取る鈴木。やはり彼もまた狭間の住人なのだ。

 

『終わりました。にしても面白そうな話ですね。私は参加できそうにありませんが、参加するならあなたを使って情報収集することにしましょう』

「また変なことを……まぁいいけど」

 

 呆れて物も言えない感じだが、断る理由もなく了承する鈴木。それに少し楽し気に計画を話す戦艦。どうやら情報共有してサポートしてくれるとのこと。

 

『それはよかった。断っても強引にするつもりでしたら手間が省けてよかったです』

「はぁ~、そういうこと言うなよ。まぁさっさとやれ、待たせるのも悪い」

 

 そして光の力場が鈴木を覆いつくし、それは一分もたたずに終わると……

 

「終わりましたね。ではいきますよ」

 

 そう言って、兎月の跳躍で三人は虚構施設へと飛ぶのであった。

 

 




 と言うわけでこいつらも大会に参加することになっています。まぁだからと言ってこちらで投稿したり何かあるわけではないですが、他の異次元大会で出てきて多少は盛り上げてくれるでしょう。


~おまけ~
・情報局について
 ネット関係、特級組織の最大手。開かれた情報網をモットーに誰でも無料使用できるネット環境を整え続けている。なお鈴木のサイトは、1000万年に一度の大規模最適化の際に、最低限の情報だけ抜き取られ消滅している。たまに別世界と繋がったりもする。あとちらほら不明級が混じっているが、総合的にはギリギリ理解の範疇なので特級。

・狭間運輸について
 運輸業界、特級組織の最大手。何時でも 何処でも 何物でも をモットーに連絡が付くすべての場所に物を届ける配達組織。速達部と言われる、完璧かつ迅速に必ず3分以内に物を届けてくれる部署がある。あとちらほら不明級が混じっているが、総合的にはギリギリ理解の範疇なので特級。


・狭間金融について
 金融業界、特級組織の最大手。経済の安定と技術の発展を目指している、狭間世界の金融を牛耳る最大銀行的な存在。研究者を筆頭に科学者や各組織などが借金や融資をしているが、返済率は驚異の3割前後と言う酷い有様。そのせいでバックレた債務者に賞金首をかけていたりする。ちらほら不明級が混じっているが、総合的にはギリギリ理解の範疇なので特級。

・全知全能委員会について
 自称やこじつけ、意味不明な理由で全知全能を語っている者たちなどが集まってできた組織。全知全能とはどんなものかや、誰が一番の全知全能かを決める討論や大会などをしている、不明級組織の一つである。


・名前 兎月 早華
 異名 速達兎
 等級 不明級
 容姿 配達用の作業着(青ノーマル)を着た兎の獣人娘。髪や目とかのイメージは茶色に近い。
 年齢 2023万歳(地球換算で約3億年)
 能力 跳躍
 説明
 特級組織、狭間運輸、速達部に所属する配達員。序列は28位で、内外問わず評価が高く、速達員としては期待の新人ポジション。本人も仕事、特に配達に関してはプロ意識をもって完璧に近い成果を上げているが、時々軽い失敗するのが玉に瑕。素の性格は元気いっぱいで動き回っているのが好きな女の子だが、細かいことに気付きやすく、それをミスだと判断してショックを受けるとストレスがかかり、それを隠すために単調になったりフリーズする。努力家で集中力が高いが、視野が狭まることが多々あり、焦ったときも同様の事が起こる。綺麗好きで、清潔には人一倍気にかけている。野菜が大好きで、よくモリモリ食べている。人付き合いが上手く集団行動もでき、特に組織の潤滑油に向いている。
 『跳躍』で、あらゆる条件や法則を無視してどこにでも飛んでいける。聖域だとか禁域、絶対的なルールなど完全に無視して、異世界どころか並行世界や時間軸すら関係なく移動する。これぐらいできなきゃ速達部員になれない。しかもすべての作業が一瞬で済むため不明級以上でなければ認識すらできない。この力で最高の配達力を実現している。



・戦艦について
 鈴木に対し大切な相棒……ではなく重要な設備の一つだと思っている。決して好いているわけではない。多分そう、きっとそう。本人も理解してないし……。だからどんなことがあろうと手放す気はない。そして鈴木は逃げられない。鈴木の細胞を勝手に回収し、義体を作ろうかと考えている。こうやって種族が増えたりするのだ。まぁ大半はとりあえず原種族へ突っ込んで、似てたら各種族に組み込まれて解釈が拡大され、似てなかったらそのまま新しい種族になるだけだが……
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