速達部の人たちはこうやって別世界に言ってるよ~ってだけです。あと狭間世界のネットで売られている物はこんなんだよ~って話でもあります。
とある事務所のような場所で、兎月とキラキラとしたオーラと金長髪が特徴の美人な女性が話し合っていた。
「これはどういうことですか?」
「いえ……その……ちょっとミスっちゃって……」
女性が見せた端末には、管理者からの低評価コメが映し出されている。それにバツを悪くした兎月は、苦笑いをするしかなかった。
「虚空より先の配達はより細心の注意を払ってしてくださいと伝えましたよね?あちらには管理者がいるからと」
「はい……」
そう言うしかない兎月は元気がなく、うつむいていた。
「……次からは先輩方に回します。なのでしばらくあちらへの配達は禁止です。わかりましたね?」
「は、はい……」
失敗の落ち込みようが凄く、説教も加わって意気消沈する兎月。それを見たメルトリアは、とりあえず今日は帰れと伝えられそうになったところで……
「ちょっと言いすぎじゃないか?メルトリア部長」
そう言ってきた男がいた。
「こういう失敗はよくあることだ。難しい仕事なんだから。それにアドバイスぐらいしてやれよ」
「有時さん。そうかもしれませんが、それとこれは別です。失敗した責任は取らせないとなりません」
真面目なメルトリアはそういうことには厳しかった。だが有時はその逆だ。と言うか狭間の住人は基本適当で責任感はあっても楽観的なやつが多く、メルトリアの方が少数派だった。だから部長なんて役職についているのだ。
「言ったところで経験しないとわからないわよ。それぐらい貴方だってよくわかってるわよね。だから失敗のフォローはしないとね、メルトリア部長」
「空条さん。あなたもですか」
空間から浮き出てきた空条に、怪訝な目を向けるメルトリア。
「それだけじゃねぇぜ。かわいい後輩が困ってんなら手助けぐらいするさ」
「世理さんまで……」
気が付いたらそこにいた世理にと、三体一にされ分が悪くなるメルトリア。
「管理職は大変だろうな。だがこう詰めても部下は育たんぞ。それに失敗したからこそやらせないと、感覚が訛っちまうだろ」
「兎月さん。貴方も貴女でメンタル弱すぎよ。ちょっとぐらい気にせず次に生かす想像でもしなさい」
「ちゃんと聞きゃ教えてやるし、手助けは当然だぜ。その代わりゼンリョクでやれよ」
「せ、先輩方……」
「あなたたちは……」
兎月は希望でも見るかのようにプルプルと震えており、メルトリアは呆れて物も言えなくなっていた。やはりこいつらは、頭のおかしい配達集団である事には変わりないようだ。
だから……
「時空間とか時間軸は便利だけど。見つかったらめんどくさいからやめといたほうがいいぞ」
「逃げるときは、世界の隙間がいいわ。管理者も簡単には手出しできないからね。逆に次元断層はダメなのよ。あれぐらいだったらすぐに追撃かけてくるわ」
「管理者相手に感知されない方法は、事象の地平面とか理の外飛んでいけばいいぜ。あいつら世界から離れた場所だと認識してないからよ」
早々に話をすり替えてアドバイスをし始めていた。
「ちょうど内部世界からの依頼があったんだっけ。な?メルトリア部長。ほら、たまに情報局のが繋がるだろ?あれだあれ」
「もっと繋げればいいのにね。そうしたら沢山仕事が増えて楽しくなるのに」
「ありゃダメだぜ。元より繋げるの難しいのに、おまけに管理者が消して回ってるからな。迷惑な話だ」
迷惑なのはこいつらだろうが、それを止められる者はここにはいない。そしてさらっと内部世界の仕事を持ってくる有時。
「一応わかってると思うが、真理系は厄介だから近づくな。無暗に壊しても大変だからよ」
「世界の安全も考えろよ。危なかったら助けてやれ。せっかく届けた商品が使われないなんて嫌だろ?」
「頑張ってね。貴方は期待の新人で私たちのかわいい後輩なんだから」
そしていくつかのアドバイスと注意点を話したあとに……
「「「要はプロ意識。一流であれってな!」」」
「はい!頑張ります!!」
そう締めくくられ、兎月は元気を取り戻す。
「はぁ、分かりました。くれぐれも失敗しないように。これが配達リストです」
それを傍から聞いていたメルトリアは、仕方がないと専用の端末を渡し中身をサッと見せる。
※日本円換算での表示です。
・衛星型攻撃兵器『天撃』×12機
・価格 550億円
・等級 二級上位
・概要
通常は静止衛星として機能し、攻撃の際は観測座標に対し即座に杭式物理破壊兵器を射出します。毎分12発前後の射出ができ、初速はおよそ秒速8キロメートルから、空間圧縮と力場制御による反作用などを利用し距離に比例し着弾まで加速し続けます。よって、距離に比例し火力が引き上がります。
機体保護に関しましては、常時展開された空間歪曲結界により守られており、一定以下の攻撃を全てズラし当たることはありません。近距離戦に入られても、無数に備え付けられた極細次元光線により暴雨のような波状攻撃にて対処可能です。
以下詳しい説明は公式ホームページとご購入時に添付されている説明書によりご参照ください。
・クリフォトの樹&セフィロトの樹
・価格 2万円
・概要
庭に生えてました。ネットで調べても詳細がわからず名前ぐらいしか出てきません。よくわからない植物みたいですけど、珍しそうなので枯れるまでは出品しときます。結構萎れているのでお早めに……
・拾った魔剣
・価格 13万円
・概要
散歩していたら拾った剣です。何かの魔剣らしく禍々しいですが、いらないので出品しました。見た目がかっこいいし、なんか代償付きの力を与えてくれそうな見た目してるんで中二病の方などにおすすめです。
・家の屋根に突き刺さってた杖
・価格 7万円
・概要
雨漏りがすると思ったら屋根に突き刺さってた杖です。多分内部世界産だと思います。ドラゴンを形どった杖で何かしらの力を感じますが、大したことなっそうなのでこの価格で出品しました。家の修繕の足しになればなと思っています。
・銀河系創成セット
・価格 10億円
・概要
現在判明している宇宙モデルの一部を再現した実験セット。高品質情報結晶体による高度な量子演算機構で、常に管理維持されている安全性が高い品です。内部時間は約100億年の時間を自由に操作し、星々の生成や成長過程を見ることが出来ます。また内部空間には自由に出入りできます。
・創成神お手製、神様セット
・価格 3億円
・概要
神格研究会のお手軽神様セット。
創成神を筆頭に神格を調べつくし、外付け用の神格の開発に成功。お試し価格にてなんと3億円で疑似的に神になれます!現在同化式の神様セットの開発中。
詳しい説明は公式ホームページにお願いします。
・全知全能バッチ 十個入り。
・価格 2万円
・概要
全知全能委員会より、毎月恒例の品。今月はこの十種類!
改変、法則、真理、因果、結果、事象、概念、超越、認識、根源などの合計十種類の全知全能が使えるバッチ。さぁ君もあなたも全知全能の力を体験しよう!
・簡易型近代都市生成機、近代型(中古品大セール中)
・価格 21兆円
・概要
展開場所に高層ビルを建て、そこから近代都市を自動で生成(基本設計)。展開土地の性質と構造に合わせて自動でいい感じに都市を築き上げてくれます。また1000種類の中からお好きな構想の都市を選べます。
・不滅薬の原液
・価格 1000万円
・概要
一級再生系回復薬の原液。あらゆる傷や欠損を元通りにすることが出来る。更に再生が終わった後も、再生能力や自己治癒能力をしばらくの間若干引き上げてくれる。
使用前提。コップ一杯(200ml)につき原液一滴での使用。怪我の度合いが酷い場合も、一気に飲まずに一日一杯ずつ飲んでください。またあくまで怪我や欠損に特化しているものであり、病気やガンの場合は使用を控えるかさらに半分から三分の一まで薄めてください。
不滅の存在になってしまう可能性があるので、決して原液のまま飲まずに薄めて飲んでください。
・汎用型戦艦(中古品大セール中)
・価格 25兆円
・概要
分類 二級汎用式中型戦艦
全長約32㎞ 最大横幅約14㎞ 最大縦幅約7Km
主な搭載機や施設一覧、タッチして微細を開いてください
・搭載機器 疑似永久炉、多重結界、源力兵器類、実弾兵器類、環境維持装置、一般型中枢機関など
・各種施設 一般生活用、研究所、専用輸送路、大型貨物収納庫、中型機材物資収納庫、小型物資収納庫など
・超強力育毛剤セット
・価格 7000円
・概要
これさえあれば怖いものなし!あなたの枯れた毛を完全復活させてくれます!
「随分と多いですね」
「これだけではありませんよ。こちらもです」
そう言ってメルトリアは、端末の次のページに飛ぶ。
「200件も!?」
「無理ですか?」
いくら元の可能性が小さく、更に抑え込まれているとは言え、数撃ちゃ当たる戦法でこれだけの数の取引が成立していた。
それに対し兎月は……
「いえ!全身全霊でさせて頂きます!」
その場で姿を消したのだった。
~おまけ~
・配達三人衆について
時空間のすべてを行き来する男『有時』、空間次元を渡り歩く女『空条』、理の外側を飛ぶ男『世理』の不明級三人衆。基本はいい奴らで、常識人のような振る舞いはするが、その実情は年がら年中配達の事しか頭にないイカレ集団。兎月同様田舎の価値観で仕事をするため、基本彼らには休日と言う概念が存在しない。好きなこと必要なことをしているだけだから同然らしいが、メルトリア部長からは適度に休んで欲しいと思われている。みんなもちゃんと仕事とプライベートは分けようね。
あとみんな共通だが、配達のためなら宇宙クラスの世界の危機でも救い、あらゆる存在事象を跳ね除ける。すべては完璧な配達のためだそうだ。やっぱおかしい……
・メルトリア部長について
誰もやりたがらない部長の役職についている天人族。
実は内側から飛来した神の一族で、狭間の住人と混じりながらも完全に神格や神性を維持しており、特に原初帰りした彼女は、神として『全知全能』を得ているが、神性は役に立っている実感はないらしい。彼女の神性はキラキラしているので他の天人族同様、せいぜい照明代わりに使われるのが関の山である。
他にもいるが、内部世界と神の視点を持つ彼女は、狭間世界を危険視しており、各組織に並列存在を送り込み狭間の住人を監視し抑え込んでいる。しかしその効果は速達部を見ていればわかると思うが、多分やらないよりはマシ程度のものらしい。
あと他人に休めとか言うくせに自分は並列存在から離反者(音信不通、存在変質、行方不明、独立、失踪、結婚など)が出る程度にはブラック労働をしているので、自分たちの後始末をし続けないといけなくなっている。
そして今日も彼女は、制御できない癖の強い部下たちを苦労しながらまとめ上げて無限の残業をしている。
どこにこいつが現れても、分体の一人だと言えるので、実はどこにでも出せたりする。やらないけど……