はっ!?俺が最強なんて聞いてないんですけど!? 作:猟零黒 狼星
ヴィラ視点での過去の物語です。
⚠殆どオリキャラしか出てきません。⚠
あれは…どれだけ前のことだろうか…
百年以上前にも思えるし、昨日のことのようにも思い出せる。
私はかつて人間と友達になり、恋をしていた…
彼の名前は黒木 帝(くろき みかど)
帝との最初の出会いは彼が森に迷い込んだ所から始まる
今思うと迷い込んだのではなく…自分で入ったのだろうと思うが…
彼を見つけたのは私だった。
その時の私は人間を憎んでいなかった…仲良くしたいと
そう、心から思っていた。
だから私は彼を無事に家に帰そうと森の出口まで案内した。
彼は優しかった。
私の狼の姿をみて、綺麗だと言ってくれ、
私のことを…怖がらなかった…化け物だと言わなかった
それだけで私は彼に少し惹かれてしまった…
そして次の日彼は森にやってきた。
私はここは入ってはいけないのだと彼に伝えたが彼は
「君に会いたくて来てるんだ。」と
そう言って私に会うまで森の中に居続けた。
次の日も…そのまた次の日も…ずっと…
そしてそれはやがて群れの皆にも気づかれてしまった。
そして長にも…
けど長は私を叱ることはせず「人間と仲良くできるのは嬉しい事だ」と、
「君のお陰で人間といい関係が築けるかもしれない、ありがとう」とそう言ってくれた。
そして私は長に許可を貰い帝と堂々と会うようになった。
一緒に森で遊び、たまに帝が持ってきてくれる人間のおもちゃや、遊び道具なども使ったりした。
楽しかった。彼との遊びが
嬉しかった。彼と会えるのが
そしていつの間にか私は恋に落ちていた。
私は長にそのことを相談した。
すると長は
「恋とはいいものだ…後悔しないようにきちんと話しなさい。何ならここに連れてくることを許可しよう。」
とそう言ってくれた。
だから私はいつものようにやってきた帝に自分の家と家族を紹介するといい、一族の拠点へと連れて行った。
そこが一番の問題だったのだ……
私には妹がいる。かわいい、かわいい妹
その子はニーナという。
ニーナは優しくそして綺麗だった…。
そんな彼女は……もう…此の世にはいない…
私のせいで…ニーナだけじゃない…多くの家族を失った…
私が
"人間なんて入れなければ”
"人間なんかに恋をしなければ”
失わなかったんだ…
恋をした相手は人間側が私達を消すため…情報を集めるため、送り込んだ"スパイ”だった…
彼は私達の拠点で話をしたり食事をしたりしてその日は帰っていった。
そして次の日 事件が起きた
"人間共"が攻めてきたのだ。
普段ならなんの問題もなく戦える…撤退させれる…
けど…その日 私達は攻撃を一切しなかった…
いや、出来なかったのだ…
アイツラは私達の家族を捕らえ盾にし
私達が攻撃できないのを良いことに戦えない仲間を次々と殺し、拠点を焼き払った……
そしてそこで私の意識は途絶えた…
どのくらい眠っていたのだろうか…
なんとか意識を取り戻した私は妹を探した。
そして身体中が痛む中私は焼かれた拠点を彷徨い、
妹を探した…
私は考えた……人間で私達の人型状態の姿まで…知っていて拠点の場所もわかる…そんなやつは……
そんなやつは……一人しかいない……
けど…そんなわけ無いと…
信じていた…だがその希望は打ち砕かれた…
壊れかけていた心と共に
妹は人型状態のときの姿で倒れていた…血を流して…
そしてその場に【血で汚れた武器を持って】信じていた人が…愛していた人が立っていた…
私は数秒その場に立ち尽くしていたがやがて、
うまく喋れない舌を動かし"奴"に話しかけた…
「どうして……私の妹を殺した………」と。
そして奴は前までは素敵に見えた不気味な笑顔で告げたのだった……
「そしたら君の絶望の表示が見れるだろ?」と。
そしてその言葉を聞いて私の中に湧いてきたのは
激しい怒りでも、大切な人を失った喪失感でも…
言い表すこともできない絶望でもなかった……
〘虚無〙
何も湧いてこない…何も考えられない…
そしてその数秒後 私は彼を噛み殺した。
そして誓ったのだ…もう…人間なんかを好きにならないと、人間を信じないと………
けど…毎晩のようにずっとあの…憎たらしくも愛せてしまう彼の顔が頭の中に出てくるのだ……
愛した人を自らの手で殺め、自分のミスで家族を殺され
自分のせいで仲間を巻き込んだ私に…
綺麗な未来は待っているのだろうか…………
あぁ…ニーナ…私はどうすればよかったのだ…?
これがヴィラが一夏に聞かれ怒鳴るほど言いたくなかった過去の話。
この話では、ヴィラの帝への呼び方が変わるのがヴィラの感情を表すポイントです。