地球過剰防衛軍   作:APHE

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フォーリナーの攻撃でビーム干渉できそうやつが四足歩行要塞のプラズマ砲くらいしかなかった…ジェノサイド砲はどちらかというとレーザー?
地球に近づいてネームドキャラも増えていきます。
投稿遅れてすみません…


遥かなる外来人ー土星沖防衛戦

土星沖 防衛艦隊

 

UNF艦隊の要を務める空母ギャラントのブリッジにて腕を組み神妙な面持ちで思案を巡らせるキナバル艦長。

ディスプレイに投影されたEDF本部から受信した戦力MAPには着々と地球へ近づく敵艦隊(フォーリナー)の姿が至るところにあった。

 

「攻めるべきか、引くべきか…問題だな」

 

MB(メタルブラック)艦隊との合同演習はフォーリナーの電撃侵攻によって数時間のうちに実戦へと変わり、実感が湧かぬうちに砲火を交える艦隊戦が始まってしまった。

演習艦隊の戦力では正直なところ手に余る相手であるが、戦わないという選択肢ははじめから存在しない。

 

「マザーシップ、海王星沖より12隻がワープアウト!」

 

「連合軍の通信の通りです」

 

「EDF本部と敵情報を同期せよ!」

 

しかしここで食い止めても既に後ろに敵がいる状況、先程受け取った連合軍からの通信でも転身し防衛ラインを再編成することを勧められたがしかし。

 

「ストレガ、ランチ(発艦)シークエンス!」

 

「アルファフライトはそのまま突入、デルタフライトは撃ち漏らしの処理を!」

 

〈了解!〉

 

〈イエス、サー!〉

 

彼は引くことなど考えていなかった。

逆に引いてどうすると。

どうせここで落とさなかったぶんのマザーシップが後衛と戦うのならばここは通さない。

そう発信した後に転身を進言してきた連合軍艦隊提督から送られてきた激励のメッセージと全てが落ち着いたら飲みに行こうと言う提案に艦長は一瞬考えていたが、娘のカレンに飲酒を控えろと言われていた事を思い出して断った。

その実は、今何か約束を取り付けると良くないことが起こりそうだ、というところが大きかったのだが。

できればだがフォーリナーにもこれ以上の侵攻をお断り願いたいものだが無理だろう。

…ならば力ずくだ!

 

「マザーシップに潜在エネルギー反応!ワープまでの予測時間120!」

 

カタパルトから射出されていくストレガと遠くに見える宇宙空母から飛び立つ無数のブラックフライが放つ光に拳を握りしめ通信機に叫ぶ。

 

「ストレガ、ブラックフライ隊と連携し敵を殲滅せよ!」

 

「一隻たりとも、一隻たりとも奴らを行かせるな!」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

土星防衛艦隊 防宙圏

 

〈墜ちろ!〉

 

ストレガ編隊がバルカンを掃射しながら飛び回る。

ドローンもソレを回避しようと飛び回るがストレガの多数のスラスターを生かした高速機動についてゆけず蜂の巣になり爆散する。

このような光景は周囲360°至るところで繰り広げられているがしかしドローンの数が減る様子はない。

 

〈ナイスキル!〉

 

〈こんなのスコアに数えられるもんじゃないですよ!〉

 

〈なにっ!〉

 

マザーシップ下部の赤く光るハッチから撃破された数以上のドローンが毎秒補充され続け、倒しても倒してもキリがない。

ドローンがストレガの機動に追いつくようなことはそうそう無いだろうがマザーシップ本体からの対空砲火は流石に堅く数機が直撃を受けて既に戦線を離脱している。

回転しながらゆっくりと接近するマザーシップの艦隊にまとわりつく途方もない数の光点に気が遠くなりつつも武装を叩き込みそれらを削ぎ落とし続けるが、そんなこちらの努力を嘲笑うかのようにフォーリナー艦隊はもはや遅延戦闘の姿勢を隠そうともせずただただ時間稼ぎに没頭している。

その様子たるや巨大なイワシの群れとそれに襲いかかる肉食魚類のようであったがこの場合有利なのはイワシ(フォーリナー)側だ。

 

『敵艦隊ワープまで予測時間80!』

 

〈埒が明かない!突入する!〉

 

と、その表面を固めていたドローンの一群が大きく吹き飛びその先で丸い爆炎の花を幾重にも咲かせた。

林檎を皮ごと切るように群がる敵ドローンを吹き飛ばす光の正体は突入したストレガ小隊の放った荷電粒子砲アサルトブレイカー。

ドローンの大群も小隊レベルの数から放たれたエネルギーチャージウェポンの余波には敵わず壁としての役目を全く果たさずに千切れ飛んでゆき、荷電粒子の迸流は僅かに減衰しながらもマザーシップに命中し有効打を与えた。

六角形の装甲板が剥がれ飛び顕になった内部は無防備でここを撃てと言っているようなもの。

チャージを終えて後ろからやってきた小隊が交代する形で攻撃を叩き込み、内部機構をめちゃくちゃにされてマザーシップは沈黙する。

それを皮切りに後続の部隊が突入したことで周囲のマザーシップも次々と沈み、突撃戦法はそこそこの成果を上げた。

 

〈MB隊、突入を支援する!〉

 

と、次に飛び込もうとした編隊に立ち塞がったドローンが小型ミサイルの直撃を受けて爆砕され、続いて放たれた高出力ビームの滝はそれに打たれたドローンの機体を損壊させバラバラに破壊し尽くしてゆく。

その源流たるはメタルブラック主力にして最終兵器であるブラックフライ。

彼らは直線的な軌道を描いて飛びながらも高性能ミサイル"ピラニア"と機首に搭載された重粒子砲、サブウェポンの科学レーザー砲で次々と片手間にドローンを撃墜し突破口を大きく広げて後続部隊を招き入れていく。

 

〈喰らえデカブツ!〉

 

重粒子砲から放たれた重金属ビームの青白い光はマザーシップ装甲板を弾け散らさせ、脆く露出した部分にアサルトブレイカーなりニューロンビームなりがねじ込まれてマザーシップは約半数が爆沈。

強力な火力を持った連携攻撃は複数の意味でよく刺さり効いた。

 

〈アルファ3被弾!〉

 

〈対空砲火が厚すぎる!〉

 

しかしまさに壁と形容できるような対空砲火を放ち続けるマザーシップ艦隊内に突入したからにはただでは済まない。

網目のようなレーザーの嵐に絡め取られた友軍が次々と墜ちていくのを見て後続部隊やデルタフライトのパイロットたちは穏やかではない。

自らが乗る機体と同等かそれ以上の機体が損傷する様子を見て落ち浮いていられるわけがなかった。

対艦攻撃をやめて総ての火力を対空に回したマザーシップはストレガに搭載されたサポートAIの予測をはるかに超える火線を展開し、なおもその密度を増やし続けている。

 

『マザーシップ、天王星沖より20隻がワープアウト!』

 

『周辺宙域から追加で12隻来るぞ!』

 

『リングの反対側から18隻がお出ましだ!』

 

それに補充されるのはドローンだけではなく、マザーシップまでもが撃破数に追いつく勢いで押し寄せて来ている。

空間を震わせて現れた巨大な球体はすぐさまハッチを開放しドローンを雪崩のように吐き出し始め、戦線前方はメチャクチャだ。

すぐに二度目の突撃がかけられて追加数の半数は墜としたものの戦果報告に連動して飛び込む被害報告はそろそろ黙っていられるレベルを超えてきていた。

…もはやこうなると演習艦隊の戦力ではどうこうと言うよりも圧倒的に戦力が足りない相手となるが、それでも彼らに撤退の2文字はない。

 

『敵艦隊ワープまで予測時間30!』

 

迫るタイムリミットまでに殲滅しなければ奴らが後方に跳んでしまう、その事実だけでこの場にとどまらせる力となり、同時に焦燥感を刺激しこの攻めきれない状況が合わさって艦隊の判断力を鈍らせる。

ここで墜とさなければ、早くしなければという思いが彼らの指揮の手や操縦桿を握る手を狂わせ、

 

〈我々は吶喊します!〉

 

『駄目だ!控えていろ!』

 

ついにしびれを切らした後方の部隊が撃ち漏らし処理の仕事をかなぐり捨ててこの状況を打開すべく大編隊から離脱。

僚機と母艦の制止を振り切って矢のように飛び出したストレガはフォーリナー艦隊に深々と突き刺さり食らい付き、すかさず最大火力を放った。

 

ズォッ!!

 

突入度同時に放たれたフルチャージのアサルトブレイカーはドローンの壁を先程もそうしたようにたやすく穿き徹し、突破口を作ったもののそれはあまりに()()()()

大穴から侵入したストレガたちは撃ち漏らし処理の範囲を超えた大立ち周りで多数の敵を撃墜するも、閉じ始めた突入口に気づき入り込みすぎたことを悟ったのは気が狂うほどの対空砲火によって機体が著しく傷つけられた後だった。

後方迎撃兵器レイブレッドの紅い光が一度光るたびに数十または数百のドローンを吹き飛ばすが押し寄せるドローンの壁に殲滅力が足りない。

と、その時。

 

〈ニューロン広域開放!〉

 

青白い稲光にも似た閃光が無数に走りドローンに限らずマザーシップまでが大きく揺れ、ひしゃげ潰れ、最後には爆砕した。

ニューロン開放の余波に任せて突っ込んできたブラックフライ編隊の辿った道筋がそのまま外側への突破口となりストレガ編隊は崩壊した敵包囲網からすぐさま脱出。

 

〈収束開放!〉

 

それを見届けないうちにブラックフライ編隊のうち数機がニューロンを収束開放し極大のビームを放つ。

 

 

ズゴオオオオオオオオオオッ!

 

 

疑似反物質ニューアローンの大河はその道筋上にあるもの全てとその飛沫の飛び散った沿岸にいたものを飲み込み対消滅とエネルギー輻射の青白い光でフォーリナー艦隊の前衛をその修復速度を遥かに上廻る勢いで打ち砕き爆炎と残骸に変換した。

 

 

『今しかない!全機突入せよ!』

 

なし崩し的にとはいえ崩壊した敵前線に今まで控えていた…否、いつでもそうできるように待機していた者たちが一斉に突撃をかけていく。

先程包囲網から脱出したばかりの損傷が見られる機体さえもその場で踵を返してフルスロットルでフォーリナー艦隊へと突っ込む姿からはもはや狂気が見て取れる。

 

『敵艦隊ワープまで予測時間10!』

 

その源は迫る時間制限への焦燥、今は艦隊司令さえもこの愚行とも取れる突撃戦法へと口出しせずただ航空隊の露払いをする事に全ての力を捧げている。

それほどまでに、あの船は。

地球に一つでも近づけてはならない存在なのだ。

 

そこからの戦いは凄まじい勢いだった。

待機していたストレガ編隊から躊躇なく放たれる核ミサイルの火球と荷電粒子砲の閃光がフォーリナー艦隊を打ち壊し、自爆も覚悟でニューロン開放しながら飛び込むブラックフライの青白い稲妻が宇宙を引き裂くように迸る。

戦果報告や被害報告など二の次、みなが兵器として敵を倒すことだけを考え撃墜され爆ぜるものが現れようとその爆炎を突き破って敵に迫る。

タイムリミットまでに倒さなければ、時間までに仕留めなければ。

あれが逃げ去ってしまう。

 

『ワープまで予測時間5!』

 

ひとつのストレガ編隊、5機の未帰還と引き換えにマザーシップ5隻が激しく刳り取られた形で動かなくなった。

 

『4!』

 

ニューロン開放のエネルギー輻射に耐えきれず自壊したブラックフライの閃光がフォーリナー艦隊を内側から付き崩す。

 

『3!』

 

宇宙空母がマザーシップに直接攻撃(体当たり)をかまし、もつれあって爆沈した。

 

『2!』

 

最後に一隻残ったマザーシップが空間を震わせて飛び去ろうとしたとき、マザーシップ下部ハッチにアサルトブレイカーをフルチャージしたストレガが弾丸となって突っ込み、内部から爆ぜたマザーシップが六角形の装甲を粉々に散らばらせた。

 

 

 

『…1』

 

そして宇宙は静まり返る。

 

そこはマザーシップもドローンの1機たりとも残っていない、全な掃討を終えた、清潔(クリーン)な宙域だった。

だだ、そこに漂う大量のデブリを除けば。

 

その中にはストレガの純白の装甲の破片やチカチカとまだ光を放つブラックフライのニューロン機関の残骸なども多数混じっている。

 

この戦場においてのすべてが終わったことを確認したキナバル艦長は残敵が存在しない事をもう一度確認し崩れ落ちるように席についた。

宣言通り我々は一歩も引かずに戦い、敵は1機たりとも残らず撃破されたのだ。

後方へと飛び去ったものはいない。

 

「…被害を報告せよ」

 

〈アルファフライト、全機が中破以上の損傷…継戦不可です〉

 

〈デルタフライト、突入時に3番機が被撃墜、パイロットは脱出し現在回収中です〉

 

〈ベータフライト、大破機体多数、全滅一歩手前です〉

 

〈ガンマフライト、2番機が…〉

 

しかしその戦果と引き換えに戦力喪失と言っていいほどのダメージを受けてしまった。

宇宙空母へと帰還していくブラックフライの数も出撃時に見たそれの半数くらいに減っている。

確かに敵は倒したが、これは違う。

何かが違う。

 

この戦闘においては我々は勝利した。

他の戦線が必ず何隻かマザーシップを取り逃がしている中で、完璧に防ぎきったのは現状ここだけだ。

EDF本部からの称賛と激励のメッセージを受けたがそれはほとんど目に入らず。

同時に受け取った更新済の戦力MAPには無慈悲な現実が、地球圏に肉薄するマザーシップ艦隊を示す赤い点が光っていた。

 

「我々は何かを成せたのか…」

 

命を散らし、戦力を削り、それで何かを成せたのか。

艦長はいま連合軍艦隊提督の言いたかったことがわかった。

どれほどムキになろうと、一つの戦線で奴らを押し止めようと無駄なのだ。

これだけの規模で一隻もたどり着かせるなと言うのはいささか無理がある。

この状況を許した時点…いやもっと前から。

外縁部での艦隊戦を抜けられた時点で我々はきっと負けていた。

 

「傲慢は人間の最大の敵…か」

 

あとは自らの無力さと不甲斐なさを嘆くばかり。

…飲みに行く約束、やはり受けることにしよう。

 

この戦いが終われば…だが。

 

 

 

 

 

フォーリナー艦隊、地球圏に肉薄。

 

 




UNF「連合宇宙軍」

世界統合に前後して登場した中規模の統合系組織。
多国籍企業体が母体となっていたが現在はEDF傘下。
同組織の象徴的存在であるF/A-37ストレガを主戦力とし、安定反物質イプシロン1の加工取扱技術を保有する。

MB「METALBLACK」

EDF傘下の中規模統合系組織。
かつて別の世界で計画された侵略者への反抗作戦名をそのまま組織名としている。
主力戦闘機ブラックフライと空母編隊を主力とし、疑似反物質ニューロン/ニューアローンの生成取扱技術を保有する。
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