梅雨になり始めたときに傘を忘れて、雨宿りしていたときにまほろが考えていたこと...。
春の終わりを告げるかのように雨の日が増えてきた。
「はぁ...。まさか傘忘れちゃうなんて...。早く止まないかな...。」
寮に帰る途中で雨宿りをしていた。
4月の末。少し前まで咲いていた桜の姿も徐々に見えなくなってきた。
窓を見れば新学年になった人たちが道を歩いていた姿も見えた。
最初は緊張感があったのか、こわばっていた表情も今では少し緩んだ気がしている。
「まほろも、新しい学年になって楽しむのもよかったかもね...。」
子役時代っていうのもあったから学校での友達もいなかったし、業界の人とか前のマネージャーくらいしか話せる人はいなかった。
「今じゃ、美晴に絢に莉子がいる。学校で楽しめなくても今が楽しいからいっか。」
雨は降りやまない。まるで昔のまほろの気持ちみたいに。
はぁ、もうまほろの気持ちも止んだから早くこの雨も止まないかな。
____でも...。今は静かにこの音を聞いててもいいかも。
アスファルトの地面の激しく当たる雨の音。みんなに口できつく当たってたまほろ。
まるで同じ。
なんでまほろってあんなに当たり強いんだっけ?
確か最初はひとりで声優として有名になりたかったけど、windのみんなと過ごすことでまほろ優しくなったのかな...。
windだけじゃなくて、他のみんなの...AIRBLUEのみんなと、マネージャーがいてくれたおかげでそうなれたかもしれない。
これがまほろらしいかもね...。今のまほろらしいのかも。
まぁ、これが今のまほろっていうなら最後まで付き合う。
だって___
「結局自分と最後まで付き合うのは、自分自身なんだから。でしょ?まほろ。」
今のまほろには「仲間」がいるから。
「そうだね、莉子。」
「はい、傘。」
「ありがと...。来るの遅くない?」
「えー!?せっかく傘届けたのにひどくない?」
「だってこんな雨降るとは思わなかったし。でも、こういうの莉子らしい。」
「...よかった。まほろらしくて。」
「なにそれ、さっきまでまほろらしくなかったってこと?」
「うん。なんか珍しく難しい顔してて、なんか悲しそうでもあったかな。」
顔に出ちゃってたんだ。やっぱり今は本心を隠し切れないのかな。
「演技」はできても「本心」は隠せないのかも。
傘を差しながら莉子と肩を並べて寮に向かって歩き始める。
いつもみたいに話して、まほろらしく。
「春が終わりそうだからかな。」
「確かにもう梅雨って感じだもんね~。雨の日が多いと嫌になっちゃう。」
「まほろも。」
この春が終わるのと共にまほろの気持ちもまた変わった気がした。
まだまだ雨は地面に激しくぶつかっている。そして地面に溜まった水を踏んで寮に戻る。
「よし、着いた。早く行きなまほろ。美晴が心配してるよ。」
「うん。ありがと。」
ただいま。まほろ。