鏡の国のエリ   作:もるす

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エリとの出会い

あなたは鏡と聞いて何を最初に思い浮かべますか?自分の姿?それとも鏡そのものですか?

 

令和元年5月1日

「よいしょっと..結構場所取るなーこれ..」

 

私は自分の容姿を気にしない方だったけど1人暮らしを初めるきっかけに全身が写る大きな鏡を買った

 

「へぇ..自分の姿をじっくり見る事が無かったけどこんな感じなんだー、よく見てみると..私って...ブサイ以下略」

 

鏡を買った当初はそんな事を言いマジマジと自分の姿を見る事は少なかったけど自分の部屋に鏡が置いてあると意図せず写りこんでしまう事も多く次第に自分の姿を理想に近づけ初めていた

 

「んー..やっぱ肌の色がなぁ....髪も質感を良くしたいしー..ロングにも..」

 

私は検索エンジンを使って美容情報を収集し、まず自分に出来そうな事から初めた

 

「よし!日焼け止めは冬場でも使うべきなんだね、後は帽子やら日傘やら!」

 

美容にハマった私の5年間は過ぎさり日頃の手入れの影響か荒れていた肌もボサボサだった髪も綺麗に整うようになっていた鏡の前に立って自分の姿を見ると

 

「はうわ..私って結構かわいいぃ...」

 

鏡を見ている時の自分はまるで別の人格のような言動を取るようになっていた

 

ピーンポーン

「ビクッ!」

 

「リエちゃーん私ミエー」

 

おっと、そうだった今日はミエちゃんと出かける予定だったんだ

 

「ほーい今行くよー」

 

私は玄関でミエと会い近くのショッピングセンターまで移動した

 

「リエ久しぶりだねー!100年ぶり位?元気してたかー?このー♪」

「100年って...w実際は5年位じゃない...?」

「私にとってはそのぐらい長く感じたの♪..てか見た目随分変わったね凄く綺麗...どうしたの?彼氏でもできたの..?」

 

「いやいやー私にはミエが居るしー」

 

「全くー!そんな事言って..本気にしたらどうするつもりなの...!」

「あはは...まぁでも私達「友達」だよね、服も色々買ったしそろそろ帰るー?」

 

「えー...!せっかく久しぶりに会ったんだよ?ほらあそこに公園があるよ♪ベンチに座りながら一緒にアイスでも食べようよ♪」

 

「んー..でも日差しが強いからなー..UVで肌が..、汗も掻きたくないし家に帰りたい...かな?...」

 

「リエ...なんだか変わったね」

「昔はそんな事言わずに一緒に付き合ってくれたよね..この一年でリエに何かあったの...?」

 

「私ね「鏡」買ったんだ」

 

「鏡?それが理由でリエが変わったの?でも私は...昔のリエが好きだったな...」

「今日はありがとう、でも...さよならっ!」

 

そう言い残すとミエは立ち去って行った

 

「あれ?..もしかしてミエって私の事を本気で...?でもミエは私が女子高に居た頃からの友達だったからなー..なんだか複雑かも」

 

なんだかよく分からない気持ちのまま私は帰宅し買って来た服を着て鏡の前に

 

「んー!!♪やっぱりAラインのワンピースは可愛い!髪も綺麗に伸びてきたし、ゆるふわな私の理想に近づいてきたー♪はうぅぅ♪」

 

ぽーっと体が火照る感覚がした

 

「あれ?なんだろう..この感覚...」

 

気のせいじゃない、スー..っと鏡に顔を近づける

 

「かわいい...好き...もう理想の私かも...」

 

そう呟くと目の前の理想の私も同じくそう言った

 

「え!どういうこと?」

 

私は一瞬驚いたが冷静になって考えれば唯の「鏡」自分の言動に忠実なのは当然の事

 

「落ち着け..私、いくら努力して「理想の姿」を手に入れたとしても、それが鏡を通して分裂するわけがない..」

 

冷静さを取り戻し、もう一度鏡の自分を見る

 

「はぁ..やっぱ、かわいい♪」

 

「クスクス..二度も自分の事を見てかわいいって..側から見たらどう思うかしらね?」

 

(自分じゃない「何か」が喋ってる?信じ難いけどこれは鏡によって分裂した「私の人格?」)

 

「あら?以外と理解が早いようね、でも私とあなたでは決定的な違いがあるのよ」

 

「決定的な違い...」

 

「つまり貴女は「現実世界」にいるけど私はそうじゃない、この一年間「鏡」の世界で生きてきたの、ミエちゃんいい娘じゃない?あの娘よりも「理想の姿」が大切?私の力で貴女がこの「鏡」を買った5年前に戻すこともできるのよ?」

 

「でも..私はこの5年で「理想の姿」を手に入れたの...それにミキは親友であって恋人じゃない、だから..」

 

「だから..?このまま私と貴女、分裂したままでいいと?知らない人が見たら多重人格者..って言うより一人二役のおかしな人だと思われるわよ?」

 

「んー..それも嫌だ...!」

 

「そんな堅く考えなくてもいいんじゃないかしら?5年前に戻って貴女の言う「理想の姿」を作り直せばいいんじゃない?今度は人格が分裂しないようにね!クスクス」

 

「うー...自分が自分に言ってるとしてもムカつく....仕方ない..5年前に戻る!」

「決断したようね、それでは参りましょう?5年前のこの場所に!」

 

そう言って「鏡の中の私」は「現実世界の私」の手を引いて鏡の中へと優しく引き込んだ

 

「ハッ!鏡!、鏡はどこ!?」

 

どうやら気を失っていたようで私は目が覚めると早急に鏡を探したが見当たらない

 

「どうなってるの...そうだカレンダー!」

 

令和元年5月2日

 

「ホントに戻った..5年前に..」

「でも5月2日って確かあの「鏡」を買った翌日のはず、どうして此処にないの?」

 

「それはねぇ...こう言う事よ!」

 

声のする方向に顔を向ける、そこには一年前に鏡の中に居たはずの「自分の姿」が

 

「うわあぁー!なんで此処に居るの!コレじゃ結局、私一人二役の変人だぁ...」

 

「ちょっと..待ちなさいな..私の体良く見てみなさい..?」

 

「あれ?透けてる..?どゆことー..?」

「鏡もないでしょ?コレは、私が力を使う際に生じた「パラドックスよ」

「え?パラドックスそんな事起きるなんて...説明無かったよね?」

 

「まぁ..あれよね..「失敗」しちゃったの♪」

 

「これは...ショック!とかそう言う言葉じゃ表せない...それで私はまともな生活を送れるの?...」

 

「勿論よー私の姿は貴女にしか見えないしー♪もう完全に分裂したと言っても言いわねー」

「そう..じゃあ貴女はもう私じゃないって事ね...そしたら呼び名を..えっと私の名前が「リエ」だから逆さにして..「エリ」と呼ぶね」

 

「エリー?いいわね♪今時吸血鬼さんっぽい名前で」

 

「ん..?それはよく分からないけど...」

「エリが転送に失敗したって言ってたけど私が5年掛けて手に入れた容姿はどうなったの?」

 

「洗面所にある鏡でも見てきたらどう?」

 

私は期待と絶望を同時に抱きながら鏡の前に向かった

 

「ごくり...よし..」

 

鏡に顔を向けると...そこには..

 

「はぅうー♪転送前と同じ姿じゃない!良かったー!エリ失敗してくれてありがとー!♪」

「どう致しまして...(また人格が分裂するんじゃないかしら...)」

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